北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

令和四年度十月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2022.10.01-2022.10.02)

2022-09-30 20:16:57 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 秋が漸くと実感する程に夜が涼しくなってまいりましたが皆様いかがお過ごしでしょうか、今週末の行事予定の紹介です。

 今週末は自衛隊関連行事が目白押し、方面隊行事に練習艦一般公開と旅団祭に地対艦ミサイル連隊、いろいろと執り行われまして、中には事前応募が必要な行事もあるのですが、久々に一般公開が行われる行事もあり、特に本州の戦車部隊全廃の動きなどを受けての再編、今見ておかなければ防衛力の概要を知る事もできなくなる転換期の部隊もあります。

 中部方面隊創設62周年記念行事、完全一般公開により行われます。西日本と四国地方全域を防衛警備管区として受け持つ中部方面隊は京都市に大阪市と神戸市や名古屋市に広島市と岡山市など大都市が数多く並び、首都圏と並ぶ政経中枢地域を担当するとともに長大な山陰若狭北陸地方の日本海沿岸は対岸に北朝鮮を睨む沿岸防備の重責も担う方面隊です。

 伊丹駐屯地にて行われます中部方面隊創設62周年記念行事、しかし今年度は例年阪急伊丹駅とJR伊丹駅から運行されているシャトルバスが運行されませんので、路線バスを利用する必要がありますのでご注意ください。第3戦車大隊は今年度末の師団改編により廃止改編が待っていまして、年々少なくなる74式戦車を記憶する機会、大丈夫かと思う機会だ。

 第5旅団創設18周年・帯広駐屯地創設71周年記念行事が、10月2日に事前応募制により開催されます。北海道の道東地域を防衛警備管区として受け持つ旅団で、90式戦車を基幹とする戦車大隊と機械化された普通科連隊などを基幹としていますが、年々進む即応機動連隊へ装甲車を抽出されており、遠くない将来に装備の強化を考えねばならない部隊です。

 美唄駐屯地創設45周年記念行事、第2地対艦ミサイル連隊が駐屯しています。陸上自衛隊の指標と共にロシア軍北海道上陸を阻止する決戦兵力といえるのが地対艦ミサイルなのですが、美唄駐屯地はあの2011年東日本大震災により自衛隊行事が全面中止となった後に最初に駐屯地記念行事を再開した部隊です、そしてこのミサイルは2011年に撮影したもの。

 第77回国民体育大会いちご一会とちぎ開会式ブルーインパルスが栃木の宇都宮市上空を飛行します、国民体育大会開会式に併せてのもので、飛行は明日10月1日土曜日の1415時とのこと。国体に併せての飛行は祝賀飛行であり、航過飛行が中心ですので航空祭のような飛行展示ではないのですが、ブルーインパルスを見上げられる貴重な機会でしょう。

 航空自衛隊関連では佐渡分屯基地開庁67周年記念行事と饗庭野分屯基地開庁50周年記念行事が行われます、佐渡分屯基地は第46警戒隊のレーダーサイトなのですが、少々行く際には離島という事で交通に留意が必要かもしれません。饗庭野分屯基地は滋賀県高島市、ペトリオットミサイル部隊の第12高射隊が展開、夏に行われた行事とは別の基地祭です。

 富山駐屯地創設60周年記念行事、施設中隊中心の百数十名という規模ではありますが分屯地でなく駐屯地だ。砺波市の駐屯地で大きな舞台ではないのですが精一杯の行事が行われます、駐屯しているのは第7施設群隷下の第382施設中隊で、元々は地区施設隊の駐屯地という歴史がありまして業務隊と基地通信分遣隊が駐屯している地域密着型の駐屯地です。

 徳島航空基地祭、もう一つは徳島教育航空群の展開している徳島航空基地の航空祭です、一応今週末唯一の航空祭ということになるのでしょうか、TC-90練習機を運用していまして派手な展示ではなくゆったりとした地上展示中心の行事です。この他、函館港練習艦かしま練習艦しまかぜ一般公開がありまして、お時間などは地本HPをご確認ください。

 COVID-19は感染者数がおちついているものの、致死率が0.3%と、これは季節性インフルエンザと比較し非常に高い水準で推移している点が非常に気になります。29日の新規感染者数は4万2173名、全国の感染者数が8月でいう東京都の感染者数程度に収まっていまして、これはある種、手堅い感染対策の勝利といえるのかもしれません、が死者数が多い。

 4万2173名に対して死者数は127名、これはピーク時の四割以下まで抑えられてはいるのですが、死亡率を計算しますと0.3%、これも当初の致死率1.9%と比較するならばかなり抑えられた数字といえるのかもしれませんが、しかし季節性インフルエンザは0.1%を越えることはまず無く、実質0.009%ということを考えますと、0.3%はかなり高いのではないか。

 オミクロン株対応ワクチンの接種が開始されていますので、この数字も徐々に低下してゆくことを期待したいのですが、インフルエンザよりも遙かに高い感染力と、そしてこの致死率はやはり、インフルエンザを遙かに越える致死率となっています。感染対策、しかし結局は日本ではこの0.3%という数字をいつかは受け入れねばなりません。ただ、今なのか。

 ただ、感染対策を徹底して押さえ込む、少なくとも現状の対策を継続しない限り、例えば学校でいえば30名学級で毎年流行するとして、両親にも感染が広がるならば数年に一名程度は児童生徒本人かその両親のいずれかがクラスから消える、0.3%というのはその数字なのですね。感染拡大を押さえ込む努力をするならば、納得はできるのだが数字が大きい。

