丸岩違いの高ジョッキ
国道145号線を長野原方面に向かっていると川原湯温泉辺りから吾妻川の対岸に生ビールのジョッキを伏せたような尖った山とその右に円柱形の奇岩で出来たような山が見える。榛名湖畔の硯岩を高くしたような形である。但しこのジョッキとは突起を意味する朝鮮語系の言葉らしい。ここを通る度にいつかは登りたいとは思っていたが、北側は荒船山の断崖同然であるから登るなら吾妻・須賀尾からしかないと想像していた。しかし、須賀尾を通過する機会も無く其の侭になっていた。最近、近隣の山は登り尽くし、地図を見て登り残しの山を総浚いしているのでここはどうしても行きたくなった。
先日、古賀良山に登った帰りに丸岩登山口を探しに行った。古賀良神社前からは幾つかの林道を伝って406号の「大戸」に出る。余談ながら、この林道伝いの走行は探索の意味で登山とは別の醍醐味がある。
大戸から406号に沿って左折し、整備の完了した広い国道をひたすら須賀尾峠に向かう。この峠は吾妻と長野原の境にあり標高は1.014㍍Mもある。頂上の境界標識のところには首の無くなった子育て地蔵があるがインターネットではここは高ジョッキの登山口で道路の反対側は「管峰(1.474m)」の登山口とされているから、記録通り長野原側100㍍の範囲を歩いて丸岩登山口を探した。結局、見つからずに雷鳴に追い立てられるようにこの日は引き上げた。
高ジョッキへ
例によって長野原町役場の企画観光課に問い合わせると、登山口はもっと下った所にあるが登山標識は無く駐車スペースのあるところを探せば良いと教えられた。地図は吾妻町のもので十分である。
1週間後、雷雨予報の無い好天の日を選んで丸岩に向かう。経路は406号に沿って室田街道をひたすら西へ、長い倉淵村を三の倉、権田と抜けて大戸に至り再び須賀尾峠へ着く。今度は見落としの無いように慎重にウィンカーを出しながらノロノロ運転で峠を下ると200㍍地点で右に砂防工事事務所中継所のプレートが付いた茶色のポールがありその左に道路が膨らんで駐車できる場所があった。車を降りて右側を探っていると、うっすらと踏み跡らしきものが見えた。念の為、立ち木にテープをつけて目印として叢に分け入る。確かに道らしきものが右に迂回しながら続いている。その跡を辿りながら尚も登ると意外にも
車の音が直ぐそばに聞こえた。慌てて下を覗くと何とそこは境界の地蔵のある場所の上ではないか?
結局、先程車で下った距離を歩いて登って元の境界に戻っただけのとんだ失敗である。そこから上を見ると木立の間から尾根らしきものがすけて見えたので、登り始めた。何時の間にか木の幹に目印テープが付いているのに気付き、次の目印を目で追いながら急坂を周りの木に掴まりながら登っていく。やがて大岩を巻くが急坂でも目印は多く、迷うことはなさそうである。延々と続く登りを気合を入れて進み、苦しいコブのような峰をいくつも越えるが一向に丸岩の気配がしない。一時間以上の苦労の末、垂直のような岩場を気息えんえんで漸く越えると頂上らしき所に来た。コブを越えるたびにこれが頂上かと思っても
三角点が見つからず何回も裏切られてきたのでほっとしたが、立ち木に括り付けられた標識は驚いたことに丸岩ではなく「高ジョッキ」であつた。途中、苦しくて足元ばかり見て登ってきたので分岐を見逃したらしい。
慌てて後ろを振り返ると丸岩の奇勝が遥か後方に見えた。後で地図で計測するとこの二つの直線距離は1.5㌔もあった。途中で一度でも周囲の景観を眺める余裕があったらと悔やんだが思いがけずに高ジョッキに登れたと思って自ら慰めた。仕方なく昼食にして写真を撮ったり、景色を満喫し丸岩をにらみながら引き返す。
