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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【榛名備防録】RIM-174/SM-6時代は到来するか?中国長射程ミサイル対抗のアメリカ製AIM-174空対空ミサイル

2025-05-20 07:00:34 | 先端軍事テクノロジー
■スタンダードSM-6
 イージス艦から運用するスタンダードSM-6は射程が長く対航空機用はもちろん対艦ミサイルから果ては弾道弾迎撃まで可能です。

RIM-174/SM-6時代は到来するか。1980年代より当時のソ連軍はアメリカやNATOが運用する早期警戒管制機をその索敵圏外から攻撃する長射程ミサイルの開発を進めており、なかには射程が400kmに迫るものも開発されていました。もっとも、実用性に限界があったことは事実です。ただ、その流れはけいしょうされた。

インドパキスタン航空戦において、先日、ラファール戦闘機がパキスタン軍のJ-10戦闘機より発射された射程200km規模のPL-15空対空ミサイルにより撃墜された公算が高くなっており、これは実用空対空ミサイルによる撃墜としては史上最長のものとなるもようです。それではこのまま対抗策はないまま状況は進むのでしょうか。

RIM-174/SM-6、海上自衛隊もイージス艦用に導入するスタンダードSM-6はその対抗策となります。射程370km、艦対空ミサイルとしては破格の射程を誇るSM-6ですが、アメリカ海軍はAIM-174空対空ミサイルとして、F/A-18E/Fスーパーホーネットにこれを多数搭載する試験を既に実施しています。

F-35戦闘機の機内兵装庫には巨大すぎて搭載出来ないAIM-174ですが、400km近い射程を発揮し、F-15戦闘機にも、運用にはシステム改修が必須ですが、すくなくとも機体規模からは搭載可能です。そしてRIM-174/SM-6には現在、地上発射型としてMRCタイフォンミサイルシステムが並行して開発されています。

MRCタイフォンミサイルシステムは、Mk41VLSをそのまま地上発射型としたもので、Mk41に搭載できるものはESSMでもトマホークでも搭載可能です。これは1980年代に開発され射程延伸の限界に達しているペトリオットミサイルの後継ともなり得るもので、RIM-174/SM-6時代が到来するのかもしれません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
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【榛名備防録】ウクライナ海軍無人艇,R-73ミサイル使用しロシア海軍Su-30戦闘機撃墜

2025-05-14 07:00:33 | 先端軍事テクノロジー
■無人アセットと分散運用
 J-10戦闘機がラファールを撃墜した事は驚きましたが無人艇がSu-30を撃墜した事も驚きの情報です。

 ウクライナ海軍は小型無人艇より発射したAIM-9X空対空ミサイルもしくはR-73空対空ミサイルによりロシア空軍Su-30戦闘機を相次いで2機撃墜したと発表しました。この実績は海軍無人艇として世界初の戦果で、島嶼部防衛を考える際に、自衛隊が構築を目指す無人アセット部隊の方向性に新しい一歩をしめすこととなるのでしょうか。

 Su-30戦闘機はロシア海軍所属の機体で、ノヴォロシ-スク西方50kmの海域においてロシア海軍機を誘い出して撃墜した、とあります。R-73空対空ミサイルの射程は初期型が20kmで改良型の射程が30km、赤外線誘導方式を採用しています。ミサイルは12G機動が可能で、10G旋回が厳しい通常の戦闘機は逃げられません。

 無人艇は黒海におけるロシア海軍の自由な行動をウクライナ軍が制約する重要な手段ですが、おそらく、Su-30戦闘機は無人艇を発見し機銃掃射を行おうとしたところをミサイルにより返り討ちにされた、というところでしょうか。今後ロシア海軍はウクライナ軍無人艇の20km以内に接近する際に注意が必要となるでしょう。

 無人艇による艦対空ミサイルの分散運用、無人艇が有人戦闘機の撃墜に成功したのが今回史上初めてですので、どの程度有用な戦術であるかは未知数なのですが、発射装置を例えばローランドミサイルのようなチューブ格納発射筒方式とできるならば、一隻の艦艇に大量にミサイルを積まずとも、無人艇毎に分散運用という道が開け得る。

