6月12日、NATULUCK関内セルテ 801にて、第165回YMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)を開催しました。3月から始まった「比較的若手シリーズ」も佳境です。
今回の講師は、プロミュージシャンで株式会社SAKAY ENTERTAINMENT代表取締役の酒井俊光様。19歳からプロギタリストとして活動、コロナ禍であらゆるイベント活動がなくなる中、それまで副業として行っていた動画編集の幅を広げ、現在はSNS運用代行(編集・撮影)を主軸として、ミュージックビデオ撮影、編集、エンタメ業界以外でもイベントの会場選定やPV作成、プロモーション支援などを行っておられます。そんな酒井さんに、「エンターテインメント業界が経済に及ぼす影響」と題してお話しいただきました。
初めに、エンターテイメント業界とは、スポーツ、テレビ・ラジオ、映画、音楽、アニメ、ゲーム、舞台・イベント、テーマパーク・レジャー、動画配信など、非常に幅広い業界を包含する概念です。したがって、その裾野は我々が思っているよりも広く、雇用創出、収益増加、観光産業の発展、技術革新の促進など、多岐にわたる影響を経済に及ぼしています。
例えば、地方で大規模なイベントが行われ、そこに人が集まると、地元のレストランやホテル、小売店、観光産業などに10%~30%の売上増が見込まれるそうです。しかもそれは、コロナ禍で一旦ゼロになり、未だ回復途上にある直近の数字であり、本来はもっと見込めるそうです。
「戦争は発明の母」という言葉があります。同様に、エンターテイメント業界も様々な技術革新を促す土壌があります。むしろ、エンターテイメント業界で起こった技術革新が軍事転用される例さえあります。例えば、VR(仮想現実)/AR(拡張現実)技術を用いた軍事訓練は、元はゲームから生まれたものです。もちろん、その逆も起こり得るでしょう。そしてエンターテイメント業界で起こる技術革新は、我々の日常生活をも変えていく可能性を秘めています。例えば、観客が観客席から鑑賞するのではなく、自らも参加する体験型(没入型)演劇、「イマーシブシアター」は、VR/AR技術の進展により今後ますます発展し、そのノウハウがエンターテイメント業界を超え、私たちの生活にも浸透していくことでしょう。その他、5G技術によりリアルタイムデータ処理が可能となり、リアルタイムストリーミング(ライブストリーミング)はよりタイムラグのないものとなります。企業で言えば、リアルタイムのデータをマーケティングに活用することが可能でしょう。エンターテイメント業界には欠かせない著作権管理をAIにやらせるということも行われているようです。
一方、このような技術革新の副産物として、新たな課題も生まれています。例えば、誰でも手軽に発信ができるようになった結果、二次創作の商業化、AIによるコンテンツ自動生成ツールの登場、NFT(非代替性トークン。デジタル上の資産鑑定書のようなもの)の無許可販売などが起こり、著作権、知的財産権の保護がより困難になっています。また、ストリーミングサービスで大量のコンテンツが配信されるようになった結果、質の低いコンテンツも大量に出回るといったことが起きています。
最後に、総務省が出している「5Gで繋がる世界」という動画を見ました。
それで思い出したのですが、40年前に「ミーム いろいろ夢の旅」という科学教養アニメがありました。当時は子供心に「本当にそんな未来が来るのか?」とわくわくしたものでしたが、「5Gで繋がる世界」は遠い未来ではなく、部分的には既に起こっている「すぐそこにある未来」という印象でした。ということは、その結果起こる私たちの生活や取り巻く環境の変化もある程度予測の範囲内と言えます。しかし、そうなった時、今は当たり前のように見えて、今後その価値が高まっていくもの、あるいは生活環境が変わっても普遍的に残る価値、そうしたことに想いを馳せることは、40年前の「ミーム」のようにわくわくします。
懇親会は、関内駅前周辺の再開発でセルテと共にあと1年半で46年余りの歴史に幕を下ろす「スポーツカフェ ヤンキイス」で行われました。まさに横浜大洋ホエールズから横浜DeNAベイスターズの歴史と共にあったお店で、子供の頃から知っていたので寂しいです。
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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