原作:芦原妃名子、監督:佐藤信介、出演:松下奈緒、夏帆、井坂俊哉、池松壮亮、の映画『砂時計』を観てきました。
ストーリーは、14歳の杏(夏帆)が、東京から母・美和子(戸田菜穂)と共に母の故郷である島根県に帰郷する所から始まります。
杏の父(風間トオル)が事業に失敗し、離婚の末の、杏の母・美和子にはとっては失意の帰郷です。
実家に戻った早々、美和子は杏の祖母にあたる美佐代(藤村志保)から、激励を込めた叱責を受けてしまいます、
「だからあの結婚には反対したのに。しゃんとしなさい」
と。
しかし、その言葉が精神疾患を抱えた美和子にはひどい重荷となってのしかかります。
一方、大人の話しに飽きた杏は母の故郷である町を散策します。
そこで、地元の同い年の少年・大悟(池松壮亮)と出会い、彼の手荒くもどこか温かい歓迎もあって、杏は母の抱える苦悩をよそに田舎での生活に意外とすんなりと馴染んでいきます。
そういう日々が数日過ぎたのち、杏のもとに、美和子が倒れた、という知らせが入ります。
医者の診断では、美和子は、励ましてはいけない病気・鬱病、に罹患しているとの事。
ほどなくして美和子は杏を残して自殺してしまいます。
両親の離婚に、母の自殺と、孤独と失意のどん底にいる杏を大悟は、優しく力強く抱きしめながら言います、
「ずっと一緒におっちゃる」
と…。
長くなりましたが、これがこの作品のプロローグになります。
このあと物語は、杏が背負った母の自殺という十字架と、大悟との絆(きずな)を描いていきます。
主人公の杏は少女時代を夏帆が、大人時代を松下奈緒がそれぞれ演じ分けています。
昨年、昼ドラ化され好評だった人気漫画を原作に、新たにテーマを絞り込み、ドラマとは全く違った作品に“映画『砂時計』”はなっていました。
“ドラマ『砂時計』”のダイジェスト版を期待して劇場に足を運ぼうとしている方は、観るのを止めた方が良い作品です。
全くの別物です。
全体を貫く一本線は、母の自殺というトラウマを抱えてしまったひとりの女の子が、如何にそれを克服していくか、という事。
そのトラウマ克服に大悟との愛が絡んでくるのですが、離婚して行方知れずになっていた父の登場で、杏の島根での生活は一年足らずで終わり、父が住む東京に戻ってしまいます。
よって杏と大悟が同じ町で一緒に過ごした期間も一年足らず。
その後、杏と大悟は島根と東京で遠距離恋愛を経験するものの、離れがたい「絆≒愛」を二人が育む過程がかなり省略されている為に、劇中での大悟の存在感が少々弱い気がしました。
少女が思春期に体験した母親の自殺という強烈なトラウマが、その後の人格形成にどう影響していくか、というテーマはよく描けていました。
が、時折フラッシュ・バックで深い沼に落ちてゆく杏を、太陽のような暖かさで救う大悟との絆が序盤でしっかり描かれていない為に、何故杏を救う事が出来るのが大悟でなければならないのかが、今ひとつ説明不足の感があります。
一年足らずしか過ごしていない島根(しかもそこは母が自殺をした土地)を杏が屈託なく愛する故郷と感じられるのかもやや疑問。
そこら辺がもう少し上手く処理されていたら、かなり良い作品になった事でしょう。
とはいえ劇中、時折り挿入される島根の山々や町並み、里山の風景は日本人の故郷の原風景として認識させるには充分であったし、多くの“『砂時計』ファン”からブーイングを浴びる事が予想される事を覚悟の上で、要点を絞り2時間の作品にまとめ上げた監督の勇気、意気込み、手腕には拍手を贈りたい所です。
またひとつ違った解釈の『砂時計』が観られた事も良かった。
惜しむらくは、私が“ドラマ『砂時計』”を昨年観ていたが為に、まっさらな状態で“映画『砂時計』”に触れられなかった事。
出来ればこの映画は初めて接する作品として観てみたかったものです。
なので、この作品の「映画」としての良し悪しは私には分かりません。
