北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

岐阜基地航空祭2015詳報【第四回】 岐阜飛行開発実験団、史上初C-2輸送機展示飛行

2015-10-31 23:08:57 | 航空自衛隊 装備名鑑
■史上初C-2輸送機展示飛行
今回は南側会場に転回した上でのお話ですが、結果的に史上初のC-2輸送機展示飛行を順光環境にとれただけでもその価値があったといえるかもしれません。

岐阜基地航空祭、南側会場に先行した増援の方々曰く、今年は奥の方に入れるとの事、奥の方まで入れるという事は着陸した航空機を撮影する際にバリアーに視界を遮られないという利点があるのですが、バリアーが無ければ、管制塔や格納庫にメイン会場がその背景に入れてみる事が出来る、ということ。

南側会場で撮影しよう、航空宇宙博物館へ転進する検討はナシにしよう。奥の方まで入れるのならば、それに越したことはありません、メイン会場は0900時頃に既に最前列から5mくらいは雑踏になっていて、レジャーシートが前進を阻み、既に多くの脚立が並んでいる、しかしこの南側会場ならば二列目を確保出来る。

撮影位置を確保したあたりで、午前中の飛行開発実験団編隊飛行が行われまして、岐阜基地航空祭では最初に小規模な編隊飛行を行ったうえで、最後に輸送機まで参加する大編隊が飛行展示にて会場を沸かせます、異機種大編隊はここでなければ見れないというもの、これこそが岐阜基地航空祭だ。

今年度は編隊飛行が様々な角度から行われまして、メイン会場でも楽しめる部分が多かったとおもいますが、やはりメイン会場から順光となる国道21号線や名鉄線上を編隊飛行するという選択肢は無く、青空に航空機が鮮やかに蘇る写真を見るたびに、移動してよかったなあ、と実感です。

最先端の航空機といいますか、滑走路が見える位置に陣取っていても航空機は短距離でいち早く離陸してしまいます、滑走路沿いに撮影位置をとったのですが、バリアー付近の末端部分ですから、もうこの位置を航空機が通過する頃には充分な高度が採られていまして、そして速度も速い。

CANON EOS7Dに300mmF2.8ISと×1.4テレコンバータを装着し撮影していますので、短焦点レンズ、見えている画角を、あっという間にフレームから戦闘機が飛び出し、重い望遠レンズを振り回すコツとタイミングとフレーミングセンス全てを発揮し、兎に角いい写真をおさめようと頑張ってみました。

単焦点レンズ、つまり300mm望遠レンズであれば、70-300mmや28-300mmのようにズームできるものが多いのですが、ズームレンズとことなり300mm単焦点レンズでは300mmのみ、というレンズです、一見不便に見えると聞きますし、実のところ昔は当方もそう思っていました。

しかし単焦点レンズは、ズームレンズが得意とする焦点がある場合や、周辺減光といってが欧を小さくした場合のドーナツ状の影がうっすら浮かび上がる現象やケラレなどピントの偏差が生じるという機構上の限界があります、300mm単焦点ですとそうした心配がありません、もっとも広角側は18-200mmを使っていますが、ね。

ですが重い、外装バッテリーパックを装着したEOS-7D,今年六月中旬まではEOS-50Dを使っていましたが、この重くなった一眼レフに300mmF2.8ISという重いレンズ、人工蛍石を使った世界最高水準のレンズといわれるもので明るいのが特色のもの、これに1.4倍に焦点距離を伸ばし420mm相当に仕上げるテレコンバータを装着しますと4.4kgとなります。

自衛隊の64式小銃が4.4kgですのでほぼ同じ重さ、64式小銃は銃床を方に当てて重心均衡を図り重量感を相殺できるのですが、EOS-7D&300mmF2.8ISには銃床はついていません、あまりもの重さに東京マルイのSIG550用折畳銃床を超望遠レンズに装着している方を稀に見かけますが、そうするとさらに重くなる。

これを振り回すわけです、が、撮影のコツは、単焦点ですとズームできない分被写体を待ち構えて撮る構図を決められますし、F2.8という明るいレンズ、F1が肉眼の明るさなのですが、望遠ながら明るい関係でシャッター速度を相当早く設定しても画面が暗くならず、撮影の自由度を高く維持できます。

撮影位置へ。幸いなことに最初の編隊飛行が終了しまして次の編隊飛行まで時間がある際に、恐らく最初に南側会場に正門から入り午後からメイン会場へ移動する、というような予定で入られた方だと思うのですが、人の移動がありまして、我々一行、地元のいつもお世話になっている方も合流し4名、ともに最前列を確保出来ました。

北大路機関:はるな くらま
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平成二十七年度十一月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2015.11.03)

2015-10-30 22:32:30 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 冬支度という言葉を体感する今日この頃ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。

 今週末の自衛隊関連行事ですが、今年も十一月三日がやってまいりました、十一月三日文化の日は入間基地航空祭の日、日本で最も混雑する航空祭の日です。そして今週末の自衛隊関連行事ですが、宮古に試験艦あすか、入港以外には行事らしい行事はこの入間基地航空祭だけのもようでして、その行伊を重点的に紹介しましょう。

 入間基地、埼玉県狭山市と入間市に位置するこの基地は、中部航空方面隊司令部が中部日本の防空総指揮に当たる他その隷下に中部航空方面隊司令部支援飛行隊とレーダーサイトを統括する中部航空警戒管制団司令部、首都防空を担う第1高射群本部、中部航空施設隊が航空基地機能維持と保守に当たる部隊を総括して対応しています。そして第3補給処と第4補給処が置かれる航空作戦支援の本拠地でもあります。

 加えて航空総隊直轄舞台として救難飛行部隊の総司令部である航空救難団司令部、入間ヘリコプター空輸隊、そして航空戦術教導団電子作戦群が展開し電子偵察任務等に当たる他、航空支援集団隷下のC-1輸送機部隊である第2輸送航空隊が展開する基地です。西武線で都心から一本ですので、通勤電車並みの輸送力と共に多くの来場者がやってくる。

