■中国全土に渡航中止勧告発令
新型コロナウィルス2019-nCoVによる新型肺炎は感染者数が爆発的に増大し2003年新型肺炎SARSの感染者数を越えました。
PHEIC公衆衛生上緊急事態、WHO世界保健機関が宣言しました。1月23日の時点でWHOは中国政府が発表した情報からPHEIC発令を見送りました。しかし、WHO緊急専門家会議が招集された20日、僅か10日前の新型肺炎患者は200名、死者3名となっていました。わずか十日にして、感染者は10000万に迫り死者は200名を越えた、来週はどうなるか。
アメリカ国務省は中国全土への渡航中止勧告を発令、国務省が発令する最大規模の警告です。また我が国外務省も時を同じくして中国全土に渡航延期勧告を発令しました。中国政府の措置は突然の大都市武漢封鎖、これはパニックを誘発すると共に外国人保護が後回しとなっており、日米に続き各国が自国民救出へチャーター機を運航している状況です。
PHEIC,これは重要な意味を持ちます。民主主義であり立憲主義国家においては非常事態法制を発動し人権を制限する事は簡単ではありません、しかし、疾病対策には人の移動の制限や集会の制限、仮に悪用された場合には懸念すべき事態となり発動条件が難しい。しかしPHEICは各国政府が一つの判断目安と出来得るものであり、非常措置が疾病を防ぐ。
PHEIC,我が国では安倍総理大臣がPHEIC発動を受け、指定感染症に指定された新型コロナウィルス肺炎を本来の周知期間などの手続きを省略し、明日1日より強制隔離を含めた強い措置を採れるよう非常態勢に移行すると共に、外務省は中国全土を渡航中止勧告に指定しました。PHEIC発令前であれば、日中経済損害が大きく大変な批判が在ったでしょう。
PHEIC発動、しかし中国の習主席はWHOテドロス事務局長との会談において、PHEIC発動への懸念を表明すると共に、中国国内からの外国人脱出にも懸念を示しており、中国政府は近く国外ダシュツ以外の選択肢を提示するとの方針を示唆しています。今後は武漢以外からの邦人救出を検討した際、PHEICを契機として何らかの影響が、懸念されます。
現段階では国内感染爆発の懸念はありません、この為にいわば巨大地震と同じような万一に備える、という視点から本論はお読みいただければ幸いです。日本国内での感染爆発という懸念すべき状況となった場合、通常の病院施設では収容能力が飽和状態となる可能性が非常に高い。発熱外来や指定医療機関も一日千単位の検査には対応する事はできません。
日中航空航路封鎖や空港の閉鎖、日本には中国や北朝鮮が執るような非常措置を執るには憲法上の制約があり、特に中国からの入国者を完全遮断するというような措置はとれません。また、憲法に示される公共の福祉のための人権との関係ですが、中国が武漢封鎖を行ったような、たとえるならば京阪神封鎖というような措置、現行法では流石に難しいでしょう。
A/H1N1新型インフルエンザ、しかし過去を回顧しますとWHO世界保健機関が前回2009年に公衆衛生上の非常事態宣言PHEICを発令した際には、コンサートや観劇などのイベント自粛要請が出され、第3師団祭も中止されました。幸い新型インフルエンザA/H1N1は危惧されたような高い致死率は無く、過去実例と今回に繋がる教訓はできているのですね。
1000床野外病院緊急建設。政府は武漢封鎖とともに拡大し続ける新型コロナウィルス感染拡大を前に十日間で郊外を整地し1000床野外病院緊急建設に着手しました。最初のものは2月2日までに完成、収容を開始するとの事。感染が繰り返されれば感染力が強まる懸念があり、隔離施設を短期間で構築する必要があります。しかし日本にはこうした備蓄はない。
