法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

合併破談に伴う損害賠償請求について

2006-06-27 22:19:01 | Weblog
合併破談,茨銀が関東つくば銀に11億円損賠求める YOMIURI ONLINE

 茨城銀行のプレス・リリースを見る限り,交わされたのは「合併検討開始の合意書」。合併契約そのものではないように思えるが,どうなのだろうか。
記事によれば,茨城銀行は合併に備え新業務用端末を購入していたとのこと。仮に,正式な合併契約締結前だとすれば,「随分と思い切ったことを」という印象は否めない。実質的に,合併へ向けた協議,相当程度進んでいたということか。
逆に,茨城銀行が拙速だっただけと評価されるようなら,関東つくば銀行に債務不履行ないし不法行為はなく,少なくとも,前記購入費等による損害を全額負担するいわれはないことになりそう・・・。ただ,この種の訴訟で,All or Nothing という結論はちょっと考えにくい。
それにしても,「合併検討開始の合意」といった「淡い(緩い)法律関係」というのは案外曲者だ。本訴訟の行方,要注目である。

類例の住信・旧UFJ訴訟の経営統合訴訟では,一審は,「UFJ側が基本合意に基づいて,最終契約を締結する義務を負っていたとはいえない」として住信側の賠償請求を棄却。先般始まった控訴審では和解を模索している。

茨城銀行HP 関東つくば銀行への損害賠償請求訴訟の提起について


会社法の関連条文

(合併契約の締結)
第七百四十八条 会社は,他の会社と合併をすることができる。この場合においては,合併をする会社は,合併契約を締結しなければならない。

銀行法の関連条文

(合併,分割又は営業等の譲渡若しくは譲受けの認可等)
第三十条  銀行を全部又は一部の当事者とする合併(当該合併後存続する会社又は当該合併により設立される会社が銀行であるものに限るものとし,金融機関の合併及び転換に関する法律第三条 (合併)の規定による合併に該当するものを除く。以下この章において「合併」という。)は,内閣総理大臣の認可を受けなければ,その効力を生じない。
2  銀行を当事者とする分割は,政令で定めるものを除き,内閣総理大臣の認可を受けなければ,その効力を生じない。
3  銀行を当事者とする営業の全部又は一部の譲渡又は譲受けは,政令で定めるものを除き,内閣総理大臣の認可を受けなければ,その効力を生じない。
4  銀行は,信用金庫,信用協同組合又は労働金庫(これらの法人をもつて組織する連合会を含む。以下この章において「信用金庫等」という。)から事業の全部又は一部を譲り受けることができる。ただし,当該事業の全部又は一部の譲受けは,政令で定めるものを除き,内閣総理大臣の認可を受けなければ,その効力を生じない。
5  前項の規定により銀行が信用金庫等から事業の全部又は一部を譲り受ける場合においては,当該信用金庫等を会社とみなして,商法第二百四十五条 及び同条 に係る同法 の規定並びに私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第十六条 (営業の譲受け等の制限)及び同条 に係る同法 の規定を適用する。

第三十一条  内閣総理大臣は,前条の認可の申請があつたときは,次に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。
一  前条の規定による合併,分割,営業の全部若しくは一部の譲渡若しくは譲受け又は事業の全部若しくは一部の譲受け(以下この条において「合併等」という。)が,当該合併等の当事者である銀行等(第四条第五項に規定する銀行等をいう。以下同じ。)又は信用金庫等が業務を行つている地域(分割により営業の一部を承継させ,若しくは承継する場合又は営業の一部の譲渡若しくは譲受け若しくは事業の一部の譲受けに係る場合にあつては,当該一部の営業又は事業が行われている地域に限る。)における資金の円滑な需給及び利用者の利便に照らして,適当なものであること。
二  合併等が金融機関相互間の適正な競争関係を阻害する等金融秩序を乱すおそれがないものであること。
三  前条の認可の申請をした銀行又は合併により設立される銀行が,合併等の後に,その業務を的確,公正かつ効率的に遂行する見込みが確実であること。

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一時会計監査人の選任決議のタイミングについて

2006-06-27 17:01:29 | Weblog
日本監査役協会HP 【重要】中央青山監査法人に対する業務の一部停止処分に伴う一時会計監査人の選任手続きについて