 海上における最初のミサイルぷらっとふぉむはミサイル艇でしたが、ミサイル艇の時代は哨戒ヘリコプターの対艦ミサイル搭載により過去のものとなった、こう言われていますが、無人ミサイル艇については、安価なものとする限り、駆逐される対象であるが戦闘機などを駆逐する分散型プラットフォームとして機能するのかもしれません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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【臨時情報-印パ情勢】ラファール戦闘機vsJ-10戦闘機-中国戦闘機が落としたのはフランス最新鋭戦闘機

2025-05-13 07:01:54 | 先端軍事テクノロジー
■中国製戦闘機
 ラファール撃墜は驚きですが、今回の印パ衝突はまわりまわって我が国安全保障環境にも大きな影響を与えている問題だという理解が必要です。

インド空軍のラファール戦闘機がパキスタン空軍が運用するJ-10戦闘機かJF-17戦闘機に撃墜された、インド晴雨は損害について一言も言及していませんが、フランス政府がラファール戦闘機撃墜を認めています。パキスタン空軍はF-16も運用していましたが、アメリカとの関係悪化後は戦闘機を中国に求めていました。

Su-30戦闘機とラファール、比較的高性能の戦闘機を揃えてインド軍はパキスタンを攻撃した訳ですが、これが実質、第一撃で充分な戦果を得る事が出来ず、実質阻止されていたという。今後様々な角度で検証されてゆく事となるのでしょうが、世界は今、中国製戦闘機に関する大きな転換点をみているのかもしれません。

J-10戦闘機、2023年に中国が初めて自国以外に輸出した、もともとは輸出用ではなく自国空軍向けの高性能戦闘機という位置づけでしたが、中射程空対空ミサイル運用能力を持ち、デルタ翼とカナード翼を装備していた為、外見からはラファールやユーロファイタータイフーンと並ぶ航空機、こういう印象を世界に与えている。

ラファール戦闘機、撃墜したのがJF-17であれば、もう少し話は大きくなります、JF-17はパキスタンと共同開発した安価な戦闘機ではありますが、性能を、中距離空対空ミサイル運用と最低限の対艦ミサイルや誘導爆弾運用に抑え、安価なというのは1990年代のF-16戦闘機並に安価さを2020年代に提示し、広く輸出に成功している。

JF-17は廉価版ですが、中国空軍と云えばMiG-19戦闘機派生型の旧式、という理解は最早成り立たず、欧州の第一線航空機に対抗出来る性能、というものを示した可能性があります、そしてその戦闘機は日本に対しても圧力を加え得る位置に所在する、この認識をもう一度、日本の航空防衛に照らし合わせて考える必要があるよう、思うのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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【臨時情報-印パ情勢】インドパキスタン両国戦闘機125機が一時間に渡り空中戦,世界航空史上稀有な規模の大規模戦闘

2025-05-09 07:00:58 | 先端軍事テクノロジー
■印パ戦闘機125機
 印パ情勢は現在小康状態となっていますが一時的とはいえ大規模な航空戦となりました。

 インド空軍によるカシミール地方とパキスタン東部への航空攻撃は、過去数十年間で最も苛烈な戦闘機戦闘となったようです。アメリカのCNNが報じたところによれば、情報筋の情報として、インド空軍とパキスタン空軍の戦闘機125機が一時間以上にわたり航空戦を展開する、過去数十年間を比較しても比較対象が稀有な戦闘となったもよう。

 戦闘機同士の空中戦が過去にないという訳ではなく、2019年にもインド空軍とパキスタン空軍は小規模な空中戦を行ってはいるものの、数機が参加する規模であり、125機の戦闘機が参加した今回の航空戦は異例と言える規模ですが、同時の今回の戦闘は、視程外空対空ミサイル、射程の長いミサイルを主として用いて展開された点でも異例です。

 視程外空対空ミサイルを用いた空中戦は、両国空軍が基本的に自国領空を離れることなく領空侵犯を避けてミサイルを打ち合ったという構図で、CNNによればインド空軍は今回の過激派組織拠点への攻撃へ、同一目標へ攻撃を試みたものの、パキスタン空軍の迎撃により阻まれた為、複数回攻撃を繰り返した事例もあったとしています。