 航空祭最大の名物はC-1輸送機の編隊飛行と機動飛行で、C-1輸送機の編隊はここ入間基地と美保基地でしか見る事が出来ません、更に電子作戦群のYS-11EAとYS-11EB、飛行点検隊のYS-11FC,と国産旅客機YS-11の派生型が多数配備されているのも見どころでしょう、もっともYS-11EAとYS-11EBは航空祭には展示されないことが多いのですが、ね。

 入間基地へは西武新宿線狭山市駅と西武池袋線入間市駅及び西武池袋線稲荷山公園駅が最寄駅です、開門は0800時に飛行場地区手前まで開放され、ブルーインパルス飛行展示の時間帯は非常に混雑するので入場制限が行われる可能性があるとの事で、当方はC-1輸送機の飛行展示を中心に撮影し、ブルーインパルス飛行展示は混雑しない入間市駅から撮影しました、西武新宿線方面から外柵沿いに撮影する方もいるようです。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭
・11月03日:入間基地航空祭2015…http://www.mod.go.jp/asdf/iruma/

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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岐阜基地航空祭2015詳報【第三回】 岐阜飛行開発実験団主力戦闘機イーグルの迫力

2015-10-29 21:44:12 | 航空自衛隊 装備名鑑
■イーグルの迫力と南側会場
 航空祭、順光の撮影環境を求めて、徒歩かバスかで南側会場へ、となりバスを選びました。

 バスでメイン会場から南側会場に移動してゆきますと、これは早い。誘導路沿いにも多くの家族連れや航空愛好家が並んでいます、そして滑走路に平行する直線道路をまっすぐに進む、ここまで大混雑を越えて地上展示航空機を撮影してきましたので、まっすぐな混雑のない道路は快晴もあって気持ちがいいものです。

 誘導路沿いも撮影適地として知る人ぞ知る、という場所で、始まりは南側会場へメイン会場から徒歩移動する人々が一休みする瞬間に、トヨタカローラ各務原店や那加住吉町国道21号線交差点付近の基地外周道路付近が、着陸した航空機を目の前に転回する様子を撮影できる場所として知られた。

 こうして誘導路の撮影位置は、混雑してでも人口密度が高い撮影位置で誘導路を進む航空機を撮影するのか、芝生の上にレジャーシートとお弁当を広げて家族と共にかっこいいジェット機を見上げるのか、和み系第一か迫真航空描写第一かで選べるところが撮影位置の特色といえるかもしれません。

 その撮影位置は次第に人々が集う岐阜基地航空祭第三の撮影ポイントとして有名になり、人口密度も低いことから家族連れに好まれる撮影地となりました。誘導路沿い撮影ポイントは、当初通路上での撮影にて、航空自衛隊も黙認している形のような印象でしたが、その状況も次第に変わってゆく。

 撮影位置として誘導路沿いに進んでいきますと滑走路を真正面に見る撮影位置があります、後述しますがバリアーなどの安全機材により滑走路を離陸する航空機を真正面から見るには障害物がるのですけれども、滑走路真正面に離陸する航空機はなかなか日常では見る事が出来ませんので、底を撮影位置とする方もいる。

 この位置が撮影場所として基地航空祭実行委員会に認識されたのは、岐阜基地航空祭が有名となり、名古屋から名鉄で、大阪と東京から始発新幹線にてどんどこ来場者が増大し15万名前後が集う、入間基地航空祭とを除けば日本最大規模、五本指に入る航空祭となりますと、人口密度低減へ誘導路付近にも仮設お手洗いや救護所が設置されるよう、なり今日に至るわけです。

 南側会場、さて、バスにて到着しましたが南側会場は年によって広く確保されたり一部が開放されるだけだったりします、ペトリオットミサイルの射撃陣地がありまして、万一国籍不明機が我が国防空網を突破した際へ即応態勢を採っているのですが、その手前まで開放されることもあるのです。

 つまり南側会場は奥行450mくらい開放されることがあれば、保存展示機区画前の200mくらいだけしか開放されない事も、広い年に当たるといいのですけれども、これは飛行開発実験団の実験などと関係しているのでしょうか、狭い年に当たってしまうと人口密度がメイン会場なみとなってしまう訳ですね。

 さて会場、奥行200mくらいしか開放されない場合ですが、滑走路を撮影しようとしますと、バリアーが視界を遮ってしまいます、バリアーは航空機を阻止するためのものです、さすがは技術の岐阜基地、バリアーが張ってあるのか、と一瞬喜びそうな表現ですが、これはアルペジオとかで透明な壁で防御する例のアレではなく、ナイロン製ネットを展開し、滑走路上で制動装置が故障した航空機などを停止させるためのもの。

 バリアー越に撮影しますと、どうしても支柱やネット本体が写真に写り込んでしまいまして、着陸航空機を採る事が出来ません、35mmフィルム換算で500mm相当の超望遠レンズを使用しますと、着陸後の一瞬、背景に川崎重工の建物が入る構図で撮影できるのですが、その直後からはバリアーが映り込んでしまう。

 もしも仮に南側会場が一部しか開放されないならば、いっそ正門から出て航空宇宙博物館の方へ行こう、正門を出て岐阜分屯地を南へファミリーマートから自衛隊三井官舎のほうへ700mほど進むとカルビー各務原工場が見えてきます、そこから1.5kmほど進めば航空宇宙博物館、山越になるが順光で撮影できるしなあ、そんなことを考えていました。

 さて、緊張の一瞬だ、その気になる南側会場ですが、今年度の岐阜基地航空祭では450mの目一杯が開放されていました、更にですが、メイン会場と比較して非常に人が少ない、もともとメイン会場に地上展示機を全部集めて、更に離発着する航空機の整備もメイン会場で行う事で臨場感を含めた展示を行うもの。

 大混雑のメイン会場、対して南側会場は家族連れ向きに、ちびっこ広場等を設置し差別化していました、観光バス駐車場が設けられたこともありましたね。航空祭を撮るならば主役は航空機なのだから、青空に描かれる航空機の映える写真こそが全てだ、そんな認識のもとでは南側会場がお勧めになります。

