■スウェーデン2018徴兵再開
徴兵制は軍事合理性から有り得ない、と安全保障を体系的に知る方々が我が国での徴兵制の可能性について一蹴してきましたが、フランスに続きスウェーデンも再開します。
フランスのマクロン大統領による徴兵制再開発表、マクロン大統領が大統領選で掲げた徴兵制公約を実行したものでした。しかし、軍事的に徴兵制は時代遅れであり、軍事的に徴兵制はあり得ない、と様々な識者が指摘した論点を覆すもので、社会の団結等の非軍事視点から国民が徴兵制を求める場合には徴兵制があり得る、とも訂正すべきでしょうか。
日本でも徴兵制の可能性が、と現在の防衛政策へ批判的な視点を示す方々や国会議員の中にも野党の見解として徴兵制の可能性へ警鐘を鳴らす事例があります。当方は専門職の意味を理解しない野党が政権を取った時こそ徴兵制の可能性が高まるのではないかと逆に考えているのですが、純軍事的に考える限り徴兵制を行う意義はありません、が例外はある。
スウェーデンも本年2018年より徴兵制を再開します。2010年に徴兵制を停止したのですが、志願制に移行した際に思ったほど人員が集まらず、2016年に二年後の徴兵再開を政策決定し、2018年に徴兵制が制度として再開されます。実は徴兵制は不要であるが、人口が一定以下となり志願制を維持できない場合に質よりも量が求められる場合はあるのです。
スウェーデン軍は陸海空併せて16000名、しかし徴兵制を実施していた2000年代初頭には50000名の兵力を有していました。スウェーデンは重武装中立政策の伝統があり、同盟国に頼れない部分を独自防衛力整備に余念が無かったのですが、スウェーデン人口は僅かに900万規模、当初は志願制で賄う計画であったのですが停止後六年で再開に踏み切った。
徴兵制が2010年に停止された背景には、スウェーデン徴兵期間は停止当時10か月となっていました。この期間では十分な訓練を行う事が出来ないとして職業軍人主体の陸軍へ転換する必要がある、と考えられたためでした。スウェーデン軍を見ますと規模の割には高度に機械化されています。整備一つ行うにも訓練期間10か月では不十分だった訳ですね。
新鋭Strv-122/レオパルド2A5主力戦車120両と予備役にStrv-120/レオパルド2A4主力戦車150両、40mm機関砲搭載Strv9040/CV-90装甲戦闘車509両、AMV/XA180装甲車298両など。スウェーデン軍は平時編成に師団は勿論旅団もありません、旅団を維持できる人員規模が無い為で独立連隊基幹、戦時に動員令を掛け2個旅団を編成するという方式です。
スウェーデンのように志願制では必要な防衛力を維持できないことが国内世論で問題視され、徴兵制を掲げる急進的な政党が政権公約に徴兵制を盛り込んだ場合、日本は民主国家ですので、実施される可能性はあります。しかし、現実問題、日本の半分以下の人口で自衛隊以上の陸軍力を維持した事例は多々あり、一億以上の人口で現行水準維持は可能だ。
人口減少社会、日本人口は1億2700万の規模を有していますが、遠い将来に陸上自衛隊の定員を維持できない程に人口が減少した場合、特に日本人口が一億を割り込み、高齢化が人口半数を超え、その上で周辺情勢脅威度が高く維持された際、可能性は否定できません。ただ、現状のように財務省が完全充足時の人件費を認めず定員割れの状況では杞憂です。
民主国家なのですから、国民が徴兵制なしに国土防衛と自らの人間の安全保障が達成できなくなると考えた場合、政治がその選択肢を提示した場合には採用さる余地はあります。しかしこれは同時に、人数頼りの規模の軍事機構よりも専門職集団としての志願制軍隊の優位度を主権者がどう認識するかも重要であり、主権者は知る努力を怠ってはなりません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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徴兵制は軍事合理性から有り得ない、と安全保障を体系的に知る方々が我が国での徴兵制の可能性について一蹴してきましたが、フランスに続きスウェーデンも再開します。
フランスのマクロン大統領による徴兵制再開発表、マクロン大統領が大統領選で掲げた徴兵制公約を実行したものでした。しかし、軍事的に徴兵制は時代遅れであり、軍事的に徴兵制はあり得ない、と様々な識者が指摘した論点を覆すもので、社会の団結等の非軍事視点から国民が徴兵制を求める場合には徴兵制があり得る、とも訂正すべきでしょうか。
日本でも徴兵制の可能性が、と現在の防衛政策へ批判的な視点を示す方々や国会議員の中にも野党の見解として徴兵制の可能性へ警鐘を鳴らす事例があります。当方は専門職の意味を理解しない野党が政権を取った時こそ徴兵制の可能性が高まるのではないかと逆に考えているのですが、純軍事的に考える限り徴兵制を行う意義はありません、が例外はある。
スウェーデンも本年2018年より徴兵制を再開します。2010年に徴兵制を停止したのですが、志願制に移行した際に思ったほど人員が集まらず、2016年に二年後の徴兵再開を政策決定し、2018年に徴兵制が制度として再開されます。実は徴兵制は不要であるが、人口が一定以下となり志願制を維持できない場合に質よりも量が求められる場合はあるのです。
スウェーデン軍は陸海空併せて16000名、しかし徴兵制を実施していた2000年代初頭には50000名の兵力を有していました。スウェーデンは重武装中立政策の伝統があり、同盟国に頼れない部分を独自防衛力整備に余念が無かったのですが、スウェーデン人口は僅かに900万規模、当初は志願制で賄う計画であったのですが停止後六年で再開に踏み切った。
徴兵制が2010年に停止された背景には、スウェーデン徴兵期間は停止当時10か月となっていました。この期間では十分な訓練を行う事が出来ないとして職業軍人主体の陸軍へ転換する必要がある、と考えられたためでした。スウェーデン軍を見ますと規模の割には高度に機械化されています。整備一つ行うにも訓練期間10か月では不十分だった訳ですね。
新鋭Strv-122/レオパルド2A5主力戦車120両と予備役にStrv-120/レオパルド2A4主力戦車150両、40mm機関砲搭載Strv9040/CV-90装甲戦闘車509両、AMV/XA180装甲車298両など。スウェーデン軍は平時編成に師団は勿論旅団もありません、旅団を維持できる人員規模が無い為で独立連隊基幹、戦時に動員令を掛け2個旅団を編成するという方式です。
スウェーデンのように志願制では必要な防衛力を維持できないことが国内世論で問題視され、徴兵制を掲げる急進的な政党が政権公約に徴兵制を盛り込んだ場合、日本は民主国家ですので、実施される可能性はあります。しかし、現実問題、日本の半分以下の人口で自衛隊以上の陸軍力を維持した事例は多々あり、一億以上の人口で現行水準維持は可能だ。
人口減少社会、日本人口は1億2700万の規模を有していますが、遠い将来に陸上自衛隊の定員を維持できない程に人口が減少した場合、特に日本人口が一億を割り込み、高齢化が人口半数を超え、その上で周辺情勢脅威度が高く維持された際、可能性は否定できません。ただ、現状のように財務省が完全充足時の人件費を認めず定員割れの状況では杞憂です。
民主国家なのですから、国民が徴兵制なしに国土防衛と自らの人間の安全保障が達成できなくなると考えた場合、政治がその選択肢を提示した場合には採用さる余地はあります。しかしこれは同時に、人数頼りの規模の軍事機構よりも専門職集団としての志願制軍隊の優位度を主権者がどう認識するかも重要であり、主権者は知る努力を怠ってはなりません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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