北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

京阪電鉄 新3000系デビュー&中之島新線開業から今月で一周年

2009-10-31 23:39:36 | コラム

◆3000系はローレル賞受賞

 今月、といっても本日で最終日だが、京阪電鉄の中之島新線から一周年にあたるのが2009年10月である。

0810img_5850  京阪本線は、京都出町柳、京阪三条から大阪の淀屋橋を毎時6本の特急が結ぶダイヤが基本であったが、2008年10月16日に天満橋から中之島に乗り入れる新線が開業。明治時代に市電と競合する関係から中心部である中之島に乗り入れることが許可されず、市電の廃止とともに中心部が梅田に移っていき、地下鉄との連絡にも不便であった中之島再開発の旗印として期待された路線だ。

0810img_6008  京阪電鉄は、新しく快速急行の種別を設定し、セミクロスシート方式の新型車両3000系を導入。ラッシュ時の運行も想定した1×2のクロスシートを備えた3扉車として中之島と出町柳を結ぶ快速急行運用に充当され、新しい時代の京阪電鉄を目指す世代交代のデザインが評価され、鉄道友の会よりローレル賞を贈られた新型車両である。

0810img_5838  しかし、鉄道路線としての中之島新線を俯瞰した場合、もちろん再開発事業が途上という事なので結論を急ぐことは妥当ではないのだが、当初見込まれた輸送需要よりは、やや低い利用者規模であったとのこと、京阪本線としては1989年の出町柳延伸以来の新線開業ではあったものの、芳しい成果には至っていない。

0810img_5825  もっとも、大阪府が再開発に意気込みを見せる大阪港地区にも路線を延長するのでは、と、終点中之島駅に大阪港に向けて置かれたシールドマシンのブレード部分から想像する声もあるのだが、同時に京阪塗装の一新と、将来的には8000系特急車リニューアルに際してのテレビカー撤去計画など、京阪電鉄の今後には、期待とともに別のものも高まる、というところだろうか。

HARUNA

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平成二十一年度十月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報 5

2009-10-30 23:14:29 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

 今回は、31日と、11月1日、そして祝日である3日に実施される自衛隊関連行事について紹介する。

Img_2172  滝川駐屯地祭と、那覇駐屯地祭に関する情報が前回の北大路機関広報よりもれていたことをお詫び申し上げます。実際、那覇に足を運ばれた方から聞きまして、行事実施を知ったという状況。最大限情報を漏らさぬよう努力しているのですが、どうしても不完全なことがあることは否めず、お気づきの方は御面倒でも書いていただけると幸い。

Img_0690  そしてもうひとつ、勝田駐屯地創設記念施設学校祭にて、07式機動架橋装置の登場を期待、と記載しましたが、行事には出なかったとのこと。なんでも輸送車両の面でまだ、という部分があるのだとか。新装備に期待は深まるものの、なるほど、全てが万事展示される訳ではない、という事、こちらも情報収集には限界がありますので、足を運ばれた方、感想などお教えいただけると幸い。

Img_1224  さて。今週末は、いよいよ小松基地航空祭。東京から金沢行きの寝台特急北陸、夜行急行能登を予約されている方も多いのだろうか、第六航空団のF-15飛行隊二個が、白山の麓にて日本海側からの経空脅威に備え日夜訓練を積んでいる。やたらお天気運に恵まれており、小松マジックとして本年も天気予報逆転が期待される。

Img_4404  11月3日は、文化の日であるが、入間の日としても知られる。都心から西武電車で一本、日本最大の来場者を集める航空祭として知られる。別名人間基地航空祭、人口密度が凄いことになるのだが、本年は手荷物検査を実施するとのこと。中部航空方面隊司令部が置かれ、C-1輸送機や総隊司令部飛行隊などが展開している基地だ。

Img_8173  陸上自衛隊関係で、最も規模の大きな行事といえば、健軍駐屯地で行われる西部方面隊創設記念行事だろうか。陸上自衛隊、といえば野戦部隊というイメージ強いが、西部方面隊創設記念行事では、市街地でのパレードが行われる。福知山駐屯地祭、対馬駐屯地祭、相浦駐屯地祭、弘前駐屯地祭など市街地パレードが行われる行事は多いが、健軍の市街パレードは日本最大規模である。

