パクスアメリカーナの基盤
格差というものを考えず機会の均等という重点が思った以上の格差を生んだというものが現状というべきなのでしょう。

グローバルな幾何学模様の格差、こうした構図に国境線を引いてしまいますと、極限の格差というものと、繋がっているはずのグローバリゼーションに依拠した経済活動や設計と生産と流通という流れの国境線による分断が、様々な格差に直結することとなり、この格差を積極的に是正する措置を取る主体は依然として国家に一任されていたことから。

ユニラテラリズムの一要素を担った多国籍企業と多国間直接投資や多国間国際分業という枠組みこそ、多極化時代、または分断さえ生む原動力を構成してしまった構図です。分断と歪みは、パクスアメリカーナの基盤そのものを内部から揺るがしている。第一には昨今はトランプ関税と貿易戦争という問題なのでしょうが。

看過できない格差とともに、製造と設計という循環から切り離された地域というもの、消費だけに留まる地域から見上げた場合は、搾取、という誤解さえ生む問題が、脱領域性を持つ構造に国家という横線をひくことにより、不満の受け皿となる政治への要求として具現化することとなりました。アメリカを見れば、錆びた中西部、というような。

歴史は繰り返す、この言葉はギリシャのペロポネソス戦争を回顧した歴史家のツキディデスが叙述した言葉によるものですが、構成要素や細部は異なるものの、ユニラテラリズムの構成要素が単一でない以上、また世界は多極化に向かうという考え方が成り立つのかもしれません。その上で、反知性主義、という言葉はあまり使いたくないのですが。

脱領域性を持つもう一つの要素に、ポピュリズムが挙げられます。多種多様な諸問題は、問題領域を画定した上で共有知識を広げて議論するならば、たいていの物事は解決策を見出せるのですが、ポピュリズム、大衆迎合主義、朝三暮四主義、言い方は様々ではあるのですけれど、問題要素を過度に単純化し、問題認識しない問題が出てきている。

解決策ではない暫定策を決定打のような解決策として誤認する主義、これは説明する背景を持たないだけ単純化し一見解決策と誤認しやすい、こうしたものが流布する、若しくは一般化してしまいますと、解決の糸口を探せなくなります。日本でもポピュリズム政党としては民主党政権時代の日本が当たりました。この流れは世界でも同様という。

陰謀論、そしてもう一つ大きな問題は、陰謀論というものが、グローバリゼーションとユニラテラリズムを支えた技術、具体的には情報通信技術、この発展により安易に結びつきやすくなり、悪魔の証明、こういうべきでしょうか存在しないものの証明の難しさを援用する形で、問題領域に関する共有知の形成さえ、難しくなってしまったという。

別の陰謀がある的な陰謀論がその障壁を高くしてしまいました。難しいのは、この分断は世界に震源地があり、その一つがアメリカにあるということです。なにしろ個人の情報端末が世界とつながる時代なのですから、そして、地球規模のユニラテラリズムというものが構築されたのは史上初めてのものであり、更に問題があるのは、核兵器という。

核兵器、文明が耐えがたい威力を持つ兵器を戦争の選択肢として有しているという現状です。ロシアウクライナ戦争を一例にとるならば、地域紛争が全面戦争を経て限定核戦争、その先に全面核戦争というオプションを持つ緊張を孕んでいる、過去のスエズ危機のような懸念は2020年代にも健在です。そしてICBMは1950年代より高性能だ。

ロシアウクライナ戦争では、ロシアも和平を求めているという楽観要素の一方で、ロシア側の定義に基づく和平とは、ウクライナの非軍事化とロシアから見て欧州よりとならない中立性という、いわば衛星国化を求めているものです。現段階で、ロシアはウクライナを国連の暫定統治に置く提案を行った点が何よりも同じ状況であることを示す。

ロシアのウクライナに求める措置は、日本は同じことを日韓併合として過去に行いましたが、これを和平と呼ばない事は、世界史は勿論、日本史でも認めているところです。そして、ロシアはスヴァルキギャップを通じてカリーニングラード周辺のNATO加盟国に対して、今回、2014年のクリミア併合のように、単純に終わることがあっては。

キエフさえ併合するロシアにとっての理想、いや野望、これが実現するならば、ロシアの歴史的な被害者認識を考慮した場合、東ベルリンまでは“中立化”を求めてもおかしくはありません。ドイツ廃止で欧州が合意、ということは当然あり得ないわけですから、NATOとの衝突、場合によっては限定核戦争まで事態が悪化し得ます。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
格差というものを考えず機会の均等という重点が思った以上の格差を生んだというものが現状というべきなのでしょう。