 一時会計監査人の選任決議をおこなうタイミングについては,葉玉氏のブログでも取り上げられていたが,この度,日本監査役協会も注意喚起をおこなっている。

 一時会計監査人の選任をおこなえるのは,プレス・リリースのとおり,「会計監査人が欠けた場合又は定款で定めた会計監査人の員数が欠けた場合」(会社法第346条第4項)。
よって,件の監査法人が会計監査人の会社の場合,件の監査法人が辞任していない限り,6月30日以前の一時会計監査人の選任決議は無効となる。このプレス・リリース,ご丁寧に,7月1日を始期とする期限付き選任決議も事情は変わらない,とつけ加えている。


会社法の関連条文

(役員等に欠員を生じた場合の措置)
第三百四十六条 役員が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合には,任期の満了又は辞任により退任した役員は,新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで,なお役員としての権利義務を有する。
2 前項に規定する場合において,裁判所は,必要があると認めるときは,利害関係人の申立てにより,一時役員の職務を行うべき者を選任することができる。
3 裁判所は,前項の一時役員の職務を行うべき者を選任した場合には,株式会社がその者に対して支払う報酬の額を定めることができる。
4 会計監査人が欠けた場合又は定款で定めた会計監査人の員数が欠けた場合において,遅滞なく会計監査人が選任されないときは,監査役は,一時会計監査人の職務を行うべき者を選任しなければならない。
5 第三百三十七条及び第三百四十条の規定は,前項の一時会計監査人の職務を行うべき者について準用する。
6 監査役会設置会社における第四項の規定の適用については,同項中「監査役」とあるのは,「監査役会」とする。
7 委員会設置会社における第四項の規定の適用については,同項中「監査役」とあるのは,「監査委員会」とする。

(招集権者)
第三百九十一条 監査役会は,各監査役が招集する。

(招集手続)
第三百九十二条 監査役会を招集するには,監査役は,監査役会の日の一週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては,その期間)前までに,各監査役に対してその通知を発しなければならない。
2 前項の規定にかかわらず,監査役会は,監査役の全員の同意があるときは,招集の手続を経ることなく開催することができる。

(監査役会の決議)
第三百九十三条 監査役会の決議は,監査役の過半数をもって行う。
2 監査役会の議事については,法務省令で定めるところにより,議事録を作成し,議事録が書面をもって作成されているときは,出席した監査役は,これに署名し,又は記名押印しなければならない。
3 前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については,法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
4 監査役会の決議に参加した監査役であって第二項の議事録に異議をとどめないものは,その決議に賛成したものと推定する。

(招集権者)
第四百十条 委員会は,当該委員会の各委員が招集する。

(招集手続等)
第四百十一条 委員会を招集するには,その委員は,委員会の日の一週間(これを下回る期間を取締役会で定めた場合にあっては,その期間)前までに,当該委員会の各委員に対してその通知を発しなければならない。
2 前項の規定にかかわらず,委員会は,当該委員会の委員の全員の同意があるときは,招集の手続を経ることなく開催することができる。
3 執行役等は,委員会の要求があったときは,当該委員会に出席し,当該委員会が求めた事項について説明をしなければならない。

(委員会の決議)
第四百十二条 委員会の決議は,議決に加わることができるその委員の過半数(これを上回る割合を取締役会で定めた場合にあっては,その割合以上)が出席し,その過半数(これを上回る割合を取締役会で定めた場合にあっては,その割合以上)をもって行う。
2 前項の決議について特別の利害関係を有する委員は,議決に加わることができない。
3 委員会の議事については,法務省令で定めるところにより,議事録を作成し,議事録が書面をもって作成されているときは,出席した委員は,これに署名し,又は記名押印しなければならない。
4 前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については,法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
5 委員会の決議に参加した委員であって第三項の議事録に異議をとどめないものは,その決議に賛成したものと推定する。