 両国空軍は最大160kmを隔てて空対空ミサイルを投射したとされており、パキスタン当局者はこの空中戦でインド空軍戦闘機5機を撃墜したと主張、インド空軍は未帰還機はないとしていますが、フランス政府が今回の空中戦により少なくともインド空軍が運用しているフランス製ラファール戦闘機1機が失われたと発表、世界を驚かせました。

 核戦争の危機が懸念されていました今回の衝突ですが、パキスタン空軍がある程度善戦した事で、インド軍の過激派拠点攻撃に際し、ある程度代償を払わせることができたと判断するならば、パキスタン世論を抑え、事態が拡大することは回避できる可能性が出てきました。少なくとも現段階では全面戦争は回避できる見通しが立っています。

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ウクライナ情勢-ウクライナ空軍開戦以来1万7575機の無人機を撃墜,西側供与の防空システムが威力

2025-04-15 07:00:34 | 先端軍事テクノロジー
■防衛情報-ウクライナ戦争
 どの程度のミサイルを必要としたのかも含めて防空基盤構築の上で参考としたいところですが現段階では数字は出ません。

 ウクライナ軍は開戦以来1万7575機の無人機を撃墜した、ISWアメリカ戦争研究所4月11日付ウクライナ戦況報告によれば、ロシア軍は2022年のウクライナ侵攻開始以来、ウクライナに対して滑空爆弾6万7000発、ミサイル数千発、2万2400機の無人機を発射したとのことですが、これに対してウクライナ空軍はかなりを撃墜したとのこと。

 ウクライナ軍の戦果は巡航ミサイル3000発、弾道ミサイル137発、自爆用無人機1万7575機の撃墜に成功したとの事で、ウクライナ空軍の発表によればこれらの戦果は多くが西側同志国の提供した防空システムによる戦果であると発表しました。これは言い換えれば、アメリカからの軍事支援停止の問題がいかに大きいかを示した構図といえます。

 ロシア軍の攻勢について。ウクライナ大統領府のパリサ副長官が発言したところによればロシア軍は今月から来月にかけ、ポクロフスク方面を最大の優先目標として攻勢に出る可能性が高いとし、東部のクピャンスク、ライマン、ノボパブリフカ、ウクライナ南部のザポリージャ市周辺に向けて攻勢に出る可能性があると現状を説明しました。

 ロシア軍はクピャンスク南東にあるステポヴァとノヴォセリフカの北方面、シベルスク南西地域であるヴァシュキフカ南、ノヴォパヴリフカ東地域に当たるナディーイフカ北東方面、ヴェリカノヴォシルカ北西地域に当たるシェフチェンコ東で前進し、更に高速道路T-0516号線のトレツクとコスティアンティニフカとの間でウクライナ軍と激戦に。

 米ロ間停戦交渉について、ウィトコフ米国中東特使はサンクトペテルブルクでプーチン大統領と会談し戦争について話題に挙げたものの、ロシア政府はアメリカ政府との関係正常化を通じてウクライナでの戦争を解決する方法を模索しているとされ、事実上、ロシアは国交正常化を主題とすることで和平交渉を遅らせている現状があるようです。

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【防衛情報】防衛装備庁技術シンポジウム,次期潜水艦-磁気ギアードモーターと主蓄電池の小型化と高エネルギー化

2025-04-08 20:24:52 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 防衛装備庁技術シンポジウムの話題を今週も紹介しましょう。

 防衛装備庁の次期潜水艦のイメージについて。防衛装備庁が開催した防衛技術シンポジウムにおいて、イメージ図が発表されています。ただ、防衛装備庁の方の説明ではイメージ図は先進的なイメージを添付していますが、これはあくまでイメージ図であり、この形状の施策を行っているわけでは無い、としています。動力は通常動力だ。

 次期潜水艦のイメージ図ではセイル部分が船体後方に配置され、従来とは一新した形状となっていますが、反撃能力整備の一環として巡航ミサイルのVLS垂直発射装置が追加されるため、現在の潜水艦形状と比較した場合でも、やはり船体形状は大きく変わると防衛装備庁職員は解説しています、そしてもう一つ、電池の位置が変わる。

 蓄電池は従来、縦置きに配列されていましたが、潜水艦は円筒形の船体であることからどうしても利用しない空間が生じており、これを横に並べることで高密度化をはかり航続距離延伸を目指すという。ただ、横に積むことにより従来と比較し、火災が発生した場合の消火が難しくなる難点があり、防衛装備庁は今後この課題に取り組むという。■

