北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

令和四年度十二月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2022.12.03-2022.12.04)

2022-12-02 20:00:39 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 師走となり急激な寒さが襲ってきたようで身に沁みるところですが皆様いかがお過ごしでしょうか、今週末の行事紹介です。今週末は百里と新田原の航空祭に今津駐屯地がある。

 百里基地航空祭はF-4ファントム退役から初の航空祭となります。結局のところ日本のF-4EJ戦闘機はじまりの地は2020年にF-4EJ改戦闘機退役の日を百里基地で迎える事となるのですが、残念ながらご承知の通り2020年百里基地航空祭はCOVID-19感染拡大により中止、年度当初は2008年新型インフルエンザのように何とかなると思ったものでした。

 ファントム退役後の百里は、第7航空団隷下に第3飛行隊、F-2戦闘機を日本で最初に配備した飛行隊として首都防空にあたっています。しかし第7航空団は2000年代初めまでF-15戦闘機二個飛行隊を有する首都防空の要という位置づけで、これが中国軍拡による南西情勢緊張増大を受け、飛行隊の一つは百里基地へ、もう一つがいろいろあって新田原基地へ。

 F-2戦闘機の百里基地、ここはかつて渋滞航空祭と畏れられまた最寄駅が15km先という通称隔離基地として恐れられました、しかし近年は事前応募制の大洗海水浴場大駐車場と時間別シャトルバス抽選制度により渋滞は大きく緩和されたともいう。F-2戦闘機の百里基地航空祭は今回が初、対艦攻撃部隊としてF-86FからF-1など乗換えつづけた精鋭部隊です。

 新田原基地エアフェスタ2022、4日に行われます。新田原基地は航空自衛隊イーグル発祥の地、航空自衛隊のF-15戦闘機は新田原基地の第201飛行隊がマザースコードロンとなり、ここから暖簾分けの様に全国の飛行隊へ機種転換を支えていった新田原基地、最寄駅は日向新富駅、丘陵地帯の高台にあります基地で若干遠くは感じますが徒歩でもいける基地だ。

 第5航空団が展開する新田原基地ですが、一時は第201飛行隊と第202飛行隊の両方がF-15戦闘機飛行隊でしたが、途中から旧式のF-4EJ戦闘機飛行隊に入れ替わり、しかし南九州は南西諸島北部を防衛する関係上百里基地からF-15飛行隊の移駐を受けました、一方で第201飛行隊は基地そのまま所属が航空教育集団隷下となり、第23飛行隊と改名しました。

 イーグルの新田原基地へ戻った訳ですが、一方で逆光の新田原基地として青空に映える航空機写真を愛する方々からは恐れられています、そこで鷲取台という基地の外柵側にて撮影される方も多く、どのように基地の情景と航空祭の迫力を撮影するかは、なかなか考えさせられるところです。実戦部隊は一個飛行隊のみですが数年内にF-35B配備が始まる。

 今津駐屯地創設70周年記念行事、滋賀県湖北の今津駐屯地は70周年を迎えました。今津駐屯地は第3戦車大隊と第10戦車大隊及び中部方面情報隊の無人偵察機隊と移動監視隊が駐屯しています。かつては第3特科連隊第5大隊の四個特科中隊も駐屯していたのですが、その庁舎は今や倉庫となっています、関係ないのですがその近くの和菓子屋の蕎麦が旨い。

 74式戦車の2個大隊が駐屯しています、今では陸上自衛隊では74式戦車の大半が10式戦車や16式機動戦闘車に置きかわっていて、74式戦車を配備する駐屯地としては日本最大となっています、74式戦車は日本にしか配備されていませんが。ただ、かつて最大7個中隊が配備されていた74式戦車も師団改編によるコンパクト化で2個大隊併せて4個中隊のみ。

 第3戦車大隊は間もなく第3師団の即応近代化師団から地域配備師団への改編により特科連隊と戦車大隊は廃止されると見込まれており、第3戦車大隊は第3偵察戦闘大隊へ改編される事となるでしょう、数年内には74式戦車は全廃され、これも新型戦車に置換えられるならば良いのですが、大隊は中隊規模の機動戦闘車に置換え、その前の貴重な行事です。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・12月4日:百里基地航空祭2022
・12月4日:今津駐屯地創設70周年記念行事
・12月4日:新田原基地エアフェスタ2022

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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G-I-UKラインからG-S-UKラインへ,北極圏軍事緊張をロシアが警告,スウェーデンフィンランドNATO加盟交渉

2022-12-02 07:00:33 | 防衛・安全保障
■臨時情報-北極圏情勢
 ロシア外務省のザハロワ報道官は、スウェーデンとフィンランドのNATO加盟申請により、北極圏の安全保障情勢に非情な緊張状態が発生する事を懸念すると、談話を発表しました。

 北極圏では、既にアメリカとカナダがNATO加盟国であるとともに、スヴァルバル諸島を領有するノルウェー、グリーンランドを保有するデンマークがNATO加盟国となっています。故にロシアが主張するような状況が有るのかと問われますと、北極圏に接する諸国は二つの中立国とともに、基本的にNATO加盟国かロシア、という状況ではあるのですが。

 極軌道、衛星軌道の中でも極軌道を周回する人工衛星、その通信施設として最大規模のものはノルウェー領スヴァルバル諸島に設置されています。このスヴァルバル諸島は国際法上特殊な位置づけにあり、これは条約制定当時北極圏と欧州の冬季航行の難しさから、ノルウェー領であっても旅券などを必要とせず居住できるという開かれた国境となっている。

 ロシア、北極圏についてロシアは北極圏航路という気候変動を受けての氷床溶融を受け夏季に航行可能となる船舶航路を開発した際、ロシアの船舶が航行できるという事は第三国の艦艇、揚陸艦なども航行可能となる現実に直面し、北極地方を防衛する専門管区を創設し、大型連節雪上車に搭載したミサイルシステムなど独自の装備体系を開発しています。

 G-I-UKライン、冷戦時代には北大西洋上のソ連軍大西洋シーレーンを防衛するG-I-UKラインという防衛線が重視されていました、これはグリーンランドとアイスランドにイギリス本土を結ぶラインで、ここを監視していれば大西洋上のアメリカ本土から欧州に至る補給路を維持できるという概念です。問題はロシアの北極圏軍事進出が強化されていること。

 スヴァルバル諸島がアイスランド以上に重要となる可能性、G-S-UKライン、という状況が今後考えられる可能性がある。特に極軌道衛星通信施設を維持することは宇宙空間での情報優位を維持する事に直結します。これを受け、近年ロシアに対抗しカナダ軍などは北極圏で航行可能となる哨戒艦の建造を進めていますし、ノルウェーも防衛力を強化している状況です。

 北極圏、もう一つの問題はスウェーデンとフィンランドのNATO加盟とともに北極圏航路という問題です、特に欧州への最短経路と云う事で北極圏に隣接していない中国が航路開発を進めており、スヴァルバル諸島の中継地開発など、急速に関与を進めています。今のところ人民解放軍の展開兆候はありませんが国有企業が参加、情勢が複雑化しつつあります。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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