五反田発リスボン行き急行列車

五反田駅からリスボン行き急行列車に乗ることを夢想する前期高齢者の徒然

2021・10・5

2021-10-06 05:27:41 | 日記
今日一番のニュースは歌舞伎俳優のKさんに街で声をかけられたことだろう。今日は火曜日で弟が来てくれる予定になっているので9時40分から始まる「先生、私の隣に座っていただけませんか」(脚本監督・堀江貴大)を見終わって渋谷シネクイントを出た時だった。前から来た(マスク越しだったけど)美男子にすれ違った時に突然私の名前を呼ばれたのだ。彼がマスタを取ってくれたら分かった。Kだった。最後に会ったのはもう二十年近くも前だ。それも数回きり。彼のお姉さんが出演する映画がかなりきわどい内容だったので姉思いの彼がその映画に少しだけ関係していた俺に相談するために店に来たのだ。確かにその夜は長い時間その映画について、その監督について、その脚本家について彼に説明してあげて心配を取り除いてあげた。その以前にも一度舞台を共演していた俺の妹とも来たことがあったけど、でも、親しく話したのはその一晩きりだ。それなのに俺のことを、それもマスクをしたままの俺のことを、覚えていて、声をかけて来るなんて。これが反対ならよくあることかも知れない。いや、よくあっても声をかける勇気はない。それなのにKはよく二十年近くぶりにあう、それもマスタをかけた俺のことが分かったのか、感激するより驚いてしまった。それはきっと歌舞伎役者としてのKはお贔屓筋を含めて一度世話になった人のことを決して忘れないと云う訓練が幼い頃から行き届いているからだろう。そのことに思い当たって、その後ツタヤの前で待ち合わせた映画演劇好きのTちゃんを思い切り羨ませてしまった。町は緊急事態宣言が空けて昼間から活気づいているので、お酒好きのTちゃんと珈琲というのもなんだと思って、ホルモン焼きに入ってレモンサワーを飲みながら、今日みた「先生、私の…」、九月中に見た「孤狼の血 LEVEL2」「空白」「ドライブ・マイ・カー」「由宇子の天秤」、NETFLIXで見た「彼女」や「his」や「空に住む」など何本もの作品についての映画談義。話はつきない。ホルモン屋は二時間で切り上げて、次はウチの店のベランダに移動して今度はドラマ談義「大豆田とわ子と三人の夫たち」「カルテット」と脚本家の坂元裕二について。更にオダギリジョー主演の「時効警察」と「オリバーの犬」の比較論。楽しい時は母を寝かしつける時間と彼女の息子が中学校の部活から帰って来る時間で終わる。でも、昼に彼女とホルモンを食べたお蔭で食欲は復活。ニンニクと唐辛子をたっぷりつかったペペロンチーノを作って食べる。幸せな一日だ。