北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

平成二十七年度八月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2015.08.01-02)

2015-07-31 22:07:32 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
今週末の自衛隊関連行事、海上自衛隊の一般公開が全力展開、といった様相、是非どうぞ。

横須賀サマーフェスタ、明日土曜日と日曜日に一般公開が行われまして、横須賀は海上自衛隊最大の護衛案いずも、の母港となっています、サマーフェスタ行事としては艦艇一般公開とヘリコプター地上展示などが行われます米海軍横須賀施設や潜水艦上甲板先着順航海なども行われます。

呉基地サマーフェスタ2015、呉地方総監部 城山グラウンドにて基地開放が行われます。呉k地は毎週日曜日の艦艇一般公開でも有名な基地ですね。また日曜日にサマーフェスタ江田島2015としまして、田島湾クルーズ、海自呉音楽隊演奏、海自艦艇電灯艦飾、海上花火大会などがおこなわれるとのこと。

させぼシーサイドフェスティバル、行事予定としましては倉島岸壁ミサイル艇しらたか一般公開,佐世保音楽隊演奏、などがおこなわれます、大型艦艇は立神岸壁の米軍埠頭に係留されますが、開放されるのは海上自衛隊側の倉島岸壁のみ、ただ、こちらにも艦艇が停泊し岸壁から見ることが出来るでしょう。

艦艇一般公開を北海道から本州四国九州の順番に気化から掲載します、詳細は海上自衛隊HPをご覧ください、日程ではなく地理別に掲載していますのでご注意を。月曜日から水曜日十勝港護衛艦ちくま一般公開、土曜日と日曜日苫小牧港護衛艦ちくま一般公開、土曜日と日曜日函館港掃海母艦うらが一般公開、北海道は以上です。

土曜日と日曜日八戸港掃海艦やえやま・はちじょう一般公開、土曜日と日曜日宮古港掃海艇えのしま・ちちじま一般公開、土曜日と日曜日酒田北港2015 SUMMER MARITIME FESTIVAL艦艇一般公開、土曜日と日曜日岩船港掃海艇ひらしま・たかしま一般公開、東北地方は以上です。

木曜日2015サマーフェスティバル in 海ほたる特務艇はしだて見学、首都圏は以上ですが前述の通り横須賀サマーフェスタが横須賀基地にて行われますので、是非どうぞ。一方、サマーフェスタですが以上の通り艦艇は全国で一般公開されていますので少々艦艇に影響が出ているやもしれません。

土曜日から月曜日まで伏木港まつり万葉3号岸壁護衛艦あさぎり一般公開、土曜日と日曜日第68回清水みなと祭り護衛艦さみだれ一般公開、日曜日ふれあいフェスタ in 四日市四日市港霞ヶ浦南ふ頭護衛艦とね一般公開、東海北陸地方の一般公開は以上の通り。

土曜日と日曜日八幡浜みなと祭り護衛艦あぶくま一般公開、水曜日高松市サンポート岸壁護衛艦さみだれ一般公開、日曜日サマーフェスタ in 下関基地隊、山陽四国の一般公開は以上の通りですが、併せて呉基地と江田島基地でもサマーフェスタが行われています。

土曜日と日曜日別府国際観光港潜水艦救難艦ちはや練習艦せとゆき一般公開、など。この他佐世保基地の一般公開が行われています。艦艇一般公開は見学自由となっていますが艦艇ごとに一般公開時間帯が異なります、また滑りやすい靴や転倒時に半袖半ズボンなどは危険が伴いますので、ご留意ください。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭
・8月1日:ヨコスカサマーフェスタ2015・・・http://www.mod.go.jp/msdf/formal/info/event/2015_08.html
・8月1日:呉地方総監部サマーフェスタ2015・・・http://www.mod.go.jp/msdf/formal/info/event/2015_08.html
・8月1日・2日:させぼシーサイドフェスティバル・・・http://www.mod.go.jp/msdf/formal/info/event/2015_08.html

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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米防衛産業最大手ロッキードマーティン社、シコルスキー社子会社化で推進

2015-07-30 22:19:54 | 防衛・安全保障
■ロッキードマーティン、シコルスキー統合へ
ロイター通信によれば防衛産業最大手ロッキードマーティン社が航空大手シコルスキー社の企業買収による子会社化の指針を表明しました。

ロッキードマーティン社のシコルスキー社子会社化、実現の方向で推進しているもようです、早ければ今月中に合意の調印に至るとの見方があり、規制当局の承認次第とし今年末から来年初めまでに手続き完了をめざし、F-35戦闘機により航空防衛産業最大の規模に達するロッキードがUH-60後継の次期米陸軍回転翼機選定にS-97複合ヘリコプターを提示するシコルスキー社を傘下に置くことで防衛需要受注の安定化を図るものとみられるもの。

