ギリシャのチプラス首相が辞任して議会選挙を実施するらしいのですが、一体どういうことでしょうか。
ギリシャのチプラス首相が突然、辞任を発表し、近く総選挙を行う方針を明らかにしました。
チプラス首相は20日、夜のテレビ演説で「できることはすべてやった」と語り、総選挙で改めて民意を問いたいと訴えました。反緊縮政策を掲げて発足したチプラス政権は、EU(ヨーロッパ連合)との金融支援の交渉で公約を翻し、緊縮策を受け入れたことから、首相の方針に反対する与党議員が続出する事態が続いてきました。ただ、国民の支持率は今も高いことから、総選挙を通じて反対勢力を一掃し、政権の安定を図る狙いもあるとみられています。:テレ朝 news 2015年08月21日
ギリシャ首相辞任、総選挙へ=投票日、9月20日か―EUに譲歩「審判あおぐ責任」
【ブリュッセル時事】ギリシャのチプラス首相は20日夜(日本時間21日未明)、パブロプロス大統領に辞表を提出し、早期の総選挙実施を要請した。投票日は9月20日を軸に検討される。
経済危機に苦しむギリシャに対する欧州連合(EU)の金融支援をめぐり、チプラス首相率いる与党・急進左派連合(SYRIZA)は分裂状態になっている。選挙に勝利して自身に反対する勢力を一掃したい狙いが首相にはある。
チプラス首相は辞表提出直前の20日夜、テレビを通じ国民向けに演説、EUなどとの妥協について「望んだ合意を得られたわけではないが、現状では最善のものだ」と訴えた。また「合意は守るが戦いは続ける」と述べ、緊縮策に苦しむ国民に理解を求めた。・・・・
その上で「自分の行ったことに対し、国民の審判をあおぐ道義的責任が今の私にはある」と呼び掛けた。国民の前で辞意を表明し、現政権の政策継続を望むかどうかを争点に「国民が決断を下さなければならない」と主張、解散総選挙に踏み込む決意を示した。
首相自ら主導した7月5日の国民投票では「反緊縮」の民意がはっきり示された。ところが、首相は直後にEUに大幅譲歩している。ギリシャでは今年1月に総選挙が行われたばかり。チプラス氏はその選挙に勝って首相となった。在任はまだ1年にも満たない。:時事通信 2015年08月21日
またまた動きを見せたギリシャのチプラス首相。
- ギリシャの放漫財政
- ギリシャがEUに加盟しているため、財政支援の代償として「EUがギリシャへ財政緊縮を要求」
- ギリシャの粉飾財政が発覚
- ギリシャ国民が不公平な緊縮財政に不満〔この段階で国民は政府の隠蔽工作に洗脳され、国内政治の問題であることを知らされていなかった可能性がある〕
- ギリシャ国民に反EUの動き〔実は反政府なのかも〕
- 状況を察知したチプラスが2015年1月の選挙において「反EU」を唱えて首相に
- EUがギリシャにさらに緊縮財政を要求し、チプラスが不本意ながら条件付きで合意か・・・・このあたりが不透明で分りにくい
- ギリギリの不利な状況下、チプラスは国民投票を決行し信を問うとした
- 国民投票の結果は「EUが提示する不利な条件に反対し緊縮財政に反対する」というもの。つまり最初のチプラスを支持。さてこまったのが豹変済みだったチプラス。・・・・このあたりもまた分りにくい
- しかし国民投票の結果を無視して、チプラスはEUとの「屈辱的?」な合意に。もちろん反政府運動が激化。
- チプラスが辞任を表明し、反対議員を排除すべく、総選挙に打って出て、たった8ヶ月くらいでふたたび議会議員の選挙に向かうことに。
- さてどうなるか。
こういう流れだったと思います。思い返してみると、この8ヶ月の間にチプラスはさまざまな経験をしましたね。
- 反EU
- 反国民投票〔首相就任後の豹変〕
- 反議会〔さらなる豹変〕
豹変に次ぐ豹変のチプラス首相なのに国民の支持が高そうな動きを理解することなど困難ですから、さらに先を予言することなど、私にはとてもできませんが・・・・
もしも来月(2015年9月)に予定されるという8ヶ月後の再びの議会総選挙で
もしもチプラス与党が勝利した場合
豹変したチプラスを議会が承認したことになり、本格的なEUとの交渉が再開され、ギリシャの財政改革が前進することでしょう。ただし不公平感のない財政改革が必要で、これをギリシャ政府が実施できるか、にかかっています。
不法移民問題では、さらにEUからの支援が必要でしょう。これはEU全体の問題でもありますから。
もしもチプラス与党が敗退した場合
ギリシャ国民は議会選挙を通じて、「ギリシャ政府の不公平財政緊縮政策」ではなく、「EUに不満」をぶつけたことになり自国の放漫経営を見て見ぬふりをしたか。
そして豹変するチプラスを見限ったか。そうすると、
- 8ヶ月前の総選挙〔トルコでは総選挙5ヶ月後に再び総選挙〕
- 1ヶ月前の国民投票
- そして今回〔2015年9月〕予定の選挙の結果
3つの公の行動で、ギリシャ国民はほぼ同じ「反EU」の決意を固めたことになります。
世論操作・言論を封殺していると、このようなねじれた状況をもたらすものですね。中国共産党はその最たるもの、韓国も似たようなものか。
この場合どうなるか、予断を許しませんが、
- ギリシャはEU離脱と不法移民という2つの難問をかかえることになります。これからは自立して生きていかねばならず、そこへ中国やロシアがどうかかわるか、注視しなければなりません。
- 制裁され通貨ルーブル安や原油安で一時の好調経済を見失ったロシアや、そもそも共産党一党独裁下での経済が破綻しようかという中国が、ギリシャに接近すれば、これらの国の対EU戦術が大きく変ってきます。
- しかしながら、ロシアも中国も、今、経新たな投資ができる余裕があるかどうか、まったくわかりません。余裕に関係なく投資をすることで、国家の衰退を早めることになるかも。
- AIIBもギリシャ問題に関連しているため、難航が予想されます。2015年末頃の各国批准がうまくいくかどうか、不透明です。
参考までにAIIB関連では
- 参加を表明したのは57カ国
- 参加に署名をしたのは50カ国〔7カ国が離脱〕
- 2015年末の批准状況ですが、一体何カ国の離脱があるのか。根拠のない私の予言(笑)では、10カ国以上は批准できないとみています。せいぜい30~40各国が傾きつつある中国経済にすがろうとするか。これは傾きつつあるギリシャに難民がすがろうとしている昨今を連想させます。
9月には
- このギリシャの総選挙
- 防衛省と沖縄県との交渉再開