法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

会社法下の相談役制度について

2006-06-25 19:07:08 | Weblog
トヨタ,株主総会を開催・新体制が発足 NIKKEI NET

 奥田氏は取締役相談役に就任とのこと。

相談役制度については,「経営の意思決定の透明性確保」などとの関係から,廃止の動きもある(会社法第348条第3項第4号,会社法施行規則第100条第1項第3号等参照)。
なるほど,内部統制システムの構築などとの関係では,会社の意思決定におかしなバイアスをかけかねないようなものはない方が望ましい。無形の圧力,ということもある。「院政」などと揶揄される余地のある名誉職は,この際,一掃(ないし整備),というのも一考に値する。

もちろん,大トヨタのこと。相談役の役割については,疑義を抱かれないよう,内部規定の中で明確にされていることではあろう。


会社法の関連条文

(業務の執行)
第三百四十八条  取締役は,定款に別段の定めがある場合を除き,株式会社(取締役会設置会社を除く。以下この条において同じ。)の業務を執行する。
2  取締役が二人以上ある場合には,株式会社の業務は,定款に別段の定めがある場合を除き,取締役の過半数をもって決定する。
3  前項の場合には,取締役は,次に掲げる事項についての決定を各取締役に委任することができない。
一  支配人の選任及び解任
二  支店の設置,移転及び廃止
三  第二百九十八条第一項各号(第三百二十五条において準用する場合を含む。)に掲げる事項
四  取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
五  第四百二十六条第一項の規定による定款の定めに基づく第四百二十三条第一項の責任の免除
4  大会社においては,取締役は,前項第四号に掲げる事項を決定しなければならない。

会社法施行規則の関連条文

(業務の適正を確保するための体制)
第百条  法第三百六十二条第四項第六号に規定する法務省令で定める体制は,次に掲げる体制とする。
一  取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
二  損失の危険の管理に関する規程その他の体制
三  取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
四  使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
五  当該株式会社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
2  監査役設置会社以外の株式会社である場合には,前項に規定する体制には,取締役が株主に報告すべき事項の報告をするための体制を含むものとする。
3  監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)である場合には,第一項に規定する体制には,次に掲げる体制を含むものとする。
一  監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項
二  前号の使用人の取締役からの独立性に関する事項
三  取締役及び使用人が監査役に報告をするための体制その他の監査役への報告に関する体制
四  その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制

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耐震強度偽装マンションの建て替えについて

2006-06-25 17:41:26 | Weblog
偽装マンションGS池上の建て替え,管理組合が可決 YOMIURI ONLINE

 記事には,「臨時総会を開き,全面的な建て替え計画を賛成多数で可決した。」とあるが,マンション法(正式名「建物の区分所有等に関する法律」)の建替え決議の要件は,「区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数」である。

「11月末に着工し,2008年2月の入居を目指す。」とあるが,工事着工は,当該決議の反対者に対する建替え参加の催告 → 不参加者に対する区分所有権及び敷地利用権の売渡請求,で反対者がいなくなってから。まだまだ,これから。


「建物の区分所有等に関する法律」の関連条文

(建替え決議)
第六十二条  集会においては,区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で,建物を取り壊し,かつ,当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。
2  建替え決議においては,次の事項を定めなければならない。
一  新たに建築する建物(以下この項において「再建建物」という。)の設計の概要
二  建物の取壊し及び再建建物の建築に要する費用の概算額
三  前号に規定する費用の分担に関する事項
四  再建建物の区分所有権の帰属に関する事項
3  前項第三号及び第四号の事項は,各区分所有者の衡平を害しないように定めなければならない。
4  第一項に規定する決議事項を会議の目的とする集会を招集するときは,第三十五条第一項の通知は,同項の規定にかかわらず,当該集会の会日より少なくとも二月前に発しなければならない。ただし,この期間は,規約で伸長することができる。
5  前項に規定する場合において,第三十五条第一項の通知をするときは,同条第五項に規定する議案の要領のほか,次の事項をも通知しなければならない。
一  建替えを必要とする理由
二  建物の建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維持又は回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用の額及びその内訳
三  建物の修繕に関する計画が定められているときは,当該計画の内容
四  建物につき修繕積立金として積み立てられている金額
6  第四項の集会を招集した者は,当該集会の会日より少なくとも一月前までに,当該招集の際に通知すべき事項について区分所有者に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。
7  第三十五条第一項から第四項まで及び第三十六条の規定は,前項の説明会の開催について準用する。この場合において,第三十五条第一項ただし書中「伸縮する」とあるのは,「伸長する」と読み替えるものとする。
8  前条第六項の規定は,建替え決議をした集会の議事録について準用する。

