独仏、WHOの財務・権限強化を提言 コロナ禍で脆弱性=内部文書
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、これまでも指摘されてきた世界保健機関(WHO)の財務面、権限面での脆弱性が露呈したことを受け、独仏がWHO強化に向けた提案を行うことがロイターが入手した内部文書で明らかになった。ジュネーブで5月撮影(2020年 ロイター/DENIS BALIBOUSE)
(
)関係筋によると、独仏の提案はWHOで9月中旬にも討議される可能性があり、両国は「米国から中国に至るまで」幅広い国の賛同を得ることを目指している。
内部文書はWHO改革を巡る討議に参加している外交官の間で共有されているもの。独仏は、感染症の世界的拡大防止や感染が拡大した場合の各国政府に対する支援などの責務を担うWHOには充分な資金と法的権限が備わっていないと指摘。「現在発生しているパンデミック(世界的な大流行)に限ったことではないが、WHOには責務達成に充分な能力が備わっていないことが明らかになっている」とした。
独仏は7ページの文書で、10項目の改革事項を提案。「WHOの全般的な予算は2年間で約50億ドルと、地域の大きめの病院と同程度にとどまっている」とし、予算のうち加盟国が拠出するひも付きでない部分は全体の5分の1にすぎず、残りは「目的が厳しく限定される短期的な献金」で構成されていると指摘。緊急事態に対応するために、より強固な予算の確保が必要と訴えたほか、パンデミック発生中に資金を調達する必要に迫られれば、WHOの独立性が一段と損なわれる恐れがあるとも警告した。
また、感染拡大が発生した際にWHOの専門家が迅速に独立調査を行えるようにする必要があるとも提言。 危機の監視を行う専門家グループのほか、WHOの改革を進める専門家パネルの創設も提案した。
独仏共同文書について、独政府当局者は「ドイツは他の国と提携して改革を進めることを望んでおり、さまざまなレベルで協議が進められている」と述べた。仏保健省からコメントは得られていない。WHO報道官はこの件に関して提供できる情報はないとした。