 コロナ孤児問題、回避しなければならないのは、わたしの経験が特殊なのかもしれませんが、わたしが子供の頃に義務教育期間中、クラスメイトが風邪で死亡することも風邪で両親のどちらかを失ったということはありませんでした、風邪というものは罹患すると苦しいが数日だけ、これがふつうの風邪です、しかし孤児となれば苦しみは障害続くのですね。

 異常といえる致死率、0.3%ならば小学校でいえば6学年3クラスとしても毎年一人死ぬくらいではないか、六年間でも六人だ、受け入れてがんばろう、こうした反論があるのかもしれませんが、人命はそれほど軽んじられるほど、日本は出生に余裕があるのだろうか、こうしたことをどうしても考えるのです、故に"まだ"対策は必要なのです。反論は受けます。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・10月2日:第5旅団創設18周年記念行事
・10月2日:美唄駐屯地創設45周年記念行事
・10月1日:函館港練習艦かしま練習艦しまかぜ一般公開
・10月2日:佐渡分屯基地開庁67周年記念行事
・10月2日:富山駐屯地創設60周年記念行事
・10月2日:饗庭野分屯基地開庁50周年記念行事
・10月2日:中部方面隊創設62周年記念行事
・10月1日:徳島航空基地祭

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北朝鮮-二日連続で弾道ミサイル実験,29日2000時頃弾道ミサイル二発を日本海へ発射!我が国EEZ外側に着弾

2022-09-30 07:01:30 | 防衛・安全保障
■臨時情報-北朝鮮ミサイル
 北朝鮮は28日に続き29日にも日本海に向けミサイル実験を実施し2発が着弾しました。

 短距離弾道弾、こう表現しますと長距離弾道弾よりも脅威度が低いように思われるかもしれません。もしこの文章を読まれているあなたが、京都や東京ではなく、ハワイやサンフランシスコにお住まいならば、まさにその通りです、こう説明するのですが、日本本土に居住している場合、短距離弾道弾は射程に関わらず、実は脅威となる可能性があるのです。

 准中距離弾道弾、先ず報道では北朝鮮の我が国EEZ外に落下する弾道ミサイルを多くの場合は短距離弾道弾と報じています、これは防衛省も短距離弾道弾と発表している為に間違いではないのですが、射程については600km程度を飛翔したと発表される為、1987年に米ソで締結されたINF中距離核戦力全廃条約ではもう一段上の装備と見做されるのです。

 INF中距離核戦力全廃条約では短距離弾道弾の射程を550km以下としていますので、600kmの射程は准中距離といい得るのです。そして、近年北朝鮮が試験する短距離弾道弾には不規則軌道を採る極超音速滑空弾試験と思われるものが含まれており、これは日米のミサイル防衛システム等を回避する、若しくは無力化する為の装備開発といえるのです。

 イージスアショア陸上配備型ミサイル防衛システム、元々日本では山口県と秋田県へ建設予定であったものが、迎撃ミサイル発射時のブースターが民有地に落下する可能性が皆無ではないとして、中止されました。筆者の感覚としては、ブースター落下は後日補償の余地はあるが、迎撃しない事により核攻撃に日本本土が曝された場合、大変だ、とは思う。

 極超音速滑空弾試験、さて、日本のイージスアショア建設は棚上げされている状況であり代替手段として水上戦闘艦へ搭載する方針で進められているものですが、極超音速滑空弾試験はミサイル防衛システムそのものを攻撃する手段として開発されているものです、何故なら、ミサイル防衛システムを破壊する事で通常のミサイルにより攻撃の道が開けます。

 朝鮮半島西海岸から朝鮮半島を超える射程で実験している、これも重要な点で、日本海沿岸の東海岸から発射を行わないという事は、敢えて日本を刺激せず日本を射程に収めるミサイルを開発しているという意味です。北朝鮮は核兵器を開発し運搬手段として弾道ミサイル開発を強化している、そのミサイルの中で日本を射程に収めるものを強化している現実を直視しなければなりません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小松-装輪装甲車(改)の再評価【3】MRAPの様に運用できないか?安価である事は利点

2022-09-29 20:10:46 | 先端軍事テクノロジー
■有限な予算と安価な装備
 自衛隊の近接戦闘部隊の規模を考えますと現在の装甲車定数は人命軽視と云わざるを得ず、装甲車の数が必要です。

 装輪装甲車(改)。あの試作車が報道公開された際には、NBC偵察車を無理矢理車体流用して、難しい要求仕様を数字だけ帳尻合わせました印象がありまして、酷い出来の車輛だなあ、と嘆息したものですが、なにしろ、道路運送車両法に対応する車幅を2.5m以内に抑える、IED簡易爆発物に対応できるよう最低地上高を高く採る、全高努めて低姿勢、という。

 NBC偵察車が初公開された際には、車体がかなり大きくなっていた為に目立つなあとは思いましたが、全体として均衡が取れている形状であるとともに車内容積が確実に大きな車体配置が採用され、そして操縦装置は96式装輪装甲車と異なり82式指揮通信車や化学防護車のような運転台と車長席が並ぶ乗用車の配置と重なり、操縦しやすそうにみえました。

 化学学校祭にていろいろお教えいただいた際には、車内には様々な検知装置や分析装置がある為に広々とは言えないものですが、なにしろ搭載している機材が膨大であるだけに元々の車内容積は余裕があり、だからこそ大型トラックに搭載した生物偵察車の器材を装甲車の車内に搭載する事が出来た、と説明されたものでした。車内容積は汎用性に繋がる。