在日米軍には、戦闘支援病院CSHという資材があります。感染症隔離を想定したものではありませんが、湾岸戦争規模の大規模戦争、当初湾岸戦争では死傷者1万8000名を見越していました、こうした際に旅団前方医療施設が治療できない重傷者等を治療する為の施設、これが戦闘支援病院CSHです。戦闘支援病院CSHがあれば、感染爆発を封じ込め得る。
相模原の陸軍事前集積貯蔵 APSは、少なくとも武漢市で中国衛生当局が十日間で建設を進める臨時病院施設、その同等以上の備蓄を、在日米軍が有しているのですね。ただ、有事の際、つまり感染爆発の際に自動的に提供されるものではありません、日本国内にこうした装備がある、という認識を厚生労働省が認識する事が最初に必要といえるでしょう。
戦闘支援病院CSH。600床の病床とともに手術施設を中心に旅団前方医療施設等では対処出来ない重篤患者受け入れを想定し、酸素吸入装置や陰圧テントと浄水施設や発電装備を有する、移動式の病院です。陰圧テントは疾病対策では指定伝染病感染者の呼気等が外部に流失しないよう圧力を調整するものですが、軍用陰圧テントは生物兵器対処を想定する。
戦闘支援病院CSHは10室の手術室を有し、これは戦闘受傷など外科を想定している為です。テントと云いますと脆弱なものを連想するかもしれません、しかし、風速25m/sまでは耐えられる硬質素材を採用しており、黄色ブドウ球菌など院内感染への対策も抗菌素材多用等で充分です。これを日米相互役務協定に基づき緊急供与を要請する、事も可能だ。
パンデミーに際して、初期のうちに封じ込めることができれば、中国は失敗しつつあるが、社会への影響を最小限とできます、が、いったん感染爆発が発生するならば、新幹線全面運休や強制操業停止措置に集会禁止や学校無期限閉校といった措置が必要となります、これは絵空事ではなく、実際に新型インフルエンザの際にシミュレートされた事なのですね。
緊急医療拠点。重要なのは設備をどこに配置するかを事前に調整する必要がある点です、例えば東日本大震災では仮設住宅設置場所を巡って相当に遅延しました、二日で設置できる施設の場所選定に数週間を要しては手遅れです。隔離容易で大規模な平地、例えば高速道路の巨大サービスエリアなどを接収する準備が出来ていれば、戦闘支援病院CSHが拓く。
CSHを迅速に展開し、感染拡大を封じ込める。ただ、大学キャンパスなどを閉校し接収するという選択肢はあるよう思えますが文教地区は住宅街と隣接しており不適切です。ショッピングモールなどは一見広大な駐車場から候補地となり得るよう思えますが、地域物流の拠点でもあり逆に感染拡大の懸念が生じます、こうした観点からも立地の選択は重要だ。
高速道路の巨大サービスエリアなどは接収する緊急措置さえ採れるならば、理想的な戦闘支援病院CSH展開の立地といえるでしょう。サービスエリアは交通の結節点にあり、救急搬送を高速道路から迅速に実施でき、また駐車場が十分に確保されているため、臨時ヘリポートとして自衛隊機空中物資搬入やドクターヘリによる航空救急搬送も可能となります。
高速道路サービスエリアはその上で、電力や水の供給では余力がありますし、給食設備や冷蔵施設まで十分ある。感染拡大防止に重要な隔離という視点からは十分であり、高速道路が運行している状況でもこれだけ離れているならば感染の懸念はありませんし、基本的に住宅街からも飛沫感染はもちろん空気感染の懸念が及ばないほどに距離があります。
高速道路の巨大サービスエリア以外にも地方空港のエプロン施設、巨大港湾のコンテナターミナルや郊外大型総合商業施設駐車場、大規模競技場施設、地域ごとに最悪の状況を想定し、接収する特別措置法の準備を行うか、内々の内に政令指定都市を中心に個々の地域ごとの立地調整を行う、そうした必要もあるでしょう。次の段階を考慮すべき時でしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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新型コロナウィルス2019-nCoVによる新型肺炎は感染者数が爆発的に増大し2003年新型肺炎SARSの感染者数を越えました。
