KDDI(au)の高橋誠社長は25日に記者会見し、菅義偉首相が携帯電話料金の値下げを看板政策に掲げ、実現に強い意欲を示していることについて「要請は真摯に受け止め、対応方針を検討していきたい」との見解を示した。今後の具体的な値下げ幅などの言及は避けたが、「国際的に比較して遜色ないことを求められており、そこに取り組んでいきたい」との考えを明かした。

 菅首相は日本の携帯大手の料金水準が世界でも高く「国民の財産である電波を使っているのに、20%もの営業利益率を上げ続けている」ことを問題視。「4割程度の値下げ余地がある」と主張する。

 これに対し、高橋氏はまだ「具体的な話を総務省としているわけではない」としながらも、政府の圧力の高まりを踏まえて「これまでも値下げなどの還元はしてきたが、今後も頑張ってコストを切り詰めながら(値下げを)やっていく必要がある」と述べた。

 一方で、携帯料金値下げへの対応が超高速大容量の第5世代(5G)移動通信システムの普及に向けた投資の足かせになるとの懸念もある。5Gには今後、年間数千億円規模の投資が必要とみられており、携帯大手が値下げとどうバランスを取るかも焦点になる。

 高橋氏は「スピード感を持って5Gのエリア展開を進めることが使命だ」として、通信基地局の全国展開を早期に推進していくことを強調。その上で、「通信事業以外も含めて収益を上げることを考えていきたい」と述べ、注力する金融事業などの収益でカバーしていく考えを示した。