 好いこと一転に見える会場ですがお勧めしようにも南側会場で開放区画が狭ければ大変なことになります、年度ごとにメイン会場は開放区画は同じ、メイン会場のほうが奥行550mで断然広大なのですから、それに前述のとおり岐阜基地航空祭は地上展示に凄いものが出る事も多いのでこちらはおさえておきたい。

北大路機関:はるな くらま
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岐阜基地航空祭2015詳報【第二回】 飛行開発実験団のF-2カラーリング

2015-10-28 22:36:27 | 航空自衛隊 装備名鑑
■岐阜航空祭2015
 本願寺平成大修復の本堂覆に匹敵する大きさの建物、C-2格納庫を目印に駅から岐阜基地へ進みます、あの建物を目印とすれば迷わない。

 なのですが、昨日は何故か新北門の方へ誘導されました、北門は国道21号線を越えるとすぐなのですが、県警の方も新北門へ誘導しようとする。ならば新北門の方へ、特に北門開門は0830時だが、0740時の時点で新北門は開門しているとのことでした、ただ、その通りに進もうとしますと、気になる点が。

 誘導員と県警の方々、新北門へ陸橋経由で誘導しようとしていまして、どうも一筋縄では入れるわけではないらしい、観てますと一度に入りきれない行列が北門の21号線越し歩道まで伸びてくる、これは新北門を開門してもエプロン地区に入れないよう、行列を調整している可能性も出てきました。

 北門にしよう、開門まで40分残るが、その40分で北門からエプロン地区へ進める保証もないのだし、堅実に手堅く、北門を待つ行列100mに並ぶこととしました。家族連れの方に挟まれ並び、暫し雑談、寸分を置いて名古屋からの増援友人一行が列の後方十数mに合流し、開門を待ちます、列はどんどん伸び、岐阜県警と航空自衛隊が0820に開門を若干早める事に。

 手荷物検査がありますが、そのあたりは素早くカメラバックを開いてすぐに見てもらえるようにする、カメラカメラカメラカメラカメラ、EOS-7DmarkⅡ&18-200mmEF、EOS-7D&300mmF2.8IS、EOS-KissX7&40mmF2.8、28-300mmIS、PowershotG-16/G12、それに飲料水と携行糧食、などなど、これだけあれば重いわけだなあ。

 遂に入場を果たしました岐阜基地、久しぶりだなあ、岐阜基地航空祭、まず絶対に見ておきたいのは地上展示で、XASM-ダミー飛翔体が本年も並びAAM-5改等他の基地では見るものが難しいもの、UAV無人偵察機が置かれ、地上展示航空機も、かなり前列付近が混雑していましたが、手を伸ばして勘を頼りにその雄姿を写真として収めます。

 岐阜基地航空祭、撮影するには航空祭では最前列が、という定説はあるのですけれども、逆光が凄い場合には必ずしもその通りとは限りません、逆光では空は白く機体は影に黒く塗り込まれてしまいます、こればかりはPLフィルターや露出増倍補正でも逆光を順光とはできません、例外は雨天時と相当な曇天の場合の最前列なのですが、この日は絵に描いたような快晴、と。

 管制塔と格納庫が並ぶエプロン地区メイン会場、目の前には航空機が並び、外来機を必要としないとも言われるほど多様な航空機が飛行開発実験団には配備されていまして、格納庫裏手では屋台の出店が北は北海道から南は沖縄までの名物を食欲を誘うとともに、部隊パッチや識別帽も並ぶ、だが、晴天ではどう頑張っても逆光なのです。

 岐阜基地滑走路南側会場、岐阜基地隣接かかみがはら航空宇宙博物館、順光の環境で撮影するにはこの二箇所が撮影適地です、岐阜基地は川崎重工岐阜工場と陸上自衛隊岐阜分屯地併せ東西4kmと南北1.5kmの航空母艦のような形状の敷地にありまして、基地南側にも会場が設営されます。

 南側会場、混雑緩和のためともいわれますが、南側会場の方に岐阜基地正門があり、保存展示航空機が並ぶのも南側会場です。エプロン地区からは滑走路の反対側、飛行展示は滑走路上にて展開されますので、確実に順光で撮影できるのですが、さて移動しようにも滑走路に便利に使える横断歩道はありません。

 そこでメイン会場と南側会場を結ぶシャトルバスを利用します、招待客用区画と滑走路の間にバスターミナルが臨時開設されていまして、そこから名鉄系列の岐阜バスが運賃200円で続々とシャトルバスを運行している。シャトルバスは意外と並びそうなものですが、速めの時間ならばそれほどでもない。

 今年度の岐阜基地航空祭はブルーインパルスは参加しません、ということで飛行展示の流れを見てみますと、まあ、そういうものは事前に基地HPに航空祭特設ページが出されているのだから確認しようよ、と言われるかもしれないのだけれども、開門時手荷物検査場で配布された冊子をみてみた。

 航空祭の流れは、南側会場に移動する際に飛行しない時間帯など見極めたいところ、オープニングフライト&天候偵察、救難飛行展示、飛行開発実験団編隊飛行&機動飛行、空中給油展示、そしてお昼に飛行展示が行われない時間帯が二時間ほど続き、飛行開発実験団大編隊と機動飛行、という流れ。

 地上展示航空機を撮影して、そして一気呵成に南側会場へ転進する、と意気込んでみたのですが、地上展示航空機の前には航空機を観ようという方々と離発着を間近に撮影しようという方々で物凄い混雑に覆われており、混沌の中で撮影はなかなか進みません、ライブビューア機能を利用して何とか撮影、です。

 当方は0900時頃までに地上展示航空機と地上展示装備を撮り終え、大急ぎでシャトルバスへ向かいます、おお、凄い人が並んでいる、と驚いたのは、シャトルバス待ち場の経路が滑走路を見る事が出来る位置ですので、そこで最前列を確保しようという人たち、なんとなく、混雑すれば移動するよういわれそうですが、その横でバス待ちの人を探すと、おう、一人もいない。

