白山火山帯

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免疫のブレーキ役発見、革新的がん治療に道筋 本庶佑氏にノーベル医学・生理学賞

2018-10-02 11:56:36 | 日記

免疫のブレーキ役発見、革新的がん治療に道筋 本庶佑氏にノーベル医学・生理学賞

免疫のブレーキ役発見、革新的がん治療に道筋 本庶佑氏にノーベル医学・生理学賞

京都大の本庶佑特別教授(寺口純平撮影)

(産経新聞)

 ノーベル医学・生理学賞に輝いた京都大の本庶佑特別教授(76)は免疫を抑制するブレーキ役のタンパク質「PD−1」を発見し、免疫学の新たな地平を切り開いた。成果はがん治療薬として実用化し、革新的ながん免疫療法として世界から注目を集めている。

 PD−1は、免疫の中心的な役割を果たすリンパ球の一種、T細胞の表面に存在するタンパク質。京大教授だった本庶氏の研究室で平成3(1991)年に発見されたもので、翌年に論文発表された。

 その機能は当初、不明だったが、本庶氏は免疫の働きを抑制していることを実験で明らかにし、11年に発表した。遺伝子操作してPD−1を作れないようにしたマウスでは、免疫反応が強まり、自分の細胞を攻撃してしまう「自己免疫疾患」が起きたのだ。

 T細胞は体内に侵入した病原菌などの異物を攻撃して殺す役割を持っている。一方、がん細胞は、自分自身の細胞が異常に増殖するように変化したものだ。このため、T細胞はがん細胞を攻撃できないと考えられていた。

 ところが、1960年にノーベル医学・生理学賞を受賞した豪科学者が異説を唱えた。健康な人の体内でも1日に約3千個ものがん細胞が生まれる。それなのに、がんにならないのは免疫のおかげだとする説だ。

 だとすれば、自分の細胞であるがん細胞が、どのように免疫の攻撃を受けるのか大きな謎だった。本庶氏は免疫を抑制するPD−1の仕組みを遮断すれば、T細胞が、がん細胞を攻撃できると考えた。

 PD−1は活性化したT細胞の表面にある。体の細胞の表面にはPD−1と結合するタンパク質がある。PD−1を鍵に例えると、鍵穴に相当する物質だ。

 両者が結合するとブレーキ信号が送られ、活性化していたT細胞が休眠状態に陥り、免疫攻撃が抑制されるのだ。本庶氏は米国との共同研究で2つの鍵穴物質を発見。この働きにより正常組織の細胞は免疫攻撃から守られていることを明らかにした。

 さらに本庶氏は、重いがん患者で鍵穴物質が増えていることを見いだした。がん細胞はPD−1の機能をいわば悪用し、表面に鍵穴をたくさん作ることで、免疫を巧みにすり抜けていることを突き止めた。

 PD−1や鍵穴物質にくっついて、両者の結合を妨げる抗体を投与すると、ブレーキ信号がなくなりT細胞が活性化され、がんの増殖や転移が抑制されることも確かめた。

 これらの成果から、本庶氏はPD−1をがんの免疫療法に応用できると確信し、小野薬品工業(大阪)と共同研究を開始。開発されたがん治療薬「オプジーボ」が26年9月、同社から発売された。PD−1に結合する抗体薬で、ブレーキ信号をブロックする働きを持つ。がんだけを狙い撃ちできる可能性があり、副作用の頻度が少ないがん治療法として期待されている。


「患者の役に立ち幸せ」 共同受賞のアリソン氏会見

2018-10-02 11:53:45 | 日記

「患者の役に立ち幸せ」 共同受賞のアリソン氏会見

「患者の役に立ち幸せ」 共同受賞のアリソン氏会見

ノーベル医学生理学賞の本庶佑京都大特別教授との共同受賞が決まり、記者会見するジェームズ・アリソン米テキサス大教授=1日、米ニューヨーク(ロイター=共同)

(共同通信)

 【ワシントン共同】今年のノーベル医学生理学賞を本庶佑京都大特別教授(76)と共に受賞するジェームズ・アリソン米テキサス大教授(70)が1日、ニューヨークで記者会見し「基礎科学者として免疫細胞の働きを知りたくて研究してきたが、結果的にがん患者の役に立てることになって幸せだ」と喜びを語った。

 子どもの頃に母をがんで亡くしたというアリソン氏は、本庶氏の研究成果も合わせ、がんの治療成績の向上に貢献できたと本庶氏をたたえ、「12月にスウェーデンでの授賞式で会えるのが楽しみだ」と述べた。また「本庶氏はゴルフが好きだが私はゴルフはしない」と笑った。


