「こども庁」2つの組織案が判明 霞が関、水面下の主導権争い
菅義偉首相が創設に意欲を示す「こども庁」について、内閣府と文部科学省がそれぞれ作成した組織案が判明した。検討は今後、自民党主導で進むことになっているが、水面下では与党の目玉政策に乗じ、新組織の主導権を握ろうとする関係府省の綱引きが始まっている。
首相は5日の参院決算委員会で、こども庁について「子どもに関する政策は厚生労働省や文部科学省、警察庁、総務省など多くの省庁が関係する」と課題を挙げ、「縦割り打破、組織のあり方をもう一度抜本から考えていく必要がある」などと意義を語った。
次の衆院選の公約に盛り込みたい自民党は、4月中旬にも党内論議を本格化させる方針だ。こうした動きを受け、内閣府と文科省が水面下で新組織の素案をまとめた。
内閣府と文科省の案は、それぞれ漢字交じりの「子ども庁」と表記し、ともに担当大臣と長官を置く。
庁組織は(1)総合調整や国際関係を担う部局(2)幼稚園・保育園など主に教育を担う部局(3)虐待や貧困対策など支援を担う部局の三つに分けることも共通している。いまは幼稚園は文科省、保育園は厚労省、それぞれの施設運営費は内閣府などと所管が各府省にまたがっているが、これをこども庁のもとに集約する。