北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

航空宇宙自衛隊の宇宙戦争能力【1】新任務-宇宙空間の重要性とアメリカ宇宙軍編成や各国航空宇宙軍の概況

2022-12-10 20:11:44 | 国際・政治
■いきなり宇宙といわれても
 防衛費がGDP1%枠から政治決定によりGDP2%と倍増される事となりましたが、それ以上に多くの任務を政治が課した為に予算不足は当面続く印象があります。

 航空宇宙自衛隊への航空自衛隊からの改称が話題となっています、政府は今月中旬にも成立させる安全保障基本方針へ盛り込むとのことで、航空自衛隊に宇宙作戦能力を強化させるべく名称を変更させるとのこと。実現しますと1954年の自衛隊発足以来初の名称変更となり、航空自衛隊は航空宇宙自衛隊として、また創設一周年から創設年度が始まります。

 宇宙、しかし航空宇宙軍という組織は世界中に存在します、アメリカは逆に陸海空軍と海兵隊に加え宇宙軍を独立させていますが、イスラエルやロシアは空軍を航空宇宙軍へ改称、フランスも続き人工衛星など多数を運用する国にはもはや宇宙分野でのキラー衛星など脅威情報監視や、逆に衛星攻撃兵器の運用などは必要な任務となっている証左ともいえる。

 ただ、問題は航空自衛隊の大規模な組織改編を行うのか、という疑問符です。航空自衛隊の作戦基盤は航空方面隊であり、その上級司令部として航空総隊がおかれています。宇宙空間は那覇の南西航空方面隊や春日の西部航空方面隊、入間の中部航空方面隊や三沢の北部航空方面隊といった管轄との線引きが今一つわからないのです。宇宙方面隊を創るのか。

 航空宇宙自衛隊といいますと、不審な宇宙船が接近したのを感知して下地島基地からASAT対衛星兵器を搭載したF-15戦闘機がスクランブル発進する、こうした運用を思い浮かべる方もいるのかもしれませんが、実質、宇宙空間は将来戦闘に重要な位置を占める為に所掌する部隊が必要なのですが、陸海空自衛隊を見渡すと航空自衛隊、との帰結がありました。

 名称を変えるだけではなく、踏み込んだ組織改編を行う覚悟はあるのか、疑問符はこうした点でも感じるのですね。前述の通り、宇宙任務は北部や中部に西部という関係はりません、宇宙条約により衛星軌道には領空の主権が及ばない為です。宇宙任務に取り組むならば、航空総隊の組織体系から、覚悟が必要となります。陸海空自衛隊との運用さえも。

 アメリカ宇宙軍を挙げますと、9個の部隊があり、ペトリオットミサイルを運用する第1宇宙旅団、宇宙の人工衛星を地上から観測する第2宇宙部隊、宇宙での電子戦を担当する第3宇宙部隊、弾道ミサイル攻撃を警戒する第4宇宙部隊、宇宙空間の通信と衛星指揮を担う第5宇宙部隊、サイバー戦に当たる第6宇宙部隊、衛星情報収集を担う第7宇宙部隊など。

 宇宙軍の実戦部隊は衛星情報戦を担う第8宇宙部隊、軌道軍として宇宙戦争を担当するのが第9宇宙部隊、そしてバンデンバーグ宇宙基地のロケット施設を担う第30宇宙旅団などが当たります。一方でICBM大陸間弾道弾の運用は空軍が所管したままとなっていまして、核戦争などに際してはミサイル攻撃の警報などで空軍と宇宙軍は協力する関係となります。

 統合運用が充分に行われていない日本の自衛隊の場合、宇宙任務を一つの自衛隊組織に統合した場合は、例えば海上自衛隊のミサイル防衛ではSM-3迎撃ミサイルは衛星軌道に充分届くものの、管轄外という縦割り組織に阻まれる懸念があり、先ずは統合任務部隊を編成し、これを常設機構とした上で宇宙を所掌範囲としなければ、問題が生じるよう懸念する。

 イージス艦のSM-3迎撃ミサイルはロフテッド軌道により周回衛星軌道よりも高い軌道を描いて落下するものを迎撃しますし、イージス艦のSPY-1レーダーと続いて導入されるSPY-7レーダーの方が軌道上の脅威を検知するには、少なくとも航空自衛隊の防空監視レーダーよりも適しています。すると先ずは宇宙任務を囲いこむよりも共有が必要となる。