(区分所有権等の売渡し請求等)
第六十三条  建替え決議があつたときは,集会を招集した者は,遅滞なく,建替え決議に賛成しなかつた区分所有者(その承継人を含む。)に対し,建替え決議の内容により建替えに参加するか否かを回答すべき旨を書面で催告しなければならない。
2  前項に規定する区分所有者は,同項の規定による催告を受けた日から二月以内に回答しなければならない。
3  前項の期間内に回答しなかつた第一項に規定する区分所有者は,建替えに参加しない旨を回答したものとみなす。
4  第二項の期間が経過したときは,建替え決議に賛成した各区分所有者若しくは建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者(これらの者の承継人を含む。)又はこれらの者の全員の合意により区分所有権及び敷地利用権を買い受けることができる者として指定された者(以下「買受指定者」という。)は,同項の期間の満了の日から二月以内に,建替えに参加しない旨を回答した区分所有者(その承継人を含む。)に対し,区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。建替え決議があつた後にこの区分所有者から敷地利用権のみを取得した者(その承継人を含む。)の敷地利用権についても,同様とする。
5  前項の規定による請求があつた場合において,建替えに参加しない旨を回答した区分所有者が建物の明渡しによりその生活上著しい困難を生ずるおそれがあり,かつ,建替え決議の遂行に甚だしい影響を及ぼさないものと認めるべき顕著な事由があるときは,裁判所は,その者の請求により,代金の支払又は提供の日から一年を超えない範囲内において,建物の明渡しにつき相当の期限を許与することができる。
6  建替え決議の日から二年以内に建物の取壊しの工事に着手しない場合には,第四項の規定により区分所有権又は敷地利用権を売り渡した者は,この期間の満了の日から六月以内に,買主が支払つた代金に相当する金銭をその区分所有権又は敷地利用権を現在有する者に提供して,これらの権利を売り渡すべきことを請求することができる。ただし,建物の取壊しの工事に着手しなかつたことにつき正当な理由があるときは,この限りでない。
7  前項本文の規定は,同項ただし書に規定する場合において,建物の取壊しの工事の着手を妨げる理由がなくなつた日から六月以内にその着手をしないときに準用する。この場合において,同項本文中「この期間の満了の日から六月以内に」とあるのは,「建物の取壊しの工事の着手を妨げる理由がなくなつたことを知つた日から六月又はその理由がなくなつた日から二年のいずれか早い時期までに」と読み替えるものとする。

(建替えに関する合意)
第六十四条  建替え決議に賛成した各区分所有者,建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者及び区分所有権又は敷地利用権を買い受けた各買受指定者(これらの者の承継人を含む。)は,建替え決議の内容により建替えを行う旨の合意をしたものとみなす。

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付帯私訴の導入について

2006-06-25 09:41:54 | Weblog
損害賠償,刑事訴訟で請求可能に・法務省方針 NIKKEI NET

 付帯私訴,導入の方向のようだ。

付帯私訴は,旧刑訴法に存在していた制度である(旧刑訴法第567条~第613条)。
「付帯私訴については,被害者の訴訟負担の軽減等から復活を望む声がある一方,刑事訴訟制度と民事訴訟制度の目的の相違,立証の程度の相違,訴訟の長期化などを理由に,反対する立場も依然有力である。」とこのブログでも書いたことがあった。
制度創設の諮問は10月で,刑訴法改正案の提出は来年1月の通常国会とか。詳細はいずれ明らかになるだろう。

なお,現在でも,刑事被告事件の被告人と被害者等の間で,民事上の争いに関する合意が成立した場合は,当該合意の公判調書への記載を求めることが可能。この記載は,裁判上の和解と同一の効力を有し,債務名義(民執法第22条第7号)となる。


「犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律」の関連条文

(民事上の争いについての刑事訴訟手続における和解)
第四条  刑事被告事件の被告人と被害者等は,両者の間における民事上の争い(当該被告事件に係る被害についての争いを含む場合に限る。)について合意が成立した場合には,当該被告事件の係属する第一審裁判所又は控訴裁判所に対し,共同して当該合意の公判調書への記載を求める申立てをすることができる。
2  前項の合意が被告人の被害者等に対する金銭の支払を内容とする場合において,被告人以外の者が被害者等に対し当該債務について保証する旨又は連帯して責任を負う旨を約したときは,その者も,同項の申立てとともに,被告人及び被害者等と共同してその旨の公判調書への記載を求める申立てをすることができる。
3  前二項の規定による申立ては,弁論の終結までに,公判期日に出頭し,当該申立てに係る合意及びその合意がされた民事上の争いの目的である権利を特定するに足りる事実を記載した書面を提出してしなければならない。
4  第一項又は第二項の規定による申立てに係る合意を公判調書に記載したときは,その記載は,裁判上の和解と同一の効力を有する。

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