米陸軍はUH-60後継機を全て従来の回転翼航空機よりも高速を特色とする可動翼機乃至複合ヘリコプターにより代替する構想で、空中機動強襲任務の高速化を期しています。米軍はF-35とMQ-9無人機等の戦域情報能力による戦闘展開の迅速化を志向しており、強襲ヘリコプターについてはUH-60よりも高速度の性能が後継機に求められている点で、従来の汎用ヘリコプターと輸送ヘリコプターや観測ヘリコプターという装備体系と重輸送ヘリコプターの位置づけなどに大きな変革が加わる可能性を示唆しています。

ロッキードマーティン社はメリーランド州ベセスダに本社を置く総合軍需産業で、ロッキード社は1912年に創立した航空産業の老舗でしたが1995年にマーティンマリエッタ社と合併、各種防衛装備品を製造する防衛産業の再編を経て、従業員11万2000名、営業利益は2014年で55億9200万ドルという巨大企業です。ただし、シコルスキー社の買収には80億ドルから90億ドルを要するもので、ロッキード社は1994年のミサイル大手マーティンマリエッタ社買収と並ぶ巨大企業買収となるもよう。

シコルスキー社はコネチカット州ストラトフォードに本社を置く航空企業で従業員15900名、親会社は世界第八位の防衛産業大手ユナイテッドテクノロジーズ社で、主要な製造機としてUH-60多用途ヘリコプターやSH-60哨戒ヘリコプター、CH-53重輸送ヘリコプター、SH-3/HSS-2対潜ヘリコプター、S-92/CH-148多用途ヘリコプター等を生産しています。S-92はV-22可動翼機の開発が難航した際に、暫定中型ヘリコプターとして有力視された機種で製造には三菱重工も参加しています。

技術面で二重反転ローター技術を軸とした複合ヘリコプターを開発しており、2008年にはシコルスキーX2として技術実証機を飛行させています。次期回転翼機選定にはS-97を提案しており、これは可動翼機ではなく複合ヘリコプター型として設計、初飛行を成功させています、オートローテーション時の安定性と匍匐飛行等の超低空運用では回転翼機の方が可動翼機よりも柔軟度が高く、陸上運用では大きな利点です。

S-97の複合ヘリコプター型としての能力特性は、可動翼機では難しい対戦車ヘリコプター用途への将来発展性の余地を残しています。複合ヘリコプター型は機体空気抵抗が可動翼機よりも特性上として多く、急減速能力を有しており、これが匍匐飛行とホバーリングから急加速等の面で優れています、対して可動翼機はMV-22に代表されるように超低空飛行能力は持つものの、回転翼を可動させなければこの動作が対応できません。

一方、現段階でS-97はあくまで偵察ヘリコプターを主眼として開発されている為、兵員輸送能力がS-70/UH-60系統と比較し大きなものが求められていません。ただ、一見して先進的な印象を与えるS-97は1960年代からの複合ヘリコプター型航空機技術研究に依拠し開発され、実証機も数機種既に飛行実績を持ちますので、外縁とは裏腹に手堅い航空機といえるでしょう。

ロッキード社はF-35戦闘機,F-16戦闘機,C-130輸送機等が有名ですが、子会社を含め弾道ミサイル、精密誘導兵器、ミサイル防衛システム、指向性エネルギー兵器、戦闘システム、沿海域戦闘艦、陸上軍用車両、戦闘機、支援航空機、無人航空機システム、レーダー技術、電子戦システム、多機能センサシステム、衛星、アトラスVロケット等を生産しています。

防衛産業大手、2013年の時点で世界最大の防衛産業はロッキードマーティンで、続いてアメリカのボーイング社、三位にイギリスのBAEシステムズ社、四位にアメリカのレイセオン社、五位のアメリカのノースロップグラマン社、六位にアメリカのジェネラルダイナミクス社、七位で欧州EADS社、八位にアメリカのユナイテッドテクノロジーズ社、九位にイタリアのフィンメカニカ社、十位がフランスのタレスグループです。

北大路機関:はるな くらま
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Weblog北大路機関・・・榛名研究室/鞍馬事務室創設10周年記念

2015-07-29 23:52:35 | 北大路機関特別企画
■ありがとう!Weblog北大路機関創設10周年
 本日、Weblog北大路機関は創設10周年を迎えました。

 Weblog北大路機関は2005年7月29日、阪急十三駅ホームにて運営を開始しました。神戸で行われました大学行事実行委員会の慰労会帰路、酒豪教授に並び紹興酒を痛飲し一人で五本や七本と諸説ある酒量を頂き、流石に酩酊が激しく、神戸本線から京都本線へ乗り換える十三駅ホームにて、東芝DynaBookにて作成しましたのがOCNブログ、Weblog北大路機関です。

 北大路機関とは大学の自主ゼミとして発足したもので、Weblog北大路機関よりも歴史は長いものです。しかしWeblog北大路機関として発足したのは、メディア論にて新しい情報発信の変容としてWeblogという方式を知っていまして、当時から可搬式のPHS回線を携行していましたので、酔った勢いで運用開始が出来ました、その後どう帰ったのかは記憶がありませんが。

