僕は多分、君の事バカにしてたと思う。
向き合ってなかったのかな。
時にはそれが君の事を傷つけただろうということも知ってる。
それは自分なりに、気付いてたつもり。
だけどさ、しょうがないじゃないか
だって君はあまりにも感情的で
僕は冷静沈着で人の事なんかどうでもよくって
地球が何回回るかなんか数えたって
それが一体なんなのか、誰も知らないだろうし。
だけどさ、そんな僕でも君の事が気がかりだったんだよ。
少しだけ、君の為に時間を使おうと思ったんだ
そこにどれくらい邪な気持ちが隠れているのかなんて
僕にはどうだって良かったんだ。
大人になれるのかと思った。
君を好きになれば
僕も大人になれるのかと、わずかに期待したんだよ。
それがほんのちょっとの期待でも良かった。
僕にはコインを賭けるマス目が見つからなかったから。
親の総取りって解るかな?
ルーレットで0とか00の緑色のマス目に入ると、
それ以外の場所に賭けたやつは全部取られるんだ。
全部、取られるんだよ。
僕は納得いかなかった。
緑って自然の象徴でもあるだろ?
それが親の総取り?
僕が悪かったのかな?
賭けられなかったんだよ、親にはね。
家族というちっこい組織が血を繋ぐ為に生きてるなんて、
思いたくなかった。
だから君に賭けたんだ。
僕は、負けたんだよ。
君は36倍どころか、2倍にもならなかった。
僕は、コインを手放して
きっとこの先、吸血鬼になるんだと思う。
吸血鬼って意味、わかるかな?
現実を見なさい、って子供に叱るんだ。
あなたは大人にならなきゃいけない、って子供にすり込むんだ
何度でも言うんだ。
君は知ってるかな?
あの台詞を言う時の親が一番小さく見えるって事。
僕は背中が見たかったんだと思う。
カッコイイ背中が見たかったんだと思う
例え火の中に飛び込む消防士が誰も助けられなくて
ただの犬死にだったとしても
それは、あまり笑い話にはならないような気がするんだ。
だからさ、僕は吸血鬼になって影を生きるよりも
消防士になって火に焼かれた方がいいんじゃないかと思った。
僕、消防士にはならない。
なれないと思う。
手紙を書いたんだ。
君にあてて。
何度も書いては、何度も破いた。
破いた手紙を燃やしながら
ションベンをかける僕は
なんだか消防士みたいだなって思いながら
おかしくて手を叩いて笑った。
手を叩いて、笑ったんだ。
おかしいのは消防士でも手紙でもルーレットでもない。
今だからそう思えるよ。
おかしいのは僕なんだ。
それくらいは、君だってわかるだろ?
さぁ君よ
僕を笑う君よ
この手紙を燃やしてくれ
何枚でも書くから
何枚でも燃やしてくれ
思いは灰になって土になって
やがて僕の元に還るだろう
僕を燃やしてくれ
僕を忘れてくれ
僕だけを、忘れてくれ。
2004年 12月8日
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ラストの「僕だけを、忘れてくれ」が、
わたしには
「僕だけは忘れないで」と、響いてくる。
わたしには、そう響いてきました。
なかなかしっかりよんでござっらしゃーぅぃ。
まぁ特別な刻印というのは
記憶喪失であってもいいとは思うのです。
影響さえ与えれば思い出やお星様でなくてもいいんじゃないかと…。
↑
あぁ、いい表現。素敵ね(><)
そういうのがいい。
他と一緒じゃいや。
特別がいいね。