Img_5612  久里浜駐屯地祭。京急で行くことが出来るこの駐屯地には、通信学校が置かれている。通信関係装備というものは、師団駐屯地祭でもなかなかわかりにくいものが多く、写真は、通信学校装備の低空レーダ装置。高射学校にも配備されており、レーダ装置ということで通信科職種になるのだろうか、興味深い行事だ。

Img_2074_1  姫路駐屯地祭、姫路城が間もなく平成の大修理に入る為姫路城見学と併せて足を運びたいこの駐屯地には、第3特科隊、第3高射特科大隊が駐屯する駐屯地。FH-70は特科連隊時代の45門から縮小改編で20門に縮減されたものの、訓練展示では、FH-70による迫力の空包射撃を期待したい。

Img_9727_1  飯塚駐屯地祭、ホークミサイルにより戦域防空を担当する第2高射特科団が駐屯している。ホークミサイルから将来的には03式中距離地対空誘導弾に順次置き換わる方面高射特科部隊行事、注目だ。なお、25日実施と前回掲載した竹松駐屯地祭は31日実施の間違いであった。この場を借りて訂正したい。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

  1. 10月31日:久里浜駐屯地創設記念行事・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/sigsch/
  2. 10月31日:竹松駐屯地創設記念行事・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/wae/
  3. 11月1日:西部方面隊創設記念・健軍駐屯地祭・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/wae/
  4. 11月3日:入間基地航空祭2009・・・http://www.mod.go.jp/asdf/iruma/index.html
  5. 11月3日:小松基地航空祭2009・・・http://www.mod.go.jp/asdf/komatsu/
  6. 11月3日:姫路駐屯地創設記念行事・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/mae/3d/
  7. 11月3日:飯塚駐屯地創設記念行事・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/wae/2aabhp/

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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ヘリコプター護衛艦くらま、関門海峡事故に関する海上自衛隊公式発表

2009-10-29 22:51:47 | 防衛・安全保障

◆追突された護衛艦くらま

 海上自衛隊HPにて、今回の事案に関する報告が、八回にわたりPDF文書にて掲載されていたので、こちらを掲載。

Img_7379  航空自衛隊F-X選定に際してF/A-18E/Fであれば2014年までに納入できるとボーイングが発表した旨、日刊工業新聞に掲載があり、加えてハワイ沖にて、イージス艦みょうこう、がSM-3による弾道ミサイル迎撃試験に成功したとのこと。しかし、大きなテーマとしては、やはり、護衛艦くらま、に関することだろう。

Img_7312  くらま、ですが。被害状況、特に浸水の有無や消火に伴う海水などによる副次的な被害が発表されていないという状況。しかし、貨物船側に浸水が無いということは、少なくとも双方が水線下で接触することに状況に至らなかったことを意味する。積荷排水量7400㌧、くらま、は基準排水量5200㌧、満載排水量7200㌧。排水量の計算は違うものの、参考までに掲載。

Img_7246  第一報:2040時発表27日1956時頃、関門海峡早鞆の瀬戸で事故発生と一報。第二報:2117時発表、相手船がCARINA STAR7400㌧と判明。くらま、は単艦と発表、現場海域は関門海峡付近、風は東4ノット、視程3~4km、波ほとんどなし。第三報:2140時発表、2115時時点で、くらま、消火活動中、自艦消火不可能、海上保安庁の支援を受け消化活動を実施。

Img_6110  第四報:2240時発表、相手船に負傷者なし、右船首に大破口、火災鎮火、浸水無し、門司海上保安部前に投錨。第五報:2254時に発表、くらま、の被害は、アンカー使用不能、弾火薬への引火の恐れなし、と発表。第六報:0010時発表。炎は消えたものの放水をやめると、煙が出てくる状況。海上保安庁、北九州消防局消防艇、日本サルベージ消火支援船舶とともに消火作業を実施。くらま、は海上保安庁指定の門司港沖へ2330時に到達。

