北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

航空宇宙自衛隊の宇宙戦争能力【3】宇宙より地球!防空自衛隊からの脱却が航空自衛隊の優先すべき喫緊課題

2022-12-17 20:00:20 | 国際・政治
■歪な編成の航空防衛
 これでは航空自衛隊と云うよりも防空自衛隊なのだよなあ、とは編成を視れば気付かされるところです。防空自衛隊と云うのは一種揶揄というものなのですが。

 航空自衛隊の航空宇宙自衛隊への改称について、宇宙部隊がもともと非常に少ない自衛隊にあって改称し新任務を付与する蓋然性があるのか、そして自衛隊としては人工衛星を一つも保有しておらず、ミサイル防衛には宇宙分野は重要であるものの宇宙を射程に収めるのは海上自衛隊イージス艦のスタンダードSM-3ミサイル、という矛盾は前に説明しました。

 情報収集衛星などを保有しない自衛隊は、ロシア航空宇宙軍やアメリカ宇宙軍、フランス航空宇宙軍のような、核兵器を運用するために万一核攻撃を受けた際の報復には大陸間弾道弾が飛翔する宇宙空間を監視する必要が高いために、自衛隊の場合はもともと1950年代や1960年代から宇宙監視を空軍が所管してきた軍隊とは異なるとも、説明しています。

 方面隊司令部並に先ず宇宙作戦群を宇宙方面隊に格上げし指揮官を一佐から空将の補職程度の部隊まで格上げすることが、まず最初にあるべきであり、現在の宇宙作戦部隊の70名を以て、4万7000名を航空宇宙自衛隊へ改称するには時期尚早であり、まずは編成の改編を行い宇宙作戦能力を高めなければ無意味、というのが当方の視点というところなのです。

 防空自衛隊への改称が先ではないか。今回考えたいのは、航空自衛隊の航空宇宙自衛隊への改称の前に、そもそも現在の航空自衛隊は航空自衛隊たりうるのは、実質は防空自衛隊に過ぎないではないのか、という論点から考えてみたいと思います。そして日本に必要なのは 防空自衛隊ではなく、航空作戦を担う自衛隊、その能力構築だ、ということも。

 F-15戦闘機を主力とする航空自衛隊は、F-15戦闘機には一応レーダーと火器管制装置に弾道計算能力は付与されているものの、基本的に制空戦闘機です、対してF-16戦闘機やF/A-18戦闘攻撃機、ユーロファイター戦闘機やラファール戦闘機、ロシアのMiG-29戦闘機にSu-30戦闘機など世界で戦闘機を称する機体の大半は多用途戦闘機となっています。

 MiG-31戦闘機だけは、今では珍しい防空専用戦闘機となっていましたが、これも例外といえるもので、そして付け加えれば近年、射程500kmのイスカンデル弾道ミサイルを空中発射することで射程を2000kmに延伸するキンジャール空中発射弾道ミサイルの搭載により、多用途戦闘機能力を獲得しつつあります、それほど航空自衛隊の制空戦闘機偏重は強い。

 改造計画によりF-15戦闘機の一部はボーイング社の支援によりスタンドオフミサイル運用能力を付与するので対置攻撃能力を持つ、こう反論があるのかもしれません、F-15改修は当初見積もりの四倍まで費用が膨らみ、割高と却下された三菱案の倍以上となり、岸防衛大臣時代に中止されていますが、試作改修だけは行われている最中という段階にあります。

 対地攻撃訓練を、それでは行っているのか。F-15戦闘機は地上目標への爆弾投下訓練はおこなっているという、しかし、それは爆弾を投下する訓練に過ぎず、悠長に高高度を飛行し爆弾を落とさせてくれる相手は地対空ミサイルを保有していない相手に限られるのですが、今の時代、陸上自衛隊や韓国軍、北朝鮮はもちろんフィリピン軍さえ持っている。