 装輪装甲車(改)に限らずNBC偵察車の小改造型を装甲車として用いる場合、先ず利点は繰り返すようですが安価である点です。安価といっても、パトリアAMVやピラーニャLAVと比べれば数段性能は劣る、といわれるかもしれません。しかし、現状数が必要なのです。防衛予算が無制限にあるならばAMVやLAVを揃えたいところですが、現実的でない。

 輸送防護車。装輪装甲車(改)の取得費用は四輪駆動のオーストラリア製ブッシュマスター耐爆車両より若干高い程度に費用を抑えています。だからこそ、汎用装甲車として揃えられる。もっとも96式装輪装甲車の時点で北海道一部以外の普通科連隊には整備負担が大き過ぎるとのお話しもありまして、第一線部隊では輸送防護車の方が良いのかもしれませんが。

 試作車の第一印象に、難しい要求仕様を数字だけ帳尻合わせました印象がありまして、酷い出来の車輛だなあ、と印象を受けたのは前述の通りですが、要求仕様に無かった、将来発展性に砲塔搭載不能というものはメーカーの小松製作所としても寝耳に水でしょう。もっとも輸送防護車的に補助的に用いるならば、機関砲の砲塔搭載は必須ではありません。

 RWS,武装として考えられるのは12.7mm重機関銃を有する遠隔操作銃塔を搭載することです、もちろんRWSを搭載しますとこれ自体が相応の費用を要しますので車体価格を押し上げることともなりますが、単なる輸送車ではなく、ある程度の近接戦闘に威力を発揮する装甲車両として第一線運用にも寄与するでしょう。考え得るもう一つの要素について。

 普通科連隊の本部管理中隊に装甲輸送小隊を配置し、即応機動連隊以外の普通科部隊装甲化に、寄与する案と考えます。10両程度配備できれば、暫定的に一個中隊を装甲中隊として運用することもできますし、第一線への対戦車ミサイルなどの強行補給にも用いうるでしょう。取得費用は安価ですのでMRAPのように広範に配備できれば理想ですが。

 重迫撃砲中隊の迫撃砲牽引車として。考えられるのは現在高機動車派生の重迫牽引車により機動する120mmRT重迫撃砲を装甲車により牽引することです、これは曳火射撃などの弾幕下でも中隊の生存性を高めることとなります。間接照準火器ですのでそれほど装甲防御は必要ありませんが弾薬を積む容積は必要でNBC偵察車派生は最適な用途といえます。

 NBC偵察車の車体派生型を例えば一例としまして120mmRT重迫撃砲の牽引車に。贅沢を言えば自動迫撃砲システムをそのまま車内に搭載し自走迫撃砲、としたいところではありますが、この場合は製造費用が跳ね上がります。そのまま牽引するのであれば、変な話ですが車両さえ完成するならば、砲はそのまま今からでも牽引させることはできるでしょう。

 VAB軽装甲車。フランス軍が兎に角大量配備しました四輪駆動の傑作軽装甲車ですが、こちらも120mmRTの牽引に活躍しています、120mmRT重迫撃砲はフランスのトムソン社製、歩兵旅団ではVLRA野戦機動車でも牽引されるのですが機械化歩兵部隊ではVAB軽装甲車を牽引に用いていまして、機械化部隊の機動力と防御力にあわせた運用といえます。

 高機動車派生の重迫牽引車と比較し、NBC偵察車派生の車両は防御力は高いのですが、更に車体そのものの発電能力も高いため、特科射撃指揮装置との連接に必要な通信端末を搭載することも可能ですし、RWS遠隔操作銃塔を搭載するならば行軍中に待ち伏せを受けても反撃し撃破できますし、小型無人機による位置暴露を撃墜し阻止可能、有用なのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日独空軍合同訓練-ユーロファイター戦闘機が百里基地到着!日独航空防衛トップはファントムライダー

2022-09-29 07:00:25 | 国際・政治
■日独空軍合同訓練
 日独のファントムライダー同士が日独の空軍、航空自衛隊と連邦軍空軍のトップとなりかつてのファントム発祥の地であり終焉の地である百里に集う、なんかいい話だ。

 茨城県の航空自衛隊百里基地へ28日、ドイツ連邦軍の空軍戦闘機及び輸送機や空中給油輸送機が次々と着陸しました。これは航空自衛隊とドイツ空軍との初の二国間共同訓練の為に展開したドイツ軍部隊の着陸です。ユーロファイターEF-2000戦闘機が3機と航空自衛隊の三菱F-2戦闘機3機が富士山を背景にフォトミッションを実施した後の着陸です。

 ドイツ空軍の今回の訓練は24時間以内の中東地域展開とオーストラリアにおける独豪合同演習の実施、そして日本への飛行というもので、インド太平洋地域への関与を強めているドイツ連邦軍にとり象徴的な演習となっています。そして今回の長距離展開ではドイツ空軍の戦闘機が初めて日本へ展開したもので、これは研究機輸入等を除けば史上初の事です。

 ゲルハルツ空軍総監、ドイツ空軍制服組トップが自らユーロファイター戦闘機を操縦し、航空自衛隊も井筒航空幕僚長がF-2B戦闘機に搭乗し日独航空防衛協力の象徴的な一日となりました。なお、ゲルハルツ空軍総監と井筒航空幕僚長はともにF-4戦闘機を操縦したファントムライダー同士でもあります。なお空軍総監の階級は連邦軍中将となっています。

