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教育落書き帳

教育とは何か…子どもの視点を尊重し、親、伴走者、市民の立場から語ります。子どもを語ることは未来への信頼と希望を語ること。

北海道旅行から考えたこと…(4)旭岳連峰での10人の遭難事故について

2009年08月09日 | スクール活動
(4)旭岳連峰での10人の遭難事故について

▼大雪山系での遭難ニュース
 私達が旅行から戻って1週間後のこと、私達が旅行の最後にロープウエイで上った旭岳連邦の山々で(トムラウシ山や美瑛岳)、中高年の登山者達10名の遭難と死亡のニュースが飛び込んで来た。例年にない異常気象による天候の急変、中高年中心の登山者集団、北国の登山に似つかわしくない不十分な装備、そしてガイドの未熟な状況判断…そういうものが重なり合ってあの遭難事故は起きたようだった。亡くなった人たちはみな道外の道産子ではない人たちで、天候によっては真夏でも冬山並みになる北国の山の厳しさを知らない人たちであった。それに加え、あの人たちは無茶な縦走を激しい風雨の下で強行したのである。
 私達の場合はあくまでも観光旅行の一環であり、目的がツアー登山とは根本的に異なる。旭岳山上の散歩にしても1時間で楽に回り切れる全くの観光客向けのものであった。それで、少し前に自分達も行って来た場所であり、遭難のニュースに驚くには十分であった。私達が行った時は幸い空も晴れており、山登りの経験のない者でもそれなりに散策を楽しめたものだ。それでも、山上はガスと噴煙で曇っていて、とても寒かった!

▼北海道の自然の予備学習を
 これはあらかじめ今回の旅行の参加者には特別に時間をとって確認していたことであるが、世界自然遺産の知床半島を含む今回の北海道東部旅行そのものは朝晩に多少関東よりは肌寒くなることはあるが、あまり気温差は関係ないこと、特に富良野などの内陸部は熱しやすく冷めやすい内陸性の気候なので場合によっては30度を超えて逆に関東よりも暑くなることもあることなどを伝えていた。だから、普段は半袖のシャツでも構わないが、野山を歩くので必ず長ズボンであること、履き慣れた歩きやすい靴であることなどを徹底させた。その上で、3日目の旭岳の姿見の池等の山上散策においては長袖のシャツの着用や防寒具の装備を厳守させたである。
 
勿論、私達は風雨の中での散策までは想定していなかったが(ロープウエイそのものが運行しないだろうし)、大体において高度が100m上げるにつれて温度は0.6度ずつ下がることを、単なる言葉だけではなく子ども達に当地の現在の麓の温度から割り出す計算をさせていた。そのように、私達は無謀なことは一切するつもりはなかったし、行く前から山上での自然の厳しさは認識させていたので、参加者でその用意をしていない者はいなかった。

▼自然の体感的理解
 ただ、こういうことは実際に体験していないとやはり感覚的に分かり難いところがある(逆に、10人の遭難者の場合には中途半端な経験が仇となったところもある)。その点、私達の場合には若い頃から北アルプス等の夏山登山には何度も挑戦し、縦走もしているので凡その感覚は把握していた。それに、私の場合は高校の卒業までは北海道の東部(北見)で過ごし、その気候についてはその様々な面を体感している。雌阿寒岳や十勝岳の猛烈な噴火による天変地異(火山灰が止め処なく降り注ぎ、昼間なのに夜中のように暗くなった)も経験している。十勝岳の夏山登山も行なっている。勿論、冬の北海道の自然の厳しさも承知している。太陽が隠れれば瞬く間に何もかにもがガチガチに凍て付いてしまう。
 だから、自然に対する変な驕りは自分にはない。道産子であればどこにいても大雪(たいせつ)の山並みは見えるし、人もまたこの大きな自然の営みの中で生かされていることを実感していた。10名の遭難者の中に、そういう自然に対する畏怖というようなものがあったなら、アホなガイドの指示に諾々と従うのではなく、あたら命を落とさずに済んだのではないかと思うと実に残念である。

▼自分の器=旅の土産
 北海道旅行に関する記述は、他にも様々な指摘すべき点はあるが、一応今回で終わりとする。そして、これはあくまでも私から見た旅行の記録である。実際に子ども達の一人ひとりは何を見たのだろうか。
 「旅のしおり」にも書いたことだが、「人は自分の器にあったものしか旅から持ち帰れない」のだ。だから、何を持ち帰ったかによって、その人たちの器も量られる。しかし、すぐに花実を付けるものもあれば、晩秋や厳冬の中で花実を付けるものもあるので、軽々しく人を判断することは出来ない。花実を付けない場合だってあるやも知れぬ。それもまた一つのあり方だろう。その後の子ども達……どんな花実を付けるか、付けないか…実は誰も分からない。それぞれが自分に相応しい成長をすることをただ願うばかりである。 

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