 東芝DynaBook、当時のHDD容量は僅か20GB,現在も東芝DynaBookを愛用していますがこちらのHDD容量が640GBで、デジタルカメラに装填している容量が64GBなのですから、この数字だけでも時代の変容と云いますか、10年間という時の長さを実感してしまいます、そして様々なことが変わりました。

 撮影機材も大きく変わりまして、運用開始当時はフィルム式一眼レフを愛用、それが2005年8月の富士総合火力演習からCANON EOS-KissNとしてデジタル一眼レフへ移行、再生委にはEOS-KissN二台を広角レンズ用と望遠レンズ用に分けて運用していました、続いてCANON-EF70-300mm-F4-5.6-IS-USMを導入しています。

 EOS-40Dを導入し連写速度の大きさに驚くと共に、広角用と望遠用に中級機種で統合するべく続いてEOS-50Dを投入、望遠レンズをSIGMA120-400mm-f/4.5-5.6-DG-OS-HSMとしまして遠距離の被写体へ対応できるようになります、EOS-50Dはバッテリーグリップを装着し、液晶の精度とシャッターの質感、思った通りの写真が仕上がる名機です。そして同時期に導入しました18-200mmEFレンズも一本で多くの状況に対応、印象的でした。

 EOS-7D,デジタル一眼レフの新時代を迎えたという印象ですが、続いてサンニッパ、CANON-EF300mmF2.8ISを導入、×1.4テレコンにより420mm相当の長望遠レンズとしても運用でき、遠方の被写体が精度と鮮度を以て記録でき、もちろん、EOS-50Dに装着しますと総重量が64式小銃とほぼ同じものとなり苦労しますが、撮影できる情景は素晴らしい。

 CANON-EF28-300mmF3.5-5.6L-ISを新たに今年導入、三日破は素晴らしいレンズですが重いことから、この28-300mmの導入で白レンズに相応しい描写力と軽量性を得て撮影への移動が随分楽になりました、これによりメインカメラが一台で対応出来る事と為しましたので、予備にEOS-KissX7を導入、EF-40mmF2.8を装着し世界最少最軽量の補助機としました。

 EOS-7Dmark2を続いて今月導入しています。2011年よりコンパクトデジタルカメラを運用開始、PowershotG-9、PowershotG-12、現在はPowershotG-16を運用中です。カメラバックはNATIONAL GEOGRAPHICからDOMKE,そしてサンニッパ運用時はDOMKE,それ以外の時はシックなBillingham Bagを愛用しています。

 Weblog北大路機関創設当初は同年5月に撮影しました第7師団創設50周年東千歳駐屯地祭の写真、そして創設一週間前の7月23日に撮影しました海上自衛隊伊勢湾展示訓練、同日東京湾沿岸を千葉県北西部地震が発生しましたが、その写真を主として運用しました。あれから10年、はやいもの。

 北大路機関は防衛と安全保障に鉄道とアニメーションまで扱うWeblogでしたが、出来事としまして、2005年は8月にハリケーンカトリーナが米本土を襲い、9月に閉幕した愛知万博を知らず来場者が露頭に迷い、10月には普天間飛行場移設先が名護市辺野古へ決定、11月にドイツでメルケル首相が就任し、12月には閏秒で23時59分60秒と新年が思ったよりも一秒遠くなりました。

 2006年は自衛隊イラク派遣任務が完了、2007年には新潟中越地震が発生、2008年は北京五輪開幕とグルジア北オセチア戦争が勃発、2009年には護衛艦はるな除籍と第45回衆議院議員総選挙での自民民主政権交代、2010年には普天間基地移設争議と鳩山内閣総辞職、そして2011年には東日本大震災と続く福島第一原発事故が発生し、歴史の転換点となったのはまだ記憶に新しい。

 2012年には北朝鮮で金正恩第一書記就任と弾道ミサイル危機と南西諸島の尖閣諸島問題激化等を経て第46回衆議院議員総選挙、自民党が与党へ。2013年はロシアチェリャビンスク州の隕石落下やアルジェリアガスプラント邦人人質虐殺事件、2014年はウクライナ騒乱とクリミア軍事介入に東部ウクライナ紛争、など。この間、特に防衛と安全保障について、ある程度のアクセスを頂くWeblogへと発展することが出来ました。

 実のところ驚き、且つ感謝していますことは、OCNブログ:2005.07.29に運営を開始しまして、そして昨年gooブログ:2014.11.24、としまして移行したのですが、思いのほかアクセス数が多く、gooブログは220万ものブログが参加しているのですが、アクセス数で65~100位という、比較的多くの方の閲覧を頂いているWeblogであると知った事です。

 自衛隊行事と防衛関連や海外防衛情報、我が国安全保障政策提言に防衛技術開発情報など、関心を集めにくい分野ではあると考えているのですが、それでも多くの方にご高覧頂いている事は励みになり、そして誤字脱字が多い事を残念に思いつつ、読者の方にはほんとうに感謝しています。

