北大路機関

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【京都幕間旅情】仁和寺,江戸時代に再興成った金堂と五重塔とを巡る冬の気まぐれな太陽は極彩色紅葉の瞬間

2022-12-21 20:22:59 | 写真
■椛いまいちばん輝くとき
 仁和寺を拝観する際に紅葉の季節となりますと風景というものも歴史と並ぶほどに一つの関心事と思う。

 仁和寺の伽藍は江戸時代に徳川家光の支援により応仁の乱から漸く再興されたものなのですが、二条城に天皇の行幸を仰いだ徳川家光の京都上洛は江戸時代という徳川幕府治世安定を象徴させる一大事業であり、この際に決定された寺院の再興には大きな意味がある。

 二王門は重要文化財に指定されていまして、これこそ寛永18年こと西暦1641年から正保2年の西暦1645年にかけ再建された、徳川家光の京都上洛と云う国家事業そのものを示す、そんな雄大さが有ります、鐘楼に経蔵と御影堂中門など再建されたのもこのころという。

 金堂は国宝に指定されていますが、建物底の持は更に古く慶長18年こと江戸時代初期の西暦1613年に造営された京都御所正殿の紫宸殿を一宇したものです、つまり江戸時代初期の宮廷建築が、多少仏教建築としているとはいえ、移築した事で現存しているのですね。

 五重塔も重要文化財に指定されていますが、こちらは寛永21年こと西暦1644年にそのまま新しく再建されたもので、高さは36.18mといいますから、ウルトラマンなみの高さ、となります。歴史を巡っている、まさにこの感覚に尽きると共に、その情景を写真に収める。

 紅葉と京都の写真は一瞬で決まります、いやこの一瞬というのは比喩でも何でもなく五分で、いや下手をしますと数十秒で変わってしまう。これはへんな話かもしれませんが、山頂ご来光、この感覚に近い、一瞬光が射したかと思うと十秒後には、というあれですね。

 桜の写真とは根本から違う何かがある、桜は春を告げる、つまりこれまでの冬を乗り越えた木々の芽生えという、なにもないところに活気が戻ってくる爛漫という表現があてはまるような、つまりこれから勢いを増すという一年の風景の序章のようなもの、対して。

 爛漫という単語は春には用いますが秋の紅葉には用いない、それはこれから冬に向かい、最後の鮮やかな風景を示すためです、そしてこれが太陽とどういう関係があるかと思われるかもしれませんが、春は桜の花々以外に太陽の光を遮るものはないものの、秋には。

 錦秋という単語が用いられますが、秋は太陽光線を遮蔽するものが多い、これが紅葉の写真を左右してしまう、ということです。そして秋というのは太陽の傾きが急に変化する、いやだから冬が近づいているという逆因果関係なのですが、これが紅葉の写真にひびく。

 逆光のほうが撮影にはよい影響を及ぼす、なにか黒澤映画のような発言かもしれませんが、戦車や戦闘機ですと逆光は背景を白黒の陰にのみ押し込んでしまいます、しかし、紅葉は透けるのですね、太陽光で透けるのです、すると見上げ逆光の方が鮮やかさは際だつ。

 椛は、そして桜の花々よりも一つ一つが大きい、葉と花弁の違いですけれども、真上からの逆光よりも、真横から透ける構図の方が際だつという。つまり斜め横から太陽光が差し込む構図の方が紅色朱色真紅深紅が目立つ、その斜めの瞬間は、早朝か午後少しのち。

 午後か午前か、というのはもう立地で全部違うとしか言いようがありません、しかし晴れていればその瞬間は訪れるものでして、訪れた太陽の角度の一瞬を逃さないようにしませんと、撮ることが難しい。そんなところですが、一瞬を撮影できますと、感動はひとしお。

 信仰と云うものの在り方と風景は関係ない、こう思われるかもしれませんが、寺院の風景はその哲学の現れているところであり、この当たりが日本の寺院の不思議なところでもあるのですよね。色々と思い浮かべる事もあるのですが、帰路に就きこの写真を見ています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】仁和寺,中世から近世と云う信仰の時代と現代は正面から向き合わなければならない摩擦が有る

2022-12-21 20:00:40 | 写真
■千年を超える寺院とともに
 仁和寺の紅葉はもう落葉の季節を過ぎています故に懐古の写真ともなるのですが。

 衣笠山を借景としまして広がります仁和寺、この周囲には金閣寺こと鹿苑寺に等持院、妙心寺と数多塔頭寺院、龍安寺も等持院もその一つなのですが、京都だ、という情景はこう仏教文化と共に広がり、少し進めば北野天満宮と平野神社、信仰の時代を今に伝える。

 信仰、近年は難しい時代を迎えているように思います。これは仁和寺の話ではないのですが、全国に昭和時代に数多くたてられた巨大な観音像、こういうのも堂宇に収まる大きさではなく、淡路島の遂に解体されました観音像の様な、大きなものが全国で壊されている。

 仁和寺ひとつとりまして、この壮大な伽藍を維持する事は簡単ではありません、実際応仁の乱により荒廃した際には江戸時代まで本格的な復興に着手する事さえ出来なかったのですね。御室御所という寺院でもこうなのですから、昭和の時代のものとなれば、とおもう。