 車内は乗客が十数名、バスはすぐに発車しました、誘導路脇をバスは燃料区画等を通り一路基地外周道路を南側会場へ向かう、この経路、南側会場まで徒歩2kmで外周道路を歩いてゆく事も出来るのです、実際、シャトルバス乗り場が混雑していたならば、2kmくらい30分少々で移動できますから徒歩も考えていたのですが、並んでいないならば、バス利用で快適移動でしょう。

北大路機関:はるな くらま
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南沙諸島危機、アメリカ軍艦艇が中国南シナ海人工島に接近 中国が領有化一方宣言の国際係争海域

2015-10-27 12:54:08 | 国際・政治
■米中危機への懸念
 我が国シーレーンが通る南シナ海、その中央部に位置する南沙諸島は沿岸国の多くが管轄権を有する多島海域ですが、中国がその全域の領有化を一方的に宣言し人工島を建設、摩擦が強まっている南沙諸島危機へアメリカが関与の動きを強めました。

 南シナ海の南沙諸島近海に中国が造成した人工島海上基地へオバマ大統領の決定に基づき米海軍艦艇が接近し、一部報道では既に12カイリ以内へ展開しているという情報も出ています。南沙諸島人工島、そもそも南沙諸島は1980年代以来、中国がヴェトナム沖やマレーシア沖、インドネシア沖とフィリピン沖のサンゴ礁や離島部分の一方的な領有化を宣言し、一部のサンゴ礁などを海軍歩兵部隊により占拠する暴挙に出た為、海軍艦艇同士の海戦や衝突に幾度も展開している事実上の国際係争海域となっているところです。

 中国は南沙諸島周辺海域に有望な海底資源があるとの海洋観測情報に接すると同時期に、その領有化を宣言、他国排他的経済水域へ浸透し摩擦を起こしている、この種の事案としては我が国尖閣諸島での中国公船による領海侵犯を彷彿させるものがあるのですが、冷戦期にソ連太平洋艦隊への対抗を軸として優勢な海上防衛力を持つ我が国に対しては、中国はこれまで軍事的に強い行動に出ていないものの、中国海軍よりも海上防衛力が低いと認識した諸国に対しては砲撃や機銃掃射などを加えている点で決定的な違いを見いだせるでしょう。

 人工島は海軍航空部隊の起点として2009年頃から本格的に埋め立てを開始しており2012年頃には滑走路建設に着手していまして、この時点で、東南アジア諸国はASEAN地域フォーラム等を通じ安全保障上の強い懸念を示すと共に埋め立て中止を要求してきましたが、その後も中国による埋め立ては続き、アメリカ政府も重大な懸念を表明してきました。懸念とは、人工島に飛行場が建設され、海軍航空隊のSu-27戦闘機が展開すれば南シナ海の周辺諸国全域が戦闘行動半径に含まれることとなり、現在は管轄権を維持している南沙諸島離島へ中国軍が航空優勢を確保した上で攻勢に出た場合、その管轄権を維持できない場合となる可能性が高くなるためです。

 アメリカのオバマ政権は、繰り返し懸念を表明し、2013年頃より海軍航空部隊の哨戒航空機による監視飛行を継続していて、しかし監視飛行ではその抑制には至らず、今回、初めて海軍艦艇による人工島接近に踏み切る事となった。人工島は国連海洋法等国際法上では領海の起点とはならない為、12カイリへ接近することは領海侵犯とはなり得ません。しかし中国政府は人工島を領海の起点とみなす独自の解釈を行っており、米中間の関係が致命的に悪化する可能性があるのです。一方、中国が我が国南西諸島上空に防空識別圏を設定した際にも同様の懸念があったが、航空自衛隊の対領空侵犯措置任務の継続により中国機の接近を全て排除している事により不測の事態は今に至るも発生せず、今回も最悪の事態を回避できる可能性は充分あるともいえます。

 最大の問題は、人工島を建設に着手した時点でアメリカ政府が明確な対応を採らなかったことにより、中国政府に誤ったメッセージを送ってしまった事だ、例えば人工島建設に必要な資材運搬などの時点で海軍艦艇による監視活動を行い、示威行動を執っておけばその建設に先んじて米中交渉と東南アジア諸国と中国の多国間対話へ持ち込み、既に完成した飛行場にイージス艦を接近させるという行動の前に幾つかの選択肢を採る事が出来たため、今回は手遅れではないにしても行動を起こすことにより生まれる緊張度は以前よりも遥かに大きくなっているといわざるを得ません。

 この命題に対し、我が国政府は日米間が緊密な情報交換を行っているとしています。特に米海軍の南シナ海周辺での航行に対し、中国海軍艦艇が航行を妨害し、その際にアメリカは強い行動を執らなかった、これはアメリカが緊張を避けた形ではあるが、中国側にはその艦艇による行動を撃退したとの誤解を与える事にもなっている、この問題は我が国シーレーンが南シナ海を通る為、我が国安全保障にも非常に大きな影響を及ぼすものですので、今後数時間から数日間の展開は重大な関心を以て見守るべきでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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岐阜基地航空祭2015詳報【第一回】 飛行開発実験団のブラックファントム特別塗装機

2015-10-26 23:38:13 | 航空自衛隊 装備名鑑
■岐阜航空祭2015
日曜日に撮影しました岐阜基地航空祭の様子を何回かに分けて掲載しましょう。

岐阜基地、行ってまいりました。ブルーインパルスが参加しなかったことで来場者は6万5000名と非常に落ち着いた規模となりましたが、16kgもの重さのカメラバックを担いで基地を廻りより良い撮影場所と航空機の雄姿を再現するべく望遠レンズにて追い続けた様子を写真と共に、という記録、お付き合いください。

岐阜基地航空祭、飛行開発実験団が展開する航空自衛隊技術開発の総本山というべき重要基地であると共に、第二補給処が置かれ航空自衛隊後方支援体制の重要拠点に位置付けられ、併せて中京地区の弾道ミサイル防衛を中心とした戦略防空に当たる第四高射群が展開する基地として知られます。