Img_6529  第七報:くらま、0135時火災鎮火。しかし0158時火災再燃、消火活動を実施。なお、この時点で2130時に海上幕僚監部へ設置された事故調査委員会が情報収集中。 第八報:くらま、0516時、門司港西海岸埠頭2号岸壁に接岸。くらま火災は、0630時に鎮火。現在発表されているのはここまで。

Img_5711  実質十時間以上火災が起きていた訳で、その間の熱による船体への影響は、艦首という火災発生場所が不幸中の幸いというべきか、極限させることが出来たのだが、艦首下のソナー部分に、消火のために投入した海水が到達している可能性があり、これがどのような影響を及ぼしているかが重要となろう。くらま、は対潜中枢艦である、ソナーは命だ。

Img_6745_1  報道写真を見る限り、鎮火後の、くらま、はやや前傾しているように映っていた、消火による海水の影響だろう。もちろん、戦闘艦であり、しらね、のように戦闘中枢に損傷を受けた訳ではないのだが、貴重なヘリコプター搭載護衛艦であることも踏まえ、極力早い時期に修理が完了することを期待したい。

HARUNA

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護衛艦くらまに関門海峡で韓国コンテナ船カリナスターが追突

2009-10-28 22:12:04 | 防衛・安全保障

◆くらま火災、艦首部分が中破

 アフガニスタンでは、米軍の戦死者が今月だけで55名と過去最悪、首都カブールで国連施設などが襲撃され、イギリスでは空母艦載用のF-35Bの調達計画が大幅削減となった。

Img_5756  しかし、最も大きな防衛関係のニュースは、くらま、へ韓国コンテナ船が衝突し、火災が発生したことだろう。事故は関門海峡、27日1956時に発生、リベリア船籍で韓国の海運会社が運行するコンテナ貨物船カリナスターが、前方の船舶を追い抜こうと転舵、反航する護衛艦くらま、に衝突した。艦首部分が破壊され、塗料などが炎上したものの、消火活動により鎮火、くらま、は艦首が大きく抉られるなど中破したものの、自力航行は可能で、門司港に緊急入港した。負傷者は3名。

Img_5368  くらま、は艦長柏原正俊1佐とともに、相模湾で実施された自衛隊観艦式2009を観閲艦として参加し、横須賀から母港佐世保に帰港中に事故に遭った。カリナスターは、釜山から大阪にコンテナを輸送中で、門司沖の追い越し危険海域で前方の低速船を追い越すために反対側の航路に入り、関門橋を越え危険海域を出たところで、前方の、くらま、に衝突した。コンテナ船長は、くらま、を確認していたものの、よけきれなかったとのことだ。

Img_5810  関門海峡は、S字状に船舶航行が可能な幅が500㍍程度と狭い海域が続く難所で、日本海側の入口にあたる台場鼻信号所沖は、追い越し禁止海域に指定、最初に山口県の彦島をほぼ直角に曲がる最初の難所があり、巌流島沖を通過し、門司沖に下関との最狭部を越える海域が、関門橋までのあいだ、追い越し危険海域に指定されている。なお、追い越し禁止海域と関門橋付近は、衝突及び乗揚げ事故が多い警戒海域として設定されている。

Img_6843  言い換えれば、狭い相互通行の海域で、無理な追い越しを行おうとしたコンテナ船が、海上のセンターラインにあたる海域を追い越すために乗り越え、このため反対側を航行する護衛艦に衝突するという結果に至った、と簡略すればこうなる。くらま、は回避すれば座礁するため、敢えて艦首に点けることで、船体への打撃を最小限に抑えた、ということなのだろうか。

Img_6870  火災事故に見舞われた、しらね、とともに二番艦くらま、は追突され、残念な結果ではあったのだが、CICや集中された戦術コンピュータ、機関や推進設備、レーダーなどの電装品や航空関連設備には損害は無く、艦首が抉れたという一点に被害は局限することができた。51番砲に引火すれば第三次となっていたため、ダメージコントロールに成功したと言える。ただし、艦首のOQS-109大出力ソナーが無事であるかには配慮が必要である。この一点を除けば、修理は充分可能であろう。なんとなれ、くらま、は第一次インド洋給油支援旗艦、中国原潜南西諸島領海侵犯海上警備行動などに対処した殊勲艦であるとともに、DDHとしてはまだ新しい艦であるため、早急な修理が望まれる。

