根無し草のつれづれ

日々の雑感をひたすら書き綴ったエッセイ・コラム。また引用部分を除き、無断掲載の一切を禁ず。

映画『パラノイドパーク』

2008-04-17 00:44:30 | エッセイ、コラム
原作:ブレイク・ネルソン、監督:ガス・ヴァン・サント、主演:ケイブ・ネヴァンス、の映画『パラノイドパーク』を観てきました。


ストーリーは、アメリカ・オレゴン州のポートランドを舞台に、どこにでもいるようなスケート・ボード好きの16歳の少年・アレックス(ケイブ・ネヴァンス)が、ちょっとした事で起こしてしまった殺人事件の顛末を描いたものです。

事件前と事件後で変わってしまう少年の心理や行動が上手く表現されていました。
故意に起こしてしまった事件でもないし、まだ警察は捜査段階で犯人の特定には至っていない状態。

実際、こういう何かの間違いで事件を起こしてしまった少年の心理状態はこんなものではないのだろうか、と思わされました。
出来たらなかった事にしたい現実。
日常生活は何とか普通に送るものの、起こしてしまった事実は常に頭のどこかにあって、何をするにも上の空。
事件の重大さが段々理解出来てきてさらに悩む。
しかし、大人でも子供でもない思春期の少年の判断力はまだ未熟で考えても答えは出ない。



物語の背景は兎も角、十代の少年の心の繊細さを丁寧に描写した映画だと思いました。
殺人事件という凶悪事件はさすがにないでしょうが、取り返しのつかないような事をつい犯してしまい、精神の未熟さ故に苦悩した経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
そういった嫌な事をつい思い出してしまうような作品でした。