 防衛装備庁の次期潜水艦能力について。防衛装備庁が主催した防衛技術シンポジウムにおいて、防衛装備庁は潜水艦にさらなる新機軸を目指すという、具体的には主蓄電池の小型化と高エネルギー化で、その手段として蓄電池ラックを新型化し、今後取り組む蓄電池の横置きについて万一のさいに懸念される火災発生時の延焼防止を図るとのこと。

 単電池についてはリチウムリッチ系電池、現在のコバルト酸リチウムイオン電池を更に高エネルギー化するべくリチウムイオンの含有量を多くできる正極活物質を選定することで、リチウムイオン電池の小型化と高エネルギー化を促進するという。この単電池をモジュール化し、潜水艦船体の曲線に空白のデッドスペース無く敷き詰めることをめざす。

 新型電力変換システムを加えて採用し、機器の小型化により電力変換効率を向上させるとしています。電池についてはやはり、火災発生時の類焼防止をどのように取り組むかが課題ということで、電池ラック開発の重要性がおおきいとのこと。これらの装備開発は艦艇装備研究所の艦艇ステルス技術研究部動力研究室が主導しているとのことでした。■

 防衛装備庁は潜水艦のさらなる静粛化を模索しています。具体的には艦艇用磁気ギアードモーターを研究している、これは永久磁石同期モーターと磁気減速機構を組み込んだモーターをめざしており、高速ローターと低速ローターのポールピース、つまり軸の接続部分、ここを磁石で引きつけあうことで低速ローターの減速をおこなうという。

 機械ギアを省略することにより、どうしてもその接続部分で生じていた雑音を根本から低減できるという。電磁鋼板積層体からなるホールピースを採用し、鉄心の高速ローターを磁石で包むことで、高速ローターを回転させるとともに磁力の調整によりローター同士が磁気により引き合うこととなり、軸を同じくする低速ローターの回転を制御する。

 磁気ギアードモーターは世界でも実用例はないものの、潜水艦のみならず水上戦闘艦や鉄道に自動車といった動力部分へ応用が可能とされています。潜水艦はこうした動力部分の静粛化を目指すとともに船体形状も、イタリアの哨戒艦のような艦首形状を二重化することにより流体形状の向上など、さまざまな形状が研究されているとのことでした。■

 防衛装備庁の将来潜水艦イメージ図のポンプジェットについて、このイメージ図はイメージで有り具体的なものでは無く紹介するものは蓄電池やモーターなどの技術が中心であると説明されていましたが、潜水艦の推進装置について、プロペラ全体を覆うポンプジェット推進装置が描かれていた点が特筆すべき点かもしれません。

 ポンプジェット推進装置は、スクリュープロペラが直接海水に接しないため、高速回転するスクリューが攪拌により気泡を発生させ水中ノイズを発生させる構造的な問題があり、その解決策として推進装置を覆うポンプジェット推進技術が開発されていますが、これはエネルギー効率が悪く、バッテリーにより駆動する通常動力潜水艦には厳しい。

 ただ、防衛装備庁はバッテリー搭載の効率化やバッテリーモジュールの能力向上を目指しており、これにより通常動力潜水艦でもエネルギー効率以上に静粛性を重視するポンプジェット方式を採用させ能力を向上させる選択肢を模索している点がうかがえる一方、イメージ図であるために単に先進的な形状を選定した可能性もまた、あります。

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ウクライナ情勢-ウクライナ軍はMi-24攻撃ヘリコプターをシャヘド無人機対策に活用

2025-02-14 07:00:38 | 先端軍事テクノロジー
■防衛情報-ウクライナ戦争
 自衛隊のAH運用と自爆用無人機対策という視座を中心に。

 ウクライナ軍はMi-24攻撃ヘリコプターをシャヘド無人機対策に活用しているもようです。そしてロシア軍でもMi-24攻撃ヘリコプターをウクライナ軍無人機対策に運用しており、特にシャヘド無人機は空対空戦闘能力を持たない為、弾薬に余裕のある12.7mm多銃身機銃がシャヘド無人機に対してきわめて有効に活用されているもよう。