HARUNA

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141万アクセス突破記念 【海上自衛隊には新しい八八艦隊が必要だ!】

2009-10-27 21:09:25 | 北大路機関特別企画

◆DDH8隻、DDG8隻体制

 141万アクセス記念特別企画として、大胆な提案を行ってみたい。海上自衛隊には新しい八八艦隊が必要だ、というテーマだ。

Img_9811  141万、Weblog北大路機関がアクセス解析を開始したのが2006年10月だから、三年少々でこのアクセス数に到達したことは、日ごろWeblog北大路機関をご覧いただいている皆様のおかげでして、今後とも、零細時間の有効活用に最適な読みやすい内容を毎日更新してゆきたい所存、よろしくお付き合いのほどお願いいたします。

Img_9817  Weblog北大路機関は、幾度か書きましたように、2005年7月29日、神戸での大学関係の慰労会から京都に戻る帰路、阪急十三駅にて酔った勢いで立ち上げたのがその始まりなのですが、なるほど、多くの方々に読んで頂いているとのこと、そこまで深く考えての記事では必ずしもないことで、恐縮してしまう次第。

Img_5249  ここから本題。海上自衛隊は、今後拡大するであろうグローバルな国際平和維持活動、国際人道支援任務、海賊対処や国連平和維持活動への任務に対応させるべく、現在の護衛艦隊の編成を一歩進め、四個護衛隊群隷下の八個護衛隊の編成を、全て同一の編成とすることができないか、という提案。

Img_4108  各護衛隊は弾道ミサイル防衛及び対潜中枢任務双方に対応できるよう統合し、ヘリコプター搭載護衛艦1隻、弾道ミサイル防衛対応型イージス艦1隻、汎用護衛艦3隻からなる編成に改編するべきではないか、という内容で、この過程に、ヘリコプター護衛艦、イージス艦を基幹とした八八艦隊を構想する。

Img_0831  ひゅうが型のようなヘリコプター搭載護衛艦8隻、そして、弾道ミサイル防衛任務に対応する、こんごう型、将来的には、あたご型もこの任務に充てるという前提のもとでこちらもやはり8隻を整備する、21世紀の任務に対応する海上自衛隊の八八艦隊を編成するべきだ、という政策提案の構想だ。

Img_2837  これにより、旧地方隊隷下の小型護衛艦や、旧式護衛艦を運用する護衛隊は最終的に代替されず、護衛艦隊隷下の護衛艦は、そのまま純減となる。護衛艦の定数が削減されることは、一隻当たりにかかる負担が増加することを意味するが、財政難を念頭に置けば、やむを得ない部分もあろう。

Img_5520  護衛隊群隷下の護衛艦は、二個護衛隊10隻に増強されるため、直轄艦1隻と併せ、海上自衛隊護衛艦隊、つまり海上自衛隊の護衛艦定数は、最終的に最盛期の63隻から41隻へ大きく減退することとなるが、各護衛隊の5隻は、従来編成の護衛隊よりも能力が大きく向上し、任務の汎用性も大きく高まることとなる。

Img_5746  なによりも、作戦単位が、護衛隊編成の共通化により八個と判りやすい編成になる点、加えて、ヘリコプター搭載護衛艦を各護衛隊に配備することにより、ヘリコプターの拠点を広範に遊弋させることが可能となることから、護衛隊のカバーできる海域が以前よりもかなり広くなる。

Img_5738  特にヘリコプター搭載護衛艦の艦載機は、対潜哨戒以上にどんどん汎用性の面で高性能化していることから、単純な対潜哨戒だけではなく、国際貢献などの任務への洋上基地機能や災害対処までを含めてであるのだが、陸上自衛隊や航空自衛隊のヘリコプター搭載も含め、広域の任務に対応することが可能となる。

