嘘の吐き方(うそのつきかた)
人はみんな嘘をついていると思います。僕もそうです。このページが嘘を吐き突き続ける人達のヒントになれば幸いです。
 

悪夢  


時々、誰かに追い立てられる夢や、
ものすごくギリギリまで追い詰められる
おそろしい夢を見て
汗の量と共に起きる過去があった。

そのたびに僕は、現実の中で
やらなくちゃいけないこと、
忘れていたこと、
のしかかる義務のようなものをこの世界の頭で探し求めたが、
そんなもの、いつもありはしなかった。

ただ無性に腹が立つような、
どうしようもないぼんやりした使命感を抱えたまま、
ぼくはいつもうずくまったり立ち尽くしたりしていた。

この世界でなにもすることが無いという絶望。
やらなくちゃならないことは何も無いという
地の底に落ちたような豊かさ、
自分に何もできないという
焦りや不安、無力感と焦燥感に苛まれていた。

それに比べると、今の僕は
学生という身分があるだけで、
山のようにやることがあり、
社会からも居場所を許されている。
ゆっくりと囲いの中で老いていくことも、
努力の途中で擦り切れたボロ雑巾くらいの価値は、

きっとつまらない三流社説のような文面力が、
見せかけの客観性として語ってくれるはずだ。

そんなもの、僕が亡くなったときの空白を、
埋める力も輪郭を掘り返す力も無いのだけれど。

今朝、久しぶりに嫌な汗をすこしかいて目覚めた。
そこには夏休みの自分という立ち位置、
特別な宿題は何も無いという現実、
抱えている人間関係を何一つ改善できないでいる自分の姿があった。

ぼんやりと空をみあげて雲に心境を相談しても、
写し込まれる独自の写像は、
僕のクソみたいな淀んだ心の裏返しでしかなかった。

守るべきものは何もない
美しい未来も、
期待すべき出来事も、
特別やりたいこともなにもなかった。

ただちっぽけな自分の居場所と形を維持するための、
言い訳のような将来の目標があっただけで
そんなもの、ちょっと鏡を見つめるだけで、
少し誰かが触れれば、バラバラに砕けていきそうだった。

後悔で満たされている時間は強い呪いを帯びる。
自分への言い訳と、社会への反発心が、
尖った世界と、ゆがんだ鏡を作っていく。

もうなにもないと知りながらも
まだここに居る僕を見つめて
ふたたび僕はからっぽの冷静さを得る。

君に会えば、なにか変わるだろうか。
より深い、もっと深い絶望を知るんだろうか。
きっと君は僕を傷つける現実を手の中に持つだろうけれど
僕は君の手のひらを見て、
なにもない純真さを得る。

それは恐怖のはじまりで、
それが痛みの始まりなんだと思う。

でも、僕は君に会いたいよ。
君とあって、僕の知らない僕を知りたい。

本物の、君を知りたい。

それが、悪夢と似た希望なんだと思う。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


« 君とふたりで... 切り取られた... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。