Weblog北大路機関としては、この岐阜基地航空祭は2005年以来毎年展開を継続している唯一の航空祭となっていまして、本年も展開を決定していました。本年の岐阜基地航空祭当日は、九州において築城基地航空祭が、北関東では百里基地航空祭が開かれており、主要航空祭三箇所同時挙行、と非常ににぎやかな日本の空の一日となりました。

岐阜基地航空祭、その見どころは何と言っても最新鋭航空機と航空装備の数々でしょう。岐阜基地に隣接市川崎重工岐阜工場、日本で三菱重工小牧南工場と並ぶ最大級の航空機製造拠点があり、我が国防衛と世界レベルでの安全保障を担う新型航空機、P-1哨戒機とC-2輸送機は岐阜で開発されています。

同日の築城基地航空祭は、展開する第8航空団はF-15飛行隊とF-2飛行隊の二個飛行隊基幹で、制空戦闘を任務とするF-15,対艦攻撃及び航空阻止を任務とするF-2,所謂戦闘機と支援戦闘機を兼ね備える航空団で知られ、一方で南西諸島防空能力強化へF-15飛行隊が那覇基地へ移転する前の最後の航空祭であり、非常に注目されました。

百里基地航空祭についても、九州南部防空強化へF-15飛行隊の移転が来年度予算概算要求に盛り込まれています、もともと百里基地の第7航空団はF-15二個飛行隊を基幹としていたのですが、那覇基地のF-4飛行隊を南西諸島防空強化へ移転、続いて南九州防空強化へ最後のF-15飛行隊を新田原基地のF-4飛行隊と交代させることとなります、F-4は百里基地から始まった航空機なのですから原点にもどる。

しかし、やはり2005年のWeblog北大路機関運営開始以来毎年展開しているのですから、ここは百里基地や築城基地よりも岐阜基地航空祭へ行く事としましょう、と決定しました。名古屋のWonderGooで25日まで蒼き鋼のアルペジオ展をやっているから、という事で決定した訳ではありません、ちなみに蒼き鋼のアルペジオ展は来月よりWonderGoo大阪難波で始まるとのこと。

岐阜基地航空祭、非常に広い基地でして、撮影位置も様々なのですが特色の一つに交通の利便性があるのです、名古屋から名鉄名古屋本線か犬山線を経由し各務原線の三柿野駅か六軒駅か各務原市役所前駅下車、もしくは東海道本線を岐阜駅にて高山線に乗り換え10km進み蘇原駅から若干離れますが那加駅から、徒歩で行く事が出来ます。

岐阜基地敷地まで最寄駅三柿野駅は岐阜基地と隣接する川崎重工岐阜工場の敷地に隣接し、岐阜基地新北門まで100m、六軒駅は若干離れますが基地敷地まで200mで北門までは400mです、三柿野駅から新北門までは京都駅から京都タワーまで、六軒駅から北門までは京都駅から東本願寺まで、という距離感でしょうか。

さて、足を運ぶならば本数が多い名鉄が一番なのですが、その上でどの駅からどの門に向うか、底から航空祭は始まっています、三柿野駅から新北門までの最短距離は、同時に最も混雑するルートで、何故ならばその経路全般が陸橋を通る為です、陸橋100mくらいすいすい進めるのは平時の感覚、航空祭は上下線十万近い観客が幅3mの経路を通行しますので安全上の制限があり、僅か100mの移動に70分かかることも。

六軒駅から北門へ徒歩、が一番混雑しません、そして誘導員と警備員さんが駅から基地まで誘導してくれますので道に迷う事はありません、北門への目印はC-2輸送機用の巨大な格納庫、本願寺平成大修復の本堂覆に匹敵する大きさの建物を目印に進む、の、です、それならば迷う事は無いでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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自衛隊記念日月間 第10師団祭・自衛隊観艦式・岐阜基地航空祭、陸海空自衛隊行事

2015-10-25 23:01:06 | 北大路機関特別企画
■陸海空自衛隊行事連続撮影
 Weblog北大路機関発足以来毎回展開しています第10師団祭・自衛隊観艦式・岐阜基地航空祭、が今月行われました。

 第10師団創設記念守山駐屯地祭、様々な撮影位置がありまして、今年度は一般用スタンド席が用意されませんでしたので、観閲行進を撮影する位置から訓練展示も併せて撮影するという初めての試みとなりました。写角は制限される位置ではありましたが意外と訓練展示の様子を明確に把握でき、これまでにない臨場感を表現できています。

 自衛隊観艦式、ヘリコプター搭載護衛艦くらま、より撮影する機会に恵まれWeblog北大路機関創設以来初めて観閲艦よりの撮影となりました。荒天で知られる観艦式本番は快晴に恵まれたものの本土南方二つの台風が波浪をもたらし、本日天気晴朗ナレドモ浪高シ、という日本海海戦における有名な電文を思い起こさせる迫力でした。

 岐阜基地航空祭、理想的なまでの快晴に恵まれると共に本年は南側会場が数年ぶりに大幅に拡張され、北側メイン会場と異なり順光条件のもと混雑していない最前列を確保でき、理想的な環境での撮影が可能となりました。XASM-3展示やC-2輸送機航空祭初飛行展示、F-4戦闘機航空祭記念塗装など、見どころの多い航空祭となっていました。

北大路機関:はるな くらま
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再論:普天間移設問題、普天間那覇統合航空基地案と日米九州沖縄交代案の問題点

2015-10-24 22:44:54 | 国際・政治
■日米抑止力交代の課題
 再論:普天間移設問題、2015-10-13日付記事にて特集しましたが、今回はその続きを。

 普天間飛行場名護市移設工事に関して沖縄県知事の名護市辺野古沖埋め立て承認取消し正式表明を受けての再論となりましたが、私案として、那覇空港へ普天間飛行場を移設することで日米統合基地とし、逆に普天間飛行場移設予定の名護市辺野古へ那覇空港を沖縄空港として移設する案を提示しました、この私案は、名護市へ新飛行場を建設するが基地ならば滑走路は1600m、新空港ならば2700m、第一次工事として1600m滑走路を建設し空港移設構想が頓挫すればそのまま海兵航空基地へ、移設構想が具現化すれば2700m滑走路埋め立てをする、と、万一知事の判断が一転した場合でも柔軟に対応出来ます。

