五反田発リスボン行き急行列車

五反田駅からリスボン行き急行列車に乗ることを夢想する前期高齢者の徒然

2015・8・13

2015-08-14 08:41:27 | 日記
今日は母を連れて「この国の空」(脚本監督・荒井晴彦)を見に行くことになっていて、監督と私との関係や作品歴を昨日から話していたこともあったけど、お昼に母を迎えに部屋まで行ったら会った途端、荒井さんのことがこんなに大きく出ているわよと彼のインタビュー記事が載った東京新聞を差し出され、凄く誉めてあるわ。映画見るのが楽しみといかにも身内の人間が誉められている感じで喜んでいるもんだから、ちょっと複雑な気持になる。そりゃ私だって友人である荒井晴彦が誉められているのは嬉しい。でも、同い年だ。そして私も彼と同じ土俵にいたこともあるのだ。本当なら母には自分の息子が映画を監督し、その映画が新聞で誉められている体験をさせてやるのが親孝行だと思うのだけど、それは叶わぬこと。母上お許しください。せめて友人が誉められていることで疑似体験して下さい。と云うことで、天現寺から30分バスに乗ってテアトロ新宿まで見に行った「この国の空」ど云う映画、私は既に試写会で見て今年のナンバーワンを争う映画だと思っていたけど、母にとっては同世代の主人公が、母ひとり娘ひとりと云う全く同じ家族関係で、映画と同じ様に身近にいたひとりの男性を母と娘がオトコとして意識すると云うことがあったりしたもんだから、もう殆ど自分のことを描いた映画じゃないかと錯覚する程で、見終わった後、戦争が始まる前にジャージャン(祖母)と何度か来たことがあると云う新宿中村屋でカレーライスを食べながら今見てきた映画について語り続ける母は、とても92歳とは思えない感激ぶりで、この暑さにも係わらず連れてきて本当によかったと思ったし、そのことを荒井晴彦にメールすると、喜ぶと同時に「うらやましい。俺もオフクロと一緒に見たかった」というメールが返ってきた。人間って、幸せと不幸せが紙一重にある。彼の母上が闘病中で、息子の映画を見ることが出来ない状態だったのを忘れていた。私の人生は、新聞に取り上げられることもないけど、母と友人の映画を見に行き、帰りにビールを飲みながら新宿中村屋のカレーライスを食べ、アルタ前から天現寺に向かうバスを待ちながら92歳の母と新宿駅前の変貌についてお喋りする幸せがある。
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