法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

都営住宅居住の親子継承禁止にについて

2006-06-02 17:07:10 | Weblog
都営住宅の居住「親子継承」禁止に,都審議会が答申 YOMIURI ONLINE

 同居の親族の存在などを考えると,公営住宅の使用権限を一身専属権と言ってしまうことには躊躇を覚える。
しかし,それが,本来,自治体首長の許可に係るものである以上,「始めに承継ありき」も問題がある。大都市圏の住宅事情の厳しさなどを考えれば,尚更,そのようにいえる。


民法の関連条文

(相続の一般的効力)
第八百九十六条  相続人は,相続開始の時から,被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし,被相続人の一身に専属したものは,この限りでない。

東京都営住宅条例の関連条文

(使用許可)
第四条 都営住宅を使用しようとする者は,知事の許可を受けなければならない。

(使用申込み)
第五条 一般都営住宅の使用申込みは,公募の都度一世帯一箇所限りとする。
2 前項の公募の方法及び手続は,東京都規則(以下「規則」という。)で定める。

(使用者の資格)
第六条 一般都営住宅を使用することのできる者は,申込みをした日において,次に掲げる条件を具備している者でなければならない。
一 東京都内に居住していること。
二 現に同居し,又は同居しようとする親族(婚姻の届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者その他婚姻の予約者を含む。以下この条において同じ。)があること。
三 現に住宅に困窮していることが明らかであること。
四 収入が,イ,ロ又はハに掲げる場合に応じ,それぞれイ,ロ又はハに掲げる金額を超えないこと。
イ 使用者が身体障害者である場合その他の特に居住の安定を図る必要があるものとして令第六条第四項で定める場合 令第六条第五項第一号に規定する金額
ロ 一般都営住宅が,法第八条第一項若しくは第三項若しくは激甚じん災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(昭和三十七年法律第百五十号)第二十二条第一項の規定による国の補助に係るもの又は法第八条第一項各号のいずれかに該当する場合において都が災害により滅失した住宅に居住していた低額所得者に転貸するため借り上げるものである場合 令第六条第五項第二号に規定する金額
ハ イ及びロに掲げる場合以外の場合 令第六条第五項第三号に規定する金額
2 次の各号のいずれかに該当する者にあっては,前項第二号の規定にかかわらず,現に同居し,又は同居しようとする親族があることを要しない。ただし,身体上又は精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とし,かつ,居宅においてこれを受けることができず,又は受けることが困難であると認められる者を除く。
一 六十歳以上の者
二 障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)第二条に規定する障害者で,その障害の程度が次に掲げる障害の種類に応じ,それぞれ次に定める障害の程度であるもの
イ 身体障害 身体障害者福祉法施行規則(昭和二十五年厚生省令第十五号)別表第五号の一級から四級までのいずれかに該当する程度
ロ 精神障害(知的障害を除く。以下同じ。) 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行令(昭和二十五年政令第百五十五号)第六条第三項に規定する一級から三級までのいずれかに該当する程度
ハ 知的障害 ロに規定する精神障害の程度に相当する程度
三 戦傷病者特別援護法(昭和三十八年法律第百六十八号)第二条第一項に規定する戦傷病者でその障害の程度が恩給法(大正十二年法律第四十八号)別表第一号表ノ二の特別項症から第六項症まで又は別表第一号表ノ三の第一款症のもの
四 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成六年法律第百十七号)第十一条第一項の規定による厚生労働大臣の認定を受けている者
五 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第六条第一項に規定する被保護者
六 海外からの引揚者で日本に引き揚げた日から起算して五年を経過していないもの
七 ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律(平成十三年法律第六十三号)第二条に規定するハンセン病療養所入所者等
八 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(平成十三年法律第三十一号。以下この号において「配偶者暴力防止等法」という。)第一条第二項に規定する被害者でイ又はロのいずれかに該当するもの
イ 配偶者暴力防止等法第三条第三項第三号の規定による一時保護又は配偶者暴力防止等法第五条の規定による保護が終了した日から起算して五年を経過していない者
ロ 配偶者暴力防止等法第十条第一項の規定により裁判所がした命令の申立てを行った者で当該命令がその効力を生じた日から起算して五年を経過していないもの
3 前項に規定する者に使用を許可する一般都営住宅は,居室数が二室以下の規模の住宅とする。ただし,これにより難い場合には,規則で定める規格の住宅とする。
4 第一項及び第二項に定めるもののほか,知事は,供給する住宅の戸数が著しく少ない場合その他特に必要があると認める場合は,使用者の資格について制限を加えることができる。

(使用の承継)
第二十条 使用者が死亡し,又は退去した場合において,その死亡時又は退去時に当該使用者と同居していた者が引き続き居住することを希望するときは,省令第十一条に規定するところによるほか,規則で定めるところにより,知事の許可を受けなければならない。

