■特報:世界の防衛,最新論点
戦車は何時の戦争でもその時代は終わったと揶揄されつつ戦闘が進むと共に結局は主役の座が不動である事を気付かされるのですが、アメリカのエイブラムスシリーズについての最近の動向を纏めました。
アメリカのジェネラルダイナミクスランドシステムズGDLS社はエイブラムスXというM-1エイブラムスシリーズ最新型を提案しました、これは評価支援用車両と概念実証車のテスト画像を示したもので、1980年代から改良を重ね主砲の換装や装甲の換装に抜本的な戦闘情報システムの更新を繰り返したM-1エイブラムスシリーズの次世代への進化です。
エイブラムスXは無人砲塔を採用しており、当然の帰結として自動装填装置を採用しています。また動力はガスタービンのハイブリッド電動動力方式に転換し燃料消費効率を50%向上させるとともに、車体そのものを開発以降一貫して防御力強化の代償に重量増大が続いていたのに対し、構造刷新と軽量化による戦略機動性の向上などを盛り込んでいます。
M-1A2-SEPv4としてM-1エイブラムスシリーズは改良が継続しています、しかしこれらの改修は平時にはオハイオ州の補給処に部品状態で保管されている車体に新型装甲等の追加器材やセンサーを装備し組み立て、改良型としているのに対し、エイブラムスXは完全な新造砲塔などを採用し、文字通り次世代の戦車として位置付けるGDLS社の提案です。
■エイブラムスX戦車
日本では幾度か研究はされたものの実用の域に達していないとして採用されていない無人砲塔は今後どう展開するのでしょうか。
アメリカのジェネラルダイナミクスランドシステムズGDLS社が提示したエイブラムスXについて。車体配置はM-1A2-SEPv3はもちろん、世界の標準的な戦車の形状を踏襲しています、それは装軌式車体に砲塔が配置され、車体部分は前方に装甲と中央部にかけ戦闘室が配置され、車体後部に機関部を配置するというもので一見し無人砲塔には見えない。
無人砲塔は正面装甲部分が低く抑えられている、韓国のK-1戦車を思い起こさせる形状ですが意見して正面装甲は確保され、一定程度の攻撃では戦闘能力を喪失しない構造が見て取れます。なお、無人砲塔を示すように元来M-1戦車では車長用と装填手用ハッチの置かれた位置に複合光学装置を備えた独立潜望鏡が配置され、砲塔上には遠隔操作銃搭がある。
砲塔側面には大きなバルジが配置されており、周辺部を監視するセンサーなども確認できる事から、アクティヴ防護装置か無人航空機格納庫が置かれ、MUM-T有人無人協同戦闘に配慮した構造です。一方、ロシアのT-14戦車等と比較し車体部分に不自然な大きさなどは無く、他方でRWS遠隔操作銃搭は大型であり30mm機関砲などを搭載可能と見られます。
■アメリカ陸軍協会
エイブラムスシリーズは改良を重ね第一線の水準を維持し続けてきたために次の戦車に乗り換える時機には悩ましいものがあるようです。
アメリカ陸軍協会年次総会においてエイブラムス戦車の後継戦車についての分科会が開かれました。M-1エブラムス戦車の改良型については、既に現行最新型であるM-1A2-SEPv3に続きM-1A2-SEPv4が2023年にも完成する見込みとなってますが、既存のM-1戦車の改良ではなく、今回話し合われたのはM-1エイブラムスそのものの後継だ。
M-1A2-SEPv4の次には改めてM-1A2-SEPv5を開発するのか、もしくはまったく別の新型戦車を開発するのか、シンポジウムでは陸軍地上戦闘システム計画の統括官であるグレンディーン少将が、その必要性の有無を含めて研究や評価試験と実験を行う為の予算を組み立てていると発言、この背景にはウクライナ戦争における戦車の運用が反映されるという。
ウクライナ東部の戦闘について、在欧米軍第1歩兵師団はポーランドやリトアニアなどNATO同盟国と共にウクライナでの戦訓を蓄積しており、戦場でのマニューバにおける車体重量軽量化の必要性、また逆に戦車の脆弱性は戦場のどういった状況で露呈するかを検証しているといい、他方、情報が多く2025年頃まで分析に要するという見方を示しました。
■陸軍地上戦闘システム計画
戦車は脆弱かもしれないが装甲車はもっと脆弱であり戦車がこうした装備を守り脆弱性を抑える努力こそが重要、人命が掛かっている為の意見といえる。
アメリカ陸軍協会年次総会においてエイブラムス戦車の後継戦車についての分科会では戦車の将来戦場における重要性が強調されました。ウクライナ戦争の最中に行われた総会において、陸軍地上戦闘システム計画の統括官であるグレンディーン少将は、戦車が状況次第で脆弱である事を認めつつ、しかしトラックは更に戦場では脆弱だと強調しています。
グレンディーン少将は戦車がウクライナの戦場においてロシア戦車の無人航空機や対戦車ミサイル等による損害を受け一部に今度こそ戦車の時代は終焉を迎えたとの仮説に対し、トラックでの輸送は更に脆弱性が高く、これにより兵士が防護されない事により部隊や作戦行動そのものが脆弱の影響を被るとし、機甲部隊では今後必要な施策を整理しました。
戦車についての懐疑的な視点は、特に現在では戦車や装甲戦闘車無しでどのような戦術が組み立てられるかに比重が大きくなっており、この部分を突き詰めるよりも戦車や装甲戦闘車を防護する技術を発展させ更に高い機動性を与える改良を行う事で、敵対勢力に対して戦略的な障壁や戦術面の困難を抑止力として突き付けられるとの見解を示しました。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