 このWeblog北大路機関がアクセス解析を開始したのは2006年、そして毎日更新に移行したのも2006年です。毎日更新、何故毎日更新できるのか、と問われますと返答に窮するのですが、2200時から2359時まで極力時間を空け、その時間に更新します、ただ、文章作成の時間が昨今捻出が難しく、電子端末POMERAにて長文を作成し、章ごとに毎日掲載する、という形を主として採っています。

 ただ、残念ながら記事作成の時間に限度があり、自衛隊行事関連の特集を掲載する時間が確保出来ず、加えて写真をWeblog用に加工する時間も限度がありますので、過去に掲載しました写真をアーカイブスより再掲載する事例が多くなっています。新しい写真を読者の方にお届けしたいのですが、時間は確保に限度があり、この当たりは申し訳ありません。

 しかし、POMERA,そしてgooブログよりタイマー投稿が可能となりましたので、北海道や九州沖縄に首都圏などへ展開した際や、繁忙期の多忙の際にはタイマー投稿を利用する事で毎日更新を維持できるようになっています。毎日零時までの時間制限をある程度解消できたことは、長期的な掲載への負担軽減に大きく寄与しました。

 その分、お送りいただきましたコメントへお返事を返すことが出来ないことが多くなりまして、この点は何とかしたいところですが、こちらもどうにもなりませんのは非常に残念に思っています。誤字脱字、写真再掲載、コメント対応制限、いろいろと解決策を模索していますが、こちらの方は今しばらくお待ちください。

 さて、様々な事柄を思いつくままに執筆し掲載してきましたが、この十年間、Weblog北大路機関が掲載を維持できていますのは、皆様多くの読者の方々のご高覧によるところが非常に大きく、拙い文章にて恐縮ですが時間の許す限り今後も掲載し続けてゆきたいと思います、今後ともWeblog北大路機関をどうぞよろしくお願いいたします。

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航空防衛作戦部隊論(第二回):航空自衛隊の改編案に関する特集で提示しようと考える試案について

2015-07-28 22:08:04 | 防衛・安全保障
■航空自衛隊の改編案の視座
航空自衛隊の改編案に関する特集で提示しようと考える試案について。

南西有事を想定し、現在の大陸側からの南西諸島を戦闘行動半径圏内に含める第四世代戦闘機数の劇的増大と、南西諸島沖縄本島を射程内に含める弾道ミサイル脅威の数的増大を背景に有事の際には全国からの航空部隊を急速に集中させる改編が必要との視座に基づき、必要な改編案を提示する、というもの。

現在の航空自衛隊戦闘機定数は280機と冷戦最盛期の350機を大きく割り込む状況下にあるものの、冷戦期には装備しない早期警戒管制機の配備や早期警戒機の強化、基地防空部隊の整備と航空掩体の整備、空中給油輸送機配備による滞空時間延伸や輸送機による輸送能力強化を踏まえ、戦闘機定数を現在の水準とし、稼働率を強化する視点が重要、との視点を加えつつ論述します。

一方で想定戦闘空域が南西諸島における防空戦闘であり、航空自衛隊の起点となる基地が平時には那覇基地のみ、南西諸島北部の防空には南九州新田原基地、更に発着可能で有事の際に即座に展開可能な基地には南九州鹿屋基地が含まれる程度、基地機能維持へ必要な資材運搬に陸路や鉄道が使いにくい現状を特性としなければならないところ。

こうしたなかで、航空自衛隊の現在の航空機と、特に戦闘機は当面近代化に限られ、その数的増勢を見込める要素はありませんが、現在進められる施策としまして、早期警戒機の増勢、空中給油機の増勢、輸送機の大型化など、幾つかの要素が加わり、数的劣勢を質的な部分で対応できる余地は多少多いといえるやもしれません。

しかしながら、例えばF-4EJ後継機に航空自衛隊はF-35を導入し、F-15初期型のPre-MSIP機についてもF-35を導入する方向で進められると目されるのですが、数的に不足する部分を増勢で補う模索は現実的ではありません、例えばF/A-18E/F戦闘機を60機程度緊急調達する予算的余裕、補助戦闘機として用い得るJAS-39戦闘機の高等練習機としての96機程度の調達、などは予算面で、不可能でしょう。

ただ、楽観要素として、冷戦期の北海道防空は航空自衛隊の主幹であり、三沢基地へアメリカ第35戦闘航空団駐留が開始される1980年代末までは航空自衛隊のみの防空作戦が必要であったが、沖縄本島にはアメリカ第18航空団の戦闘機部隊や早期警戒管制機が前方展開し、海兵隊普天間飛行場の起点としての要素を含めれば、日米共同が可能であり、楽観要素といえようものの一つ。

この中で、並行して国家財政の悪化からの脱却も国家的課題である我が国の現状に鑑み、航空自衛隊は戦闘機定数を大きく増強することなく、現在の装備水準と次期戦闘機や早期警戒機増強に新輸送機など配備計画が進む航空機整備計画の枠内での本土防空任務が可能であるのか不可能であるのかとの視点が併せて必要と考えるしだい。