出来、不出来の判断は各人に任せます。
ストーリーは、14歳の杏(夏帆)が、東京から母・美和子(戸田菜穂)と共に母の故郷である島根県に帰郷する所から始まります。
杏の父(風間トオル)が事業に失敗し、離婚の末の、杏の母・美和子にはとっては失意の帰郷です。
実家に戻った早々、美和子は杏の祖母にあたる美佐代(藤村志保)から、激励を込めた叱責を受けてしまいます、
「だからあの結婚には反対したのに。しゃんとしなさい」
と。
しかし、その言葉が精神疾患を抱えた美和子にはひどい重荷となってのしかかります。
一方、大人の話しに飽きた杏は母の故郷である町を散策します。
そこで、地元の同い年の少年・大悟(池松壮亮)と出会い、彼の手荒くもどこか温かい歓迎もあって、杏は母の抱える苦悩をよそに田舎での生活に意外とすんなりと馴染んでいきます。
そういう日々が数日過ぎたのち、杏のもとに、美和子が倒れた、という知らせが入ります。
医者の診断では、美和子は、励ましてはいけない病気・鬱病、に罹患しているとの事。
ほどなくして美和子は杏を残して自殺してしまいます。
両親の離婚に、母の自殺と、孤独と失意のどん底にいる杏を大悟は、優しく力強く抱きしめながら言います、
「ずっと一緒におっちゃる」
と…。
長くなりましたが、これがこの作品のプロローグになります。
このあと物語は、杏が背負った母の自殺という十字架と、大悟との絆(きずな)を描いていきます。
主人公の杏は少女時代を夏帆が、大人時代を松下奈緒がそれぞれ演じ分けています。
昨年、昼ドラ化され好評だった人気漫画を原作に、新たにテーマを絞り込み、ドラマとは全く違った作品に“映画『砂時計』”はなっていました。
“ドラマ『砂時計』”のダイジェスト版を期待して劇場に足を運ぼうとしている方は、観るのを止めた方が良い作品です。
全くの別物です。
全体を貫く一本線は、母の自殺というトラウマを抱えてしまったひとりの女の子が、如何にそれを克服していくか、という事。
そのトラウマ克服に大悟との愛が絡んでくるのですが、離婚して行方知れずになっていた父の登場で、杏の島根での生活は一年足らずで終わり、父が住む東京に戻ってしまいます。
よって杏と大悟が同じ町で一緒に過ごした期間も一年足らず。
その後、杏と大悟は島根と東京で遠距離恋愛を経験するものの、離れがたい「絆≒愛」を二人が育む過程がかなり省略されている為に、劇中での大悟の存在感が少々弱い気がしました。
少女が思春期に体験した母親の自殺という強烈なトラウマが、その後の人格形成にどう影響していくか、というテーマはよく描けていました。
が、時折フラッシュ・バックで深い沼に落ちてゆく杏を、太陽のような暖かさで救う大悟との絆が序盤でしっかり描かれていない為に、何故杏を救う事が出来るのが大悟でなければならないのかが、今ひとつ説明不足の感があります。
一年足らずしか過ごしていない島根(しかもそこは母が自殺をした土地)を杏が屈託なく愛する故郷と感じられるのかもやや疑問。
そこら辺がもう少し上手く処理されていたら、かなり良い作品になった事でしょう。
とはいえ劇中、時折り挿入される島根の山々や町並み、里山の風景は日本人の故郷の原風景として認識させるには充分であったし、多くの“『砂時計』ファン”からブーイングを浴びる事が予想される事を覚悟の上で、要点を絞り2時間の作品にまとめ上げた監督の勇気、意気込み、手腕には拍手を贈りたい所です。
またひとつ違った解釈の『砂時計』が観られた事も良かった。
惜しむらくは、私が“ドラマ『砂時計』”を昨年観ていたが為に、まっさらな状態で“映画『砂時計』”に触れられなかった事。
出来ればこの映画は初めて接する作品として観てみたかったものです。
なので、この作品の「映画」としての良し悪しは私には分かりません。
出来、不出来の判断は各人に任せます。