 ゲルハルツ空軍総監は、1990年から1998年までF-4F戦闘機を運用する第71戦闘航空団において搭乗員や作戦参謀などを歴任、その後は第73戦闘航空団飛行群司令などを歴任していますが、象徴的な職務はメルケル政権時代に削減され過ぎた空軍即応態勢の立て直しを命じられた事で、当時は即応できるユーロファイターが5機という時代もありました。

 2010年代初頭には即応性の低さが問題となり、海軍も稼働できる潜水艦が皆無の時期が有り、戦闘機は5機しか即応できない中で2機が空中衝突し残り3機だと揶揄された事もありました、これは当時ISAFアフガニスタン国際治安支援任務により国防費の多くがアフガニスタン作戦用の軽装甲車や個人防護装備に要した時代があり、総監はこれを建て直した。

 Free and Open Indo-Pacific自由で開かれたインド太平洋構想、さて今回のドイツ空軍来日ですが、一昨日国葬により見送られた安倍元総理大臣が提唱し、いまや国際標準の理念となったFOIP: 自由で開かれたインド太平洋により、欧州地域が二つの大洋であるこの地域へ関与を広めた契機ともなっています。ドイツ軍は海軍艦艇の隔年派遣も発表しており、今後も日独の防衛協力は継続強化されることでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【京都幕間旅情】永観堂,南都六宗三論宗法相宗修めた永観の堂宇彩る椛の木々は紅葉へ夏の熱波を越え秋を待つ

2022-09-28 20:20:25 | 写真
■椛は春待ち桜傍ら秋を待つ
 拝観に歩みを進めますと間もなく中秋は晩秋に向かうという季節の移ろいを実感はするもの。

 永観堂の紅葉、まだまだ先の話と中秋にふと思うところですがここ永観堂が高揚の際に混雑しますのは敢えて触れるまでも無いでしょう。しかし、その由来を聞きますとそもそも此処が永観の時代に浄土教に帰依し、大きな転換を迎えた際、植物との出会いがあった。

 永観さんの時代の国家安泰を願った天台宗や真言宗から浄土信仰への転換は、考えてみますと転換し民衆の支持を集められたかどうかというものが、千年間続く事が出来た寺院なのかどうか、古地図などを視てその上で今の地図を並べますと気付く事でもあるのです。

 薬王寺悲田院として施療院を造営したのは永観の時代なのですが、柿の木や梅ノ木を植えるとともに梅の実などを薬草、強壮薬としても用いていまして、椛の薬用はと問われますと難しい所はありますが、いわば植物と共に在る寺院という価値観を定着させたかたちで。

 椛の永観堂、そしてここは紅葉の季節には物凄い拝観者でもみくちゃにされ、椛を視るのであって拝観するところではないのではないかという切迫感さえ感じるものの、この為の椛の手入れは、英国庭園の春待ちというような準備期間よりも遥かに手が込む準備という。

 春待ち、庭園では緑芽吹くころへの準備というある種楽しみな冬の仕込みではあるのですが、椛は晩秋の彩でありますので、新緑眩しいころからの準備が必要なのですね。春待ちといえば桜の桜花も、と思われるかもしれませんが、桜の開花時期は季節と品種で決まる。

 紅葉は、例えば中秋の季節に桜の木々を巡りますと、そろそろ葉を落として冬支度をと紅葉をしている事に気付かされ驚くのですが、椛一つとっても、日照条件や気温と、それから刈込み具合などでぜんぜんと色合いがちがいますし、なにより夏の温度がものをいう。

 迷彩柄のようにまだらの模様となる事がここ数年続いていますが、紅葉一つとって普通に丹念に手入れされているだけではそれだけ絵見事な紅葉というわけにはいかないのだ、とは永観堂の椛に詳しい方のお話しというものでして、しかしここ十数年、夏が特に暑い。

 暑いのではなく最早熱いのだ、こう表現する他ないのは京都の夏でして、先日の中秋の名月では、こんなものかと思っていた蝉の鳴き声も、少し岐阜基地や小牧基地の周辺などを散策しますと、もうとっくに蝉の季節が終わっていると教えられ、京都の熱の異常さ。

 永観堂では、この異常な、特に東山の強烈な西陽の照射とともに京都盆地の鍋のような蒸し焼きのアスファルト舗装増しを前に、椛には場所によっては覆いで遮蔽し、なかには氷を敷いて温度の上昇を抑える事もあるという。なにそれ凄く行きたくなる、という話です。

 氷を敷くといいましても苔の上にさらりと敷いて温度上昇を抑える程度ですから、氷床一面に涼をというような凄い話ではないのですけれども、まあ、大変な話です。そして、永観堂の椛、植物園や単に椛が多く植えられているところの紅葉というだけではありません。

 歴史と共に在る椛なのだ、こう考えますと、紅葉の季節の雑踏についても暖かい視点で見る事は、いややはりこの季節の少しだけ色づき始めている頃合いを拝観するほうがいいようにも思えるのですが。混雑するというのも、拝観ができる限度があると思いますからね。

 禅林寺永観堂、しかし、この禅林寺が永観堂として親しまれるには、もう少し興味深い出来事が永観さんの時代にありまして、椛の名所として親しまれる寺院は、椛以外こそが季節の移ろいを引き立てている、それが歴史の奥深さと好奇心が広げる世界観だと、おもう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【京都幕間旅情】永観堂,禅林寺永観堂そのはじまりは弘法大師空海の高弟真紹僧都が啓いた京都の真言宗寺院

