法律の周辺

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株主優待制度の行き過ぎについて

2006-06-29 21:32:12 | Weblog
asahi.com 特産品,自社製品、花火招待…個人株主ねらい優待花盛り

エイベックス:株主総会シークレットライブにあゆ,倖田ら MSN毎日インタラクティブ

 今日は,株主総会の集中日であった。

株主優待制度は,通常,「株主平等原則」(会社法第109条)との関係で論じられる。
しかし,半分冗談だが,この加熱ぶり,「議決権行使等に係る利益供与」(会社法第120条)との関係で,全く問題がないとも言えないような気がする。
確かに,この規定,典型的には,総会屋の存在を念頭に置いたもの。
しかし,そうは言っても,優待制度の行き過ぎが,経営陣の自己保身,ひいては,経営の健全性を害することにも繋がりうる,という意味で,総会屋の跳梁するケースとは別物,とまでは言い切れないように思われる。

株主総会が先で株主懇談会やシークレットライブが後といっても,恒例行事ともなれば,経営陣の株主に対する不当な懐柔策ともなりうる。社会的儀礼の範囲ならともかく,行き過ぎには問題がある。「配当が本筋」はもっともな話し。

それにしても,倖田來未の「株価ガンガン上げてこ~!」は,いやはや,何とも。自社株,相当持ってるな。エイベックスに従業員持株会,あったりして。あっ,倖田來未は所属タレントで,従業員じゃないか ^^; 。


会社法の関連条文

(株主の平等)
第百九条 株式会社は,株主を,その有する株式の内容及び数に応じて,平等に取り扱わなければならない。
2 前項の規定にかかわらず,公開会社でない株式会社は,第百五条第一項各号に掲げる権利に関する事項について,株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができる。
3 前項の規定による定款の定めがある場合には,同項の株主が有する株式を同項の権利に関する事項について内容の異なる種類の株式とみなして,この編及び第五編の規定を適用する。

(株主の権利の行使に関する利益の供与)
第百二十条 株式会社は,何人に対しても,株主の権利の行使に関し,財産上の利益の供与(当該株式会社又はその子会社の計算においてするものに限る。以下この条において同じ。)をしてはならない。
2 株式会社が特定の株主に対して無償で財産上の利益の供与をしたときは,当該株式会社は,株主の権利の行使に関し,財産上の利益の供与をしたものと推定する。株式会社が特定の株主に対して有償で財産上の利益の供与をした場合において,当該株式会社又はその子会社の受けた利益が当該財産上の利益に比して著しく少ないときも,同様とする。
3 株式会社が第一項の規定に違反して財産上の利益の供与をしたときは,当該利益の供与を受けた者は,これを当該株式会社又はその子会社に返還しなければならない。この場合において,当該利益の供与を受けた者は,当該株式会社又はその子会社に対して当該利益と引換えに給付をしたものがあるときは,その返還を受けることができる。
4 株式会社が第一項の規定に違反して財産上の利益の供与をしたときは,当該利益の供与をすることに関与した取締役(委員会設置会社にあっては,執行役を含む。以下この項において同じ。)として法務省令で定める者は,当該株式会社に対して,連帯して,供与した利益の価額に相当する額を支払う義務を負う。ただし,その者(当該利益の供与をした取締役を除く。)がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は,この限りでない。
5 前項の義務は,総株主の同意がなければ,免除することができない。

(株主の権利の行使に関する利益供与の罪)
第九百七十条 第九百六十条第一項第三号から第六号までに掲げる者又はその他の株式会社の使用人が,株主の権利の行使に関し,当該株式会社又はその子会社の計算において財産上の利益を供与したときは,三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
2 情を知って,前項の利益の供与を受け,又は第三者にこれを供与させた者も,同項と同様とする。
3 株主の権利の行使に関し,株式会社又はその子会社の計算において第一項の利益を自己又は第三者に供与することを同項に規定する者に要求した者も,同項と同様とする。
4 前二項の罪を犯した者が,その実行について第一項に規定する者に対し威迫の行為をしたときは,五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。
5 前三項の罪を犯した者には,情状により,懲役及び罰金を併科することができる。
6 第一項の罪を犯した者が自首したときは,その刑を減軽し,又は免除することができる。

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