カンムリワシ、ワシは名ばかり、言うばかり

20年前探せばカンムリワシがいて、10年前そこにはカラスがいて、いま両方ともいません。よって最近ではそれ以外の話題に。

リビアの混乱

2014年09月27日 05時48分59秒 | 海外

2010年のチュニジアのジャスミン革命のあと

2011年には隣国のリビアでも反カダフィ派が結束してカダフィを倒しましたが、共にまともな民主国家が期待されたのに、3~4年経過した今、再び混乱が拡大し、内戦状態に陥っているとのこと。チュニジアでは政治家の暗殺が続き、リビアでも激しい対立があるようです。

この両国のみならず近年の混乱に共通して

「腐敗」と「妥協を許さないイスラム教徒」

がみられます。

部外者から見たら、似たもの同士の「ユダヤ教」「キリスト教」「イスラム教」ですが、国によっては

  • イスラム教徒とキリスト教徒の争い、
  • イスラム教徒内でも、世俗主義者・原理主義者・過激派の間の争い

がみられます。現在のイスラム教内では、洗脳が強すぎるためか、決して妥協を許さない強硬な対立が目立ち、少しは遠慮というものがありそうな異種宗教間対立よりも深刻にみえます。

一言でいえば、

「一神教」

の恐怖でしょうか。もちろん、イスラム教もキリスト教もユダヤ教も、そして共産主義さえ、一神教であり、他を許すことはありません。常に自分が正しいのであり、それ以外は正しくないのでした。

この一神教の傲慢・不寛容に加え、腐敗・利権争いが加われば、この世のすべての対立が説明できそう。

これに対して日本は

「多神教」

の国だと言われております。そういえば日本には、各地に古いインド発祥の多種の神がいたり古くからの土着信仰や神道もあれば、多種多様な神が混在していて、一人の日本人が1年のうちに異なる宗教の風習・習慣を何の違和感もなく平気で取り入れることがあります。

もしも、おおざっぱに考える人なら

かつて総理在任中〔2000/4/5-2001/4/26〕の森喜朗が「日本は神の国」と発言したのも、この「多神教」のことであろうと考えるかも知れませんが、残念ながらそうではなくて、これは総理着任直後〔2000/5/15〕の神道政治連盟国会議員懇談会結成三十周年記念祝賀会での「日本は天皇を中心とした神の国」発言で、多神教の日本であるはずなのに、神道という一つの宗教を擁護したことが判明したため、森は知識人や神道以外の信者から非難を受けました。森の発言内容全体は、こちらでどうぞ。

私は、

神道でもいいし、仏教でもいいし、他の宗教でもかまわず、多神教でいいと思っておりますが、一国の総理が、戦前ならばいざ知らず、現代日本で神道を褒め称えることには、賛成できません。もちろん米大統領が就任時に聖書に宣誓する行為も一宗教優先であり宗教の自由に反するし、個人ではなく総理として一宗教法人に過ぎない靖国へいくものではないと思っています。〔当然のことながら中国共産党の弾圧などもってのほか、朝鮮半島人の序列意識と差別性は論外〕

よって、かどうかはわかりませんが、森は一年で総理の座を去っております。

今、ヨーロッパの混乱をみるに

EU拡大とともに人権意識が高まり、かつてのアフリカなどの植民地から多数の移民を受け入れております。移民した人たちには、それぞれに理由があろうかと思いますが、多くはイスラム教徒であり、しかも母国では人権など考えることすらなかった人たちでして、EUに移り住んで初めて人権意識が芽生えたと言っても過言ではありません。

しかしEUが、「宗教色を薄めたからここまで拡大できた」とは言え、加盟国の多くで底辺を流れるのがキリスト教系であり、かりにEUで人権意識が高まってきたとしても、また国によって宗教の取り扱いにいくらかの違いはあったとしても、それは一神教であるキリスト教を前提としていたのでした。

ですから、多くの国で移民たちが、その国の言葉を学んだり地域に積極的にとけ込まないまま閉鎖的なイスラム教徒集団をつくって「人権」の被害者であるかのようにイスラム色を出そうとしているのならば、地元に激しいナショナリズムを生み、地元の人たちが「自分たちの人権が損われている」ととらえてしまうのにも一理ある、とみられてしまいます。

現実の問題として、EU各地でこの両者〔移民者と地元人間〕が、いま深刻な対立を迎えているようで、かつては安全とされたロンドンでさえ、宗教がらみの事件が増え、大きく変わってきました。

つまりEUでは、「人権」意識が高まったために、かえって「人権」問題を起こしてしまった、という矛盾。

アフリカの混乱の話に戻りますが、これらの諸国で

  • 長い間、ヨーロッパ諸国による悲惨な植民地時代が続き、このため腐敗と利権がはびこった。
  • 戦後、多くの国が独立しましたが、引かれた国境線は、部族や言語などを無視したもので、部族間の対立が激しく、これらを統括するには独裁者・弾圧者が必要だった。
  • こうして長期の独裁者がうまれ、エジプトのムバラク、リビアのカダフィ、などきりがありません。
  • こうした長期独裁下で必然的に癒着と腐敗が発生し、富が偏在することでまともな発展ができず、弾圧への暴力的反発も多発しました。このようにして様々な反政府系が協力して独裁政権を倒したのが、チュジニアやリビアやエジプトの革命でした。
  • ですから、これらの国々で各部族・各宗派が協力して国家運営にあたるという民主政治が期待されたのですが、武力で長期独裁政権を倒した人たちが権力を握ると、たちまちにして大混乱となり今や内戦状態に陥ってしまったのです。
  • 今のアフリカの混乱は、多くの場合この流れで説明できます。国によって、宗教の占める地位が異なっていて一言では言えませんが、植民地支配→独立→独裁政権→民主化か→大混乱(内戦状態)→そしてふたたび独裁政権、の繰り返しが続きそうだといえます。
  • つまり外国の介入を廃して、今の内戦状態を鎮めるには、ふたたび独裁者が必要という悪循環、が心配されます。

ひるがえってアジアを見渡せば

  • 中国にも、長年の欧米や日本による侵略時代があり、戦後独立して、もっと前からあった中国共産党が中華人民共和国という国を設立し、独立後の中国共産党による超長期独裁政権がまだ続いている所までは、アフリカ諸国と同じですが、もしも近い将来、10年以内に中国共産党が崩壊して民主的国家が誕生する、と期待することは許されます。
  • しかし、上のアフリカの例をみてわかるとおり、多くの中国人が協力して武力によって独裁政権を倒せば、必ずや武力をもった人たち同士の権力争いがおこり、再び内戦状態〔これは中国4000年の伝統〕に陥り、そして残念なことに、中国共産党よりも一層ひどい独裁政権が生まれる可能性があります。
  • 今、中国で反政府系の人たちが流派や宗派に関係なく協力して中国共産党政権を倒したとしても、倒した人たちの間で対立が激化し、ふたたび内戦に至る、という意味です。
  • しかし中国共産党が崩壊したら中国が内戦状態になってしまうので、人権無視・弾圧のまま中国共産党支配が続くほうを選ぶ、とはならないでしょう。
  • 人権無視、弾圧・独裁の中国共産党は崩壊するはずで、その後、中国が内戦状態にならないようにするのはどうしたらいいか、この中国人の賢明さが期待される、のではないでしょうか。個人の利益だけを求めて狂騒しているようでは、いつまでたってもまともな国家にはなり得ず、明るい未来はなさそうに見えますが、さて・・・・・・。

 

 

 


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