2022-09-28 20:00:24 | 写真
■東山の青椛に中秋の彩り
 椛がそろそろ色合いを空に映える青色から紅葉の気配を見せ始めますとこの夏があの夏と思い返せるほどに秋の到来を実感する。

 わたしにとってちょっとした恐怖といえるのは永観堂でした、もちろん超常現象的な事が在ったという訳ではなく、ほんの数年前のことです、紅葉の季節に永観堂の紅葉を眺めに久々に行ってみようか、こう考えた次第なのですが、考えが甘かった、大行列でした。

 COVID-19の前の時代、なのですけれどもまず最初に山門の前に伸びる大行列を視まして、続いて警備員の怒号、混雑しているところで写真を撮ろうとした周りの方を牽制する為に、戦場のような、少なくとも富士総合火力演習よりも喧しい騒音と怒号に満ちていたのです。

 紅葉の季節でも、前はこれ程では無かったのだよねえ。そして入場まで1時間半待ちですう、とスピーカーがわんわんがなり立てまして、入場じゃなくて拝観だろう言葉遣いさえできない場所なのか、となにかこうテーマパークのような煩さに、気持ちが遠のいたのだ。

 禅林寺永観堂、ここは東山、京都市左京区永観堂町にあります浄土宗西山禅林寺派の総本山という寺院です。法然さんの金戒光明寺もほど近い故に浄土宗の寺院ではあるのですが、しかし東山のこの地に佇む寺院は驚くほど古い歴史と共に当地に佇んでいます。その歴史とは。

 弘法大師空海の高弟である真紹僧都が、故人となった藤原関雄の山荘を買い取り寺院を起こす事を思い立ったのがその始まりとされています。当時の京都は官寺である東寺と西寺のみを寺院とする、南都奈良での仏教と政治の摩擦を反映した施策が執られていたころ。

 真紹僧都は仁寿3年こと西暦853年、真言宗の修行道場を京都から遠い高野山とともに、この京都にもと願い、毘盧遮那仏と四方四仏を本尊とする真言宗寺院を建立しました、ここは貞観5年こと863年、清和天皇より勅許と禅林寺の寺号を賜わり定額寺となりました。

 禅林寺、ここは永観堂という名で親しまれていますが永観堂の名は中興の祖永観の時代の物でして、禅林寺は清和天皇から賜った山号でもあります。その御寺には7世住持の永観律師の時代を迎えます。永観が受戒したのは齢十一にして禅林寺に入りました僧侶です。

 深観という花山天皇皇子が法主を務めていた西暦1044年に受戒しました永観、今の時代からは不思議に思われるかもしれませんが当時の寺院は国家安寧を願う修行道場という位置づけであり、永観は東大寺において南都六宗の三論宗を修学、続いて法相宗等を修めます。

 藤原頼通が平等院鳳凰堂などを開いた時代、永観は知己を得るなど、いわば当時の仏教としては高僧の地位を目指していたもので、しかし平安朝末期は世界が火山噴火などを受け小氷期を迎える時代、不作続きにより窮乏続く時代でした、すると仏教にも変化の時代が。

 永観はこのころに浄土教に帰依する事となりまして、要するに国家や貴族たちへの祈りから万民の安寧を祈るよう改めた形です、そして日々に一万遍の念仏を日課としまして、康平5年こと西暦1062年には南都の北にあります山城国光明寺に隠棲することとなりました。

 光明寺はしかし修験の同乗としては適していたが寒すぎたようで、永観はここで体を壊す事となりました、そしてこれを機会に浄土教を広く布教するため、延久4年こと1072年、京都に戻りますと得度の地である禅林寺に戻り念仏を勧めることとなったといいます。

 永観堂、こう称されるようになりましたのはこの頃からといいまして、民衆救済には祈るだけではなく薬王寺悲田院として施療院を造営しまして、また柿木や梅ノ木などを植樹しまして薬用に用いる等、民衆に寄り添った信仰へと転換した事が、永観の名を広めました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ズムウォルト横須賀寄港,アメリカ海軍最新鋭!建造費80億ドルの巨大ステルス駆逐艦ズムウォルト級の1番艦

2022-09-28 07:00:01 | 防衛・安全保障
■ズムウォルト横須賀へ
 横須賀に撮影へ行ければ良かったと久々に後悔しますのは、ワクチン副作用休暇中の友人が横須賀でズムウォルト級駆逐艦を撮影したと一報を送ってきた為です。

 ひゅうが型護衛艦をアメリカ海軍に売り込んだ方がズムウォルト級よりも良かったのではないか、こういう特集を前に掲載したものでした。F-35Bを搭載すると制海艦、MV-22を搭載し強襲揚陸艦、MH-60を搭載し対潜中枢艦、MH-53を搭載し掃海母艦と艦載機の交代で多用途に運用出来ます。もっとも実物が横須賀に来ているならば、撮りたいものでした。

 ズムウォルト級駆逐艦は、開発計画の時点では30隻前後が艦隊に配備され、特に斬新なステルス設計と共に155mm艦砲の威力は当時必要とされていた沿岸部における作戦へ大きな威力を発揮すると期待されていました、しかし、実際には155mm艦砲を暫定装備として続いて開発される計画のレールガンは実用化の目処が立たず、搭載兵装も迷走しています。