北大路機関:はるな くらま
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レッドフラッグアラスカ演習へ航空自衛隊、戦闘機や早期警戒管制機など12機を派遣

2015-07-27 23:08:42 | 防衛・安全保障
■レッドフラッグアラスカ演習派遣
 本日27日より、航空自衛隊のレッドフラッグアラスカ演習派遣部隊が出発を開始しました。

 レッドフラッグアラスカ演習は、実際の航空戦闘に関わる航空戦闘と航空管制や迎撃と対地攻撃に航空阻止、基地機能維持と空輸による第一線整備能力維持や基地防空と航空救難など、実戦において想定される状況を実戦に参加しない状況でも高度に再現し参加、判断と行動を練成し実戦に対応できる人材を高度な訓練環境と過酷な状況下で再現するべく1976年より開始されたもので、開始当時の演習呼称はコープサンダーでした。

 演習はアメリカアラスカ州アイルソン空軍基地及びエレメンドルフ-リチャードソン米軍統合基地並びに同周辺空域において展開され、自衛隊は7月27日から8月28日にかけ部隊を派遣、8月7日より8月22日までの期間が演習期間となります。レッドフラッグアラスカはアメリカや日本のほか、アメリカの同盟国や友好国の多くの国が参加しますが、集団的自衛権に関する慎重な配慮が為されます。

 航空自衛隊は本訓練への参加を例年通り、米空軍の実施する演習に参加し日米共同訓練を実施することにより部隊の戦術技量及び日米共同対処能力の向上を図る、とし各国との集団的自衛権行使の形はとらずアメリカとの二国間演習のかたちを強調しています。自衛隊の訓練は、防空戦闘訓練と空中給油訓練及び戦術空輸訓練、更にアラスカ間を渡洋する中途に米空軍空中給油機及び空自KC-767による空中給油を行う、とのこと。

 自衛隊の参加規模は、F-15戦闘機6機、E-767早期警戒管制機1機、C-130H輸送機3機、KC-767空中給油輸送機2機、以上12機で、航空総隊及び航空支援集団より訓練参加部隊として310名が参加します。この12機という規模は昨年度のレッドフラッグアラスカへの航空自衛隊派遣規模と同じ。

 訓練は、米空軍を筆頭に米軍航空部隊と同盟国や友好国が参加し、アメリカ及びその友好国と同盟国へ脅威を及ぼす国が運用する、スホーイSu-27系統の航空機をF-15戦闘機が、MiG-29系統の航空機をF-16が、それぞれ再現した仮設敵部隊、いわゆるアグレッサー部隊を相手に航空作戦を展開する。

 我が国の防衛力を考える際に、実戦を経験していないので実力が低いのではないか、という視点が向けられる場合があります。しかし、航空自衛隊が想定する、第一線航空機同士の航空管制や早期警戒管制機による前線航空管制を背景に中射程戦闘を戦端として航空団規模の航空戦闘が展開、という事例は過去30年間を見ても湾岸戦争くらいのもので、これも一方しか早期警戒機を運用しませんでした。

 双方が早期警戒委を運用する組織的航空戦を実施した事例はまだ戦史には無く、ジェット機同士の航空戦を含めてもイランイラク戦争やフォークランド紛争、小規模なものを含めて印パカシミールカールギル紛争とエチオピアエリトリア国境紛争、くらい、滅多に発生するものではありません。したがって、実戦経験の有無よりも、想定される最大規模の航空戦闘を十分再現し要員を練成可能な規模の演習を行う方が重要度が高い、という事が理解できるでしょう。

 現在、我が国南西諸島をその周辺空域は世界でもっとも、大規模な航空戦闘が発生する危険性を有する地域の一つで、特に航空自衛隊は数的劣勢を背景に同盟国アメリカと共に航空優勢を維持し、沖縄や鹿児島県島嶼部と九州という本土防空を達成しなければなりません。派遣規模は航空自衛隊の戦闘機数からは多いものではありませんが、ここで得られる様々な成果が、我が国防空へ大きく反映される事でしょう。

北大路機関:はるな くらま
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豪州海軍次期潜水艦選定、三菱重工中心の多国間国際分業体制での建造軸に調整か

2015-07-26 22:31:23 | 国際・政治
■そうりゅう型潜水艦輸出
 ロイター通信などによれば豪州次期潜水艦選定は三菱重工を中心とした多国間国際分業の方向で調整中とのこと。

 豪州海軍が現在のコリンズ級潜水艦の後継として検討する将来潜水艦、コリンズ級はスウェーデン企業の協力を受け建造されましたが、幾つかの事由により大きな欠陥を有する潜水艦として豪州海軍の課題となっています。一つはスウェーデン製潜水艦が元来沿岸作戦を軸に開発されたもので豪州海軍が求める広大な豪州大陸周辺海域を哨戒するには未経験の大型潜水艦建造が求められその技術面で途上部分があった点、もう一つは豪州国内に潜水艦建造の実績が薄くその工程などの面で技術未熟が完成した潜水艦性能を大きく制限したこと、というものがありました。