Img_6762_1  観艦式に威容を示した、ひゅうが。かつての主力艦の名を冠した一隻だ。八八艦隊と言えば、対艦巨砲主義の時代において、太平洋を挟み緊張関係にあった米海軍に対抗するべく、戦艦8隻、巡洋戦艦8隻からなる強力な主力艦部隊を整備するという当時としては、国家財政の面からも軍事力の面からも長大な計画であった。

Img_5766_1  八八艦隊の第一艦として長門型戦艦が計画されている。正確には、長門型は、大正五年の八四艦隊構想の先鞭を期した高速戦艦で、速度と攻撃力を特に重視した巡洋戦艦が第一次大戦のジュットランド海戦において大きな打撃を受けたことから防御力も重視した高速戦艦が、長門型である。

Img_6065  日本海軍は、1925年のワシントン海軍軍縮条約により、八八艦隊計画は断念、長門型戦艦の長門、陸奥の完成を待って、第二次大戦の大和就役まで戦艦の建造は一旦長い空白期に入ることとなり、続く戦艦は、未成艦として、建造中止、もしくは建造が計画のみ、概念図のみ、今日に伝えられている。

Img_6905  ワシントン海軍軍縮条約の後旧式戦艦も多くが除籍され、超ド級戦艦、扶桑型の扶桑、山城、そして同じく超ド級戦艦として建造された伊勢型の伊勢、日向を近代化するとともに、金剛型巡洋戦艦に防御力強化の近代化を施すことで戦艦へ近代化された、金剛、霧島、榛名、比叡が、日本の抑止力を担うこととなった。

Img_7180  さて、海上自衛隊にとっても、八八艦隊という名称は特別な響きがあったようで、ヘリコプター搭載護衛艦はるな型の、はるな、ひえい。しらね型の、しらね、くらま、が揃い、第1護衛隊群第51護衛隊、第2護衛隊群第52護衛隊に配備され、集中運用するという手法がとられた。

Img_6112  その後、汎用護衛艦に、ヘリコプターを搭載する、はつゆき型、あさぎり型の建造が進んだことで、第51護衛隊、第52護衛隊に二隻づつのヘリコプター搭載護衛艦を集中配備していた編成から、各護衛隊群の直轄艦としてヘリコプター搭載護衛艦を配備させ、四個護衛隊群の編成を共通化するという構想に移行する。

Img_7581  直轄艦が運用する3機に加えて、五隻の汎用護衛艦に各1機のヘリコプターを搭載、護衛隊群の護衛にあたる二隻のミサイル護衛艦を合わせ、8隻の護衛艦と8機のヘリコプターを護衛隊群に配属させる海上自衛隊版八八艦隊を完成させた。しかし、これは、8隻8機体制という方がふさわしく、旧海軍の八八艦隊と比べれば、語呂合わせの域を出るものではない。

Img_7939  他方で、今回提案したヘリコプター搭載護衛艦8隻、イージス艦8隻体制であれば、一種、軽空母的もしくは戦力投射艦的な運用が可能なヘリコプター搭載護衛艦と、弾道ミサイル迎撃任務という重責に耐えたうえで満載排水量で10000㌧前後、かつての巡洋艦と称してもそん色のないミサイル護衛艦、これらを8隻づつ配備するという構想。

Img_7043  全通飛行甲板型の水上戦闘艦は、戦力投射艦として多く建造され、海上自衛隊も現時点で、ほぼ4隻の建造が決定しており、これだけでも世界的に観た場合のポテンシャルでは、かなり大きなものがある。しかし、あえて、護衛隊の能力全般を引き揚げるべく、全通飛行甲板を有する護衛艦を8隻建造するという提案は、さらに大きなポテンシャルを有することになる。

Img_9284  それでは、この実現性はどうなのか、考えてみたい。建造費では、19DDとして建造されている5000㌧型護衛艦の建造費用が概ね一隻720億円、たかなみ型、むらさめ型護衛艦の建造費が600億円から650億円程度であったのに対して、ヘリコプター搭載護衛艦の建造費用は、22DDHの場合で1200億円未満である。

Img_6866  汎用護衛艦定数を長期的に削減することを考えた場合と、航空機を近代化することにより装備システムとしての陳腐化を長期間さけることができた、航空母艦ではないのだが、ヘリコプター搭載護衛艦は、HSS-2,そしてHSS-2A,HSS-2B,更にSH-60Jと艦載機を近代化することで第一線に対応する能力を維持した。