 一方で、日米九州沖縄交代案を提示しました。海兵航空基地の機能一部を九州へ移転し海兵遠征隊を目達原駐屯地と佐世保市周辺の駐屯地に移設すると共に九州に新編される陸上自衛隊の水陸機動団を沖縄、可能ならば飛行場撤去後の普天間へ普天間駐屯地を置く、那覇駐屯地を拡張し空港周辺に南那覇駐屯地を新設する、沖縄から米軍負担を縮小すると共に陸上自衛隊の第15旅団と水陸機動団、アメリカの第3海兵師団、が協同し、沖縄本島に駐屯するとともに抑止力を担う、という提案を行っています。沖縄県は米軍基地数の負担が強調されますが、駐屯地数や基地数では自衛隊の駐留は少ないのです、そこで米軍負担を軽減する私案として日米九州沖縄交代案を提示したもの。

 しかし、重大な問題があります、それは、日米の部隊を交代する事は可能だ、と仮に交渉が行われた場合、日米の抑止力交代を担う事が出来るのか、ということです。抑止力については、2015-10-13日付記事にて“台湾海峡有事に際し邦人救出へ海兵隊に代わり名護へ駐屯する陸上自衛隊水陸機動団が新しく導入される自衛隊のMV-22により台北へ展開する体制を構築し、邦人救出と共に大陸からの軍事行動への一定の抑制効果を期待する”と、表現しました。在沖米軍は朝鮮半島有事と台湾有事への抑止力行使、即ち万一の際にはすぐ介入する基盤を誇示することで大陸からの軍事力による現状変更の選択肢を封じる機能を有しましたが、米軍が沖縄から九州へ転地することで、朝鮮半島には近くなりますが、台湾海峡からは距離が大きくなりすぎます。

 自衛隊が、台湾海峡有事の際に邦人救出任務として台北へ水陸機動団を展開させる、その際に大陸側が自衛隊へ攻撃を加えれば日中全面衝突の巨大なリスクが生じる、この可能性を回避するには台湾海峡を軍事力により突破し攻撃するという選択肢を大陸側が断念する他ない、というもの。非常に困難な選択肢ですが、目達原等へ海兵航空部隊が緊急展開部隊と共に移駐し、那覇空港等へローテーション配置する程度となれば、残念なことに目達原から台湾海峡までMV-22は展開する事が出来ませんので、米海兵隊の任務を陸上自衛隊が担う事となります。そんなことは起きるわけがない、と反論するならば結構、準備だけ台湾へ那覇から水陸機動団が展開する体制のみ構築しても、大陸側が台湾海峡を軍事力により突破するとの事案、反対する方が起きないというならば相手が起こさない限りこちらも発動する事はありません、準備体制に反対する論拠とはならないでしょう。

 台湾海峡有事へ日本の自衛隊だけで対処できるのか、と問われるかもしれませんが、陸上自衛隊は航空集団や支援戦闘機部隊を持ちませんので、米空軍のエアカバー、特に第35戦闘航空団のF-16戦闘機による航空阻止や近接航空支援と連携し行い、初動にて邦人救出任務へ出動した自衛隊部隊を数時間程度の時間を空けて九州から展開する元在沖米軍の第31海兵遠征隊が後詰で展開するまでの緊要地形確保への展開となりますので、全て自衛隊だけで行う事ではなく、日米共同にて実施する事でその能力的に現実性が強くなります。問題は、沖縄の基地負担軽減を主軸として、その達成に必要な手段としてこれまで米軍が担ていた台湾海峡有事への抑止力を日米交代という選択肢を採る事が妥当か、というところですが。

 憲法上の問題ですが、邦人救出であり、中華民国軍支援ではないという原則を堅持する限り、もちろん中華民国政府との間で平時の内に、自衛隊と民国軍との情報連携体制を構築し、有事の際にいきなり自衛隊が台湾に展開し不測の事態が生じる可能性が無いよう調整が必要ではありますが、憲法上邦人救出任務を自衛隊が行う事が違憲と言い切れるかについては、議論の余地があるでしょう。もっとも、実質的に沖縄の米軍抑止力を自衛隊が引き継ぐことで、米軍の沖縄から九州移転を行うという選択肢は、間違いなく安全保障関連法制整備以上の大きな問題となります、ですから、台湾海峡有事へ対処する海兵隊部隊を沖縄に維持し、我が国としては沖縄県と鹿児島県島嶼部に軸を絞った専守防衛政策を堅持し、平和憲法維持のために沖縄県民の方々には米軍の抑止力を受け入れる努力をお願いしたいところなのですが。

 抑止力を移管せずに海兵隊と自衛隊の部隊だけを平時は九州と沖縄で交代させることはできないのか、と指摘はあるやもしれませんが、台湾海峡有事と沖縄島嶼部有事を並列すれば発生の蓋然性が高いものは紛れもなく前者です、そして台湾海峡有事が抑止出来ない場合、更に台湾本島が大陸側の軍事制圧下に入った場合、我が国シーレーンが重大な影響を受けます、台湾を基点にシーレーンが脅威に入った場合、航空自衛隊のエアカバーは台湾を除き、九州フィリピン間を維持するほどのものはありません、海上自衛隊がジェラルドフォード級原子力空母、とはいかないまでも各護衛隊群にクイーンエリザベス級空母を配置しないかぎり、シーレーンは脅かされます。例えば命題がマラッカ海峡などであれば、マカッサル海峡やカリマータ海峡などやや東方のインドネシア領海の国際海峡を利用する選択肢がありますが、台湾周辺、台湾海峡と台湾東部沖をシーレーンの選択肢から外すことはできません。