 これを受け、豪州海軍次期潜水艦選定は、豪州海軍が想定する広域哨戒能力を有する海上自衛隊の潜水艦に早くから着目しており、実際に野田内閣時代より本格的に日本への潜水艦供与を求める交渉を行ってきました。当初は、豪州海軍が環太平洋合同演習などで性能に注目していたという海上自衛隊そうりゅう型潜水艦の輸出は武器輸出三原則の観点から難しいとされてきましたが、野田内閣と政権復帰を果たした安倍内閣のもとで防衛技術移転三原則として再検討が為され、これにより海上自衛隊の潜水艦が第三国へ輸出される可能性が現実味を帯びてきたわけです。

 豪州海軍次期潜水艦選定は、実に総額500億ドル規模の契約となる見通しであった為、フランス企業やドイツ企業などが名乗りを上げており、しかしフランス海軍には原子力潜水艦の建造経験がある為広域哨戒任務に対応する通常動力潜水艦という建造ノウハウが大きいとは言えず、ドイツ製潜水艦に至っては2000t級潜水艦をそのまま4000t豪州の予算により拡大再設計するとの方針が定められていた為、日本製潜水艦が調達される見通しが立っていましたが、豪州国内の防衛産業維持への要望などが大きく、この点で幾度か頓挫してきましたのは既報の通り。

 今回報じられた内容は、イギリス企業でコリンズ級潜水艦の整備支援等を行うBAB.Lバブコックインターナショナルグループと、イギリス防衛産業最大手で世界最大規模の防衛産業であるBAEシステムズが、三菱重厚の潜水艦を豪州使用とし、併せて豪州国内の潜水艦建造能力整備と防衛産業維持に協力するとの指針です。実際、豪州では数千名規模の雇用を抱える海上防衛産業維持は大きな課題であり、現在の豪州アボット政権は潜水艦性能単体ではなく防衛産業維持と特に雇用維持を大きな選定要素とみなさざるを得ないとの見解を示しており、単純に性能と費用だけでは決定し得ません。

 この決定は、多国間共同事業とすることでリスク分散をおこない得る点、更に将来的に輸出に注力せざるを得ない防衛力再編が行われ失われる国内需要の基盤維持へ向けた輸出ノウハウや海外仕様装備の開発に関するBAEなどの進んだ体制を学びえるという利点はあるのですが、併せて技術流出防止の能力が充分であるのかという不安、更に多国間共同開発が結果的に試用と運用への理解の多元化を生むことで知識集約と共有が円滑に行えず錯誤と齟齬により開発長期化と開発費増大を呼ぶ可能性がリスクとしてあります。このため利点だけではなく未知数の分野が多いわけなのですが、長く結論がでない豪州海軍次期潜水艦選定が一歩前進した、とは言う事ができるでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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陸上防衛作戦部隊論(第二四回):方面航空隊の航空機動旅団移管と司令部飛行隊新設案

2015-07-25 22:39:58 | 防衛・安全保障
■方面航空隊の改編案
方面隊隷下の方面航空隊の航空機動旅団への移管と司令部飛行隊への改編案について。

方面航空隊、この部隊はそのまま航空機動旅団の編成に含めます。もともと、全ての師団を装甲機動旅団と航空機動旅団へ改編し、機甲装備を前者へ、航空装備を後者へ、二種類二個旅団を以て広域師団を編成するという視点ですので、方面航空隊のAH-1SとUH-1Jは航空機動旅団の基幹装備となるので、当然ではあるのですが。

しかし、最小限度のヘリコプターは連絡輸送用に、また航空機動旅団が運用する上で適当ではない固定翼航空機、LR-2などは中央との連絡輸送用に維持する必要があると考えます、ただし、空中機動作戦は航空機動旅団の任務であるわけですから、連絡輸送用には少数で対応可能です。

方面航空隊には現在、対戦車ヘリコプター隊と方面ヘリコプター隊が含まれ、AH-1S対戦車ヘリコプター16機とUH-1J/H多用途ヘリコプター20機にOH-6D観測ヘリコプター10機が配備され、一部方面隊にはCH-47J/JA輸送ヘリコプターも配備されています。かなりの空輸能力を発揮できるでしょう。

航空機動旅団は隷下にヘリコプター隊を配置し、装甲機動旅団の全般火力支援部隊及び戦車による装甲機動力に代えて航空打撃力を火力支援と対戦車戦闘の主力に置くという提案ですので対戦車ヘリコプターは絶対に必要な装備品です。方面隊から移管し機動運用する体制としなければなりません。

また、輸送ヘリコプター8機と多用途ヘリコプター8機からなるヘリコプター隊が全ての部隊に新編されるのが望ましいのですが、残念ながらそれだけのヘリコプターを新規調達する事は予算上難しく、方面ヘリコプター隊から管理替えし、旅団飛行隊に付与する方策以外に実現は非現実的でしょう。

