法律の周辺

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株主総会対策としての警察に対する警備要請について

2006-06-12 17:19:57 | Weblog
株主総会対策:特別警戒本部設置 北海道警 MSN毎日インタラクティブ

 株主総会の議長は総会秩序維持権能を有する(会社法第315条)。
議長等の発言を暴力で妨害する場合,当該行為は威力業務妨害罪(刑法第234条)に該当する。議長の退去命令に応じない場合は不退去罪(刑法第130条)に該当しよう。
事前に警備要請をおこなうのは,相当の確度で混乱が予想されるということか。

なお,会社法では,株主総会の紛糾が予想される場合に備え,株式会社にも総会検査役の選任の申立てが認められた(会社法第306条第1項)。
ただ,この制度は,後日,一部の株主によって総会決議の有効性が争われる可能性がある場合などに備えたもの。暴力行為の発生といった異常事態までカバーしようとするものではないと思われる。


会社法の関連条文

(株主の権利の行使に関する利益の供与)
第百二十条 株式会社は,何人に対しても,株主の権利の行使に関し,財産上の利益の供与(当該株式会社又はその子会社の計算においてするものに限る。以下この条において同じ。)をしてはならない。
2 株式会社が特定の株主に対して無償で財産上の利益の供与をしたときは,当該株式会社は,株主の権利の行使に関し,財産上の利益の供与をしたものと推定する。株式会社が特定の株主に対して有償で財産上の利益の供与をした場合において,当該株式会社又はその子会社の受けた利益が当該財産上の利益に比して著しく少ないときも,同様とする。
3 株式会社が第一項の規定に違反して財産上の利益の供与をしたときは,当該利益の供与を受けた者は,これを当該株式会社又はその子会社に返還しなければならない。この場合において,当該利益の供与を受けた者は,当該株式会社又はその子会社に対して当該利益と引換えに給付をしたものがあるときは,その返還を受けることができる。
4 株式会社が第一項の規定に違反して財産上の利益の供与をしたときは,当該利益の供与をすることに関与した取締役(委員会設置会社にあっては,執行役を含む。以下この項において同じ。)として法務省令で定める者は,当該株式会社に対して,連帯して,供与した利益の価額に相当する額を支払う義務を負う。ただし,その者(当該利益の供与をした取締役を除く。)がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は,この限りでない。
5 前項の義務は,総株主の同意がなければ,免除することができない。

(株主総会の招集手続等に関する検査役の選任)
第三百六条 株式会社又は総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の百分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては,その割合)以上の議決権を有する株主は,株主総会に係る招集の手続及び決議の方法を調査させるため,当該株主総会に先立ち,裁判所に対し,検査役の選任の申立てをすることができる。
2 公開会社である取締役会設置会社における前項の規定の適用については,同項中「株主総会において決議をすることができる事項」とあるのは「第二百九十八条第一項第二号に掲げる事項」と,「有する」とあるのは「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては,その期間)前から引き続き有する」とし,公開会社でない取締役会設置会社における同項の規定の適用については,同項中「株主総会において決議をすることができる事項」とあるのは,「第二百九十八条第一項第二号に掲げる事項」とする。
3 前二項の規定による検査役の選任の申立てがあった場合には,裁判所は,これを不適法として却下する場合を除き,検査役を選任しなければならない。
4 裁判所は,前項の検査役を選任した場合には,株式会社が当該検査役に対して支払う報酬の額を定めることができる。
5 第三項の検査役は,必要な調査を行い,当該調査の結果を記載し,又は記録した書面又は電磁的記録(法務省令で定めるものに限る。)を裁判所に提供して報告をしなければならない。
6 裁判所は,前項の報告について,その内容を明瞭にし,又はその根拠を確認するため必要があると認めるときは,第三項の検査役に対し,更に前項の報告を求めることができる。
7 第三項の検査役は,第五項の報告をしたときは,株式会社(検査役の選任の申立てをした者が当該株式会社でない場合にあっては,当該株式会社及びその者)に対し,同項の書面の写しを交付し,又は同項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により提供しなければならない。

(議長の権限)
第三百十五条 株主総会の議長は,当該株主総会の秩序を維持し,議事を整理する。
2 株主総会の議長は,その命令に従わない者その他当該株主総会の秩序を乱す者を退場させることができる。

刑法の関連条文

(住居侵入等)
第百三十条  正当な理由がないのに,人の住居若しくは人の看守する邸宅,建造物若しくは艦船に侵入し,又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は,三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

(威力業務妨害)
第二百三十四条  威力を用いて人の業務を妨害した者も,前条の例による。

警察法の関連条文

(警察の責務)
第二条  警察は,個人の生命,身体及び財産の保護に任じ,犯罪の予防,鎮圧及び捜査,被疑者の逮捕,交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする。
2  警察の活動は,厳格に前項の責務の範囲に限られるべきものであつて,その責務の遂行に当つては,不偏不党且つ公平中正を旨とし,いやしくも日本国憲法 の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあつてはならない。

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