 進攻訓練では亜音速で低空飛行を行い、爆撃誘導員が指示した目標に対して即座の判断で攻撃を行う、友軍を航空支援する場合は敵と接触している状況でも誤爆を行わないよう正確に命中させるのが近接航空支援、敵重要拠点への空爆には、先行して敵防空システムを空爆し無力化する防空制圧任務と併せて攻撃する、これが対地攻撃訓練というものです。

 対レーダーミサイルさえ航空自衛隊は保有していません、いや安倍政権時代に電子攻撃機の導入を検討はしていましたが、2020年代において具体的な導入は訓練支援機にとどまり数も若干数のみ、これでは航空作戦は行えない、防空作戦しか行えないのです。それならば防空自衛隊として、別の航空作戦を行う専任組織が必要となるのでは、とさえ考える。

 F-2戦闘機3個飛行隊が、対艦攻撃とともに近接航空支援や航空阻止を担います。F-35戦闘機、近年航空自衛隊が導入している第五世代戦闘機も能力としては多用途戦闘機であり、特にJSF統合打撃戦闘機という開発計画に依拠して進められただけに高い能力は有しているのですが、なかなかF-35部隊が近接航空支援などの訓練実施について発表がありません。

 対地攻撃能力は、陸上での低空飛行訓練、付随する騒音問題や夜間飛行に関する住民対応など、一つとってめんどうな課題もあります、ただ、だからといって航空打撃力を持つ自衛隊が無い、航空自衛隊も多用途戦闘機にあたるF-2は制空戦闘機飛行隊の三分の一でしかなく対艦攻撃と兼務している、防空自衛隊へ改称するか航空打撃能力構築が必要です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:京都-烏丸七条,ワールドカップに盛上るイングリッシュパブで頂くエール

2022-12-17 14:48:25 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 冬の寒さが凄い時でも日常の幕間にちょっとビールを一杯というのは変りません。

 EOS-R7,やはり迷ってしまうところなのです、いや使い勝手から考えますとEOS-7DmarkⅡに勝るものは無い、そして予備の機材も一応揃えてあります、が生産終了したEOS-7DmarkⅡは五年は使えるだろう、十年も、ではその次の十年は、と考えています。

 ヨドバシカメラマルチメディア京都、京都に此処があってよかった、というところでしょうか、いや近鉄百貨店プラッツの頃も良かったのですが、あの頃は家電、特にカメラをそろえるには相当苦労したものですからね、買うものも多いが試すものもそれ以上に多い。

 エールでも呑んでリラックスしよう、世の中ワールドカップ一色というところでして、しかし今回日本代表は頑張りましたのには驚きましたね、それにこれは毎回思うのですが運任せのPK戦で勝敗を決めるなら、最初からPKだけでやれよ、といういらだちの様な。

 1パイントのエール、香りを愉しみながら珈琲の様に愛でる一杯とともに店内を見渡しますとバドワイザーのペナントや横断幕が方々に張られていまして、そういえば岩国基地で呑んだバドワイザーは美味しかった、何年前だったかなあ、なんてことをしみじみしてゆく。

 HUB,全国に展開しているイングリッシュパブ風のビアBARなのですが、雰囲気が好きなので木屋町のHUBは時折、時間調整でエールを頂きます、立ち飲み用のテーブルが多く、京阪特急を待つ時間とか、待ち合わせの時に、ちょっと一杯、というときにはよいところ。

 フィッシュアンドチプッス、滅茶苦茶美味しいのかといわれると、鱈の揚げ物とポテトの揚げ物に過ぎないのですが、ビネガーたっぷり利かせたソースに絡めて、なにかこう、食べたくなる時があるのです、多少利いた塩味とともに、齧りつつ、ビールをくちにはこぶ。

 デュワーズ12年物ハイボールを、傾けながら。EOS-R7は素晴らしいのだけれども半年待ちと云われてしまい、ああどんなものかなあ、とおもいつつバドワイザーのペナントが、また目に入る、そしてワールドカップの話題が続きます。ウィスキーも美味しいよね。

 エールをもう一杯、そしてワールドカップの話題とともに、また目に入るバドワイザーのペナント、ううむ、うん、おや。思い出した、バドワイザーのペナント、バドワイザーといえばワールドカップスポンサーなのに回教国故、ビール売れなかったところじゃないか。

