■名優の余命 秒読み段階
高度経済成長を支えた一翼に、新幹線と寝台特急を挙げることに異論を唱える人は少ないだろう。体制の軍事化と世界大戦における躍動、一転し敗戦の焦土、復興と高度成長。そのどの場面にも、鉄道がもたらす鼓動は列島を動脈の如く駆け抜け、今に至る。
鉄道線は東京を中心に明治から着々と広がり、幹線鉄道が結ぶ大都市を中心に私鉄網と鉄道省線近郊線が広がった。人口密度は高く、山岳が多く、四方を海に囲まれ、弧状に広がる列島。人の移動を結ぶのは船舶でも航空機でもなく、鉄道であり、技術革新とともに速度を速め、一時は世界有数の軍事大国、そして今日では世界有数の経済大国としての地位を確固たるものとした。しかし、主役は老いれば入れ替わるもの。高度経済成長を支えた東京エキスプレスの名優たちも、そろそろ引退の時期が近付いてきた。
新幹線0系は、現在、山陽新幹線の『こだま』号運行をして短縮編成が現役であるが、これは今年11月には全車除籍となる見込み。これに関連して、六月ごろから現行の山陽新幹線塗装から、デビュー当時の純白に青いストライプという塗装に戻る見込み。0系の運行は、N700系導入に伴うダイヤ見直しにより激減しており、いよいよ、日本鉄道史上空前絶後の名車と謳われた0系新幹線も終着駅が近付いている。
3月15日のダイヤ改正により廃止となる寝台特急“なは・あかつき”号。大阪と九州を結ぶブルートレイン。いわゆる九州ブルートレインは、山陽新幹線開業までの間、東京・大阪間を結ぶ新幹線の大阪早朝発に連絡する重要な交通手段であったが、現在は“なは。あかつき”号と東京乗り入れの“富士・はやぶさ”号のみ。まず、“なは・あかつき”号が3月15日に廃止となる。
東京エキスプレスというべき、大阪と東京を結ぶ寝台急行『銀河』も3月15日廃止。ブルートレインがまた一つ減る。最終列車の早い新幹線を補完する寝台急行として長い歴史をもつ列車ながら、幅75㌢、仕切りはカーテンのみというB寝台でもビジネスホテル並の寝台料金が必要であり、時代の変化に対応できなかったことから利用者が減少し、ついに廃止の憂き目となった。割高な寝台料金と割引制度の不備やソロB寝台の無設定が遠因。割安なノビノビシートやレガートシートを装備していれば少なくない需要があったはずなのだが。
C.ジョニー氏からお教え戴いた情報では、『雷鳥』に用いられる485系が来年から2011年にかけて順次、『サンダーバード』に用いられる683系の新系列車輌により置き換えられる構想とのこと。485系自体も老朽化が否めず、遠く無い将来、新型車両により置き換えられるのだろう。国鉄特急車輌の代名詞として、地方と都市や新幹線の未整備区画を結んだ485系も終着駅が近付いているということか。
■鉄道関連情報
鉄道に関する最近の様々な話題を、独断と偏見と写真フォルダの在庫に基づき列挙したい。
500系新幹線。山陽新幹線地区での短縮型『こだま』号運行本格化。9編成ある500系新幹線のうち、5編成を8両編成に短縮し、運行されるが、既に一部では16両編成のまま『こだま』号運行が行われている。短縮編成による『ひかり』号運行も行われるので、座席は基本的に2・3の五列方式を採用。短縮編成運行開始は来年度からとされている。なお、『のぞみ』号運行は激減するものの維持される。
名鉄7000形パノラマカー。C.ジョニー氏からの情報では現在残る6輌編成七本が秋までに、4輌編成六本も2009年6月までに全廃の見込み。中部国際空港と犬山経由岐阜行きなどで運行が多いが、こちらは三月のダイヤ改正でどうなるかが未知数とのこと。
京阪電鉄7000系の話題。京阪電鉄『きかんしゃトーマス』編成が1月27日にさよなら運転を行ったとのこと。京阪本線などで特急から急行、普通電車などで運行されていた特別塗装の7000系であるが、「ありがとう また会う日まで」とヘッドマークを掲げ、さよなら運転。石坂山本線で運行されていた700系特別塗装車も、さよなら運転を実施。これらの車輌は通常塗装に戻されて運用される。
南海電鉄7000系の話題。塩害に揺れる去就。南海本線で運行される7000系は、導入が1963年からと、古く、特急『サザン』自由席車から支線ワンマンカーとしてまで幅広く運行されているものの、本線や空港線など臨海部の運行が多い為塩害による車体腐食が問題化している。まもなく営業運転が開始される8000系の投入により、今後の動向が注目される。
名鉄7000形の除籍に関する今後の見通し、京阪7000系の特別塗装車さよなら運転、南海7000系の塩害腐食と後継車両登場に関する話題。その心は!?
パノラマカー廃止に困ってやった、7000形の話題なら何でも良かった。後悔はしていない・・・。寒くなったところで次の話題。
明るい話題。米原駅改良工事がようやく一段落しました。いやあ、物凄く時間掛かってて、何年掛かるんだよ!と、実際、運転士&車掌のボヤきが聞こえて来るのだが、ようやく、一部工事が完了したようで。しかし、いままでの跨線橋部分が工事に入る関係で使えなくなって、ホーム停車部分が変更になった。
敦賀~福井駅間などで多く運用されている419系電車。もともと寝台電車用の車体を用いた旧国鉄急行型車輌として知られているが、貫通扉を有していた車輌のヘッドマーク部分の閉塞工事が一部の車輌に行われたとのこと。419系に予算を投入してこうした工事を行うということは、投資を回収できる程度には、まだまだ当分の間、運用を続けるのかな、と。なお、改造された車輌は福井~金沢間での運行に用いられるとのこと。
JR東日本209系の廃車回送開始、昨年12月の話題だが、浦和電車区の209系が廃車回送として長野に送られたとのこと。貫通扉の無い洗練されたデザインで知られる209系であるが、低コスト化のために一部の予備機器を省略している為、現役寿命が少ない車輌。廃車回送とともに新型車輌E233系の系列車に置き換えられつつある。
京浜急行電鉄1000形が大師線にも導入。まあ、これは京浜急行電鉄の塗装がどことなく名鉄に似ていて親近感があるのと、絶頂期の阪急や京阪並みに特急が停車駅を限定して快走する点から最後の関西私鉄、といわれ、特急料金が不要な特急を運行しており、加えて横須賀基地を見学に行く際にはお世話になっている京急の話題ということで掲載。
以上、鉄道に関する話題を関心事項に合致したものだけ厳選して掲載した次第。
HARUNA
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