 80億ドル、結局諸々の計画費用を建造された3隻で三等分しますと、1隻あたり80億ドルという、ニミッツ級原子力空母を上回る建造費になりまして、高すぎるといわれたジェラルドフォード級原子力空母でさえ100億ドルですので、ズムウォルト級は間違いなく世界で最も高価な駆逐艦となりました。いずも型護衛艦と比較しても実に7倍以上の費用です。

 ズウォルト級駆逐艦の能力を大きく制限したもう一つの要素は3隻しか建造されなかった点で、これではズムウォルト級固有のシステムを改修しようと予算を組んだ場合でも、開発費を30隻で分散させる事と、3隻で三等分するのでは負担の大きさがまるで違い、海軍での運用を使い難くさせるのではないかという懸念があります。そして海軍は次の段階へ。

 ズムウォルト級は2023年、つまり来年から現在の155mm艦砲を撤去し、極超音速ミサイル搭載改修を行うとのこと。これはロシアのスラヴァ級巡洋艦の様に一発屋てきな打撃専用艦への転換を意味するところでしょうが、抜本的なステルス設計を採用している為、沿岸部へ少なくともレーダーに対しては見つかり難く浸透できる点で利点が考えられます。

アメリカ海軍はズムウォルト級を佐世保基地へ桟橋を造成するなど、将来の前方展開を強化する方針を示唆しています。今回のズムウォルト横須賀寄港は、今後の西太平洋地域におけるアメリカ海軍の艦隊運用変容の鏑矢となるのか、欧州正面とは異なる海洋安全保障体制の環境が広がる西太平洋地域におけるシーパワーの推移から、目が離せません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【防衛情報】中華民国台湾,最新F-16V戦闘機夜間演習実施と新型の天弓3型地対空ミサイルを報道公開

2022-09-27 20:02:08 | 防衛・安全保障
■特報:世界の防衛,最新論点
 中華民国台湾について中国軍事演習への対抗といえる新装備の発表がありました。

 台湾空軍は8月17日、戦闘即応演習としてアメリカから導入した最新鋭のF-16V戦闘機による夜間演習を発表した。この訓練は台湾花蓮県の花蓮空軍基地において実施され、F-16V戦闘機6機の同時発進が行われている。この基地では翌日に新型の天弓3型地対空ミサイルの報道公開が行われており、対抗演習における報道拠点の役目を担ったといえる。

 F-16VはF-16戦闘機のBlock70とBlock72を示す名称で、当初は廉価な戦闘機で在ったとの印象のあるF-16は年々強力な改良型が開発される一方、改良とともに費用の増大に見舞われている。自衛隊のF-2戦闘機と比較されたBlock52は過去のものとなり、ロッキードマーティン社では新型を強調すべくF-16E/Fの呼称を用いたが、更に一歩進めたもの。

 F-16Vはロッキードマーティン社が製造する戦闘機では第五世代戦闘機であるF-35戦闘機に準じる性能を持ち、AN/APG-83AESAレーダーを搭載するとともに機体フレーム強化設計により耐用飛行時間が12000時間に延伸、エンジンも強力なF100-PW-229を積む。台湾はF-16V戦闘機をを66機導入する方針であり、既に導入したF-16の改良も急いでいる。
■天弓3型地対空ミサイル
 天弓3型地対空ミサイルという新型ミサイルが公開されました。

 中華民国台湾国防部は新型の天弓3型地対空ミサイルを報道公開した。天弓3型は2022年8月18日、台湾花蓮県の花蓮空軍基地で報道陣に公開された。天弓3型は中華民国台湾が国産開発した地対空ミサイル天弓シリーズの最新型で、これにより旧式化が著しいMIN-23ホーク地対空ミサイル全てをこれからの数年間で置換える事が期待されている。

 天弓ミサイルシリーズは1984年に台北での閲兵式において初公開され、公開された当時はアメリカのペトリオットミサイルよりも優秀とされ、一方で閲兵式当日には当時最新の技術であったアクティヴフューズドアレイ方式のAESAレーダーは完成せずモックアップが行進していた、しかし、現物の開発は遅延を重ね、最終的にペトリオットを輸入する。

 天弓はその後一応のめどが立ち、1993年より配備開始となったが射程は70kmに留まった、この為2002年に改良型の天弓2型が開発され射程を150kmに延伸するとともに射程500kmの短距離弾道ミサイル天戟の母体ともなった。天弓3型は射程を更に200kmへ延伸すると共に、当面の脅威である中国製短距離弾道弾への迎撃能力を付与した新型である。
■Mk.41VLS対応の艦載型
 日本の様にイージスシステムの早い段階での供与が実現した状況とは違う台湾の新しい試み。

 天弓3型地対空ミサイルの報道公開により今後台湾が開発する対空ミサイル体系への影響と、この派生型となる短距離弾道弾の開発は大きな関心事といえよう。地対空ミサイルの弾道ミサイル改修は、例えば韓国の玄武シリーズの原点となる玄武Ⅰ型はアメリカから供与されたナイキハーキュリース地対空ミサイルをそのまま転用したもので、一般的だ。

 天弓3型の一つの特色は天弓2型と異なり発射器を垂直発射可能とした点だ、これは陸上自衛隊が沖縄などに配備する03式中距離地対空誘導弾システムと同様だが、森林やビル街等の錯綜地形から発射できると共に、艦載運用の可能性を示すものとなっている。特に台湾は海軍艦艇に搭載する天弓3型艦載型を試験中である、Mk.41VLSからの運用を見込む。

