法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

佐藤功先生の訃報に接して

2006-06-22 18:55:17 | Weblog
asahi.com 上智大名誉教授の佐藤功さん死去

 セント・ソフィアの出ではないけれど,学外から招かれた佐藤先生の憲法史の授業を受講させていただいたことがあった。
学者としてはもちろん,日本国憲法の成立に係る生き証人としてのお話しは,誠に興味深いものであった。金森徳次郎大臣に関するお話しなど,忘れがたい。

謹んでご冥福をお祈りいたします。合掌。


 朕は,日本国民の総意に基いて,新日本建設の礎が,定まるに至つたことを,深くよろこび,枢密顧問の諮詢及び帝国憲法第七十三条による帝国議会の議決を経た帝国憲法の改正を裁可し,ここにこれを公布せしめる。

  御名御璽
  昭和二十一年十一月三日

     内閣総理大臣兼外務大臣    吉田茂
     国務大臣        男爵 幣原喜重郎
     司法大臣           木村篤太郎
     内務大臣           大村清一
     文部大臣           田中耕太郎
     農林大臣           和田博雄
     国務大臣           斎藤隆夫
     逓信大臣           一松定吉
     商工大臣           星島二郎
     厚生大臣           河合良成
     国務大臣           上原悦二郎
     運輸大臣           平塚常次郎
     大蔵大臣           石橋湛山
     国務大臣           金森徳次郎
     国務大臣           勝桂之助

日本国憲法

  日本国民は,正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し,われらとわれらの子孫のために,諸国民との協和による成果と,わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し,政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し,ここに主権が国民に存することを宣言し,この憲法を確定する。そもそも国政は,国民の厳粛な信託によるものであつて,その権威は国民に由来し,その権力は国民の代表者がこれを行使し,その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり,この憲法は,かかる原理に基くものである。われらは,これに反する一切の憲法,法令及び詔勅を排除する。
 日本国民は,恒久の平和を念願し,人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて,平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して,われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは,平和を維持し,専制と隷従,圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において,名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは,全世界の国民が,ひとしく恐怖と欠乏から免かれ,平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは,いづれの国家も,自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて,政治道徳の法則は,普遍的なものであり,この法則に従ふことは,自国の主権を維持し,他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 日本国民は,国家の名誉にかけ,全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

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総会屋行為について

2006-06-22 15:33:24 | Weblog
株主総会,29日開催は1500社 9年連続減 Sankei Web

 記事には,「株付けや資料請求,訪問などの総会屋行為を続けている。」とある。
しかし,定款,株主名簿,会計帳簿等の閲覧・謄写請求は,株主に認められた正当な権利。拒否できる場合は個別に掲げられている(会社法第31条,同第125条,同第433条)。

 もちろん,記事が,「はじめに属性ありき」の物言いであることは分かる。しかし,「資料請求者=クレイマー」といった類の誤解・偏見を増殖させかねないような表現は問題である。


会社法の関連条文

(定款の備置き及び閲覧等)
第三十一条  発起人(株式会社の成立後にあっては,当該株式会社)は,定款を発起人が定めた場所(株式会社の成立後にあっては,その本店及び支店)に備え置かなければならない。
2  発起人(株式会社の成立後にあっては,その株主及び債権者)は,発起人が定めた時間(株式会社の成立後にあっては,その営業時間)内は,いつでも,次に掲げる請求をすることができる。ただし,第二号又は第四号に掲げる請求をするには,発起人(株式会社の成立後にあっては,当該株式会社)の定めた費用を支払わなければならない。
一  定款が書面をもって作成されているときは,当該書面の閲覧の請求
二  前号の書面の謄本又は抄本の交付の請求
三  定款が電磁的記録をもって作成されているときは,当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
四  前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって発起人(株式会社の成立後にあっては,当該株式会社)の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
3  株式会社の成立後において,当該株式会社の親会社社員(親会社の株主その他の社員をいう。以下同じ。)がその権利を行使するため必要があるときは,当該親会社社員は,裁判所の許可を得て,当該株式会社の定款について前項各号に掲げる請求をすることができる。ただし,同項第二号又は第四号に掲げる請求をするには,当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
4  定款が電磁的記録をもって作成されている場合であって,支店における第二項第三号及び第四号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として法務省令で定めるものをとっている株式会社についての第一項の規定の適用については,同項中「本店及び支店」とあるのは,「本店」とする。

(株主名簿の備置き及び閲覧等)
第百二十五条  株式会社は,株主名簿をその本店(株主名簿管理人がある場合にあっては,その営業所)に備え置かなければならない。
2  株主及び債権者は,株式会社の営業時間内は,いつでも,次に掲げる請求をすることができる。この場合においては,当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
一  株主名簿が書面をもって作成されているときは,当該書面の閲覧又は謄写の請求
二  株主名簿が電磁的記録をもって作成されているときは,当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
3  株式会社は,前項の請求があったときは,次のいずれかに該当する場合を除き,これを拒むことができない。
一  当該請求を行う株主又は債権者(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
二  請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ,又は株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
三  請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み,又はこれに従事するものであるとき。
四  請求者が株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。
五  請求者が,過去二年以内において,株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
4  株式会社の親会社社員は,その権利を行使するため必要があるときは,裁判所の許可を得て,当該株式会社の株主名簿について第二項各号に掲げる請求をすることができる。この場合においては,当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
5  前項の親会社社員について第三項各号のいずれかに規定する事由があるときは,裁判所は,前項の許可をすることができない。

第百九十四条  株式会社は,単元未満株主が当該株式会社に対して単元未満株式売渡請求(単元未満株主が有する単元未満株式の数と併せて単元株式数となる数の株式を当該単元未満株主に売り渡すことを請求することをいう。以下この条において同じ。)をすることができる旨を定款で定めることができる。
2  単元未満株式売渡請求は,当該単元未満株主に売り渡す単元未満株式の数(種類株式発行会社にあっては,単元未満株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。
3  単元未満株式売渡請求を受けた株式会社は,当該単元未満株式売渡請求を受けた時に前項の単元未満株式の数に相当する数の株式を有しない場合を除き,自己株式を当該単元未満株主に売り渡さなければならない。
4  第百九十二条第三項及び前条第一項から第六項までの規定は,単元未満株式売渡請求について準用する。

(会計帳簿の閲覧等の請求)
第四百三十三条  総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては,その割合)以上の議決権を有する株主又は発行済株式(自己株式を除く。)の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては,その割合)以上の数の株式を有する株主は,株式会社の営業時間内は,いつでも,次に掲げる請求をすることができる。この場合においては,当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
一  会計帳簿又はこれに関する資料が書面をもって作成されているときは,当該書面の閲覧又は謄写の請求
二  会計帳簿又はこれに関する資料が電磁的記録をもって作成されているときは,当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
2  前項の請求があったときは,株式会社は,次のいずれかに該当すると認められる場合を除き,これを拒むことができない。
一  当該請求を行う株主(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
二  請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ,株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
三  請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み,又はこれに従事するものであるとき。
四  請求者が会計帳簿又はこれに関する資料の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求したとき。
五  請求者が,過去二年以内において,会計帳簿又はこれに関する資料の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
3  株式会社の親会社社員は,その権利を行使するため必要があるときは,裁判所の許可を得て,会計帳簿又はこれに関する資料について第一項各号に掲げる請求をすることができる。この場合においては,当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
4  前項の親会社社員について第二項各号のいずれかに規定する事由があるときは,裁判所は,前項の許可をすることができない。

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