<ノーベル賞>本庶さん がんで友失い、道究め

2018-10-02 11:49:37 | 日記

<ノーベル賞>本庶さん がんで友失い、道究め

<ノーベル賞>本庶さん がんで友失い、道究め

ノーベル医学生理学賞の受賞が決まり、記者会見で笑顔を見せる本庶佑・京都大高等研究院特別教授=京都市左京区の京都大で2018年10月1日午後8時14分、川平愛撮影

(毎日新聞)

 画期的な発見から、四半世紀あまり。今年のノーベル医学生理学賞に1日、京都大高等研究院特別教授の本庶佑(ほんじょ・たすく)さん(76)が選ばれた。1992年に未知の遺伝子を見つけ、抗がん剤「オプジーボ」の開発につなげた。新たな治療薬が世界各地で患者の命を救い始める中、本庶さんは世界最高の栄誉を喜び、各地から祝福の声が相次いだ。

 「『元気になった。あなたのおかげだ』と言われる時があると、自分の研究に意味があったと実感し、何よりうれしい」

 京都大(京都市左京区)の百周年時計台記念館で記者会見した本庶さんは、喜びをかみしめるように静かに語った。研究の原点には、若くしてがんで亡くなった医学部の同級生の存在があるという。「少しでも貢献できればと、当時かすかに思った」

 本庶さんは午後7時ごろ、会見場にタクシーで到着した。約20分後、紺色のジャケットとストライプのシャツ姿で記者会見に臨んだ。

 冒頭、京大の山極寿一学長が業績を紹介。続いて本庶さんが、身ぶり手ぶりを交え研究の内容などを説明した。「ノーベル賞は大変名誉なこと。ひとえに長いこと苦労してきた共同研究者、学生諸君、応援してくださった方々、長い間支えてくれた家族、言い尽くせない多くの人に感謝している」。周囲への感謝の言葉を重ねた。

 また、子どもたちに向けて「一番重要なのは、知りたい、不思議と思うこと。自分の目でものを見る、そして納得する。そこまであきらめない。そういう小中学生に研究の道を志してほしい」とエールを送った。

 一方、長年、ノーベル賞候補として期待されていたことを問われると「僕はメディアと違って、やることがいっぱいあるので、自分で意識することはほとんどなかった」と独特のユーモアでかわした。さらに、受賞が決定し多忙な中で最もやりたいこととして、趣味のゴルフで年齢以下のスコアで上がる「エージシュート」と答え、そのために「筋トレを欠かさず、家でパターの練習をする」と話して会場を和ませた。

 会見中には、本庶さんに安倍晋三首相から電話があった。安倍首相が「日本人として誇りに思う。研究の成果で多くのがん患者に希望や光を与えられた」と祝意を伝えると、本庶さんは「ありがとうございます」とお礼を述べた。

 約1時間に及んだ会見の最後に、本庶さんはこう語った。「(研究では)間違いではないかどうかを、厳しく問う。何が真実かを問う。研究では世界の人と常に闘ってきたつもりです。闘う時は、厳しくないと闘えないです」【菅沼舞、岡崎英遠、野口由紀】

 ◇「古武士のような人」

 東日本でも本庶佑さんとゆかりのある人々が祝福した。

 本庶さんは昨年4月まで静岡県公立大学法人の理事長を務め、現在も同法人顧問。静岡県立大の鬼頭宏学長は1日夜、大学内で毎日新聞などの取材に「毎年有力候補に挙がっていたが、やっと受賞すべき人が受賞した。心からお祝いしたい」と祝福。「『古武士』のような人だ。研究分野だけでなく広い視野があり、自由な発想もある」と称賛した。

 川勝平太・静岡県知事も「県の医療政策や学術振興への取り組みに尽力いただいた。世界の医学、免疫学の発展をけん引していかれるようご期待申し上げる」とコメントした。

 本庶さんは1989年から98年まで弘前大(青森県弘前市)医学部で教授を務めた。同大によると、脳神経疾患研究施設の遺伝子工学部門で、遺伝子研究や実験への助言指導などを行った。佐藤敬学長は「本学の研究の発展に多大な貢献をいただいた。心からお祝い申し上げる」とのコメントを出した。【島田信幸、松岡大地、岩崎歩】

 ◇「研究を発展させていきたい」

 本庶さんと研究で関わりがある名古屋大大学院医学系研究科の西川博嘉教授(48)は「がんという人類の大きな問題に画期的な新しい治療法を提供されたことが評価されたのだと思います。がん免疫研究分野がさらなる発展をするように、私どもも研究を発展させていきたい」などと大学を通じてコメントした。【山口朋辰】