 ただ、水陸機動団の沖縄移駐は、沖縄県の県民世論として米軍の九州移転と自衛隊との交代を受け入れられるという前提で最大の問題はありません、最大の問題とは、隊区の問題です。西部方面普通科連隊は連隊編成と持っていますが、西部方面普通科連隊は長崎県の相浦駐屯地に駐屯していますが長崎県で災害派遣の初動に当たる隊区は大村駐屯地の第16普通科連隊が担っています。仮に西部方面普通科連隊が長崎県を隊区としていたらば話は非常に複雑となりました、第31海兵遠征隊と交代したとしても、海兵遠征隊に長崎県の災害派遣隊区を移管する事は不可能だからです、機動運用部隊ならば隊区を持たない事は当然に思われるかもしれませんが、例えば習志野駐屯地の第1空挺団は千葉県を隊区としています、一方中央即応連隊は隊区を持っていません、機動運用部隊ですが西部方面普通科連隊は中央即応連隊と同じ扱いとなっていた訳ですね。

 自衛隊と米軍の駐屯地交代、安易に提示しましたが、駐屯地そのものを交代する事は出来たとしてもその場合、軍隊は抑止力を以て戦争を防ぐことを第一の任務とし、その第一の任務が破綻した際には全力と以てその影響が国内に悪影響を及ぼすことを阻止しなければなりません、この為に駐屯地を交代するならば抑止力を交代する必要があり、そのためには特に台湾海峡という現在世界で最も大規模な海戦や航空戦闘が発生する懸念が深い地域での抑止力均衡を破綻させず転換させなければならないという非常に難しい選択肢を乗り越えねばなりません。ですから、最大の私案としては現状維持による普天間移設が最良の選択肢で、仮に野党民主党などが自民党へ対案を提示する際に示すべき選択肢として、民主党が日本版台湾関係法と自衛隊米軍九州沖縄交代案を併せて提示すべき、として私案を示してみました。

北大路機関:はるな くらま
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平成二十七年度十月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2015.10.24-25)

2015-10-23 23:35:13 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 10月25日は航空祭が全国三箇所同時開催されるという凄い一日となるもよう。自衛隊観艦式FLEET WEEK 2015が終わり航空祭週間となった、さあどこへ出かけましょうか。

 築城基地航空祭、F-2支援戦闘機とF-15戦闘機を双方共に配備する第8航空団が展開している基地ですが、南西諸島防空強化へF-15戦闘k飛行隊が那覇基地へ転出が決定している為、F-2支援戦闘機と共にF-15戦闘機の飛行隊規模の航空祭を見上げる事が出来るのはこれが最後だ、と航空機ファンの間では話題になっています。

 岐阜基地航空祭、云わずと知れた飛行開発実験団の岐阜基地航空祭は、実験機塗装のF-2支援戦闘機全てが配備される基地であると共にC-2輸送機が配備されている飛行場ということで有名で、昨年の地上展示ではさりげなくXASM-3実験機材が展示されるなど、話題性は物凄く名古屋から程近い事から東京や大阪からの新幹線でも展開が便利なところ。

 百里基地航空祭、F-4戦闘機とF-15戦闘機を運用する第7航空団とRF-4を運用する偵察航空隊が展開し首都防空の重責を担う基地ですが、来年度予算に南九州防空能力強化へ新田原基地のF-4飛行隊と百里基地のF-15飛行隊を交代させる計画があり、まもなく偵察機を併せ3個飛行隊のファントムが運用される基地となる事でも有名となりました。

 この話題、実は観艦式艦上において、さて来週はどこに行くべきなのだろうか、と大きな話題に議論となっていたものです、ここまで主要航空祭が一日に固まる事は非常に稀有な事例でして、どの航空祭へ行くべきか、どこが混雑しないかで昨日の時点で百里基地最寄りの石岡駅前ホテルに空きがあるほどの混乱状況となっているもよう。

 築城基地航空祭へはJR日豊本線築城駅から徒歩10分となっています、博多駅から臨時特急が大増発されていまして、一方築城駅はホームに限界がありますので一定以上の来場者に対しては駅の縫う条制限があり、混乱防止のために基地からの出場制限も行われます、築城航空祭へはブルーインパルスが展開予定ですので最も混雑するかもしれません。

 岐阜基地航空祭へは、名鉄各務原線三柿野駅が最寄り駅となっていますが、最も混雑する経路でして陸橋を越えなければ基地へ入れない事から開門後の時間帯が特に百数十mの陸橋を渡る際45分ほどの時間を要します、しかし滑走路に平行して名鉄各務原線とJR高山線が走っていますので、適宜少し離れた駅から徒歩で前進した方が、混雑せず対応出来るやも。

 百里基地航空祭、駅から離れ十数年前までは地平線が見えたとか、基地の近くで放牧を行っている様子が見えた事から首都圏の基地なのに田舎過ぎると、隔離基地、ともいわれた基地です。最寄駅は常磐線石岡駅、徒歩20km、まあ五時間という厳しい立地です。例年大渋滞しますので、始発バスに何としても乗車できるよう、駅前か土浦市乃至水戸市からの始発電車でバスに並ぶのがお勧め。

 八尾駐屯地祭、航空祭と云えば陸上自衛隊の航空祭を忘れてはならないでしょう、中部方面航空隊の駐屯する八尾駐屯地にて駐屯地祭が行われます、大編隊が名物ですがその後続いて空中機動部隊と地上部隊が一体となった訓練展示が行われます、方面航空部隊ですので隷下の対戦車ヘリコプター隊も明野駐屯地から参加します。

 相浦駐屯地祭、西部方面普通科連隊の駐屯する佐世保市内の駐屯地です。間もなく3個水陸機動連隊を基幹とする水陸機動団へ改編される西部方面普通科連隊、気合の入り方は第1空挺団や中央即応連隊と並び称されるもので、島嶼部防衛へ関心が集まる中、ある意味今週末の行事では最も注目を集めるものといえるのかもしれませんね。

 陸上自衛隊関連ではこのほか通信学校の置かれる久里浜駐屯地祭と第8師団隷下の普通科連隊が駐屯する国分駐屯地祭が行われます、通信学校は自衛隊の通信機材の開発と専門教育を行っています、訓練展示では通信機材、特にデータ通信等他の駐屯地では観る事が出来ても説明に当たられない装備が正面に出ます、もっとも、少々撮影位置に制約が多いようですが。

