米宇宙ベンチャー・スペースXのイーロン・マスク最高経営責任者は29日、地上の主要都市を1時間以内で結ぶ宇宙旅客船の運用を2022年以降に始めると発表した。現在、有人火星探査用に開発中の再利用可能なロケットなどを活用し、乗客100人を乗せてニューヨークから上海まで39分で結ぶという。

 オーストラリアで開かれている国際宇宙会議(IAC)で発表した。マスク氏が公表した動画によると、ニューヨーク沖の海上に設けられた専用施設から打ち上げた宇宙旅客船は、最高時速2万7千キロで宇宙空間を飛行。現在は飛行機で十数時間かかる上海に39分で到着する。同様にロサンゼルス―ニューヨーク間を25分、東京―シンガポール間を28分など、各主要都市間を1時間以内に結ぶ構想という。

 このほか、新型宇宙船を使った月面着陸や火星探査についても発表。火星には24年までに4機の無人宇宙船と2機の有人宇宙船を打ち上げるという。

 マスク氏は昨年、火星に100万人が住む都市を築く移住構想を公表。ロケットや宇宙船の再利用や一度に100人以上の乗客を運ぶことで、1人あたりの打ち上げ費用を20万ドル(約2千万円)以下にする目標を掲げていた。(小林哲)