樹間から丸岩を確認しつつ30分も下ってくると尾根が大きく左に捩れるところに直進する道らしき踏み跡があった。ここからは大きな前山に隠されて丸岩は見えない。しかし、遠くにテープも認められたので一山越えれば絶対に丸岩だと確信して勇躍して急坂を降りる。降りてからの前山登りは疲れているだけに非常に厳しい。漸く這い登って頂上の稜線を行くと南側の眺めはすばらしい。目の前に巨大な丸岩がある。ここでは角度が違うので北側から見る奇観ではなく唯の山である。一休みしていよいよ前山の下りに入ると、目の眩むような崖でありテープも見当たらない。慌てて1/25000の地図で確かめると、この面は丸岩の北面と同じに「岩崖」表示の烏帽子岩である。見た感じも単独行では危険と思ったので諦めて引き返し、分岐に戻って其の侭下山し別ルートを探すことにしたが、標識通りに下ったらやはり峠の頂上の境界に出た。
駐車場所までテクテクと406号を下り車に乗ろうとしたら先程の登山口から僅か20㍍下にはっきりした踏み跡があり、小さな手製の表示板に「丸岩登山口」とあった。道は左めに真っ直ぐ登っており間違ってもさっきの高ジョッキ行きではなく、確かに丸岩直行の匂いがある。たった20㍍の泣き笑いである。
取り付こうとしたら、何時の間にか黒雲が覆い被さっていて雷鳴は無いもののパラパラ降ってきていた。山の中の夕立は何度か怖い目にあっているので、この日は打ち止めにして今度は管峰とのセットで登ろうと決めて帰路についた。案の定、権田の辺は土砂降りでやめて良かったが、室田からはカラかラであつた。雨に追われた榛名帰りで浜川より下がカラカラで悔しい思いをするのと同じである。後日、現況を長野原・観光課に写真付きメールで伝えたら、責任者から丁重なお礼を言われた。ガラメキ温泉探検を詳細に伝えてもナシの礫の榛東村観光課とは大分違う。
写真左のトンガリが高ジョッキ。
入り口の首なし地蔵
烏帽子岩への分岐点
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国道145号線を長野原方面に向かっていると川原湯温泉辺りから吾妻川の対岸に生ビールのジョッキを伏せたような尖った山とその右に円柱形の奇岩で出来たような山が見える。榛名湖畔の硯岩を高くしたような形である。但しこのジョッキとは突起を意味する朝鮮語系の言葉らしい。ここを通る度にいつかは登りたいとは思っていたが、北側は荒船山の断崖同然であるから登るなら吾妻・須賀尾からしかないと想像していた。しかし、須賀尾を通過する機会も無く其の侭になっていた。最近、近隣の山は登り尽くし、地図を見て登り残しの山を総浚いしているのでここはどうしても行きたくなった。
先日、古賀良山に登った帰りに丸岩登山口を探しに行った。古賀良神社前からは幾つかの林道を伝って406号の「大戸」に出る。余談ながら、この林道伝いの走行は探索の意味で登山とは別の醍醐味がある。
大戸から406号に沿って左折し、整備の完了した広い国道をひたすら須賀尾峠に向かう。この峠は吾妻と長野原の境にあり標高は1.014㍍Mもある。頂上の境界標識のところには首の無くなった子育て地蔵があるがインターネットではここは高ジョッキの登山口で道路の反対側は「管峰(1.474m)」の登山口とされているから、記録通り長野原側100㍍の範囲を歩いて丸岩登山口を探した。結局、見つからずに雷鳴に追い立てられるようにこの日は引き上げた。
高ジョッキへ
例によって長野原町役場の企画観光課に問い合わせると、登山口はもっと下った所にあるが登山標識は無く駐車スペースのあるところを探せば良いと教えられた。地図は吾妻町のもので十分である。
1週間後、雷雨予報の無い好天の日を選んで丸岩に向かう。経路は406号に沿って室田街道をひたすら西へ、長い倉淵村を三の倉、権田と抜けて大戸に至り再び須賀尾峠へ着く。今度は見落としの無いように慎重にウィンカーを出しながらノロノロ運転で峠を下ると200㍍地点で右に砂防工事事務所中継所のプレートが付いた茶色のポールがありその左に道路が膨らんで駐車できる場所があった。車を降りて右側を探っていると、うっすらと踏み跡らしきものが見えた。念の為、立ち木にテープをつけて目印として叢に分け入る。確かに道らしきものが右に迂回しながら続いている。その跡を辿りながら尚も登ると意外にも
車の音が直ぐそばに聞こえた。慌てて下を覗くと何とそこは境界の地蔵のある場所の上ではないか?
結局、先程車で下った距離を歩いて登って元の境界に戻っただけのとんだ失敗である。そこから上を見ると木立の間から尾根らしきものがすけて見えたので、登り始めた。何時の間にか木の幹に目印テープが付いているのに気付き、次の目印を目で追いながら急坂を周りの木に掴まりながら登っていく。やがて大岩を巻くが急坂でも目印は多く、迷うことはなさそうである。延々と続く登りを気合を入れて進み、苦しいコブのような峰をいくつも越えるが一向に丸岩の気配がしない。一時間以上の苦労の末、垂直のような岩場を気息えんえんで漸く越えると頂上らしき所に来た。コブを越えるたびにこれが頂上かと思っても
三角点が見つからず何回も裏切られてきたのでほっとしたが、立ち木に括り付けられた標識は驚いたことに丸岩ではなく「高ジョッキ」であつた。途中、苦しくて足元ばかり見て登ってきたので分岐を見逃したらしい。
慌てて後ろを振り返ると丸岩の奇勝が遥か後方に見えた。後で地図で計測するとこの二つの直線距離は1.5㌔もあった。途中で一度でも周囲の景観を眺める余裕があったらと悔やんだが思いがけずに高ジョッキに登れたと思って自ら慰めた。仕方なく昼食にして写真を撮ったり、景色を満喫し丸岩をにらみながら引き返す。
樹間から丸岩を確認しつつ30分も下ってくると尾根が大きく左に捩れるところに直進する道らしき踏み跡があった。ここからは大きな前山に隠されて丸岩は見えない。しかし、遠くにテープも認められたので一山越えれば絶対に丸岩だと確信して勇躍して急坂を降りる。降りてからの前山登りは疲れているだけに非常に厳しい。漸く這い登って頂上の稜線を行くと南側の眺めはすばらしい。目の前に巨大な丸岩がある。ここでは角度が違うので北側から見る奇観ではなく唯の山である。一休みしていよいよ前山の下りに入ると、目の眩むような崖でありテープも見当たらない。慌てて1/25000の地図で確かめると、この面は丸岩の北面と同じに「岩崖」表示の烏帽子岩である。見た感じも単独行では危険と思ったので諦めて引き返し、分岐に戻って其の侭下山し別ルートを探すことにしたが、標識通りに下ったらやはり峠の頂上の境界に出た。
駐車場所までテクテクと406号を下り車に乗ろうとしたら先程の登山口から僅か20㍍下にはっきりした踏み跡があり、小さな手製の表示板に「丸岩登山口」とあった。道は左めに真っ直ぐ登っており間違ってもさっきの高ジョッキ行きではなく、確かに丸岩直行の匂いがある。たった20㍍の泣き笑いである。
取り付こうとしたら、何時の間にか黒雲が覆い被さっていて雷鳴は無いもののパラパラ降ってきていた。山の中の夕立は何度か怖い目にあっているので、この日は打ち止めにして今度は管峰とのセットで登ろうと決めて帰路についた。案の定、権田の辺は土砂降りでやめて良かったが、室田からはカラかラであつた。雨に追われた榛名帰りで浜川より下がカラカラで悔しい思いをするのと同じである。後日、現況を長野原・観光課に写真付きメールで伝えたら、責任者から丁重なお礼を言われた。ガラメキ温泉探検を詳細に伝えてもナシの礫の榛東村観光課とは大分違う。
写真左のトンガリが高ジョッキ。
入り口の首なし地蔵
烏帽子岩への分岐点
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