 Mk.41VLSは標準的な垂直発射装置であるが、台湾では1993年から8隻を導入した成功級ミサイルフリゲイトの搭載するターターシステムの旧式化という問題を抱えており、例えば台湾が過去に実施した第二次大戦型のギアリング級駆逐艦改修の様に成功級へMk.13発射装置に代えMk.41を搭載するならば、相応に強力な防空艦として再生しうるといえよう。
■強弓計画
 台湾では中国の弾道ミサイル脅威にもさらされている最中だ。

 中華民国台湾国防部は強弓計画という天弓3型地対空ミサイル改良型を開発中だ。天弓3型地対空ミサイルの報道公開の実施はそのシステム完成を誇示するものだが、同時にその発展型の開発も今後本格化する事だろう。具体的には射程を延伸し弾道ミサイル迎撃能力を強化するもので、特に8月初旬に中国の実施した演習が開発を加速させる要素となる。

 強弓計画そのものは2014年より推進されており、天弓3型地対空ミサイルは開発時点でミサイル防衛に転用するものであったといい得る。計画では有効射高を70kmまで延伸するといい、この為に現在の単段式ミサイルを二段式ミサイルへ改修する計画といい、今後は天戟戦術弾道ミサイルを転用した標的弾道ミサイルを用いた射撃試験を行う構想とされる。

 中国の軍事演習が加速させる可能性について、中国はアメリカのペロシ下院議長台湾訪問を受け、アメリカを牽制するべく弾道ミサイル演習を強行し、弾道ミサイルは敢えて台北上空を飛翔する経路で台湾東方沖海上へ着弾させる試験を実施している。台湾では国民を安心させるためにはミサイル防衛能力の強化も必要となり、計画の加速が予想されよう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

静岡県が自衛隊へ災害派遣要請-台風15号豪雨による大規模断水と地域孤立受け,発災三日後-危機管理に課題

2022-09-27 07:01:01 | 防災・災害派遣
臨時情報-台風15号静岡災害
 台風による水害から本日で四日目となりました。暴風圏こそなく中心気圧も台風としては大きくは無かった台風15号ですが静岡県を中心に線状降水帯が発生しました。

 静岡県の川勝知事は台風15号による静岡市清水区の興津川取水口閉塞による大規模断水、そして静岡市や川根本町など23の集落が道路に土砂が流れ込むなどして孤立状態となっている状況を受け、自衛隊へ災害派遣要請を出しました。これを受け静岡県を警備隊区として受け持つ第34普通科連隊等が給水支援を開始しています。しかし発災三日後のこと。

 断水は広範囲に及び、清水区では八割の世帯が断水となっています。清水区といいますと政令指定都市の静岡市一街区と思われるかもしれませんが、町村合併以前には清水市という大都市であり、いうならば旧清水市の八割が断水している状況、静岡県は県と海上保安庁などが28の臨時給水所を設置しているとのことですが、不充分との声が上がっています。

 川勝知事は当初災害派遣要請を出さなかった為、断水や交通遮断は短期間で解消されると受け止めていたのですが興津川取水口閉塞は増水した際に流木などが閉塞し26日朝の時点では復旧見通しよりも、状況確認が完了していない状況でした。すると、災害派遣要請を出さない背景には、静岡県の給水車等に余裕が在った為なのか、こう解釈していましたが。

 自衛隊法83条では災害派遣要請は都道府県知事の所管であり、地方自治法2条からも中央が災害派遣要請を代行し発出する事は、地方自治の原則に反します。平成28年度熊本地震では中央が自治体からの具体的要請を待たずプッシュ型支援という支援物資送付を実施した実例はありますが、これは災害派遣要請を受けての事で、ブッシュ型派遣はできません。

 川勝知事の判断ができない状況であったならば、副知事が災害派遣要請を代行する事は可能です、これは実際過去に実例があり、2011年3月11日、宮城県亘理町において町長が津波により死亡した際、副町長が臨時代行した事例があります、ただこれは公職選挙法東日本大震災特例法が根拠で、実質、県知事を政府が越権し要請を出す法律はありません。

 非常事態法制として、地方自治法や自衛隊法を平時から有事の段階へ切り替える法体系も必要なのかもしれませんが、これには憲法改正が必要であり、法治国家である事を重視するならば法律を簡単に乗り越えられない事は理解しているのですが、今回、大規模な死者は出ていないものの、阪神大震災の兵庫県知事を思いだし、大丈夫なのか、と危惧します。

 興津川取水口閉塞の復旧は今月中には無理の見通し、26日午後には静岡市が土曜日以降順次復旧するとの見通しを発表しており、これは言い換えれば9月中の復旧見通しが無い事を示した形です。すると、静岡県は危機管理の面で、被害状況の把握に三日以上を要した事となり非常に拙い状況を示した事となります。静岡県、防災先進県と考えられていた。

 東海地震、静岡県は元々1974年に大規模地震対策特別措置法に基づく想定東海地震の強化地域となっており防災行政は先進的であると考えられていました、しかし、今回の台風15号災害では後手に回り、先ず被害把握から時間を要する事を示した訳であり、地方自治に当る政治家の危機管理意識というものはもう少し真剣に考えるべきといえるでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【防衛情報】フィリピン軍特集-メルカヴァ戦車橋導入と広がる憶測にAW-159対潜ヘリコプター初度作戦能力

2022-09-26 20:01:09 | 防衛・安全保障
■特報:世界の防衛,最新論点
 フィリピン軍の進化は多種多様な装備調達に進んでいる一方で2000年代初頭のナイジェリア軍やケニア軍のように種類だけが増えすぎるのではという関心と共に見守っています。

