さて、全く更新していない本ブログに、某日の朝5時に以下のようなコメントが匿名で投稿されていますのでご紹介します。
----------------------------------------------------------------
? (…)2018-02-26 05:07:49
生キャラメル自体花畑のパクリなのでは?
昨日あなたが言う偽物のやつ食べたけど普通に美味しかったです。
逆に不快な文章みてあなた方の製品を買う気がなくなりました。
-----------------------------------------------------------------
これは、うちの「生キャラ煎餅」の卸先が「生キャラメル南部せんべい」なる商品を新商品として製造販売し始めた行為にたいして、小生がそれを批判した記事(もう2年前の投稿)に対するコメントです。
↓↓↓
「生キャラ煎餅」のパクリ現る!? その名も「生キャラメル南部せんべい」???? https://blog.goo.ne.jp/gwnhy613/e/aa5669312a7700d40ec24b549819a8d1
さて、この匿名の御仁(仮にAさんとしましょう)の方の言いたいことは、要は「お前らだって、よそ(花畑さん)のをパクッておきながら、人様のことを批判できないべ」って怒っていらっしゃる。
で、小生も一応、コメントで反論しておきましたが、少々舌足らずだったので、ちゃんと本文で解り易く、ご説明させていただきます。
まず、そもそもAさんは「生キャラメル」そのものが、「花畑牧場」さんのオリジナル発明だと勘違いされていらっしゃる。この前提自体が間違っていることをご存じないからこんなことになるかと。
まず起源ですが、「キャラメル」自体はもともとアラブの中東が発祥と聞いています(ヨーグルトもトルコ語起源)が、ヨーロッパに紹介されたのは、中世になってから。
該当の「生キャラメル」自体の発明は今から100年ほど前。確かポーランドあたりが発祥地のはずです。クルフカとかいう伝統菓子。
ぶっちゃけ、これで説明終わってしまうのですが、もうちょっと詳しく書きますか。
で、日本では、まぁ森永さんや、グリコさんのキャラメル有名ですが、90年代、日本の有名パティシエらによって「塩キャラメル」とか、様々な名前で生キャラメルの販売レシピ紹介されていましたが、加工製品として生キャラメルが販売されたのは花畑さんより、ちょっと前に北海道のノースプレイン牧場さんが、製造販売(2000年はじめ。5年か6年)したはずです。花畑さんはその後発なのですよ、そもそも。で、様々な地域で特色ある「生キャラメル」が全国で販売されていますが、特にメディア等でも取り上げられ有名なのが「花畑さん」ってこと。
ちなみに、我々は花畑さんのを参考にしようにも、どう作っているのかも知らないし、失礼ながら、そんなに興味があるわけでもありません。
ただ、うちの「牛乳」の風味と「黒飴」の香ばしさを生かすため、次の方の影響を本なので強く強く受けたことを告白します。
日本パティスリー界の超大御所、藤生義春 先生。
フランスクラッシック菓子の神様とも言える、「パティスリー・ドゥ・シェフ・フジウ」(東京の日野市にお店あります)のオーナーシェフ。素材の持ち味を活かしきるシンプル・イズ・ザ・ベストの魔術師。一度、この神様の製品を食べたらビックリする!!
さて、現在各地には「生キャラメル」をチョコレートでコーティングして、溶けにくい新触感の「生キャラ」や、ナッツや大豆と混ぜたり、抹茶と併せたり、多種多様な「生キャラ」新商品があります。
ご理解されたでしょうか。花畑さんは、確かに最も有名な「生キャラメル」メーカーかもしれませんが、数多あるメーカーの一つであって、ましてや「生キャラメル」自体の開発者ではありません。
繰り返しますが、うちのオリジナルは「南部せんべい」とドッキングさせて、甘味(キャラメル)と塩味(せんべい)の対比、キャラメルのとろりとした触感と煎餅のクリスピー感の対比、西洋と和のドッキングにコンセプトの重点を置いたということです。
「既製品」+「既製品」=「新商品」
「生キャラメル」+「南部せんべい」=「生キャラ煎餅」
これが、重要なのです。ロッテ「雪見大福」、秋田「バターもち」、「アイス最中」等々、過去には偉大なドッキングコンセプトによる、大ヒット商品が綺羅星の如く存在します。
本ブログではそのドッキングコンセプトをそのまま使い、商品名も、もろ「生キャラメル南部せんべい」と命名し、しかも新商品として製造販売したことへの批判を書いたに過ぎません。(現に勘違い購入による、クレームが少なくとも2件うちに来ていることが確認されています。) なので、それが美味しいか不味いかなんてことは、二の次の問題。
ちなみに、以下は平成28年6月10日に登録されたうちの「商標登録証」ですが、ちゃんと「生キャラメルを使用したせんべい」とあるでしょう。
ここで明らかなのは「生キャラメル」自体が一般的な菓子と定義づけられていることと、せんべいとドッキングされた新機軸を認めていることです。
小生はなにも「生キャラメル南部せんべい」なる商品を製造販売中止せよ、とか賠償とか言っているのではありません。
コンセプトの流用を、誇りある同業メーカーとして恥ずかしくないですか? って言っているのです。
Aさんはこのコンセプトの流用に関しては何も触れてはおりませんが、上記の説明で事実関係及び、どちらが不快な思いをしているかは明らかだと思います。
小生も気をつけますが、人様を批判するには、それなりのエビデンスが必要です。うちが花畑さんをパクる能力も理由もないことは説明した通りです。Aさんを無知な下種の勘繰りと批判するつもりも毛頭ありませんし、恐らくちょっとした勘違いだったのでしょう。
ただ、味に関するコメントは双方相いれないでしょうね。Aさんはその「生キャラメル南部せんべい」なる商品が普通に美味しかったとのことですが、それは、味覚の主観が左右する審美感覚の問題ですので、当方がとやかく言ってもしょうがありません。
今日び大手食品メーカーですら「化学添加物」の使用を極力嫌う時代に「トレハロース、香料、乳化剤、酸化防止剤VE、着色料」などの化学添加物を惜しげもなく投入したこの商品を美味しいと感じるAさんには、確かにうちの商品は合わないと思いますよ。うちの製品の裏の原材料表記を見てもらえれば、何故かはわかるはず。もちろん、食品加工学を学んだ者の端くれとして、これらの化学添加物の食品に与える効果と影響は承知しているうえで言っています。
某「生キャラメル南部せんべい」の原材料
うちの「生キャラ煎餅」の原材料
最後に、小生が食品技師として駆け出しの頃、師匠から教わった名言をご紹介します。
「君がどんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人間であるか言って見せよう。」
ジャン・アンテルム・ブリア=サヴァランJean Anthelm Brillat-Savarin(1755-1862)
フランス法律家、政治家、「美食礼賛」の著者