へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

そろばんはじいてナンボ

2011-04-01 23:42:22 | へちま細太郎

こんばんは、へちま細太郎です。

須庭寺の本堂の後片付けが終わり、次は庭掃除だった。
庭には壊れた仏像の破片やら須弥壇のびらびらが、うずたかく積み上げられていた。
そのガラクタを前にして、ご隠居様と住職様が額を突き合わせて何やら密談中。
「直せるもんなら、直したいもんだ」
と、ご隠居様が言えば、住職さんもうなづいて、
「後始末するにも金がかかる。檀家にも出せとは言えんし」
「びた一文出さんぞ」
「あんたには頼まんよ、孝正に頼む」
孝正は、藤川先生のお父さんだ。
「当面の予算は…」
と、袖の中からそろばんを出して玉をはじく。
「壊れた仏像5体がこれくらい、須弥壇がこれくらい、ついでに本堂の屋根を直して…」
「リフォームならこの程度だろ」
今度はご隠居が電卓を差し出して、住職様に見せると、
「それはないだろうが」
と、そろばんをがしゃがしゃと鳴らして、再び玉はじき。
「どうせ、ダミーの空洞の張りぼて仏像だろうが、こんな程度だろうが」
「何を言うか、本物らしく見せるにはやはりこれくらいはみておかないと」
すごい異様な光景だ。
もはやこれ以上書くと、藤川家とその菩提寺の恥になるのでやめておこう。
いやはや。。。


銅鑼の音高く~

2011-04-01 15:18:44 | へちま細太郎

副住職だ。

なんで、朝まで爆睡してるんだ、こいつらは…。
俺のゾク仲間でさえも逃げ出した夜中の本堂。
なんで、こいつら眠れる。
あんまりムカついたので、
「てめえら、おきろ~
と、銅鑼を鳴らしてやったら、
「うっせ~ぜぞてっめえ」
と、むっくり起き上がったやつに逆に怒鳴り返された。
しかも、再び倒れ込んで寝てしまったではないか。
なんだ、寝言か…。
なんて、やつらだ。
あ~、ちきしょ~、疲れるまで働かせるんじゃなかった~