PHEIC公衆衛生上緊急事態、WHO世界保健機関が宣言しました。1月23日の時点でWHOは中国政府が発表した情報からPHEIC発令を見送りました。しかし、WHO緊急専門家会議が招集された20日、僅か10日前の新型肺炎患者は200名、死者3名となっていました。わずか十日にして、感染者は10000万に迫り死者は200名を越えた、来週はどうなるか。
アメリカ国務省は中国全土への渡航中止勧告を発令、国務省が発令する最大規模の警告です。また我が国外務省も時を同じくして中国全土に渡航延期勧告を発令しました。中国政府の措置は突然の大都市武漢封鎖、これはパニックを誘発すると共に外国人保護が後回しとなっており、日米に続き各国が自国民救出へチャーター機を運航している状況です。
PHEIC,これは重要な意味を持ちます。民主主義であり立憲主義国家においては非常事態法制を発動し人権を制限する事は簡単ではありません、しかし、疾病対策には人の移動の制限や集会の制限、仮に悪用された場合には懸念すべき事態となり発動条件が難しい。しかしPHEICは各国政府が一つの判断目安と出来得るものであり、非常措置が疾病を防ぐ。
PHEIC,我が国では安倍総理大臣がPHEIC発動を受け、指定感染症に指定された新型コロナウィルス肺炎を本来の周知期間などの手続きを省略し、明日1日より強制隔離を含めた強い措置を採れるよう非常態勢に移行すると共に、外務省は中国全土を渡航中止勧告に指定しました。PHEIC発令前であれば、日中経済損害が大きく大変な批判が在ったでしょう。
PHEIC発動、しかし中国の習主席はWHOテドロス事務局長との会談において、PHEIC発動への懸念を表明すると共に、中国国内からの外国人脱出にも懸念を示しており、中国政府は近く国外ダシュツ以外の選択肢を提示するとの方針を示唆しています。今後は武漢以外からの邦人救出を検討した際、PHEICを契機として何らかの影響が、懸念されます。
現段階では国内感染爆発の懸念はありません、この為にいわば巨大地震と同じような万一に備える、という視点から本論はお読みいただければ幸いです。日本国内での感染爆発という懸念すべき状況となった場合、通常の病院施設では収容能力が飽和状態となる可能性が非常に高い。発熱外来や指定医療機関も一日千単位の検査には対応する事はできません。
日中航空航路封鎖や空港の閉鎖、日本には中国や北朝鮮が執るような非常措置を執るには憲法上の制約があり、特に中国からの入国者を完全遮断するというような措置はとれません。また、憲法に示される公共の福祉のための人権との関係ですが、中国が武漢封鎖を行ったような、たとえるならば京阪神封鎖というような措置、現行法では流石に難しいでしょう。
A/H1N1新型インフルエンザ、しかし過去を回顧しますとWHO世界保健機関が前回2009年に公衆衛生上の非常事態宣言PHEICを発令した際には、コンサートや観劇などのイベント自粛要請が出され、第3師団祭も中止されました。幸い新型インフルエンザA/H1N1は危惧されたような高い致死率は無く、過去実例と今回に繋がる教訓はできているのですね。
1000床野外病院緊急建設。政府は武漢封鎖とともに拡大し続ける新型コロナウィルス感染拡大を前に十日間で郊外を整地し1000床野外病院緊急建設に着手しました。最初のものは2月2日までに完成、収容を開始するとの事。感染が繰り返されれば感染力が強まる懸念があり、隔離施設を短期間で構築する必要があります。しかし日本にはこうした備蓄はない。