戦車は何時の戦争でもその時代は終わったと揶揄されつつ戦闘が進むと共に結局は主役の座が不動である事を気付かされるのですが、アメリカのエイブラムスシリーズについての最近の動向を纏めました。
アメリカのジェネラルダイナミクスランドシステムズGDLS社はエイブラムスXというM-1エイブラムスシリーズ最新型を提案しました、これは評価支援用車両と概念実証車のテスト画像を示したもので、1980年代から改良を重ね主砲の換装や装甲の換装に抜本的な戦闘情報システムの更新を繰り返したM-1エイブラムスシリーズの次世代への進化です。
エイブラムスXは無人砲塔を採用しており、当然の帰結として自動装填装置を採用しています。また動力はガスタービンのハイブリッド電動動力方式に転換し燃料消費効率を50%向上させるとともに、車体そのものを開発以降一貫して防御力強化の代償に重量増大が続いていたのに対し、構造刷新と軽量化による戦略機動性の向上などを盛り込んでいます。
M-1A2-SEPv4としてM-1エイブラムスシリーズは改良が継続しています、しかしこれらの改修は平時にはオハイオ州の補給処に部品状態で保管されている車体に新型装甲等の追加器材やセンサーを装備し組み立て、改良型としているのに対し、エイブラムスXは完全な新造砲塔などを採用し、文字通り次世代の戦車として位置付けるGDLS社の提案です。
■エイブラムスX戦車
日本では幾度か研究はされたものの実用の域に達していないとして採用されていない無人砲塔は今後どう展開するのでしょうか。
アメリカのジェネラルダイナミクスランドシステムズGDLS社が提示したエイブラムスXについて。車体配置はM-1A2-SEPv3はもちろん、世界の標準的な戦車の形状を踏襲しています、それは装軌式車体に砲塔が配置され、車体部分は前方に装甲と中央部にかけ戦闘室が配置され、車体後部に機関部を配置するというもので一見し無人砲塔には見えない。
無人砲塔は正面装甲部分が低く抑えられている、韓国のK-1戦車を思い起こさせる形状ですが意見して正面装甲は確保され、一定程度の攻撃では戦闘能力を喪失しない構造が見て取れます。なお、無人砲塔を示すように元来M-1戦車では車長用と装填手用ハッチの置かれた位置に複合光学装置を備えた独立潜望鏡が配置され、砲塔上には遠隔操作銃搭がある。
砲塔側面には大きなバルジが配置されており、周辺部を監視するセンサーなども確認できる事から、アクティヴ防護装置か無人航空機格納庫が置かれ、MUM-T有人無人協同戦闘に配慮した構造です。一方、ロシアのT-14戦車等と比較し車体部分に不自然な大きさなどは無く、他方でRWS遠隔操作銃搭は大型であり30mm機関砲などを搭載可能と見られます。
■アメリカ陸軍協会
エイブラムスシリーズは改良を重ね第一線の水準を維持し続けてきたために次の戦車に乗り換える時機には悩ましいものがあるようです。
アメリカ陸軍協会年次総会においてエイブラムス戦車の後継戦車についての分科会が開かれました。M-1エブラムス戦車の改良型については、既に現行最新型であるM-1A2-SEPv3に続きM-1A2-SEPv4が2023年にも完成する見込みとなってますが、既存のM-1戦車の改良ではなく、今回話し合われたのはM-1エイブラムスそのものの後継だ。
M-1A2-SEPv4の次には改めてM-1A2-SEPv5を開発するのか、もしくはまったく別の新型戦車を開発するのか、シンポジウムでは陸軍地上戦闘システム計画の統括官であるグレンディーン少将が、その必要性の有無を含めて研究や評価試験と実験を行う為の予算を組み立てていると発言、この背景にはウクライナ戦争における戦車の運用が反映されるという。
ウクライナ東部の戦闘について、在欧米軍第1歩兵師団はポーランドやリトアニアなどNATO同盟国と共にウクライナでの戦訓を蓄積しており、戦場でのマニューバにおける車体重量軽量化の必要性、また逆に戦車の脆弱性は戦場のどういった状況で露呈するかを検証しているといい、他方、情報が多く2025年頃まで分析に要するという見方を示しました。
■陸軍地上戦闘システム計画
戦車は脆弱かもしれないが装甲車はもっと脆弱であり戦車がこうした装備を守り脆弱性を抑える努力こそが重要、人命が掛かっている為の意見といえる。
アメリカ陸軍協会年次総会においてエイブラムス戦車の後継戦車についての分科会では戦車の将来戦場における重要性が強調されました。ウクライナ戦争の最中に行われた総会において、陸軍地上戦闘システム計画の統括官であるグレンディーン少将は、戦車が状況次第で脆弱である事を認めつつ、しかしトラックは更に戦場では脆弱だと強調しています。
グレンディーン少将は戦車がウクライナの戦場においてロシア戦車の無人航空機や対戦車ミサイル等による損害を受け一部に今度こそ戦車の時代は終焉を迎えたとの仮説に対し、トラックでの輸送は更に脆弱性が高く、これにより兵士が防護されない事により部隊や作戦行動そのものが脆弱の影響を被るとし、機甲部隊では今後必要な施策を整理しました。
戦車についての懐疑的な視点は、特に現在では戦車や装甲戦闘車無しでどのような戦術が組み立てられるかに比重が大きくなっており、この部分を突き詰めるよりも戦車や装甲戦闘車を防護する技術を発展させ更に高い機動性を与える改良を行う事で、敵対勢力に対して戦略的な障壁や戦術面の困難を抑止力として突き付けられるとの見解を示しました。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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