 海上宇宙自衛隊に航空宇宙自衛隊と共に改称して海上自衛隊のイージス艦などの宇宙関連任務も海上自衛隊が独自に運用できるようになればよいのではないか、こう皮肉を言いたくなりますのは、宇宙分野の任務は航空自衛隊の専管任務ではなく、寧ろ地球規模で部隊を現在進行形で展開させる海上自衛隊の所掌範囲も多いという事で、囲い込みは逆効果だ。

 統合任務部隊から始めなければ宇宙任務は難しいのではないか。航空自衛隊の宇宙作戦群は、現在監視任務としまして、通信衛星などに脅威を及ぼすキラー衛星を警戒し、例えば我が国の管制する人工衛星に不審な人工衛星が接近した場合は、回避行動を執る為の情報を収集する、など施策を行っています。しかし、航空自衛隊全体で宇宙部隊はまだ少ない。

 サイバー部隊、もう一つ重要なのは宇宙作戦は結局自衛隊がスペースシャトルの様な装備を持つわけではない為、衛星通信を介して電子空間の戦いも主柱となるのです、結果的にサイバー戦を担う事ともなるのですが、これこそ統合任務部隊として陸海空で運用せねば人員面で対応できません。宇宙が重要なのはわかる、しかしまだその前の段階に居るのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:京都-寺町,錦市場と阪急河原町近くで頂くステーキとワイン!

2022-12-10 14:41:19 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 冬の到来とともになにかこう熱々のものを頂きたい。

 新京極、若者が散策する街といいますか遠くの方に聞いてみますと修学旅行の定番の街といいまして、ここで自由行動が楽しかった、とお聞きしました。なるほど交番も幾つもありますし変なお店が昔から少ないとか新撰組が頑張ったとかで新京極は安全な街だと思う。

 パリ21区、階段を上ったところということで視線を少し上にさがさなければならない一角なのですが、ちょっといい雰囲気の階段を上ってゆきますと、こんな落ち着いた風景が広がっているのですね。もっとも本当に面白いのはアーケードを出た当りなのかもしれない。

 パリとかいう名前で高級なお店ではないのですが、店内の落ち着きとともに熱々のステーキに付け合わせのポテトが美味しい、しかしこのステーキは付け合わせをポテトか何かと選べるメニューで選べる付け合わせの一つにスパゲティナポリタン、ああ、ここは日本だ。

 パリ21区、いきなり京の都から花の都なのか、と思われるかもしれませんが錦市場から寺町通りを少し北へ歩み進めますと、瀟洒な、しかし何故かランチタイムには修学旅行の制服姿の男女が甘酸っぱい青春を謳歌している、そんなお店があります、ここは肉食系だ。

 ステーキをちょっと食べたい、そんなときにはここは阪急河原町駅からも近いですし、アーケードの下ですから台風の時も濡れない一角にあります、付け合わせのコールスローとスープが、これは高校生や中学生にはもう少し先の味わい誘うということに気づかされる。

 ビアホール的な側面もありますこの店内、いや混雑しているときにはコロナの時代に少し難しい側面もあるのですが、空いている時間帯にはこう、ワインを傾けてじっくりと人の少ない店内の落ち着いた風情を見渡したりも、買い物戦利品をちょっと膝元で見返したり。

 ステーキ、ステーキです。ミスジステーキかハネシタステーキかハラミステーキか、150gか200gか300gかを選べまして、ハシモトに負けるかとハネシタステーキにかじり付いていた大阪の友人を思い出す。ステーキ酒場ともいうくらいで、これくらい派手なのがいい。

 ワインとステーキ、ううむいいですよねこの取り合わせは、赤ワインは酸味とともに独特の渋さでステーキの赤みの酸味を抑えてくれるとともに、ワインがステーキを進めてステーキもワインを進め、脱構築で食べていて飽きない、これを相乗効果というのだろうなあ。

 1ポンドステーキグリルという、赤身から霜降りに様々な部位を楽しめるメニューもありまして、それこそ今日は肉だ、肉を思い切り食べよう、という時にはおすすめしたいところなのですが、こちらは200gのステーキです。そしてこう、空いている方がワインもすすむ。

