角岸's blog (Kadogishi s' blog)

酒、酒&映画・・時事問題?

英国人作家デイヴィッド・ピースが描く、終戦直後の東京の猟奇殺人を描く「TOKYO YEAR ZERO」

2012-11-28 16:07:53 | ミステリー
先週のチラッとした東京出張の際、下り新幹線まで小1時間あり、「丸善」の丸の内本店へ。

復活した「丸ノ内駅舎」の北口に位置するこの本屋の聖地は本好きにはたまらない空間です。
ただ本を探すのならAmazonで充分なんですが、目にも楽しい無数のブックカバーの大群の中から自分のお気に入りを探す作業がいいんですよねぇ。

というわけで、何気にチョイスしたのが、この文庫本の新刊。

英国人作家、デイヴィッド・ピース「TOKYO YEAR ZERO」

物語は終戦直後の実在の猟奇殺人を追う刑事たちの話。登場人物はすべて日本人なんだけど、英語で書かれ日本語に翻訳されたものです。



 さて、物語はあの終戦の日、昭和20年8月15日から始まります。品川の海軍衣糧廠から若い女性の腐乱死体が発見されるんですね。で、現場へ向かう警視庁の三波警部補と刑事たち。
 そして、その一年後、今度は第二、第三の女性の遺体が出てきます。いずれも検視の結果強姦され絞殺されており、同一人物による猟奇殺人の線が濃くなってくるんですねぇ。そして、捜査線上に「小平義雄」が浮かんできます。

 そうこれは、終戦直後に実際に起きた、連続強姦殺人事件「小平事件」をほぼそのまま、題材とした警察小説なんですね。

 ただね、この事件の真相はすでに知れ渡っているので、「小平事件」がミステリーというよりは、終戦直後の臭気漂うがれきの東京の中で起こる警察内の暗部や、戦後の闇社会と三国人たちとの葛藤などが緻密に描かれた一大叙事詩と言えるでしょう。

でね、ドラマ終盤驚くべき真相が明らかにされ、何だったんだーっこの話はー!!ってなるんですね。

びっくりというよりはモヤモヤ感が残るのではないかと・・・。

それとね、この小説を特徴づけている、この独自の文体なんですが、小生は非常に読みづらかったです。

おんなじ、言葉やフレーズを何十回、何百回繰り返したりして。まぁ、好きな人は好きなんだろうけど。

ちなみに、小生の好きな寅さんは第8作目の「寅次郎恋歌」(昭和46年)において売り口上で以下のように言ってます。

「国の始まりが大和の国、島の始まりが淡路島、泥棒の始まりが石川の五右衛門なら、助平の始まりが小平の義雄」

戦後25年、四半世紀経っても、この「小平事件」がいかに当時の日本人に強烈な印象を与えていたかがわかります。

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さて、次は横山秀夫先生の「64(ロクヨン)」を読みます。

SonyReader Storeで買ったのですが、本屋さんで買うよりちょっと割安です。


ソニータブレットPを使って読むんですが、大丈夫でしょうか。
電子文庫って、実物の本と違って、ページ枚数がどれくらい動いたか全くわからないんですよね。半分すぎたとか。


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