ヘリコプター隊は減耗補填分以外に調達する場合、一個ヘリコプター隊完結まで三年前後程度の時間を要するため、仮に各方面隊に航空機動旅団を別枠で整備する場合、戦闘ヘリコプターや対戦車ヘリコプターの整備を別として考えた場合でも中期防衛力整備計画で三期から四期という非常に長い期間を要する訳です。

従って管理替えは必要な選択肢ではありますが、他方で、方面隊には指揮官連絡へ、航空隊ではなく飛行隊として航空機数機を配置する選択肢はあるでしょう、ただ、方面航空隊のように独立して運用するのではなく、方面総監部付隊に飛行隊として置く方式が妥当と考えます。

北大路機関:はるな くらま
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平成二十七年度七月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2015.07.25-26)

2015-07-24 23:53:41 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 祇園祭、後祭の山鉾巡行が本日執り行われましたが、本ブログでは今週末の自衛隊関連行事紹介を。

 今週末最大の自衛隊関連行事は舞鶴サマーフェスタ2015でしょう。海軍記念館・東郷邸一般公開、舞鶴基地北吸桟橋での艦艇一般公開、舞鶴音楽隊演奏披露、タグボート・小型高速艇港内巡り、自衛隊装備品展示等等が行われまして、更に舞鶴航空基地も一般公開が行われます。

 館山航空基地たてやま海まちフェスタ2015、千葉県南部の海上自衛隊航空群の拠点で救難飛行展示、自衛艦艦内見学、消防車放水展示救難消防車IB型ストライカー、交通船体験航海、シミュレーター体験等が行われるとの事、体験航海とシミュレーター体験は先着順との事でした。

 岩見沢駐屯地創立記念行事、今週末唯一の駐屯地祭で北海道岩見沢市にある駐屯地、第12施設群が駐屯しています。群本部、本部管理中隊、第335施設中隊、第336施設中隊、第337施設中隊、第341施設中隊、第312施設器材中隊、第302坑道中隊より編成され、釧路に分駐する第341施設中隊を除くすべての中隊が駐屯しています。

 海上自衛隊夏の艦艇広報や艦艇一般公開が今年も行われています。一般公開は事前登録などなしに自由に見学する事ができまして、今週末は以下の通り。網走港サイル艇くまたか一般公開として土曜日と日曜日に、玉島ハーバーフェスティバルとしまして土曜日に岡山県倉敷市水島港での護衛艦さみだれ一般公開、と。

 別府国際観光港護衛艦こんごう一般公開が土曜日と日曜日に、長崎県南島原市輸送艇1号艦艇広報として口之津港宮崎鼻岸壁にて土曜日に、いずみ鶴翔祭としまして土曜日日曜日に鹿児島県出水市米ノ津港ミサイル艇おおたか一般公開、また体験航海として北海道枝幸郡枝幸町枝幸港にミサイル艇くまたか寄港、とのことです。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭
・7月26日:岩見沢駐屯地創立記念行事・・・www.mod.go.jp/gsdf/nae/11d/jgsdf-post/images/iwamizawa/
・7月26日:館山航空基地たてやま海まちフェスタ2015・・・www.mod.go.jp/msdf/tateyama/
・7月26日:舞鶴サマーフェスタ2015・・・http://www.mod.go.jp/msdf/maizuru/
■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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航空防衛作戦部隊論(第一回):わが国の将来航空防衛体系に関する視点の総括

2015-07-23 22:56:55 | 防衛・安全保障
■航空防衛作戦部隊論
北大路機関特集の陸上防衛作戦部隊論とならび航空防衛作戦部隊論を今回から掲載いたします。

南西諸島への経空脅威増大と対領空侵犯措置任務緊急発進の南西方面への偏重、重ねて北方方面での経空脅威再活性化に伴う緊急発進任務の増大と潜在的脅威の顕在化、我が国防空の命題はこの一年二年という比較的短期間に突発的というほどの緊張度合増大をみました。

本論の視座は、この脅威の増大を背景に我が国は如何に航空防衛力を展開し、我が国主権と国民の生命財産を防護し続けるかを検証するもので、脅威への対処や我が国周辺と共に北東アジア地域及び環太平洋地域の安定、国家財政に過度な防衛力強化の負担を掛けず効率的な防衛政策を展開する、併せて憲政の視点も含め論議するものです。

元来、装備数の不充分、戦闘機部隊拡充の必要性、人員増強、等を当方は必要としてきましたが、財政状況は年々厳しさを増し、併せて安全保障上の課題も厳しさを増しているという現状に鑑み、財政面と産業面でも長期的に維持可能な防衛力を念頭とした視座を持たざるを得ない現状があり、本論ではこの視点も重視してゆく事としましょう。

