へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

風呂の水は川の水で

2011-04-04 21:02:18 | へちま細太郎

こんばんは、ピカイチだ。

どうも、細太郎の父です。
地震があってからこっち、学校が臨時休校になったものの、職員は交代で出勤となった。
おれとバカ殿は一緒に通勤する予定なんだが、ふたり合わせたってガソリンが足りない。
「俺は飛雄馬で通勤する」
と、バカ殿は無茶苦茶なことを言っていたが、結局チャリ通勤となった。
「寮に泊まれば、体力も回復するべ」
「そうだな」
俺たちは、速攻で楽ちんなチャリを買いに行き、充電。
「いい若いもんが、自力でこげないのか」
久しぶりに県庁から帰ってきたおやじが、風呂上りなのかさっぱりした顔をしている。
風呂といったって、地震の前に汲んでいた水を毎日温めなおしているんだが、これがまたたまらん。
「どうせだから、川まで行って風呂の水をいっぱいになるまで汲んでこい」
「なんでだよ」
「それくらい当たり前だ」
なんで当たり前なんだか意味不明だが、結局充電半ばでポリタンクをふたつ荷台にくくりつけ、川よりは、と藤川家の別邸まで走った。
ここは、バカ殿が結婚して住むはずの幕末に造られた隠居屋敷なんだが、畑もあればどこからか湧いてでた小川も流れている。
「飲み水には不向きだが、口に入らないようにすれば使えるだろ」
俺たちはポリタンクいっぱいに水を詰め込み、家と別邸を何度も往復した。
足は重くなるわ、警官には呼び止められるわ、なんでこんなしんどい思いをしなくちゃならんのか、と心身ともにへとへとだよ。
で、明日の通勤のことを考えると余計に気も体も重くなった。
「東北の人は、もっとしんどい思いをしているんだ、これくらい平気だろ」
う~ん、これを言われると、辛い。
でも、やっぱりしんどいものはしんどいんだけどなあ。。。