 フィリピン軍はイスラエルよりメルカヴァMk4-AVLB戦車橋2両を導入しました、これは近年フィリピン軍等で進められる機械化部隊再編により、戦車部隊の半世紀以上ぶりの再編など重装備が増加した為の陸軍工兵機材強化の一環です。なお、車体だけとはいえイスラエルがメルカヴァシリーズを海外へ輸出するのは今回が初めての事例となりました。

 しかし、メルカヴァMk4派生型の戦車橋導入には憶測も浮かんでしまいます、エンジン系統などはメルカヴァMk4そのままであり、整備補給面でメルカヴァの運用能力を得る事となり、将来的にメルカヴァMk3-BIZ等を中古で取得する道も開けます、一方、レオパルド1派生工作車などはレオパルド1採用国以外に採用されるなど、何とも言えぬ一面もある。

 フィリピン軍は現在、装甲戦闘車に砲塔を搭載した軽戦車部隊を運用していますが、かつて運用していた戦車はM-4戦車であり、現在の第四世代戦車は勿論、第一世代戦車や第二世代戦車の運用経験もありません。これは考え過ぎともいえるのですが、フィリピン軍は中古のメルカヴァ戦車を視野に含めているのか、増強急ぐフィリピン軍の関心事でしょう。
■VBTP-MRグアラニ
 自衛隊の96式装輪装甲車に見慣れているとやけに豪華に思えてくる選択肢と思う。

 フィリピン軍はブラジル製VBTP-MRグアラニ装輪装甲車28両を導入します。フィリピン軍は少なすぎる装甲車を補強するべく28両を4700万ドルで取得する方針です。この導入計画はイスラエルのエルビット社が仲介しており、近年のフィリピン軍は装輪自走榴弾砲や工兵車両にミサイルシステムなどイスラエル防衛産業との防衛協力を強化しています。

 VBTP-MRグアラニ装輪装甲車はブラジル製ですが元々の設計はイタリアのイヴェコ社でイヴェコラテンアメリカ社がEE-11ウルツ軽装甲車を置換えるブラジル軍次期装甲車調達計画の為に現地防衛企業と合弁会社として創立しています。VBTP-MRグアラニ装輪装甲車は様々な派生型が在りますが、フィリピン軍は六輪型を導入するとのことでした。

 フィリピン軍の装甲車部隊は元来、治安作戦や対ゲリラ戦闘を想定していましたが、中東からの武装勢力浸透により発生したマラウィ騒擾と、近年の中国軍軍事圧力を背景に正規戦への対応能力強化が必要と認識されており、VBTP-MRグアラニ装輪装甲車導入もその具体的施策の一つです。ただ、フィリピン軍は15万名規模、近代化には時間もかかります。
■Mi-17ヘリコプター16機
 この報道の少し後にアメリカとの間でCH-47ヘリコプター導入の交渉が本格化しました。

 フィリピン軍はロシアから導入予定のMi-17ヘリコプター16機の調達計画を正式に破棄しました、これは7月27日にフィリピン当局者が発表したもので、フィリピン政府は輸送ヘリコプターの増強を計画しているものの、ウクライナ戦争後のロシア装備調達はアメリカ経済制裁の影響や、ロシアによる報復により定期整備体制の不安などが考えられるため。

 ヘリコプターの調達はフィリピン政府の前大統領であるドゥテルテ大統領が任期満了直前の6月30日にロシアンヘリコプターズ社と契約したものをマルコス新大統領の就任後に急遽契約破棄したかたち。ただ、マルコス新大統領は中国等の脅威に対し防衛力強化の方針を堅持しており、7月25日に行われた初の施政方針演説においてもこの点を強調している。

 Mi-17ヘリコプター16機は2億2700万ドルで調達する計画、邦貨換算で302億円となります。今回の調達破棄はアメリカ国務省との調整も行われたとの事ですが、この302億円は機体規模は違えど日本のスバルUH-2であれば25機分となり、フィリピンは契約破棄となったベル412代替にもUH-2を候補の一つに挙げ、Mi-17契約破棄後の去就に注目です。
■AW-159艦上航空運用能力
 ヘリコプターによりソナーを機動運用する研究は第二次世界大戦中からあるのですがフィリピンとしては艦上対潜航空元年だ。

 フィリピン海軍は8 月 9 日、フリゲイトホセリサールへのAW-159艦上航空運用能力の初度作戦能力獲得を発表しました、フィリピン海軍はアグスタウェストランド社の支援で要員を要請しています。ホセリサールは2020年に韓国で建造されフィリピン海軍に引き渡されている水上戦闘艦でフィリピン海軍としては初めて取得する水上戦闘艦でもあります。

 AW-159はフィリピン海軍が史上初めて導入する対潜航空機で、2016年3月にアグスタウェストランド社との間で2機の取得と要員教育支援に関する1億ユーロの契約を結んでおり、機体は2019年にフィリピンへ引き渡されています。なお、ホセリサールでの航空機発着には蜂の巣状の甲板に機体から接続装置を差し込むハープーン方式が採用されています。

 ホセリサールはフィリピン海軍が韓国より導入したホセリサール級フリゲイトの一番艦で満載排水量は2600t、76mm艦砲や韓国製SSM-710K対艦ミサイルとミストラル簡易防空ミサイル等の運用能力と共にヘリコプター格納庫を有しており、また艦上には将来発展用にVLS8セル分の区画が配置されてて、乗員は65名、小型ながら有用なフリゲイトです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする