小生が好きな映画評論家の
前田有一さんはハリウッド映画
「リアルスティール」の批評の中で、以下のような文章を書いています。
「日本はロボット先進国である。Hondaには二足歩行ロボットのASIMOがいるし、ソニーはかわいいアイボを開発した。財務省には野田首相がいるし、アメリカには日本国財務省がいる。どのロボットも世界に並ぶものなしの高性能なものばかりだ。」
強烈なブラックジョークですが、これを声をあげて笑えないところに、現在の惨憺たる日本の現状(政治・経済含めて)があります。
もうドジョウ総理は「消費税増税」で頭がいっぱいとみえ、「増税」のためなら、「議員」の定数削減やら「公務員の人件費」削減やらあの手この手を使って、増税への国民への理解を求めています。
そう、もうこのドジョウの頭は
「増税」が目的化しているのです。
しかし
「増税」は手段であり、
増税の目的は「財政再建」のための税収アップのはずです。
テレビのコメンテーターたちは「増税分」が何に使われるか知りたいなどとくだらないことを言ってますが、そもそも、
増税して税収が増えるなんてどうして言えるのでしょう。
政府は増税後、消費税収入だけでなく所得税、法人税の収入の試算がいくらになるか、ちゃんと説明すべきです。
その点がはっきりしない以上、「
年金制度改革」と言ったところでもう絵に描いたモチ以外のなにものでもないでしょう。
今日はまさにその点を論じたいと思います。
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で、この間知り合いの方々と飲んだ時、この話題となりました。
小生は
「この状況を打破するため(円高・デフレ対策)には、日銀引き受けで「円」を増刷(お札を印刷)し、太平洋沿岸の被災地と原発災害地に集中的に投下すべき」と主張。
反対意見の方は
「これ以上、赤字国債を増やしたら日本はギリシャみたいになるし、財政を健全化は必要だ」とおっしゃりました。また
「札を刷るなんてそんな単純な事で良いのか?」とも。
ギリシャみたいになりっこないのは、前にも述べました。
消費増税そのものに反対な訳ではないことにも言及しました。
↓ ↓ ↓ ↓
http://pub.ne.jp/gwnhy613/?daily_id=20120102
で、確かに札を印刷して「円」を増やすのは単純な考え方ですが、
「増税」すれば「税収」が増えると考えるのはもっと単純ではないでしょうか。
だって、これってただ単に
「1+1=2」と言ってるのと同じですもん。
ですので、過去の実例をちゃんと見てみましょう。
消費税3%を5%に増税したのは、平成9年(1997年)の自民党・橋本内閣時でした。
阪神大震災の復興特需も加わり、やや景気が良くなりかけた時、消費税増税を実行したのです。
下記は税目別の税収の推移表です。
ね、消費税増税後の
赤い線以後をよーく見てください。
確かに、
消費税は4兆円増えていますが、景気が悪化して
所得税が2兆円減収、さらに
法人税が3.1兆円も減収でしょう。
景気が悪化した証拠に下記の
「GDPの推移表」をごらんください。
前にも申しましたが、税収とは以下の数式です。
税収=名目GDP×税率
なので、いくら税率を上げたところで、景気が悪化し名目GDPが下がれば、税収は上がりっこないんです。
これ
↓は「
税収全体の推移表」。
徐々に景気が良くなり、
増税前に53.9兆円あった、税収が増税後(赤線以後)一気に49.4兆円に。
なんと4.5兆円もの減収です。次の年も更に減収ですよね。
実行した当時の橋本首相も、この失敗を認め、陳謝しています。
しかし、
増税という博打に打って出て、何兆円もお金をスッてしまうんですから、謝って済む問題ではありません。
ましてや、
現在は当時(平成9年)より、深刻なデフレと円高の厳しい状況にあり、復興もままならない生活をしている人たちがある中で、増税して税収が増えるなんて考えること自体どうかしていると思いませんか?
しかも、今回は
2%どころではない、
5%も一気に上げるというんですから、もう景気への悪影響は目を覆わんばかりの結果になるのはあきらかです。
税収が減れば、減った分赤字国債で賄わなければならないのですよ。
従って、
消費税増税こそが財政再建の妨げとなるわけです。
脳みそがドジョウ位の知能指数の宰相が考えそうなことです。
1+1が2になりますと。
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消費税を増税した替わり、国会議員の首を切っても、公務員の給料を下げても全く景気は良くなりません。
なので、野田総理は国民にこう約束するべきなのです。
「もし、消費税増税により税収が減収に転じたら、民主党議員全ての資産、及び財務省職員全ての資産を、「損失分」借金してでも国家に返済します。」
と、「
だから、増税を理解して下さい」と言われら、小生も賛成するものです。まぁしかし、自民党も消費税増税を是としているわけですから同じなんですけどね。
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さて、今から83年前・・・・・・
通貨供給量の緊縮政策により引き起こされた1929年の
「世界恐慌」は現在のようなデフレ圧力によるものでした。
で、日本の
高橋是清・大蔵大臣の目標は現在と同じ
「デフレ脱却」!
そこで、高橋蔵相がとった金融政策は、
国債を日銀に直接引き受けさせて財政出動を行うこと。早い話が不足している「円」を大量に印刷し市場に流したわけ。この政策は1931年から始め、1933年には
世界に先駆け日本だけが不況を脱しました。その後('36年頃)あまりの好景気(インフレ気味)になり増税へシフト、軍部の予算削減に踏み切った高橋蔵相は二・二六事件で青年将校らに暗殺されました。
以後、この財政出動の手法は、一部の大蔵官僚に悪用され戦費調達に利用されたのは事実です。
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なので、現在の「財政法5条」では確かに日銀の直接引受による財政出動を禁じています。しかし、ちゃんとただし書きがあってつまり
「国家の危機的状況になった場合その限りではない」とあるんです。
で、昨年3月11日
「東日本大震災」が日本を襲いました。
今、この状況が「国家的危機」でなかったら、何時が危機なのでしょう?
野田首相は増税という更なる疲弊へ国民を誘導するのではなく、日銀引受で
最低50兆円の財政出動を実行し、
太平洋沿岸の被災地を復興させるのを第一目標とするべきです。
それが何よりも、日本全体のデフレ脱却と円高対策となるのですから。
そして、「財政再建」への最も近道は、景気回復による、税収アップであることは言うまでもありません。
ガンガン好景気で、インフレ気味になった時こそ、消費税10%にすべきタイミングと強く主張するものです!