Img_6755  はるな型の長い寿命を考えれば、汎用護衛艦の1.5倍程度の長期間に運用するという観点から、運用コストが大型艦であることから割高になる点を差し引いても、こちらの方が抑えられるともいえよう。乗員確保に関しては、ひゅうが型の乗員は、しらね型の乗員定数とほぼ同じであることから、こちらも実現性は相応にある、といえよう。

Img_6716  イージス艦8隻体制については、現在の、さわかぜ、はたかぜ型護衛艦2隻については、ミサイル護衛艦という性格上、広域防空のスタンダードミサイルを運用する必要があり、FCS-3ではなく、イージスシステムが搭載される可能性が高い。タレス社製のAPARなどが採用される可能性も皆無ではない。

Img_7053  しかし、既存のミサイル護衛艦と互換性を考えればイージスシステムの導入が最有力となろうから、結局、こんごう型4隻、あたご型2隻とともに、イージス艦の8隻体制、潜在的に9隻体制の整備は既定路線にあるともいえる。即ち、予算や人員の面からは、かなり現実性がある、といえるのではないか。

Img_2044  しかし、である、強いてあげると、どうしても難しいのは、母港、の問題だろうか。横須賀基地吉倉に新しく建設中のDDH用桟橋も、二隻を係留できるかと問われれば難しそうだし、船越も一杯だ。佐世保基地は平瀬だけでは如何ともし難く、米海軍の揚陸艦と並ぶしかないのかもしれない、舞鶴基地の北吸桟橋や、呉基地幸地区にも、二隻は難しいかもしれない、ヘリコプター護衛艦2隻のメザシ係留、ということになるのだろうか、この点を除けば、かなり現実性のある提案ともいえるかもしれないが、どうだろうか。

HARUNA

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平成21年度自衛隊統合演習(11月5日~11日) 九州周辺で実動演習を実施

2009-10-26 23:01:32 | 防衛・安全保障

◆四万人が参加、島嶼部防衛を想定

 防衛省によれば、11月5日から11日までの期間、平成21年度自衛隊統合演習を実施するとのことだ。

Img_1716  自衛隊統合演習は、統合運用に関する練度向上と、参加部隊の能力向上を図る陸海空三自衛隊が参加する日本最大級の演習だ。今回の自衛隊統合演習は、九州周辺を演習地とし、南西諸島や対馬など、日本の島嶼部に軍事的圧力がかかったとの想定の下で、島嶼部防衛を想定した実動演習を実施する。

Img_7165  演習統裁官に折木統合幕僚長があたり、九州周辺海域、空域と演習場、飛行場を演習地とする。この演習に参加する部隊は、陸海空自衛隊幕僚監部、陸上自衛隊西部方面隊、中央即応集団、海上自衛隊より自衛艦隊、航空自衛隊からは航空総隊、航空支援集団、航空教育集団が参加する。

Img_6608  これらの部隊には、隊員4万1800名が所属しており、車両1170両、艦艇6隻、航空機約300機が参加する演習規模となる。演習は、島嶼部への三自衛隊協同での部隊輸送、そして武装工作員浸透や工作船への対処などが実施され、即応能力を高め、有事に際しては事態が拡大する以前に対処する要領となる。

Img_8336  かつての北方重視時代に際しては、機甲戦力と地皺を活かした遅滞戦術に重点を置いた編成を採用していたが、今日では西方重視の時代となり、空中機動による島嶼部への緊急展開や、自衛隊が培ってきた野戦能力と同様にゲリラコマンドー対処能力がこの達成に求められる時代となっている。

Img_6887  しかし、重視するべきヘリコプターが、戦車などと比して高価であり、財政悪化に伴う防衛予算削減も相まって防衛大綱改訂に伴う戦車定数削減に対し、ヘリコプターについては戦車定数の削減で浮いた分の予算をヘリコプターの調達に回すなどの抜本的な勢力向上に政策が繋げられないのが現状だ。