 バドワイザー、そうだこういうパブでこそ応援しなければならないのではないか、カタールもワールドカップにビールメーカーのバドワイザーを招いておきながらビールをスタジアムで販売できないなんて、メッカで巡礼禁止を掲げる様なものではないか、憤るものだ。

 バドワイザーを注文するとポークシュラスキーニョが割引になる、イングリッシュパブでバドワイザーを愉しめる、バドワイザーを応援する企画も行われているのですが、ちょっときづくのが遅すぎた様な所も。ワールドカップの余韻が残る中でもう一杯やりに行こう。

 HUB, ヨドバシカメラマルチメディア京都の建物に入っているお店で恵比寿バーとも隣接しています、デジタル一眼や望遠レンズ、バッグ、けっこう値の張るものを衝動買いする前に、ちょっと冷静になるために一杯やってみる、というのもいいのかもしれませんよね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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国家安全保障戦略・防衛力整備計画・国家防衛戦略-防衛三文書閣議決定,GDP2%防衛費に相応しい様々な議論が必要

2022-12-17 07:00:41 | 国際・政治
■防衛三文書閣議決定
 国家安全保障戦略と防衛力整備計画及び国家防衛戦略の三文書が閣議決定されました。

 防衛力について、これまではGDP1%枠というものが一種の聖域のように理解されてきた背景があり、このGDP1%というものは必ずしも十分ではなく、特にミサイル防衛という新事業により防衛費が不足し、様々な予算から部分部分を抽出し予算全体をほとん変えずにミサイル防衛を整備したことで、僅か20年で防衛力が崩壊してしまった現実があるのです。

 しかし、GDP2%というものは新しい問題を生んでいるのかもしれません、それはいままでは1%という象徴的な規模、日本の歳出は社会補償費公的支出を含めた場合はGDP42%水準という、欧州ではイギリスやフランスとドイツやスペインはじめ多くの国が40%から50%水準に達するといいますが、このなかで日本は42%、決して低い負担ではありません。

 1%であった時代には、しかし1%だけではないか、という反論が景気後退にあっても防衛費を一種の聖域とする機能がありました、4個護衛隊群体制やいまの9個師団6個旅団体制の原点となる13個師団体制などが1974年の第一次石油危機の直後に防衛大綱として決定されており、不況のさなかでも維持できる水準でした、が2%となると話は変わります。

 2%という数字ですが、これをすべて自衛隊がもちいるのではなく海上保安庁やテロ対策予算などを含めた全体の数字とする検討もなされており、これでは自衛隊の予算が足りない状況が続く懸念もあります。そしてミサイル防衛という新任務により不足した予算を増額する一方、宇宙作戦など新しい任務が追加されるという点も予算を圧迫する懸念がある。

 国土防衛は沖縄戦のような専守防衛で国土を戦場としてでも国民は平和憲法を堅持して自衛隊とともに平和憲法への外国からの軍事干渉に対して戦場で立ち向かう覚悟はあるのか、ミサイルの着弾さえも看過せず反撃能力により国土が戦場とならないことが平和的生存権であ平和主義とは自分の生活第一であり、故人の生活防衛のための反撃は看過するのか。

 日本の防衛は、この程度の金額があれば大丈夫だろう、という認識に依拠して国民的議論が忌避されてきたという印象がなくもありません、これは同時に結局のところGDP1%の時代には、関心を持たずとも負担が薄かったため、という背景があるのかもしれません、ただ、これが2%となり負担を感じるならば、中身を議論する段階に進むのでしょうか。

 国家安全保障戦略、防衛力整備計画、国家防衛戦略、今までは軍隊など不要という極論と、日本の防衛は日本だけで守るべきとのもう一つの極論と、議論の入り口でかみ合わない段階が続いていました、これは国家が必要か不要か、という哲学論争に近いものでしたが、負担増とは、これよりも進んだ議論を様々な場面と段階で必要となったのかもしれません。

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