在日米軍には、戦闘支援病院CSHという資材があります。感染症隔離を想定したものではありませんが、湾岸戦争規模の大規模戦争、当初湾岸戦争では死傷者1万8000名を見越していました、こうした際に旅団前方医療施設が治療できない重傷者等を治療する為の施設、これが戦闘支援病院CSHです。戦闘支援病院CSHがあれば、感染爆発を封じ込め得る。
相模原の陸軍事前集積貯蔵 APSは、少なくとも武漢市で中国衛生当局が十日間で建設を進める臨時病院施設、その同等以上の備蓄を、在日米軍が有しているのですね。ただ、有事の際、つまり感染爆発の際に自動的に提供されるものではありません、日本国内にこうした装備がある、という認識を厚生労働省が認識する事が最初に必要といえるでしょう。
戦闘支援病院CSH。600床の病床とともに手術施設を中心に旅団前方医療施設等では対処出来ない重篤患者受け入れを想定し、酸素吸入装置や陰圧テントと浄水施設や発電装備を有する、移動式の病院です。陰圧テントは疾病対策では指定伝染病感染者の呼気等が外部に流失しないよう圧力を調整するものですが、軍用陰圧テントは生物兵器対処を想定する。
戦闘支援病院CSHは10室の手術室を有し、これは戦闘受傷など外科を想定している為です。テントと云いますと脆弱なものを連想するかもしれません、しかし、風速25m/sまでは耐えられる硬質素材を採用しており、黄色ブドウ球菌など院内感染への対策も抗菌素材多用等で充分です。これを日米相互役務協定に基づき緊急供与を要請する、事も可能だ。
パンデミーに際して、初期のうちに封じ込めることができれば、中国は失敗しつつあるが、社会への影響を最小限とできます、が、いったん感染爆発が発生するならば、新幹線全面運休や強制操業停止措置に集会禁止や学校無期限閉校といった措置が必要となります、これは絵空事ではなく、実際に新型インフルエンザの際にシミュレートされた事なのですね。
緊急医療拠点。重要なのは設備をどこに配置するかを事前に調整する必要がある点です、例えば東日本大震災では仮設住宅設置場所を巡って相当に遅延しました、二日で設置できる施設の場所選定に数週間を要しては手遅れです。隔離容易で大規模な平地、例えば高速道路の巨大サービスエリアなどを接収する準備が出来ていれば、戦闘支援病院CSHが拓く。
CSHを迅速に展開し、感染拡大を封じ込める。ただ、大学キャンパスなどを閉校し接収するという選択肢はあるよう思えますが文教地区は住宅街と隣接しており不適切です。ショッピングモールなどは一見広大な駐車場から候補地となり得るよう思えますが、地域物流の拠点でもあり逆に感染拡大の懸念が生じます、こうした観点からも立地の選択は重要だ。
高速道路の巨大サービスエリアなどは接収する緊急措置さえ採れるならば、理想的な戦闘支援病院CSH展開の立地といえるでしょう。サービスエリアは交通の結節点にあり、救急搬送を高速道路から迅速に実施でき、また駐車場が十分に確保されているため、臨時ヘリポートとして自衛隊機空中物資搬入やドクターヘリによる航空救急搬送も可能となります。
高速道路サービスエリアはその上で、電力や水の供給では余力がありますし、給食設備や冷蔵施設まで十分ある。感染拡大防止に重要な隔離という視点からは十分であり、高速道路が運行している状況でもこれだけ離れているならば感染の懸念はありませんし、基本的に住宅街からも飛沫感染はもちろん空気感染の懸念が及ばないほどに距離があります。
高速道路の巨大サービスエリア以外にも地方空港のエプロン施設、巨大港湾のコンテナターミナルや郊外大型総合商業施設駐車場、大規模競技場施設、地域ごとに最悪の状況を想定し、接収する特別措置法の準備を行うか、内々の内に政令指定都市を中心に個々の地域ごとの立地調整を行う、そうした必要もあるでしょう。次の段階を考慮すべき時でしょう。
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