へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

秀兄ちゃんの好みのタイプ?

2012-04-04 23:40:50 | へちま細太郎

こんばんは、へちま細太郎です。

高校生でもないのに、高校生のバスケ部で練習をするぼくたち…といっても中学時代からあんまりメンツがかわらないのは、中高同じ場所にあるからだからしょうがない。
孟宗学園は中高一貫じゃないから、高校に入ってからも新入部員はいる。
「そういう連中にレギュラーとられたら恥ずかしいだろ」
と、中学校の時からの先輩が、汗をふきながらぼくらを見下ろした。
「といっても、鳥谷や唐変木野郎のシゴキで残るのは、結局中学からの部員だけだものなあ」
「みんなサッカー行っちゃうし…」
硬派だと自称していても、サッカー部に入るとナンパに激変するのはたぶん顧問のせいだろう。
「情けない、それなら我が団部でひきうけてもいい」
今年から団長になった滝沢さんこと、ぼくの又従兄の秀兄ちゃんが直立不動の姿勢で立っていた。
この人の親戚には広之お兄ちゃんもいるわけで、まったくタイプが違う。
ぼくや、広之お兄ちゃんがはみ出してんのかな?
「秀兄ちゃんさあ、団部楽しい?」
「翔、おまえ学校楽しくないのか?」
と、逆に質問されて返答につまる。
「高校入ったら、赤松にしたようなマネはできないぞ」
「あ、すっかり忘れてた」
ぼくは、やる気がなくて学校にいったもののサボりまくって授業に出なかったんだ。担任の赤松はおかげで、背中に生首を背負うハメになったんだっけ。
そんなことすらすっかり忘れていた。
「ゲンキンだな、おまえ」
「そりゃもう、欲の塊で…」
鈴木がぼくを見て、くすっと笑う。
「おまえねえ」
団部にいると時とは違う秀兄ちゃんは、昔と同じくやさしい兄ちゃんだ。
「秀兄ちゃんが、野茂の結婚相手になればいいのに」
と、思わずつぶやいて、ききつけた秀兄ちゃんはニコリともせず、
「あんなのは女とはいわんし、いくらご隠居さまに言われても、これだけは断固拒否する」
と、強い口調で拒否の言葉を返してきた。
「ナンパのバカ殿に嫌われ、硬派の滝沢先輩にも拒絶される野茂って、女として魅力ないってことかあ」
鈴木が苦笑すると、
「そんなことを言うな、あれはあれで…」
と、秀兄ちゃんは言うものの、結局は言葉につまってしまった。
かわいそうな野茂。
でも、ぼくは同情はしないし、ぼくは気の強い女はタイプじゃないしね。。。
新学期をまもなく迎えようとする、春の気持ちのいい午後だった。
ふええっくっしょい。。。
ぐずっ。なんだ?風邪か?
突然、くしゃみがでたぞ?