Img_2640  他方、即応性は太平洋戦争に際して、広い島嶼部を広範に守備隊を置いたことにより各個撃破されるという状況に陥ったこうして、島嶼部限定侵攻を受けては、迅速な航空優勢と制海権の確保を背景に、陸上部隊を揚陸させ、これを排除するという即応性が重視される手法が基本概念となっている。

Img_5435_1  例えば警備隊を置く対馬でも、基本的に西部方面隊からの支援を前提とした司令部機能重視の編成となっているし、那覇の第1混成団も、旅団として拡大される際に、島嶼部への分駐ではなく、現在の混成団隷下の比較的充実した航空部隊が駐屯する那覇駐屯地を基幹とした配置となる計画という。

Img_6369  加えて協同転地演習では北方重視から西方への他方面隊からの展開も想定した訓練を行っているのだが、問題となるのは長大な南西諸島に対して、やはり那覇や九州本島の西部方面隊部隊や佐世保地方隊や護衛艦隊、航空集団など海上自衛隊が担当するには、どの程度の部隊規模が妥当か、ということだろう。

Img_6053  北方重視時代に際しては、津軽海峡を除けば、本土部隊の支援にはある程度鉄道や道路を利用することが出来たが、九州と種子島を結ぶ大隅海峡でさえ、津軽海峡よりも大きく、他方、輸送機、輸送艦などの勢力は、もちろん質的向上はあるのだが、充分とは言い難く、初動で対処できなかった場合には如何に対応するのか、こちらは演習での問題点なども踏まえ、検討してゆく必要があるだろう。

HARUNA

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自衛隊観艦式2009実施 世界を舞台に任務へ当たる海上自衛隊

2009-10-25 22:25:46 | 海上自衛隊 催事

◆自衛隊記念日記念行事

 本日、相模湾にて自衛隊観艦式が自衛隊記念日行事として実施され、管直人副総理臨席の下、その高い能力の一端を示した。

Img_6247  諸般の事情にて、土曜日最終間近の、のぞみ号にて帰路についた当方、個人的理由から本日は金曜日に撮影した予行の模様を撮影した写真にて代えたい。観艦式と同じ内容の予行を観ることができ、付帯行事としてのシンポジウムを聴講することができ、電燈艦飾を撮影することが出来たという当方。

Img_6092  一つ痛感したのは、東西冷戦と比べ海賊対処任務、インド洋対テロ海上阻止行動給油支援任務とその交代部隊の訓練や休養整備補給とともに、万一の際には弾道ミサイル防衛に対応できるだけの部隊を待機させつつ、観艦式を実施するというのはローテーションの関係上苦労はあったのだろう。

Img_6996  これは海上自衛隊の任務範囲が大きく広域化しているとともに、任務は増加しつつ、一方で防衛予算とともに防衛大綱に定められた護衛艦や航空機の定数は削減される、という状況にあり、毎年年度初頭に行われる集合訓練は、その目的を達したとして実施されず、今年度は、停泊式観艦式になるのでは、という声も上がっていた。

Img_6723_1  参加艦艇は、原油高により規模を縮小した2006年よりも縮小されており、現在の海上自衛隊の状況を端的に示しているようにも思えたのだが、他方で、次回の自衛隊観艦式2012は、もちろんその時の国際情勢も含め、どのような規模やプログラムでの実施となるのかにも興味が湧く。

Img_5522  さてさて、本日はあいにくの霧雨だったとのことで、風雨が凄い、という声も聞こえたので、大変だったのかもしれない。だが、昨夜の雨天もあり、もしかしたらば実施は、といわれていたことを考えるならば、航空自衛隊の航空機が参加を断念したことを除けば、実施することが出来た用だ。予行については後日掲載したい。

HARUNA

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観艦式2009 海洋安全保障シンポジウム・海洋安全保障のための国際協力

2009-10-24 22:02:00 | 海上自衛隊 催事

◆海洋政策研究財団・防衛省共催

 本日、観艦式付帯行事として行われた海洋安全保障シンポジウムに出席してまいりました。シンポジウムは、海洋安全保障のための国際協力、海洋の安全確保に向けた取り組み、の二部構成。