 観音像、昭和時代に創建したものの多くは、平和への願いというようなものはありましても、確たる歴史に依拠した寺院でない限り檀家と拝観者だけで担えるものではありません、そして昭和時代の高度経済成長の時代こそ、そういった新興という寺院が目立つようにも。

 維持というところまで考えたのか、そういう以前に高度経済成長と共に一代限りの寺院といいますか、それ程さきを考えずにつくったおおもの、的な信仰の寄る辺という施設や堂などは大変な事になるだろうなあ、特に少子化が進むこれからは特に、と思うのです。

 巨大観音像、これを一例に出したものですが、あまりに侵攻と云うものを俗物化しているところは無いか、こうも思うのです。いや仁和寺の情景とともに思い浮かべますと、仁和寺の場合は高級宿坊松林庵の一例が有りますので、信仰とは何か、と原則論となりますが。

 新興宗教と政治の接近は、2022年に安倍元総理大臣暗殺事件を契機に巨大な問題として認識されましたが、短期間で巨大な伽藍を造営する事は現実的な寄進だけでは無理なものがあり、しかし彼らはかつての先人が千年を超えて造営した様な先を視れないのでしょうか。

 庵は小さくとも千年後まで通じる、今風にいうならば持続可能な信仰に依拠しているならば、もちろん当人たちは見る事は出来ないのかもしれませんが、千年後までの持続を考える信仰の在り方を模索しないところは、いずれ破たんしてゆくのだろう、とおもうのだ。

 信仰の時代と現代、難しいのは中世の社会保障システムと云うものが確立する以前と云いますか、概念さえ存在しない中での一種の再分配システムの末端を担った寺院の在り方と、いまの近代憲法制定を経て人権が確立した後の現代とはその条件が根本から異なります。

 摩擦という問題があるのですから、もっと正面から向き合わなければならないのですが、しかし内心の自由が保障されているからこそ、もっと歴史、これは政治思想史や宗教史に人権や憲法制定権力という、踏み込んだ歴史まで、関心を持たなければ、ともおもうのだ。

 旧御室御所という名称とともに、格式の高い寺院となっていますが、見た目の華美さといいますか、鹿苑寺の金閣と比べられてしまうのはちょっとなあ、と思いつつ、しかし堂宇は大き過ぎないものの御所の名を冠せられているということになにかこう納得してしまう。

 歴史により培われたもの、千年を超える歴史により培われた蓄積が成し遂げたものですので、この巨大堂宇と自分の小ささを見比べて伽藍だけ巨大さを模した、こうした寺院が無理を重ねている様子を報道で接しますと、もっと長い視点が必要だなあ、ふと思うのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ゼロコロナ政策撤回の中国で新型コロナ感染爆発-死者200万の懸念,日本はワクチン外交を検討すべき

2022-12-21 07:01:01 | 国際・政治
COVID-22出現を回避せよ
 2020年の武漢市内における混乱は僅か2ヶ月で世界を覆う大参事となりましたがその後ワクチンにより沈静化した、そう考えられた矢先の中国での大規模感染爆発です。

 mRNAワクチンの中国への緊急供与を行うべきではないのか、勿論日本の備蓄などは限られており国内でも高齢者への第五回接種に右往左往している段階であり、全く余裕などは無いのですが、ゼロコロナ政策の急激な転換を実施した中国では、一ヶ月前では考えられないような感染爆発が発生しており、非常に深刻な状況が現実となっているのです。

 200万の人命が今後数カ月間で失われる可能性がある、ロイター通信は一部の専門家の分析としながら、今後数カ月間で人口の60%が感染するとの悲観的な分析のもと、致死率が低いとされるオミクロン株であっても200万名死亡という懸念すべき数字を示しました。アルファ株の致死率2%に比べればオミクロン株は致死率が低いとはいえ、感染力はたかい。

 PCR検査体制に注力し過ぎ地方都市のICU集中治療施設整備などを怠っていた、中国はPCR検査費用が国防費を越えており、感染者を見つけ次第地域封鎖を繰り返してきましたが、19日付中国環球時報によれば都市部を中心に今の時点で治療施設を拡充している段階といい、各国で有効性の高さが確認されたmRNAワクチンは中国で接種されていません。

 不活性化ワクチン、中国ではシノバックや中国国家医療集団シノファームなど幾つかの企業が国産ワクチンの開発に成功していますが、ウィルスそのもののに不活性処理を行い免疫力を付与する事を目的とした不活性化ワクチンであり、mRNAワクチン程効力がないのです、また二回目の追加接種完了者は成人で57.9%、高齢者の接種率は42.3%と更に低い。

 200万という数字には驚かされるのですが、mRNAワクチン認可について、日本政府は中国政府に対して呼びかけ必要ならば電話首脳会談を行う必要はないのか。これは人道問題であるとともに中国の製造業サプライチェーンへの世界規模の影響とともに短期間でここまで多数が感染するとヒトとヒトとの感染連鎖によりCOVID-22というべき次の変異株が生まれかねない。

 台湾へ我が国は過去にアストラゼネカ製COVID-19ワクチンを緊急供与した事例がありました、アストラゼネカ製ワクチンは不活性化ワクチンではありますが中国がミャンマーやインドネシアへワクチン外交として供与したシノバックワクチンよりはワクチン効力の高さが臨床試験で証明されています。今一度、日の丸ワクチン外交を検討すべきでと考えます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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