アステラス製薬と契約 鳥大医学部が、がん細胞のみ破壊するウイルス療法を開発
日本海新聞 3月16日掲載
以下その内容
鳥大は15日大学医学系研究科の中村貴史准教授と製薬大手のアステラス製薬が共同研究を進めてきたがんウイルス療法で、がん細胞のみを破壊する「免疫賦活遺伝子搭載腫瘍溶解性ウイルス」を開発し、同社と商品化に向けて独占的ライセンス契約を結んだと発表した。4から6年後の実用化を見込んでおり、完成すれば鳥取大学発の創薬第一号となる。中村准教授らにうよると、同ウイルスは天然痘ワクチンに利用されたワクシニアウイルスを活用。免疫を活性化する遺伝子を組み込んでおり、ウイルスでがん細胞を破壊するだけでなく、身体の抗がん効果を高める効果があり、ウイルスを投与していない箇所の腫瘍にも効果があるという。
マウスの左右の腹部に腫瘍を移植し、片側に免疫賦活遺伝子を搭載したウイルスと搭載していないウイルスを与えたグループは腫瘍の死滅効果にばらつきがあったが、搭載したウイルスを投与したグループは左右の腫瘍が死滅した。
鳥取大と同社は2014年ごろから共同研究を始め、16年に同ウイルスを開発して連名で特許を出願。ライセンス契約に基づき、同社は独占的に特許を使用でき、同大学に特許料を支払う。この日、同大学医学部で会見した中村准教授は「実用化の部分でバトンタッチすることになる。いいものを作り、一日お早く患者に届けたい」と話した。
製薬会社との契約は、人による臨床試験終了後が一般的とされるが、今回はマウスによる実験を終えたばかりの段階。広岡保明医学部長は「例がなく、地方大学として画期的。新たながん治療の確立に期待したい」と述べた。
がんウイルス療法
がん細胞に感染し、組織内で増殖しながらがん細胞で増殖しながらがん細胞しながらがん細胞を破壊していく腫瘍溶解性ウイルスを用いた療法。腫瘍性ウイルスには、アデノウイルスやヘルペスウイルスなど多くの種類があり、世界中で研究開発が進んでいる。2015年にヘルペスウイルスを使ったウイルス製剤が米国で登場し、注目を集めた。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます