へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

コケ吉、たぬきを撃退する

2009-02-02 23:16:11 | へちま細太郎

こんばんは、へちま細太郎です。

2月だあ。 というわけじゃないけど、まだまだ寒いよね。
「2月は一番寒いんだ」
と、三田先生が寒そうに体育の授業の時にボヤいた。 見ているだけでジャージが寒く見える。
今日の体育は、からだを暖めようということで、縄跳びを校庭のグラウンドで5年生といっしょにやった。 長縄の競争や、ダブルダッチをして失敗したりで大いに盛り上がった。
ところが、校庭のすみの鳥小屋から、
ケッケッ、コケーッ、キケーッ
とかいう凄まじい鶏の鳴き声がしてきた。
「なんだなんだ」
みんなが一斉に鳥小屋を見ると、扉が開いていて茶色いかたまりとそれを追いかけるようにコケ吉が飛び出してきた。
「あ、コケ吉何やってんだ」
と思う間もなく茶色いかたまりが、ぼくらの方に走ってきたじゃないか。
「あっ、狸だっ
「まぢかよっ
「きゃあ
猛然とダッシュしてきた茶色いかたまりは、狸だった。 コケ吉は爪とくちばしで狸を猛攻撃をくらわし、狸はたまらず逃げ出してきたらしい。
コケーッっという鳴き声をあげながら、狸の背中に乗り頭と言わず背中をつつき回され、狸はぼくらの間を駆け回ってやがてコケ吉を振り落として走り去っていってしまった。
「な、なんだったんだ、今のは」
「なんで、狸がいるんだ」
「ここは狸が出るような田舎だったのか?」
こんな言葉がささやきながらぼうっと立っている僕らの前をコケ吉が、尾羽をピンと立て誇らしげに歩いていった。
コケ吉、すごいぞ。まるで慶子おねえちゃんみたいだ。
みんながコケ吉を尊敬のまなざしで見送る中、ぼくだけはそんな変なことを考えていた。