へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

プロ野球開幕

2012-04-02 23:49:57 | へちま細太郎

こんばんは、へちま細太郎です。

部活のために学校へ行き、体育館でのぶちゃん先生の怒号をききながら、
「高校になっても、まさかうどの大木野郎に指導されるとは思ってもみなかったよ」
と、ぼやくぼくたち。
高校バスケの顧問は、鳥谷先生という、まだ若い先生でかっこいい。
だけど、のぶちゃん先生にはまだまだ頭が上がらない。
「女バスもあの先生目当てだし、ジャーマネもなりたがっている奴がけっこういるってよ」
鈴木はボールに腰掛けながらごろごろさせている。
と、体育館外の水飲み場で無駄話をしていたら、
「結婚してくれ~」
「黙れ、このアホ」
と、応酬が聞こえたと思ったら。
「バカ殿、今日はやめといた方がいいぞ、すこぶる機嫌が悪いからな」
あのバカに機嫌のよい声は、中島教授だ。
「ま、相手が相手だからねえ」
これは阿部さんだ。
「ふん、タフマンでも飲んで寝ちまえ」
こっちはご機嫌斜めな片山教授。
「勝手なこと言うな、勝ちを新人監督にプレゼントしてやっただけやないか」
「ここでいっぱ~つ、キ・ヨ・シ~」
「おのれは、いつからモバゲーのファンになったんだ」
「ゲームなんぞするか」
「何をいうか、カウンセリングそっちのけでGREEやっとるやないか」
「ぼかあね、青年心理を研究しとるんだ。中島みたいにピグライフで、パソコンの中にまでガーデンニングしとるわけじゃないんだ」
「どこが悪い」
ぼくらは顔を見合わせた。
「高校生の会話か、ありゃ」
開幕3連戦、タコ壺の主の阪神は、横浜に1勝1敗1分け。
中島教授の読売は、3タテを免れ、逆に片山教授のヤクルトは1敗を杉内に食らってしまった。
阿部さんの中日も、浅尾がうたれて1分けとなってしまい、荒ぶる有袋類も着地失敗だ。
みんなそれぞれに機嫌が悪いはずなんだが、杉内の勝利がだいぶ中島教授の機嫌をよくしていた。
「けっ、生え抜きで負けて裏切り者で勝利するったあ、こきたない球団そのものだね」
こうなると、嫌味は在阪球団にかなわない。
「こきたないとはなんだあ」
「あ、間違えた、“小”汚いじゃなくて薄汚いの間違いやわあ。いやあ、まちごうてしもうた」
やれやれ。
「あれ?結婚してくれが聞こえないぞ」
「ほんとだ」
ぼくらは、舌戦をしている方を覗いたところ、ポツネンとたたずむ藤川先生をみつけた。
「会話に入っていけないってか?」
「野球よりサッカーF1だもんな」
「女が抜けてるよ」
ぼくらは、爆笑してしまったんだけど、こんな調子で藤川先生は大丈夫なんだろうか、と逆に心配になった。
ま、相手が野茂じゃなかっただけでも、いいんだけどね。