 無人機対策、2022年から2023年にかけ、大量にイランがロシアへ供給した自爆用無人機シャヘドに対してウクライナ軍は当初、欧米から供与された地対空ミサイルにより迎撃した為に膨大な地対空ミサイルを消耗し、本来地対空ミサイルでなければ迎撃できない巡航ミサイル等に対してミサイル払底危機に曝された事が有りましたが。

 Mi-24攻撃ヘリコプターは視線合致方式の機銃を装備しており、無人機迎撃に活躍しています。実際のところ、匍匐飛行をせず低空飛行するだけのヘリコプターは携帯地対空ミサイルの、また小型無人機の跳梁跋扈により低空飛行し待ち伏せるヘリコプターは格好の標的となっており、ロシア軍とウクライナ軍は攻撃ヘリコプターを十分活用できていません。

 こうしたなかで、無人機迎撃は今後のヘリコプター運用における一つの方向性を示すのでしょうか、それとも自爆用無人機に対しては攻撃ヘリコプターを用いずとも、ジェネラルアトミクス社が提案する様な、滞空時間の長いMQ-9リーパーの様な無人攻撃機に機銃を内蔵したガンポッドを追加してこの種の迎撃に充てるべきなのでしょうか。

 シャヘド無人機は迎撃が簡単ですが、一万数千機単位で飽和攻撃に用いられ、また航続距離は数千kmに達します。ロシアでは大量生産が進み、また北朝鮮へもロシアが技術供与している装備となっていますので、我が国周辺事態では相当数が使用されると覚悟せねばなりません。その場合の迎撃手段を講じるか、反撃能力で敵国首都を叩くのか、課題です。

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ウクライナ情勢-M113装甲車の再評価-軽装甲ながら不整地機動力と陣地変換で活躍

2025-02-03 07:00:21 | 先端軍事テクノロジー
■防衛情報-ウクライナ戦争
 73式装甲車の写真で代用しているのですがM-113装甲車のわだいをひとつ。

 地いき防護任務において、近年陳腐化したと思われてきたM-113装甲車がウクライナ軍において高く評価されているとのこと。M-113装甲車はトラック用エンジンをアルミ合金製は小型車体に搭載した装甲人員輸送車で、装甲防御は軽機関銃と砲弾破片に耐える程度、機動力は第三世代戦車に随伴できない水準となっていますが。

 M-113装甲車は第三世代戦車に随伴する機動力が無く、また防御力も劣る事から過去の装備であるとされた一方、ウクライナ軍は後世作戦を含めた多種多様の戦場に投入しています。その背景には供与された装甲車の中でM-113がもっとも数が多かった、派生型を含めて、という視点が有るのでしょうが、注視すべきは運用環境というもの。

 第三世代戦車が最大の速力を以て攻撃前進するものは、冷戦末期にアメリカ軍が構想して装備体系を整える事で具現化させたエアランドバトルに対応させるにはM-113は能力不足であり、かえてM-2装甲戦闘車が開発されているのですが、ウクライナ軍は70km/hで毎時数十kmを進むような後世作戦をそもそも実現させる計画がありません。

 エアランドバトルも、アメリカ軍は当初から欧州地形では河川など地形障害があるために、工兵を相当近代化する必要性を一部部内から指摘されていたものの具体的有効策を持っておらず、湾岸戦争のような地形障害の無い地域での成功例を過度に評価しているのではないか、とも考えられるのです。こうしたなかでM-113装甲車の利点がある。

 安価であり数が揃えられるという利点は、また孤立した陣地防御への救援、陣地から陣地への陣地変換において過去の要塞線であれば地下鉄や軽便鉄道などを構築していたきょりの移動への装甲車の利用、不整地など徒歩機動が困難かつ敵砲迫火力の顕在地域における素早い移動手段、こうしたもろもろの運用にM-113が効果を発揮しているという。

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ウクライナ情勢-ポクロフスク攻防戦で示された小型無人機と戦車火砲協同運用の重要性

2025-01-27 07:17:23 | 先端軍事テクノロジー
■防衛情報-ウクライナ戦争
 戦車か無人機かという段階ではなくウクライナ軍の運用を見ますと戦車部隊OBが幾度も言う通り両方とも必要である事が示されていまして、また電子戦装備の末端までの普及という必要性を含め自衛隊が学ぶべき戦訓である。

