カンムリワシ、ワシは名ばかり、言うばかり

20年前探せばカンムリワシがいて、10年前そこにはカラスがいて、いま両方ともいません。よって最近ではそれ以外の話題に。

有力国の国民性を比較

2014年08月21日 00時43分02秒 | 海外

かなり古い時代ですが、

1937年に中国人の林語堂(リン・ゴドウ)が各国を比較していますので、ご紹介します。

なにぶん昔のことですから、それをふまえて御覧頂ければ幸いです。

出典は、

林語堂「人生をいかに生きるか(上)」阪本勝訳 昭和54年11月10日第1刷発行 講談社学術文庫で、執筆は1937年ですから、相当ふるいですね(笑)。上は、これを私がExcelで記述したものです。

筆者が中国人でありよく理解しているためか

中国人の現実主義には最高点4を、夢には最低点1を、与えています。

また総合点では、中国人とフランス人に高い点数11を、そして日本人には最低点7イギリス人やロシア人よりも低い)を、与えています。

もちろん次のように著者が言うとおり、異論はあるという前提で、ささやかな、しかも80年ほど前の時代で著者が判断した結果です。 


以下に掲げるものは、数カ国の国民性を表わす公式であるが、全然私一個のものであって、立証とか証明とかはまったくできない。多数の統計的事実や計数によって、自己の意見を実証できると主張しないかぎり、誰でも私の公式を論議し、変更し、あるいは自分独自のものを加えてもよろしい。:林語堂「人生をいかに生きるか(上)」阪本勝訳 昭和54年11月10日第1刷発行 講談社学術文庫

 

また右に掲げたものも、ごらんのとおりおぼつかないものであって、いずれ批評の嵐を覚悟しなければならないことは充分承知している。権威があるというより、まず人を怒らせるぐらいのところであろう。

 

将来新しい事実を知って、新しい印象ができたならば、私一個の用のために、これらの公式をだんだん変更してゆくことを約束しておこう。まず現在のところ価値があるというだけなのだ。いわば、私の知識の進歩と無知の間隙を表わす記録なのだ。:林語堂「人生をいかに生きるか(上)」阪本勝訳 昭和54年11月10日第1刷発行 講談社学術文庫 


今の私たちがこれを判断するときには注意が必要でしょう。

  • 中国人が今でも超現実主義的であることに異論はありませんが、現実主義と夢との境界線があいまいで、こうありたいという理念より現実の日常を大切にするという意味でしょうか。つまり外から見てなぜ「中国共産党があれだけ弾圧しながら政権を維持できるのか、そしてなぜ年間10万件の暴動が繰り返されるのか」という疑問を解明するのに、少しは役立つかも知れません。
  • ユーモアが中国人に多いというのには違和感があります。まだ中国共産党の締め付けがないころの話ですから、やむを得ませんか。
  • ロシア人の、ユーモアには最低の点を、夢には最高点を、与えています。これまたどの時代のロシアにも通用するとは思えず、革命と亡命と弾圧のはざまで貴族たちの「夢」が大きく揺れ動きつつ打ち砕かれることで妙な自殺観が発達したことから夢に点数を多く与えたのでしょうか。そういえば日本の江戸時代の一時期にも心中ブームがあったことも想起されます。
  • 林語堂はユーラシア大陸の東西の端に位置するフランスと中国に総合点で最高の11を与えていますが、感受性については、仏に3、アメリカに1、と大きな差をつけています。フランスでは2011年に施行された法律によって「公共の場所でイスラム教徒であることを強調するブルカの着用」が禁じられ、この点では、就任時に平気で聖書に宣誓する大統領もいるアメリカ人に感受性が欠けていることを示していて、70年前と変りがないのでしょう。同じ宗教の自由を守るために、「公共」の場所で宗教行為を禁止する国と、「公共」の場所でさえ自由にふるまうのを認める、こういう違いが出て来るのでした。

などに注意すべきでしょうか。

たまには、昔の中国の賢人の話に耳を傾けることにも、意義があると思います。

 

 




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