Img_7974  二部の方は学部生向けの内容でしたが、第一部の方は、ソマリア沖での海賊対処における多国間協調が、他の分野へスピンオフするという可能性を挙げられており、欧州安全保障協力会議を基点とした複合レジーム論に基づくレジームの相互作用を研究する当方には、新しいモデルの可能性を提示した興味深い内容でした。海賊対処に関する諸協定を取りまとめた枠組み条約方式の、もしくはより拘束力の緩いソフトローとしての原則宣言でも、将来的に他の分野の信頼醸成に寄与する部分は大きいのだろう、という期待も抱ける内容。

Img_7000  特に欧州安全保障協力会議などは、ヘルシンキ宣言とうう原則宣言がレジームを形成し、他の全く異なるレジームに好影響を及ぼしたことにより、結果的に冷戦構造の緊張緩和に、かなりの部分で下支えとなった点を踏まえれば、海賊対処に関する国際協調は、ある程度、平和戦略的な視野から観る必要があるのだろう、と。今回のシンポジウムは、護衛艦ひゅうが艦内で実施されるという異例のもので、様々な所でのシンポジウムに参加してきましたが、基地ではなく、護衛艦の艦内で実施される、というのは稀有なのでは、と思った次第。

Img_7069  海洋政策研究財団と防衛省が共催の今回の会議は、埠頭に同時中継されていたとのことですが、第一部には、拓大教授の森本敏先生、在日米海軍司令官のリチャード・D・レン少将、英国大使館国防武官ギャレス・デリック海軍大佐、ジェームズ・アワー教授、慶応義塾大学の阿川尚之教授、外務省総合政策局の石井正文参事官、防衛省防衛政策局の高見澤将林局長、海幕防衛部長の武居智久海将補がパネラーとして参加、意見や実情などを通じて議論した。

HARUNA

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自衛隊観艦式2009速報 本日、予行2に行ってきました

2009-10-23 23:51:50 | 海上自衛隊 催事

◆取り急ぎ速報記事

 本日、自衛隊観艦式2009の予行を撮影する機会に恵まれましたので、速報記事という事で掲載。

Img_5035  自衛隊観艦式は、三年に一度自衛隊記念日行事の海上自衛隊担当年度に実施される行事であるが、本年は、ソマリア沖海賊対処任務、インド洋対テロ海上阻止行動給油支援などの影響により、その規模は例年と比べ参加艦艇などの数で、極めて限られたものであり、それだけに観覧券の入手も極めて困難な状態にあった。

Img_5323  規模は小さくなってしまったものの、就役したばかりのヘリコプター護衛艦ひゅうが、最新の潜水艦そうりゅう、が参加し、観艦式を盛り上げており、言い換えれば二方面作戦にひとしい状況に際しても、海上自衛隊は、これだけの規模の観艦式を実施する余裕がある、ということで、抑止力の基盤たりえることはできたようにおもう。

HARUNA

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自衛隊観艦式関連行事 横浜港を彩る護衛艦の電灯艦飾

2009-10-22 22:41:40 | 海上自衛隊 催事

◆横浜港に行ってきた

 自衛隊記念日として実施される観艦式は、観艦式予行と、一般公開は天候にも恵まれ順調に進んでいるとのこと。

Img_5837  そんななかで、本日、これも観艦式の付帯行事として行われている艦艇電灯艦飾を見学してきた。取り急ぎ、準備した写真で、本日は、その一端を紹介。撮影したのは、横浜港に停泊している護衛艦。このほかに訓練支援艦も停泊していた。横須賀でも電灯艦飾は行われているのだが、基地に入ることが出来ないので、横浜で撮影した方が近くに寄ることが出来るという考えだ。

Img_5878  しかし、大桟橋地区に停泊している、イージス艦こんごう、輸送艦おおすみ、は規制線で大桟橋に立ち入ることが出来ない状態となっていたので、写真のように離れた場所からの撮影となっている。極力近くで撮ったほうが、写りやすいだけに残念。結果、電灯艦飾が行われる日は、1800時から横須賀軍港めぐりが、臨時便を出すとのことなので、そちらのほうが近くから撮ることが出来るだろう。

HARUNA

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