 ロシア軍はポクロフスク方面において無人機不足に陥っている、ISWアメリカ戦争研究所1月15日付ウクライナ戦況報告によれば、ロシア軍はこのところ電子妨害による無人機運用の障壁にさらされており、この打開策として有線式の光ファイバー方式ドローンを投入していますが、この特性の違いによりドローンオペレーター不足に陥ったという。

 ロシア軍はげんざい、ポクロフスクを新しい焦点として攻勢を強化していますが、通常の無人機は電子妨害により充分性能を発揮出来ず、ロシア軍はこのため、ポクロフスク方面の天候が良好である事から、滑空爆弾を使用してウクライナ軍を圧迫しているという事ですが、無人機においてウクライナ軍が優位にある事から幾つかの新要素があるとのこと。

 電子妨害が有効に機能しており、ロシア軍が全線で多用している市販無人機の改造型はかなりの部分撃墜されているという。ロシア軍はこれを受け、電子妨害を受けない光ファイヴァー欲し着無人機を、ロシア軍司令部が必要と判断したときのみ、投入していますが、これが必要数を供給できておらず、運用能力も低く妨害に強くとも良く落ちているという。

 ウクライナ軍は無人機を有効に運用する事で、ロシア軍の戦車運用をかなりの部分で封じており、具体的には、前線付近の3kmから6kmの地域においてロシア軍は戦車や装甲車を運用した場合、かならずウクライナ軍無人機の攻撃を受け、これら装甲車両を運用出来ていないとのこと。またウクライナ軍は無人機により火砲の精度を相当向上させている。

 FRV無人機は、ロシア軍戦車を一撃で破壊する事はできませんが、5機から10機を連続して突入させるため、ロシア軍戦車は厳しい状況にあり、一方でこの状況を活かして、ウクライナ軍は戦車を自由に行動させ、逆に結果的に戦車を運用出来ない丸裸のロシア軍歩兵部隊に対してウクライナ軍戦車は戦車砲による直接火力支援に有用に機能しているとも。

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ウクライナ情勢-第一線火力として必須となりつつある25mm/30mm機関砲

2025-01-09 07:00:33 | 先端軍事テクノロジー
■防衛情報-ウクライナ戦争
 今回は装備面について。

 30mm機関砲の重要性について。ロシアウクライナ戦争は来月で開戦3年を迎える事となりますが、この戦争を通じて自衛隊が大きな戦訓としなければならない点として、第一線火力として25mm乃至30mm機関砲の装備は最早必須となっているという状況です。自衛隊には偵察警戒車などに僅かしか装備されていない装備でもあるのですが。

 30mm機関砲は、BMP-2装甲戦闘車の主武装であるとともに、ウクライナ軍は軽装甲車にも搭載し第一線火力支援に重宝しています。この30mm機関砲は、一撃では戦車等を撃破する事はできませんが、複数個所から同時に使用することでロシア軍のT-80戦車等に対しても有効長出来を加えた事例が多数あります、無論、装甲車にも有効ですが。

 固定陣地への30mm機関砲攻撃、歩兵部隊の陣地には重機関銃などで武装している事例は多いものの、射撃陣地などへ30mm機関砲を射撃した場合、土嚢などで厳重に部押している場合でも簡単に破壊される事例があり、ウクライナ軍はこうした状況に対応するために、例えばランドクルーザーなどを転用した軽装甲車であっても30mmを積むもよう。

 JLTV統合軽量戦術車輛などで30mmRWS遠隔操作銃塔を搭載するものが増えていますが、日本としても、今後導入する軽装甲機動車の後継車両には12.7mm機銃では威力不足で、エリコン25mm機関砲程度は標準装備としなければ、機関砲が普通科部隊の標準的装備としなければ、撃ち負けるという実情を理解しなければなりません。

 機関砲は同時に無人機攻撃や航空攻撃に対しても一定程度有用です。30mmRWSについては10式戦車近代化改修に際して搭載するという情報もあるようですが、パトリアAMVやハーケイ軽装甲機動車などに標準装備しなければ、ロシアウクライナ戦争での重要な戦訓を無視したといわれても仕方が有りません。

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