グローバルな幾何学模様の格差、こうした構図に国境線を引いてしまいますと、極限の格差というものと、繋がっているはずのグローバリゼーションに依拠した経済活動や設計と生産と流通という流れの国境線による分断が、様々な格差に直結することとなり、この格差を積極的に是正する措置を取る主体は依然として国家に一任されていたことから。

ユニラテラリズムの一要素を担った多国籍企業と多国間直接投資や多国間国際分業という枠組みこそ、多極化時代、または分断さえ生む原動力を構成してしまった構図です。分断と歪みは、パクスアメリカーナの基盤そのものを内部から揺るがしている。第一には昨今はトランプ関税と貿易戦争という問題なのでしょうが。

看過できない格差とともに、製造と設計という循環から切り離された地域というもの、消費だけに留まる地域から見上げた場合は、搾取、という誤解さえ生む問題が、脱領域性を持つ構造に国家という横線をひくことにより、不満の受け皿となる政治への要求として具現化することとなりました。アメリカを見れば、錆びた中西部、というような。

歴史は繰り返す、この言葉はギリシャのペロポネソス戦争を回顧した歴史家のツキディデスが叙述した言葉によるものですが、構成要素や細部は異なるものの、ユニラテラリズムの構成要素が単一でない以上、また世界は多極化に向かうという考え方が成り立つのかもしれません。その上で、反知性主義、という言葉はあまり使いたくないのですが。

脱領域性を持つもう一つの要素に、ポピュリズムが挙げられます。多種多様な諸問題は、問題領域を画定した上で共有知識を広げて議論するならば、たいていの物事は解決策を見出せるのですが、ポピュリズム、大衆迎合主義、朝三暮四主義、言い方は様々ではあるのですけれど、問題要素を過度に単純化し、問題認識しない問題が出てきている。

解決策ではない暫定策を決定打のような解決策として誤認する主義、これは説明する背景を持たないだけ単純化し一見解決策と誤認しやすい、こうしたものが流布する、若しくは一般化してしまいますと、解決の糸口を探せなくなります。日本でもポピュリズム政党としては民主党政権時代の日本が当たりました。この流れは世界でも同様という。

陰謀論、そしてもう一つ大きな問題は、陰謀論というものが、グローバリゼーションとユニラテラリズムを支えた技術、具体的には情報通信技術、この発展により安易に結びつきやすくなり、悪魔の証明、こういうべきでしょうか存在しないものの証明の難しさを援用する形で、問題領域に関する共有知の形成さえ、難しくなってしまったという。

別の陰謀がある的な陰謀論がその障壁を高くしてしまいました。難しいのは、この分断は世界に震源地があり、その一つがアメリカにあるということです。なにしろ個人の情報端末が世界とつながる時代なのですから、そして、地球規模のユニラテラリズムというものが構築されたのは史上初めてのものであり、更に問題があるのは、核兵器という。

核兵器、文明が耐えがたい威力を持つ兵器を戦争の選択肢として有しているという現状です。ロシアウクライナ戦争を一例にとるならば、地域紛争が全面戦争を経て限定核戦争、その先に全面核戦争というオプションを持つ緊張を孕んでいる、過去のスエズ危機のような懸念は2020年代にも健在です。そしてICBMは1950年代より高性能だ。

ロシアウクライナ戦争では、ロシアも和平を求めているという楽観要素の一方で、ロシア側の定義に基づく和平とは、ウクライナの非軍事化とロシアから見て欧州よりとならない中立性という、いわば衛星国化を求めているものです。現段階で、ロシアはウクライナを国連の暫定統治に置く提案を行った点が何よりも同じ状況であることを示す。

ロシアのウクライナに求める措置は、日本は同じことを日韓併合として過去に行いましたが、これを和平と呼ばない事は、世界史は勿論、日本史でも認めているところです。そして、ロシアはスヴァルキギャップを通じてカリーニングラード周辺のNATO加盟国に対して、今回、2014年のクリミア併合のように、単純に終わることがあっては。

キエフさえ併合するロシアにとっての理想、いや野望、これが実現するならば、ロシアの歴史的な被害者認識を考慮した場合、東ベルリンまでは“中立化”を求めてもおかしくはありません。ドイツ廃止で欧州が合意、ということは当然あり得ないわけですから、NATOとの衝突、場合によっては限定核戦争まで事態が悪化し得ます。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)