経空脅威増大は短期的事案であるのか長期化するかについての視点ですが、南西諸島への経空脅威増大は大陸側からの我が国離島に関する一方的領土編入宣言を契機としており、隣国の非常識といえる宣言撤廃と我が国への謝罪を以て解決する命題ではあるのですが、残念ながらその見通しはありません。

南西諸島への脅威増大は、我が国防衛政策が西方シフトとして西方重視に転換し、その点に先見の明があったといえるところです。冷戦期、北方からの大陸側の脅威に対し、西方からの脅威は非常に少なかった点を踏まえるとこの問題領域の重要な点が見えてくるところです。

即ち、冷戦期には大陸からの軍事圧力が西方より向けられるというよりは、西方の隣国は北方の隣国との緊張関係に、その背景には西方から軍事的に北進した事で緊張を招いた訳ですが、軍事的な問題から、大陸での軍事均衡上、我が国に対し軍事圧力をかける事で結果的に挟撃される懸念を避け、融和的な関係を求められていた背景がありました。

この部分の均衡は、特に大陸の国境地位での軍事対立が、少なくとも北方から南下するという可能性が非常に少なくなる程度に融和し、併せて西方の隣国の経済成長が冷戦期に陸軍一辺倒であった軍事機構を海洋進出が可能な程度に背景となる経済基盤を整備させ、結果として後顧の憂いがなくなり、我が国の領域を奪取する政治的宣言に至ったものです。

南西諸島への脅威増大は上記条件に加えて、隣国の軍事力増大、更には我が国以外の諸国への島嶼部への不法占拠、武力行使や一部には武力攻撃を経て緊張度を蓄積しており、その背景となる軍事力は同国の経済発展に歩調を合わせ急激に拡大しており、現時点で顕在化した脅威について、当面払拭は現実的とは言えないでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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陸上防衛作戦部隊論(第二三回):方面施設団、建設工兵機能を集約し戦域後方支援基盤を維持

2015-07-22 23:01:38 | 防衛・安全保障
■方面施設団
施設団について。広域師団案と共に戦闘部隊を第一線旅団に集約するという定時に際し、現在各方面隊に編成されている方面施設部隊はどうあるべきでしょうか。

施設団、現在の方面隊隷下の施設団は架橋等建設工兵に当たる部隊のみに特化した従来の施設団に加え、師団と旅団の第一線施設部隊より戦闘工兵用の装備を集約し運用しています、その概要は架橋部隊に加え、施設群の隷下中隊が特技ごとに細分化され、施設作業の面での全般支援を担う。

現在の施設群の編成は、群本部および本部管理中隊とともに施設中隊を4個程度有し、築城、障害、機動支援、交通、と中隊ごとに能力と装備体系を構築しています。もともとは地区施設隊として全国に配置され、平時にあっては例えば場外工事として地域振興にも寄与してきました。

広域師団案では方面施設部隊より戦闘工兵用の装備を装甲機動旅団施設大隊に集約し即座に障害処理等を実施し戦車など機動運用部隊の装甲打撃力を発揮できるよう編成する案を提示しています。背景としまして、装甲化された工兵装備を装甲機動旅団へ集約する、というものがその狙い。

そこで、戦闘工兵部隊の装備を第一線に派出管理替えし、主として建設工兵にあたる部隊を集約した2個施設群を以て編成します。現状では戦闘工兵装備に当たる装甲ドーザや地雷原処理車などが方面隊に集約されていますが、これらは装甲機動旅団へ再度集約する必要があるでしょう。

戦闘工兵装備の代位戦部隊への集約、第一線の障害除去などに充てます。方面施設団は後方策源地や補給処から広域師団か装甲機動旅団・航空機動旅団の策源地までの補給路全般の維持にあたります。架橋一つとっても敵前渡河に当たる架橋と補給路に当たる戦略的な架橋は、別物であると考えねばなりません。

補給のための架橋と第一線部隊の敵前渡河、想定する車両の交通量から桁が違います、道路保守も戦闘部隊が通行するならば戦闘車両は不整地突破能力を一定以上有していますので、障害物や崩落部分の迂回により対処可能なものですが、輸送車両など所謂トラックや武力攻撃事態法に基づく指定協力企業のトラックなどはその限りではありません。

施設団は、架橋として戦略的輸送路の維持にあたるとともに、築城能力を一部改編し、補給拠点や戦力回復センターの設営等を担う、障害構築は一部の遅滞行動に充てる部隊を装甲機動旅団へ編入し、空中地雷散布装置等は航空機動旅団へ移管、築城機能と残る機能を集約すべきです。そして、広域師団の各旅団配置に留意し、施設群を配置すべきでしょう。

具体的には補給部隊の策源地から旅団段列への大規模な車両機動となりますと業務車両を含め不整地での運用を想定していないものが多数通り、民間業者の通行なども想定しなければなりません。この部分の戦闘か戦闘支援かの後者を担うのが方面隊の任務であり、この移動と通行を担保するのが方面施設団の任務です。

北大路機関:はるな くらま
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