②韓国、「財政赤字増殖」高齢化で予算膨張「物取り主義」全開
勝又壽良の経済時評
週刊東洋経済元編集長の勝又壽良
2015-09-25
高齢化が減速経済に負担へ
勤労よりも搾取願望が先行
ここから、中韓の「反日連合軍」が、なぜ執拗な「反日」を行っているか。
その理由が分かるであろう。
日本の良さも分からずに「難癖」を付けている。
著しく「イノベーション」能力に欠けた後進的な経済構造ゆえに、
中韓の意識まで時代離れしているのだ。そういう理解が成り立つであろう。
合理的な国家であれば、70年前の古証文を持ち出して騒ぎ立てるはずもない。
要するに、非合理的な国家が中韓であるとも読めるのだ。
一つのデータが思わざるところで、国家の「進化度合い」を示している。
英国が183%と高い理由は、中韓と完全に異なる事情であろう。
英国は1980年代に「金融のビッグバン」を行い、大幅な金融改革を実行した。
金融業をメイン・インダストリーに押し上げて、世界の金融センターを目指してきた。
その効果が出ている、あるいは、世界の金融スペシャリストを集めるという「人材戦略」が高い賃金となったと見られる。
フランス、ドイツもそうした英国の影響を受けているであろう。
日本は146%である。
米国の101%に比べれば未だ割高だが、10ヶ国・地域の平均値である「159%」に比べて、13%ポイントも低い。
日米については、「ゼロ金利」を行っているという共通事情がある。
それが、金融業の利ざやを下げている面も否定はできない。
ただ、金融業は国際的な資本規制を受けており、
自己資本比率の一定率以上の維持が義務づけられている。
それをクリアしながら、積極的な融資活動を展開しているというのが、
日米金融業の実相かも知れない。
日本のメガバンク3行は、国際的なネットワークを張っている。
日本の人口減を考えれば、海外での業務展開が必須となっている。
中韓金融業の「お山の大将」気取りと、根本的に環境が異なる。
中韓は、完全に日本金融業から見れば出遅れている。
その認識もないままに、日本へ楯突いて喜んでいるのだろう。
考えれば考えるほど、中韓の未熟さがはっきりしてくる。
気の毒にさえ感じるのだ。
韓国が先進国から遅れている分野は未だある。
賃金体系が年功序列型になっていることだ。
いわゆる生活給(基本給)的な面が強く、能率面での配慮が足りない。
これでは労働力の流動性が疎外される。
日進月歩で進む企業社会において、長く在社すればそれだけの理由で給与が上がる。
こういうシステムは、適材適所で人材を必要とする変化の激しい現実にはそぐわないのだ。
韓国では、労働者のストライキが激しく賃金体系の変更は極めて難しい。
企業が大赤字でもストライキを構えて賃上げを迫る。
企業の支払能力を上回る賃上げが、韓国企業の収益基盤を浸食しているのだ。
『朝鮮日報』(9月11日付)は、次のように伝えた。
④ 「全国経済人連合会(全経連)と雇用労働部(省に相当)の『雇用形態別勤労実態調査』を分析した結果、以下のような年齢別賃金格差の存在を示した。
入社 1年目 15万2000円
入社10年目 38万2000円 入社時の倍率2.51倍
入社20年目 55万9000円 同3.67倍
入社31年目以上 66万5000円 同4.38倍」。
この賃金上昇カーブを見ると、典型的な年功序列型賃金になっている。
こういう極端な年齢加給賃金では労働者が一生懸命に自己研鑽する必要もなく、
毎年の賃上げでストライキを構えれば、黙っていても賃金が上がることになる。
こういう安易な賃上げが可能な背景には、
韓国社会全体が「競争原理」が貫徹していないことの証明であろう。
銀行も貸出競争しない。
労働者も自らの能力アップの努力を怠る。
社会全体が「まあまあ、なあなあ」の馴れ合い社会であることを示唆している。
私は決して、血みどろの競争を奨励しているわけでない。
最低限、競争=生産性向上という努力をしない限り、その国の経済は発展しないと見る。
努力をすれば、それに見合った成果=賃上げが可能な社会が、適当な刺激のある社会であると思う。
中国の人民公社が、なぜ破綻したか。
生産性とは無縁な平等な分配が農民を怠惰にして破綻させたのである。
韓国の賃金体系には、人民公社的なマイナスイメージを感じるのだ。
韓国の目指す労働改革は、働いた成果が賃金に反映するシステムを模索するものだ。
一生懸命に働かなくても、集団でストライキを構えれば賃上げ可能な社会は、どう見ても歪んでいる。
李朝時代までヤンバン(両班)は、典型的な働かずに贅沢をする特権階級であった。
この悪い習わしが今なお韓国社会に残っているのでないか。
労働組合が簡単にストを構えるのも、この「ヤンバン」精神が逆に作用している結果であろう。
およそ、マックスヴェーバーの説いた「プロテスタンティズムの精神」とはかけ離れた精神構造である。
各国製造業の入社1年目の社員と30年目社員の賃金格差は、
次のようになっている。資料は、『朝鮮日報』(9月11日付)が掲載している。
韓国 3.5倍
日本 2.4倍
ドイツ 1.9倍
英国 1.6倍
フランス 1.5倍
スウェーデン1.1倍
韓国製造業は、
入社1年目の社員と30年目社員の賃金格差は3.5倍である。
製造業の現場を考えれば分かるが、
入社30年目の社員が新入社員の3.5倍もの生産性を上げているとは考えられない。
機械が行う作業が普通であるから、3.5倍は開きすぎである。
現に、スウェーデンは1.1倍の格差である。
こうした矛盾に韓国の労使も気づいたようだ。
韓国が取り組んでいる労働改革では、年功序列型賃金の「ピークアウト」を決めるという。
つまり、年齢加給のカーブを50歳ぐらいで「ピークアウト」させるのであろうか。
いずれにしても、
生活給的な色彩の強い、年功序列型賃金部分を引き下げて、
能力給や職務給のウエイトを高めなければなるまい。
これが、労働力の流動性を高めて、適材適所への人材配分を可能にさせるのだ。
賃金に見られる極端な年齢格差は、韓国社会自体が非流動的であることの証明でもあろう。
「反日」で騒ぎ立てる社会は、先進国とは違った後進性が存在することを側面から窺わせて興味深い。
⑤ 「韓国 全経連のイ・チョルヘン雇用福祉チーム長は、『韓国の多くの企業が年功序列型の賃金体系を持ち、職務・成果型の賃金体系への変更が政府・労使による労働改革の中心課題だ』と指摘している」。
韓国政府が課題として取り上げている賃金体系の変更、
すなわち、年功序列型から職務・成果型への切り替えは簡単ではない。
世界最強の労働組合が強力ストライキで対抗してくるからである。
韓国は、労使ともに経済が危機的状況にあることを認識すべきだ。