(株式会社の設立の登記)
第九百十一条 株式会社の設立の登記は,その本店の所在地において,次に掲げる日のいずれか遅い日から二週間以内にしなければならない。
一 第四十六条第一項の規定による調査が終了した日(設立しようとする株式会社が委員会設置会社である場合にあっては,設立時代表執行役が同条第三項の規定による通知を受けた日)
二 発起人が定めた日
2 前項の規定にかかわらず,第五十七条第一項の募集をする場合には,前項の登記は,次に掲げる日のいずれか遅い日から二週間以内にしなければならない。
一 創立総会の終結の日
二 第八十四条の種類創立総会の決議をしたときは,当該決議の日
三 第九十七条の創立総会の決議をしたときは,当該決議の日から二週間を経過した日
四 第百条第一項の種類創立総会の決議をしたときは,当該決議の日から二週間を経過した日
五 第百一条第一項の種類創立総会の決議をしたときは,当該決議の日
3 第一項の登記においては,次に掲げる事項を登記しなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店及び支店の所在場所
四 株式会社の存続期間又は解散の事由についての定款の定めがあるときは,その定め
五 資本金の額
六 発行可能株式総数
七 発行する株式の内容(種類株式発行会社にあっては,発行可能種類株式総数及び発行する各種類の株式の内容)
八 単元株式数についての定款の定めがあるときは,その単元株式数
九 発行済株式の総数並びにその種類及び種類ごとの数
十 株券発行会社であるときは,その旨
十一 株主名簿管理人を置いたときは,その氏名又は名称及び住所並びに営業所
十二 新株予約権を発行したときは,次に掲げる事項
イ 新株予約権の数
ロ 第二百三十六条第一項第一号から第四号までに掲げる事項
ハ ロに掲げる事項のほか,新株予約権の行使の条件を定めたときは,その条件
ニ 第二百三十六条第一項第七号並びに第二百三十八条第一項第二号及び第三号に掲げる事項
十三 取締役の氏名
十四 代表取締役の氏名及び住所(第二十二号に規定する場合を除く。)
十五 取締役会設置会社であるときは,その旨
十六 会計参与設置会社であるときは,その旨並びに会計参与の氏名又は名称及び第三百七十八条第一項の場所
十七 監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)であるときは,その旨及び監査役の氏名
十八 監査役会設置会社であるときは,その旨及び監査役のうち社外監査役であるものについて社外監査役である旨
十九 会計監査人設置会社であるときは,その旨及び会計監査人の氏名又は名称
二十 第三百四十六条第四項の規定により選任された一時会計監査人の職務を行うべき者を置いたときは,その氏名又は名称
二十一 第三百七十三条第一項の規定による特別取締役による議決の定めがあるときは,次に掲げる事項
イ 第三百七十三条第一項の規定による特別取締役による議決の定めがある旨
ロ 特別取締役の氏名
ハ 取締役のうち社外取締役であるものについて,社外取締役である旨
二十二 委員会設置会社であるときは,その旨及び次に掲げる事項
イ 取締役のうち社外取締役であるものについて,社外取締役である旨
ロ 各委員会の委員及び執行役の氏名
ハ 代表執行役の氏名及び住所
二十三 第四百二十六条第一項の規定による取締役,会計参与,監査役,執行役又は会計監査人の責任の免除についての定款の定めがあるときは,その定め
二十四 第四百二十七条第一項の規定による社外取締役,会計参与,社外監査役又は会計監査人が負う責任の限度に関する契約の締結についての定款の定めがあるときは,その定め
二十五 前号の定款の定めが社外取締役に関するものであるときは,取締役のうち社外取締役であるものについて,社外取締役である旨
二十六 第二十四号の定款の定めが社外監査役に関するものであるときは,監査役のうち社外監査役であるものについて,社外監査役である旨
二十七 第四百四十条第三項の規定による措置をとることとするときは,同条第一項に規定する貸借対照表の内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であって法務省令で定めるもの
二十八 第九百三十九条第一項の規定による公告方法についての定款の定めがあるときは,その定め
二十九 前号の定款の定めが電子公告を公告方法とする旨のものであるときは,次に掲げる事項
イ 電子公告により公告すべき内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であって法務省令で定めるもの
ロ 第九百三十九条第三項後段の規定による定款の定めがあるときは,その定め
三十 第二十八号の定款の定めがないときは,第九百三十九条第四項の規定により官報に掲載する方法を公告方法とする旨

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