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キューバの医療

2006年01月19日 | Weblog
というトピックで英語の授業の学期末レポートを書いた。そもそもこの授業、取った後で知ったのだが、ラテンアメリカを専門的に扱う講義内容、よってレポートの内容も当然のことながらラテンアメリカに関するものが求められた。でも正直ラテンアメリカについては特に何も興味ない。考え抜いた挙句の「カストロ」というトピックが"too vague"とあっさり切り捨てられたので、最後の手段、"Can you recommend any topic?"と先生にうかがったところ、このトピックを勧めてくれたので、拒否する理由もなくこれに決定した。

でもなぜキューバの医療?と疑問に思ったのだが、調べてみるとなるほど、確かにただの医療ではなかったのだ。

というのもまず国民の医療はすべて無料(薬代は別)、子どもが産まれたら7歳まで毎日ミルクが支給され、母親には肉を支給、地方の住民も巡回してくる医者に診てもらえる、という内容なのだ。この制度は1959年のキューバ革命の時に始まり、カストロ大統領の指揮のもと改革が推し進められた。当時3000人しかいなかった医師の数は今や7万人を越し、病院も多く建てられた。国内ではこの医療制度のおかげで、平均寿命はアメリカと並ぶ76歳、乳幼児死亡率はアメリカのそれを下回る6.4を成し遂げている。HIVの感染率も低く、国民一人あたりのベッド数、医師の数、看護婦の数は多い。

またキューバの医師は海外に積極的に赴き、現地の人の診察にあたるのである。行く先はアフリカやアジア、ラテンアメリカと全世界にまたがり、基本的に診療費用はキューバ政府もちであるという。行く先は貧しい地域が多く、その昔スペインの侵略者達ですら侵略をあきらめたというラテンアメリカの奥地にまで足をのばす。医師たちの倫理観、及び正義感は強い。キューバでは逆に医師を志す学生を海外から自国に受け入れ、スカラーシップを与え、学ばせることもしている。多くの学生が志願するそうだ。学んだ学生は自国に戻り、自分の国民の診察にあたる。このように、キューバの医療制度では国内への貢献はもとより、国外への貢献も並大抵ではない。

しかし、この制度を支える台所事情はあまりよくないようだ。同じ社会主義国である旧ソ連からの援助金がその崩壊を機に打ち切られ、またアメリカの経済封鎖の為に、医薬品の入手も難しい。景気も、その共産主義傾倒による舵取りのためか思わしくない。しかし
医療関連への歳出は減らすことはしていない。優れた医療制度を国民に提供する事で、その支持を得ようとの目論見ともみられる。

また、実はキューバの今の医療制度には、「二重の構造」があるという。その優れた医療を、外貨を豊富に持つ外国人や国内の共産主義者の幹部のためにあてるものと、一般のキューバ国民のための医療である。外貨を獲得したい政府は、前者の医療に力をいれ、その限られた資源を優先的に使っている。

さらに、政府が公表する過去の乳児死亡率には疑わしい点があるという。子どもの命を脅かす病気が流行った時期に死亡率が低下するなどいくつかの矛盾点が見られ、またカウントの仕方もしっかりしたものであったかどうかは定かではない恐れがあるらしい。

しかし、それでもキューバの医療は優れており、日本を含め先進諸国でも見習うべき点はおおいのではないだろうか・・・

というような内容のレポートになった。参考にした資料がほとんど英語で書かれていたため、多少事実と異なって解釈してしまった点もあるかもしれない。資料は、キューバの情報が多言語で読める「グランマ」というサイトや、学内のProQuestというデータベースを使って検索して得た。昨日の夕刻頃より書き始め、最初は本当に終わるのか半ば青ざめながらやっていたが最終的に明け方頃に、2000wordsほどのレポートに仕上がった。あまり構成を考えずにひたすら書きつづけたので、果たして評価はいかなるものになるのか不安でたまらない。

※上記内容でなにか間違えがあればご指摘ください。


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8 コメント

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Unknown (Mr.Guitarisut!!)
2006-01-20 01:54:49
っていうか統計やれよ(# ゜Д゜)

もしかして超余裕ってやつ?



そして音楽の筆記を頼む。
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今度はちゃんと読んだ (Mr.Guitarisut!!)
2006-01-22 03:35:18
統計で((;゜Д゜)ガクガクブルブルしないわけはok-pさんのおかげだったのね。





キューバの医療が充実してるなんてびっくりした。だって、TVがあれば裕福な家庭とされてる国だよ?