(収入超過者の明渡し努力義務)
第二十八条 一般都営住宅の使用者は,当該一般都営住宅を引き続き三年以上使用している場合において,第六条第一項第四号イ又はロに掲げる場合にあってはそれぞれ同号イ又はロに定める金額を,同号ハに掲げる場合にあっては令第八条第一項に定める法第二十三条第二号ハに掲げる場合の金額を超える収入のあるときは,当該一般都営住宅を明け渡すように努めなければならない。

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傷害事件直前の戸籍謄本の閲覧について

2006-06-02 10:02:19 | Weblog
溝口敦さん長男刺傷,事件直前に戸籍謄本閲覧される YOMIURI ONLINE

 戸籍の閲覧制度は,昭和51年12月1日施行の「民法等の一部を改正する法律」第3条の戸籍法の改正により廃止されたのではなかったか。
閲覧は,住民基本台帳の誤りかな(住民基本台帳法第11条参照)?


戸籍法の関連条文

第十条  何人でも,戸籍の謄本若しくは抄本又は戸籍に記載した事項に関する証明書の交付の請求をすることができる。
2  前項の請求は,法務省令で定める場合を除き,その事由を明らかにしてしなければならない。
3  市町村長は,第一項の請求が不当な目的によることが明らかなときは,これを拒むことができる。
4  第一項の請求をしようとする者は,郵便その他の法務省令で定める方法により,同項の謄本,抄本又は証明書の送付を求めることができる。

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行司役としての最高裁について

2006-06-02 09:12:50 | Weblog
asahi.com 能面競売「待った」 喜多流の相続,最高裁差し戻す

 共有物の分割に関しては,最判H8.10.31などがある。
文化財としての貴重性,活きた形での伝統文化の承継などからすれば,代償分割(全面的価格補償)が望ましいのだろうが。

亡くなった方は,半分に分けるよう遺言を残されたとのこと。能楽に造詣の深い方等に分割方法を委託しておけば良かったが(民法第908条参照),今となっては,後の祭りである。


民法の関連条文

(裁判による共有物の分割)
第二百五十八条  共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは,その分割を裁判所に請求することができる。
2  前項の場合において,共有物の現物を分割することができないとき,又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは,裁判所は,その競売を命ずることができる。

(遺産の分割の基準)
第九百六条  遺産の分割は,遺産に属する物又は権利の種類及び性質,各相続人の年齢,職業,心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。

(遺産の分割の協議又は審判等)
第九百七条  共同相続人は,次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き,いつでも,その協議で,遺産の分割をすることができる。
2  遺産の分割について,共同相続人間に協議が調わないとき,又は協議をすることができないときは,各共同相続人は,その分割を家庭裁判所に請求することができる。
3  前項の場合において特別の事由があるときは,家庭裁判所は,期間を定めて,遺産の全部又は一部について,その分割を禁ずることができる。

(遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止)
第九百八条  被相続人は,遺言で,遺産の分割の方法を定め,若しくはこれを定めることを第三者に委託し,又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて,遺産の分割を禁ずることができる。

(遺言執行者の指定)
第千六条  遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。
2  遺言執行者の指定の委託を受けた者は、遅滞なく、その指定をして、これを相続人に通知しなければならない。
3  遺言執行者の指定の委託を受けた者がその委託を辞そうとするときは、遅滞なくその旨を相続人に通知しなければならない。

(遺言執行者の任務の開始)
第千七条  遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。

(遺言執行者に対する就職の催告)
第千八条  相続人その他の利害関係人は、遺言執行者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に就職を承諾するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、遺言執行者が、その期間内に相続人に対して確答をしないときは、就職を承諾したものとみなす。

(遺言執行者の選任)
第千十条  遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって、これを選任することができる。

(相続財産の目録の作成)
第千十一条  遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。
2  遺言執行者は、相続人の請求があるときは、その立会いをもって相続財産の目録を作成し、又は公証人にこれを作成させなければならない。

(遺言執行者の権利義務)
第千十二条  遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
2  第六百四十四条 から第六百四十七条 まで及び第六百五十条 の規定は、遺言執行者について準用する。

(遺言の執行の妨害行為の禁止)
第千十三条  遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。

(特定財産に関する遺言の執行)
第千十四条  前三条の規定は、遺言が相続財産のうち特定の財産に関する場合には、その財産についてのみ適用する。

(遺言執行者の地位)
第千十五条  遺言執行者は、相続人の代理人とみなす。

(遺言執行者の復任権)
第千十六条  遺言執行者は、やむを得ない事由がなければ、第三者にその任務を行わせることができない。ただし、遺言者がその遺言に反対の意思を表示したときは、この限りでない。
2  遺言執行者が前項ただし書の規定により第三者にその任務を行わせる場合には、相続人に対して、第百五条 に規定する責任を負う。

(委任の規定の準用)
第千二十条  第六百五十四条 及び第六百五十五条 の規定は、遺言執行者の任務が終了した場合について準用する。

(遺言の執行に関する費用の負担)
第千二十一条  遺言の執行に関する費用は、相続財産の負担とする。ただし、これによって遺留分を減ずることができない。

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