 国分駐屯地、第12普通科連隊の駐屯地です。九州最南端の普通科連隊駐屯地として知られ、10式戦車を装備し南西諸島防衛もその任務に含む第8師団の普通科連隊です。特に第12普通科連隊は隊区に鹿児島県島嶼部を含むことから在沖米軍の海兵隊へ研修を行うなど水陸両用作戦を想定した訓練を取り入れている事でも知られる。

 美保基地にA-400M輸送機が展開しているようですが、航空自衛隊行事としましては明日土曜日に春日基地開庁記念行事がおこなわれます、春日基地には西部航空方面隊司令部が置かれ、朝鮮半島に最も近い九州の防空にあたっています。JR春日駅と西鉄春日駅から5分と好立地で、日曜日の築城航空祭と併せてご検討ください。

 レーダーサイトの開庁記念行事、分屯基地祭ですが、第36警戒隊の展開する北海道の襟裳分屯基地開庁記念行事が明日土曜日に、第44警戒隊の展開する千葉県の峰岡山分屯基地開庁記念行事が日曜日に、第5警戒隊の展開する和歌山県の串本分屯基地開庁記念行事が日曜日に行われます。レーダーサイトは比較的交通難所にありますのでお出かけの際はご注意を。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭
・10月25日:襟裳分屯基地開庁61周年記念行事…www.mod.go.jp/asdf/nacw/
・10月25日:百里基地航空祭2015…www.mod.go.jp/asdf/hyakuri/
・10月25日:峯岡山分屯基地開庁60周年記念行事…www.mod.go.jp/asdf/cacw-acs/acs/top
・10月25日:通信学校創設記念久里浜駐屯地祭…www.mod.go.jp/gsdf/eae/
・10月25日:岐阜基地航空祭2015…www.mod.go.jp/asdf/gifu/
・10月25日:八尾駐屯地創設61周年記念行事…www.mod.go.jp/gsdf/mae/3d/yao/
・10月25日:串本分屯基地開庁58周年記念行事…www.mod.go.jp/asdf/cacw-acs/acs/top
・10月25日:西部航空方面隊春日基地祭…www.mod.go.jp/asdf/wadf/
・10月25日:築城基地航空祭2015…www.mod.go.jp/asdf/tsuiki/
・10月25日:相浦駐屯地創設60周年記念行事…www.mod.go.jp/gsdf/wae/link/ainoura/
・10月25日:国分駐屯地創設60周年記念行事…www.mod.go.jp/gsdf/wae/8d/

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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陸上防衛作戦部隊論(第三五回):装甲機動旅団編制案の概要 施設科部隊の編成案

2015-10-22 23:39:51 | 防衛・安全保障
■機械化大隊と戦闘工兵中隊
戦闘工兵装備を方面隊から装甲機動旅団へ集約する、という構図、しかしもともとは師団施設へ配備する戦闘工兵装備が不足するという背景に基づくものでした。

このため、92式地雷原処理車と75式装甲ドーザが不足し、師団施設大隊や旅団施設隊に装備されるべき戦闘工兵装備を方面隊施設部隊へ集約するという苦肉の策を必要とする状況が生じてしまい、前述した第一線部隊の施設部隊へ方面施設部隊の支援が不可欠という状況を創出する一因となったともいえるでしょう。すると、打開策と云いますか代案は、この種の装備の調達を増強する他、ない。

ただ、航空機動旅団と装甲機動旅団にあって、航空機動旅団は苦衷軌道により障害を超越する能力を持ちますので、装甲機動旅団へ方面施設部隊の戦闘工兵装備を集約することである程度、不足と第一線配備の問題は解決できるでしょう、故に戦闘工兵装備を装甲機動旅団に集約するという選択肢が初めて現実味を帯びるわけです、もっとも、質的向上は必要ですが。

一方で装甲機動旅団では連隊戦闘団へ一個中隊の戦闘工兵部隊を派出し、機動打撃部隊へ密接な工兵機能を付与し衝力維持へ寄与させるとの視点から3個中隊と器材隊という非常に大型の施設大隊案を提示しました。装甲機動旅団の連隊戦闘団主力は戦車中隊と2個装甲戦闘車中隊を基幹とする機械化大隊と軽装甲機動車主体の騎兵中隊に近い機動部隊、そして特科大隊等を編成案に提示しましたが、機械化大隊には施設中隊が付属する、という編成案となります。

基幹装備については、施設作業車と装甲ドーザに地雷原処理車だけが戦闘工兵装備ではありません、普通科と共に前進し第一線陣地の構築、障害構築による主陣地と前地戦闘の主導権掌握支援、敵特火点破壊等、含まれます、装甲機動旅団は普通科連隊に2個中隊分の装甲戦闘車か遠隔操作式銃搭装備の暫定装甲車を装備すべきとしていますので、これに少なくとも不整地突破能力と防御力で随伴できる車両が必要です。

施設戦闘車として、装甲戦闘車から砲塔を取り除き人員と施設機材輸送に特化し補助的に排土板か地雷処理ローラーを装着し障害除去支援に充てる案、施設機動車として旧式化する戦車車体を砲塔撤去軽量化により懸架装置負担軽減の上、排土板と器材運搬施設隊員を乗車させ上部から乗降させる方式、96式装備車輪装甲車の派生型として、排土板などは簡易型として運用する現行方式等が考えられるでしょう。

中隊編成は、障害破壊小隊に92式地雷処理車班と施設作業車班、戦闘施設小隊を2個配置し各小隊に施設戦闘車乃至施設機動車を装備させる、可能であれば中隊本部に戦車橋を装備できればいいのですが、20両強と数が限られている為、地皺へは施設用粗朶束等を施設戦闘車乃至施設機動車に搭載し運用する代案等が考えられるところです。これらの装備により、装甲機動旅団連隊戦闘団は攻撃衝力を維持し戦果拡張が可能となります。

北大路機関:はるな くらま
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