野球王国でありながら、バットとグローブを買えずにダンボールを使ってグローブにし、角材をバット、ボールは新聞紙を丸めるなんて子とやってます。でも野球選手(キューバ国内のみ)になれば上流階級の暮らし(日本のものと比べたら圧倒的に劣るが)が出来るので、小学生のうちから野球アカデミーに入り、みんな野球選手を目指すのです。



もちろんプロになっても社会主義国家なので、日本のような暮らしは出来ないので、他国に亡命します。キューバ出身のメジャーリーガーはみんな亡命者です。





このことを考えると医療器具が発展しているのを考えることは難しい。では何を持ってキューバの医療が発展しているのだろうか?



ベットや医者の数が多いということは、初期段階の病気・怪我に対しては対処できるということ。社会主義国家だから医療費の負担も低く、病院に行く環境が整っているのかもしれない。



そのことを考えると、国外から学生を積極的に取り入れようとしても人が来ないのではないだろうか?特に教育という面を考えると、欧州、アメリカ、インドなどに比べると劣ってしまう。





まぁ、以上の推論はキューバという国が身近な国家でないからかもしれない。これからの人生でキューバで医療技術を学んだという人がいたら是非話でも聞いてみたい。
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Unknown ()
2006-01-26 19:40:50
マジレスに感動。。。



確かにキューバ、なんて身近じゃないからね・・・。旅行に行く気にもならないし、まあ医療の世界は自分とはあんまり関係がなさそうだし。興味があるのはこの題材のレポートで、授業中一回も発言せず、わかっているフリだけをしていた授業にどんな単位が来るのか、だね。
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キューバの医療 (Li)
2007-12-29 16:56:22
こんにちは。はじめまして。東京の大学に通う四年生です。
google検索でここにたどり着いたものです。

私は国際交流団体に提出するエッセイのテーマとしてキューバの医療をを選びました。harborbeelineさんがこのれポートを書くときに参考になった論文、またはホームページ(Granmaはもう見ました。)などを紹介していただけないでしょうか?

また、非常に恐縮ですがもしよろしければharborbeelineさんが書いたレポートをぜひ拝見したいです。
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Unknown (harborbeeline)
2008-01-31 17:37:41
遅れて申し訳ないですが、以下のHPや記事を参考にしました。

http://www.southcoasttoday.com/daily/03-05/03-15-05/a13op083.htm

THE WALL STREET JOURNAL “Want a Radical Face Lift? Try Revolutionary Cuba”

“フィデル・カストロ : 世界の無限の悲惨を背負う人” written by Saburo Tanaka published in 2005 p.259-263
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はじめまして。 (だいきち)
2008-07-06 13:21:31
ググッてたどり着きました。

キューバはなかなか分かりづらい国ですよね。
特に経済封鎖の旗手であるアメリカ経由の情報はバイアスがかかっているので、要注意だと思います。

医療に関しては、予防医学と障害者就業支援などは、一党独裁・社会主義の強制力がはたらいて、良い結果を生んでるようですし、生活自体がゆるーい感じの国なんで、高度医療機器に頼る部分を労働力で補っているんでしょうね。
HIV感染者や麻薬中毒者の少なさも特筆すべきでしょう。

人手に頼る部分が多いということは、それだけ労働分配が出来ることで、みんな貧乏だけど教育・医療・福祉は国が充実させるから、安心して暮らしてね、という低エネルギー社会のひとつのモデルになるように思います。

もっともこういった社会では、海外で多大な収入を得る個人能力のある突出した人(野球選手とか)は、より多くの報酬を求めて流出することになってしまいます。

これはキューバの国策の基本が、高度福祉、弱者保護、平等、というところにおかれているので、アメリカ型の「Winner takes all」のような社会に慣れている私達には異質に感じるところですね。

TVが無いとかマイカーは夢とかは、どこをもって「豊か」とするかの違いですが、あらゆる物質文明に囲まれていながら、毎年3万人の自殺者を出す国と、どっちが豊かで幸せなのかは悩むところですね。

キューバはカリブ海の発展途上国ではなく、独自の経済モデルを作った興味深い国と、私は考えています。

駄文・長文、失礼しました。

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Unknown (harborbeeline)
2008-07-12 23:37:24
>だいきち様

コメントありがとうございます。キューバは分かりづらい国、だからこそ一度訪れたいと思っています。

ただ、実際に訪れた友人曰く、行きの飛行機の機内では床から煙が出ていたとか・・・。いつものことだそうで、周りの人は平然としていたとか。
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キューバでは近眼手術も無料 (kumie)
2009-02-20 22:19:24
キュウバ人と再婚(事実婚)してキューバに移り住んで10年近くになる友人が帰国中です。
キューバ医療の一例として彼女の話をブログに載せました。
このブログもリンクしました。
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