老人雑記

生活の中で気づいた浮世の事

ピエロ

2015-06-06 22:09:31 | 俳句

    ☆  影流し竹馬のぼくピエロかな   小林凛

 小学生俳人の小林凛君 失礼にあたるかな、もう中学生になっている。
学校でいじめにあい、学校には行かなくなった。家で誰も教えないのに俳句を詠むようになった。朝日新聞の俳句欄に投稿し、金子兜太と長谷川櫂に選句された。大人の俳人に混じって
凄い、快挙だ。
 竹馬に乗る。竹馬から自分の影を見るとすーと先へ長く伸びている。いじめにあい、歯をくいしばっている何時もの自分と、目に涙を溜ているピエロが重なり、生まれた一句だと思う。
竹馬が季語。
それからの凛君の活躍、目を見張る。



   ☆  行くピエロ帰るピエロよ寒夕焼   小沢昭一
   ★  春月やピエロの口の中の口   佐々木ひさこ

 二句とも、サラリーマン?の悲哀が切々と見える。顔で笑って心で泣いての宮仕え。
サラリーマンでなくとも、皆さんお帰りの人混みを、方向を反対に出勤する女性とも。変哲さんの句だと女性の方かもしれぬ。ピーンと伸ばした背に、肩をすぼめた背中、どちらも寒の夕焼けに映えている。。
白塗りの顔に大きく書いたピエロの口。その中に本当の自分の口が隠れている。言いたいことを控えて道化を演じている。生きることの切なさ、本音と建て前の使いわけ。春の月の下で一杯でも飲みたい気分。


   🐢 ポケットにピエロにもらつた花の種   

   昨日のしりとり俳句
    ⛅  リボンなびかせ駆けて行く夏帽子

    ⛅  つっけんどん隣家の妻女夾竹桃

    ⛅  朝曇り始発電車にいただきさん

               
      

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夏茱萸

2015-06-06 05:33:24 | 俳句
 何だか思わぬ方向に逸れていた。
(壷中日月)のページを1週間ぶりに開く。私のバイブル。
彼は、亡くなっていた。俳句から遠ざかっていた間に。
パソコンの利用価値も知らなかった。
ブログって言葉は知ってはいたが、個人が思いを綴り記録を残す手段とし活用したりしていること。楽しく利用していること。なんと、時代遅れの私だったことかしら。
たまたま、自分の所属している結社を覗いたりしているうちに彼のブログを偶然に開いた。
彼が、皆さん、明日から入院します、有り難うございました。とお別れの挨拶をしているページだった。
 最後までパソコンに、俳句論を書き、さりげなく病状を書きこんでいる。
癌と闘いながら、絵を愛し、俳句を愛し本当に頭の下がる生き様を書き込んでいた。
 だんだんと衰えてゆく体力でパソコンに向かうのも、大変だったと思う。
名誉欲を捨てている。聖人のようだ。澄みきった心にてらいが無い。

   ☆  手術ためらふ心励ます冬銀河  秀喜
   
   ★  癌めらが大手を振って年詰まる
   
   ☆  白芙蓉朝の心経ゆるやかに

     


 (壷中日月)をバイブルにし、俳句に向き直そうとした時、もっと素直に、もっと真摯に作ろうと思った筈だった。選に一喜一憂し、人からどう読まれるか、少しでも上手いと思って貰いたいなんて欲が生まれてきていた。ええかっこしいに、自分が思えた。
しり取り俳句で、毎日が楽しかったらいいではないか。
先生の選は選、特選だろうが天、地、人 どうだっていい。もう一度初心に戻り俳句に向きなおろう。

 昨日のしりとり俳句
  🐇  罪ふかき日傘をたたむ夕星に
    
  🐇  梅雨寒やパソコンを打つ膝に猫
   
  🐇  六道の辻立食ひの氷菓かな
  
  🐇  夏潮や旅発ちはいつもこの港
         
         
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