 ミディアムの焼き具合は万人受けというところなのでしょう、タマネギを含んだシャリビアンなソース、そしてスパイスに胡椒がなにか自由という感じなのでしょうか。ここ、ビール飲み放題を注文するとピッチャーどころかミニサーバーを貸してくれるというところ。

 ハネシタもミスジもハラミさんも、ひとくちサイズに切って供されますので、お箸でもひとつひとつを摘んでいただける、要するにここは呑むおみせなのだよなあ、と思うのです。しかしドリンクバーはなく、飲み放題はビールかワイン、要するに大人のお店なのだなあ。

 ワインは、ここが寺町商店街のアーケードの一角ということを忘れる程度に、しかしあしもとのショッピングの戦果が買い物の成果ということで寺町の繁華街なのよということを思い出す、コロナ前ですと大阪や神戸の買い物袋も並んだ、阪急河原町から近いのだから。

 寺町通りは新京極通りと平行している通りでして、ともにアーケードでつながっています、いや寺町通りは京都御所まで至る一方で本能寺の先にはアーケードはないのですがお寺が続く、実は京都観光京都散策のひとつのおもしろい拝観の一角を構成しているのです。

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防衛費2%問題-突如追加される"宇宙戦争""認知戦能力",予算に併せ任務追加ならばGDP3%でも不足の懸念

2022-12-10 07:01:20 | 国際・政治
臨時情報-防衛予算GDP2%
 防衛予算がGDP1%の枠内に収まらないのはGDP1%枠が決定した時代よりも任務が増えたからです、そして予算を増やしても任務をそれ以上に増やせば同じ事となる。

 防衛費GDP2%問題ですが、GDP1%の枠内で長らく続けてきた日本の防衛がミサイル防衛という毎年数千億円規模の出費を2000年代初めから加えた際に防衛費を据え置きした事で多くの装備品が調達中止や維持費削減による予備部品枯渇、幹部以外自衛官の非正規職員化による募集難、がたがたに自然崩壊した為に建て直しが必要な状況とはなっていました。

 しかし、GDP2%が政府方針として固まりますと、“航空自衛隊の航空宇宙自衛隊への改称による宇宙任務重視”や防衛省以外の所掌任務でもあるフェイクニュース対策としての“認知戦能力”など、そもそも人工衛星一つ持たず統合運用も進まない自衛隊に宇宙能力を航空自衛隊に集約すべきなのか、何故急に認知戦、と防衛とは何かを少々混乱しています。

 無人航空機を大胆に導入する事で戦闘ヘリコプターと観測ヘリコプターを全廃する方針が伝えられていますが、そもそも無人機運用実績が乏しく航空法上で視程外無人機運用が先週の規制緩和まで殆どできない日本で、無人機に大胆に依存できる程の運用研究をやったのか、適当に軍事雑誌のコラムだけを視た報告書に影響されていないか、思いつき感が。

 戦闘ヘリコプター調達中断による陸上自衛隊航空作戦能力の瓦解、特科火砲と戦車の際限なき削減と中途半端で多種多様な代替装備調達による調達体系の複雑化、飛行可能だが任務対応困難な装備の増大、練習機老朽化と着手さえ無い後継機計画、部隊新編の都度管理替えで対応し不足する装甲車両、新編部隊に併せ削られる既存部隊定員、こうした問題が。

 防衛費は不足しているのですが、選択肢としては任務を減らすか予算を増やすか、例えば消防警察等自治体防災能力を高める事で災害派遣要請の頻度を減らせば陸上自衛隊を即応部隊中心に大幅に削減する事は可能です、反撃能力に膨大な予算を投じるようですが防空自衛隊と云うべき航空自衛隊の戦闘機運用を見直せば今の戦闘機定数280機の航空打撃力だけで出来る事は多い。

 道路工事を行う年度末調整の様に2%という数字が独り歩きしていないか、ミサイル防衛の予算を考えればGDP比1.3%は必要、そしてすでに崩壊した装備体系や人員俸給体系の構築を考えれば短期間で1.6%は必要でしょう、しかし、宇宙だ認知だと任務を予算に乗じて増やすならば、それはGDP3%でも不足するのは見えています、原点回帰が必要でしょう。

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