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角岸's blog (Kadogishi s' blog)

酒、酒&映画・・時事問題?

再び、佐々木譲先生の「笑う警官」等、道警シリーズについて

2012-04-10 09:11:27 | ミステリー
「笑う警官」は警察小説の第一人者である佐々木譲先生の言わずと知れた、北海道警シリーズの傑作ミステリー。

もともとは「うたう警官」だったのを、映画化にあたり、角川春樹監督からごり押し(?)されて改名したとのこと。



(ストーリー)
札幌市内のアパートで、女性の変死体が発見された。遺体の女性は北海道警察本部生活安全部の水村朝美巡査と判明。容疑者となった交際相手は、同じ本部に所属する津久井巡査部長だった。やがて津久井に対する射殺命令がでてしまう。捜査から外された所轄署の佐伯警部補は、かつて、おとり捜査で組んだことのある津久井の潔白を証明するために有志たちとともに、極秘裡に捜査を始めたのだったが…。


この、北海道警の暗部に挑む佐伯警部補以下5名には正義感に燃える新米デカや、ダジャレ好きなベテランデカ、PC操作専門家の女性デカなど、それぞれのプロフェッショナルが集結。
限られた時間の中で、殺人事件の真相を解明していく過程がスピーディかつリアルに描かれています。
なんかあれですよ、あの映画「アンタッチャブル」みたいな、少数の精鋭たちが悪を倒す爽快感があり、読後感抜群です。
特に、後半からのたたみかけるようなストーリーの展開はミステリーの手本みたいなもので、あの二転三転する緻密な話術は騙されていて気持ちいい。

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ところで、この第2弾の「警視庁からきた男」ってのがあるんですが、これがまた良いんですなぁ~
前作からのまったく新しいストーリーってわけじゃなく、前作で残った「謎」がこの物語に引き継がれるわけ。



今度も、前作の主役たちが再び、道警の暗部をめぐって大活躍すんですが、題名の通り“警視庁からきたキャリア官僚”が味方に。
なんかね、我々ドラマの見すぎなのか、「キャリア官僚」って聞くと反射的に、「いけすかない」イメージ持つでしょ。
実際、この藤川警視正もそんな感じのする男なんですが、だんだんそのクールさがたまらなくなってくるわけ。

ラストのあたり特にいいです。

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で、更に更に、この道警シリーズの完結編、第3弾の「警官の紋章」では、ちょうどあの洞爺湖サミットの頃が舞台。
正直、前2作を読んでおかないとさっぱり意味がわからない高度なお話し。



いままでの、底辺を流れていた「謎」うまく絡み合い、「そうだったのか!」となります。
しかし、1作目から、計算してこの伏線を張っていたとすれば、恐ろしい作家です。

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ちなみに、小生的に言えば、名作との誉れ高い「警官の血」よりも、こっちの「道警3部作」の方が好きです。



この「警官の血」、途中から犯人わかっちゃうんですよね。で、ラストにどんでん返しあるだろうと読んでいると、そのまんま。
そのまんま、ひねりなく終わっちゃう。あんなに分厚い本よんだのに・・・・

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さて、この間GEOで映画版「笑う警官」DVD借りてきて観たんですが・・・・なんかなぁ~。
角川演出はクールでスタイリッシュな演出を目指しているのはわかるんですが、それが崖っぷちで止まればカッコいいんですが、ほとんど一線をこえてます。

なので、笑えます!

あの伝説の迷画「シベリア超特急」に勝るとも劣らない出来です。

(映画の1シーン)

もう、あのハードボイルドタッチはウケをねらってんのかと思わずにはいられません。
宮迫の津久井刑事のカッコつけてるジャズシーンはみてられないし、夜中でも真っ黒いサングラスしているSATの隊長はギャグですか?

ストーリーも二転三転どころか、四転五転し、はっきり言って原作読んでるおいらでもさっぱり意味がわからない結末になってる始末。

(クライマックス)

やっぱ題名もそのままの「うたう警官」で良かったんじゃないですか佐々木先生。

なにもこの映画の迷作にあわせなくとも・・・・・